【第48講】スペイン語文法入門―兵法的外国語学習への誘い―(その26)

いよいよ、今回は、語根母音変化動詞の中でも最も√語根のヴァリエーション
の多い(といっても三種類程度ですが)パターンである”AB型”を学びます。
まだ時制では、”現在”だけしか学んでいないのにこんなにも不規則動詞って
多いのか・・・と悩むことはありません!しっかりと「√語根+活用語尾」の
原理を頭に刷り込んでおいてください。今の憂いが後の楽になります。
ところで、この”AB型”ですが、人の血液型でも変わった性格が多いような、
変種の代表であるかのような言われ方をしています。が、それだけ面白みには
富んでいるんだよということです。

結局のところ、”変化の多いもの”(一般とは変わった点が多く見られるタイ
プ)とは、それだけ使う回数(=使用頻度)が多いということ、即ち、面白み
に富んだ意味を担う動詞なのです。
この理由としては、何度も口に出して発音する際(昔は話し言葉中心でした)
に経済的に端折って使い勝手の良いようにする努力を人はするものなので・・・
要するに慣習の成れの果てというものが不規則動詞の特徴であることは以前に
解説をしたことがあったと思います。
あなたは、ここで学んだ言語に関する原理(=慣習の有する経済的な効率化や
合理性の追求などといったこと)を他の分野に応用するならば・・・相手に合
わせてこの原理に従いつつ、その”逆”・”裏”に相当する概念と機能を考え
て実行すると・・・兵法でいう「兵ハ詭道ナリ」の一助となって来ます。
『孫子』第一篇・計には「其ノ備エ無キヲ攻メ 其ノ意ワザルニ出ヅ」という
文言がありますが、そもそも、備えが無かったり、意わざる点があるのは、日
常の生活における慣習で常識と捉えたりして、「そこに注意が注がれなくなっ
ている点」=「死角」や「盲点」を形成しているところがあるからです。ここ
を自分で油断するか/油断しないか・・・運命の分かれ道になってきます。
外国語の習得も兵法の習得も日々の一瞬一瞬の生活の中、即ち、今、今、今の
心の観察とその持ち方が決めてなのです。
では、本題に戻って・・・
不規則変化の動詞とは・・・よく見ていると日常茶飯よく使わない動詞という
のではなく、それとは反対に日常茶飯よく使う動詞であるという性質があるも
のです。よって、他の動詞よりもよく使うのですから、必ずマスターできるの
です(英語などbe動詞やhave動詞など、不規則動詞の代表ですが、学習してし
ばらくしても語形など結構、記憶に残っているものですね)。
では、始めましょう。
AB)混合タイプ
このパターンの動詞とは要するに今までに習った”A型”と”B型”の二つのパ
ターンを混同した性格を持っています。
あなたが、押さえるべきポイントは以下の二つのパターンです:
第一人称が “B型―2”のパターン(第一人称が”-go”で終わるパターン)
第二人称から”A型” = 語根母音変化動詞のパターン
ここでは、知っておくととても便利な動詞である”tener”(持つ)を例にし
て解説を進めますので、何度も口に出して反復して覚えて行きましょう。
「持つ」ですが、昔は、”haber”という動詞が「持つ」という意味を担って
いたのです。が、それは今後習う「完了」の表現での使用のみにシフトしてし
まいました。今では、この”tener”という動詞が「持つ」の意味でもっぱら
使われています。
※英語では、”-tain-“の箇所が”tener”の”ten-“の部分に相当し、持つ、
保持する、保つ・・・などの意味があります。この”-tain-“を基礎として
“接頭辞”をつけて、contain(含有する、この単語に”-er”をつけると
“コンテナ”になりますね), detain(拘留する), maintain(維持する),
sustain(支える)などの動詞が展開しています。
例)”tener”(持つ、有する=have)
活用:
第一人称・単数 tengo(第一人称・単数→-goで終わるパターン)
第二人称・単数 tienes(√語根の”-e-“が”-ie-“に)
第三人称・単数 tiene (√語根の”-e-“が”-ie-“に)
第一人称・複数 tenemos (√語根に変化なし)
第二人称・複数 teneis √語根に変化なし)
第三人称・複数 tienen (√語根の”-e-“が”-ie-“に)
※表現)一連の名詞と組み合わせて身体の状態や気持ちを述べます:
tener calor (暑さを持つ=暑い。Californiaの語源でもあります)
[以下「A」冒頭の「?」は正確には「?をさかさまにした文字」ですが、テキス
ト形式では変換できないため、「?」としています]
A: ?Tienes calor? (君は暑いのかい?)
B: Si, tengo calor. (うん、暑いよ。)
A: ?Tiene usted calor? (お暑いですか?)
B: Si, tengo mucho calor. (はい、とても暑うございます。)
A: ?Tiene Fernando calor? (フェルナンドは暑いの?)
B: No, no tiene calor. Pero Isabel tiene mucho calor. (いいや、彼は
暑くないよ。しかし、イサベルは暑いよ。)
第二人称なら仲間内=”ため口をたたく”感じ、第三人称のustedなら敬語に
なり、会話があらたまった感じになります。和訳の際、注意してください。
ドリル-1)
(1)”tener”の直説法現在の活用を3分間、連続して発音し覚えましょう。
(これを3セット以上+3日間以上すれば必ず覚えてしまいます。不規則動詞
の覚え方です。)
(2)contener(contain), mantener (maintain), detener (detain), sost
ener (sustain)の活用を練習しましょう。接頭辞の意味を考えながら、後半の
“tener”の箇所のみが活用しますので意外と簡単です。ex. contengo, conti
enes, contiene・・・
(3)上述の会話見本を参考にして”疑問文”と”肯定/否定”の問対形式の
練習を「君は」から開始していろいろな人称で試してみましょう。
ドリル-2)
以下の表現を使い、”疑問文”と”肯定/否定”の問対形式の練習を行いまし
ょう。
1) tener frio (寒さを持つ→寒い)
2) tener sed (渇きを持つ→喉が乾いている)
3) tener dolor (痛みを持つ→痛い tener dolor de +体の部位の
          名詞→~が痛い)
:tener dolor de cabeza 頭が痛い
:tener dolor de vientre (下腹部全体:下痢、生理痛などで)腹が痛い
:tener dolor de estomago 胃が痛い
4) tener sueno (夢を持つ→眠たい)
5) tener hambre (飢餓を持つ→空腹である)
6) tener miedo (恐れを持つ→怖がる)
7) tener suerte (運を持つ→運がある)
※AB型のまとめ
√語根のヴァリエーション数=”3つ”
(1)第一人称・単数⇒”-go”
(2)第一人称・複数+第二人称・複数⇒√語根はそのまま
(3)それ以外⇒語根母音変化動詞と同じ
即ち:
(1)は、√teng-
(2)は、√ten-
(3)は、√tien-
以上の3つの注意点に着目しておいてください。
不規則動詞は、語形の多さ=語根の数に惑わされて、如何にも大変に感じ、や
やこしいもの=難関のような印象を受けるものです。が、初撃のインパクトを
乗り越えれば、その正体が明らかとなり、かえってその使用頻度の多さから愛
着が湧いてくるというものです。
次回は、AB型の他の動詞をおさらいしつつ、O型で直説法現在での不規則動詞
の活用の締めくくりといたしましょう。
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人以上)で他人に説明してみることです。よりよく勉強ができます。また、
スペイン学、イベリア学、またまた、米国の将来を担うヒスパニックの理解に
は英語とスペイン語は必須なのですが、今後は楽にスペイン語文法の語学講師
程度なら務まるようにこの講座の能書きは設定もされています。どしどしと活
用されることを期待しております。
日本の国際関係の将来は、あなたの心とがんばりの中に今存在しています!
4月、新年度を機会にさらに邁進されますよう祈念いたしております!
Hasta luego!
(米田富彦)

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