【第46講】スペイン語文法入門―兵法的外国語学習への誘い―(その24)

前回は、”A型”の不規則動詞→√語根の中の母音が変化(”-e-“が”-ie-“に
なるものでした)する動詞の学習で”pensar”を例にして、そのパターンを習い
ました。
今回は、同じく”A型”の不規則動詞で”poder(~が出来る、~してよい)”と
いう動詞がありますので、これを見て行きましょう。

この”poder”という動詞とは、英語のcan(~できる)とmay(~してよい)の
両方の意味を持っています。この違いは、文脈(話しの前後関係)で簡単に分か
りますから、ややこしくないと思って下さい。
“poder”ですが、男性名詞で使う”パワー、力”になり、何となく・・・ですが
じっくりと語形を見ていておわかりのように英語の”power”とは語源的に関連が
あります(例→”el poder military” 軍事力、”el poder disuasivo” 戦争抑
止力)。
活用の不規則さはpensarと同じで√語根の中にある母音に来る”アクセント”が
ポイントです。pensarのときと同じ要領でやれば良いのです。即ち、今度は、
アクセントの付く√語根の中の母音”-o-“が”-ue-“という二重母音になりま
す。
このアクセントのある”-o-“が”-ue-“になるという「二重母音化」の現象で
すが、何もスペイン語だけに限らず、他の言語でも起こっている現象なのでやや
こしいと思わなくて結構です。
ちなみに名詞では、イタリア語でいう”FORZA ITALIA”(サッカーでお馴染みの
声援で耳に残っていますね。イタリアがんばれ!の意味です。ベルルスコーニ首
相の率いる政党名でも有名)です。
この”forza”は、スペイン語では二重母音化して”fuerza”という単語になって
います。英語なら”force”(スターウォーズで”理力”と最初は訳されていた
“フォース”ですね。こちらは潜在力の方です。目に物見せる力は”power”)
になります。
例→複数で使って:
“las fuerzas navales” 海軍
“las fuerzas ae’reas” 空軍
“las fuerzas terrestres” 陸軍
イタリア語では二重母音化していないけれども、スペイン語はしている・・・同
じラテン語起源なのに・・・という違いがあることに気がついたら、あなたは
「ロマンス語学」という分野に参入したことになります。ラテン語からの文法の
変化、発音の変化、語彙の変化(他の語との置き換え)・・・この変化の積み
重ね=経緯を観察して何が言えるのかを考えてゆきます。
この分野でのスペイン語の領域に関しては、京都外国語大学の新田増(ニッタ 
マス)教授が第一人者です。国外の学会での方で活躍され、とにかく研究第一で
没頭されていらっしゃいます。
大学でやる学術ではなく、実用語学の域を出ない”語学屋”から見れば、到底太
刀打ち出来ることもなく、対面すれば己の化けの皮が剥がれるので、あまりスペ
イン語を教えることで飯を喰っているだけのような方々は近づくのを怖がってい
る・・・という面白い現象が見られています。
しかし、本当のアカデミックな方々は親交を結んでおられ、言語学、スペイン地
域研究、スペイン学、バスク学といった分野では日本で最も貴重な存在です。
あなたには、京都外国語大学( http://www.kufs.ac.jp/kufs_new/index.html )
での新田教授による講義の聴講をお勧めいたします。この機会にコンタクトを
取って見られれば如何でしょうか。とても気さくな先生であります。
話を元に戻します。
以下で ”poder”の直説法・現在の活用を見て行きましょう:
puedo
puedes
puede
podemos
pode’is
pueden
※外国語の定番である「英語」では、アクセントのある”-i-“が”-ai-“に
なったりする現象が起きました・・・単母音の二重母音化は、英語でもみられる
ものなのです。
このような現象を大母音推移(The Great Vowel Shift)と言います(西暦1400年
から始まり、1600年あたりに終了した)が、これが原因となり、当時の印刷術の
定着から、文字と発音が異なるようになり、英語の綴りはローマ字読みでは無く
なったのです。
もしアングロサクソンまたはイギリス(そして、その奥にある英語圏の世界)
のことをより良く知りたい(エリアスタディの一部ですね)のなら、このあたり
のことを知っておいて損はありません。英語がより親しいものになりましょう。
音声関係に興味があればスペイン語における現象と比較すると面白いと思いま
す。詳しくは、次のサイトをご覧下さい。
・The Great Vowel Shift( http://alpha.furman.edu/~mmenzer/gvs/ )
 英文サイトですが、実際の発音を調音位置の図を見ながら聞くことが可能です。
・英語の歴史( http://www.rondely.com/zakkaya/his/detls.htm )
 英語史に関するキーワードの解説サイトです。
スペイン語を知ることは英語を知ることにもなります。
一度、上記のサイトをご覧になってみてください。
☆では・・・習った”poder”の表現をここで練習しておきましょう。
“poder”は、不定形と組んで次のような表現をします。
(1)~することができる(英語のcan)
 Puedo viajar por Espan~a. 私は、スペインを旅することができる。
ドリル-1)先ず、各人称と数に合わせて、活用の練習をしましょう。
次に、viajar の部分にmatar(殺す)、 tirar(撃つ)、apagar la luz(明かり
を消す)、 jugar(遊ぶ)、 leer(読む)、 vivir sin agua(水無しで生きる
 sin=without)に置き換えて活用の練習(と同時に「~することが出来る」と
いう日本語の訳の練習)をしましょう。
(2)~かもしれない(英語のmay)
 Pueden morir en la batalla.  彼らは、(戦場で死ぬ=)戦死するかもし
 れない。
(3)~してよい(英語のmay)
 ?Puedo fumar? タバコを吸ってもいいですか。
ドリル-2)先ず、各人称と数に合わせて、活用の練習をしましょう。
次に、morirの部分にocurrir(起こる)、 tener e’xito (成功する)、
fracasar(失敗する)、ganar(勝利する)、 perder(敗北する)に置き換えて活
用の練習(と同時に「~するかもしれない」という日本語の訳の練習)をしまし
ょう。
では、次に”jugar(遊ぶ、~をプレイする)”を見てみましょう。
今度は、アクセントの付く語根の中の母音”-u-“が”-ue-“という二重母音に
なります。
juego
juegas
juega
jugamos
juga’is
juegan
表現を学びましょう。
“jugar a +スポーツ名” で「そのスポーツをスル」の意味になります。
(英語のplayに相当します)
 Juego al tenis. 私は、テニスをします。
 Juego al baloncesto. 私は、バスケットボールをします。
※al = a + el (前置詞と定冠詞の複合形です。もう一つついでに憶えておき
ましょう。それは、del = de + el です)
ドリル-3)先ず、各人称と数に合わせて、活用の練習をしましょう。
次に、el be’isbol(野球) el fu’tbol(サッカー) el criquet(クリケッ
ト) el golf(ゴルフ)を順番に表現して行きましょう。
○注意!
「武道をする」という時は、修行の意味合いが入ってくるので、”practicar(実
践する)”という動詞を使います。これは英語でも”play”ではなく、”practi
ce”を使ったのと同じことです。
例)Practico Karate. 私は、空手をしています。
  Practicas Jiu-Jitsu. 君は、柔術をしています。
では、次に”pedir(注文する、お願いする)”という動詞を見てみましょう。
今度は、アクセントの付く√語根の中の母音”-e”が”-i-“になります。
即ち、単母音から単母音の変化になります。このような現象が起きるのは、
“-ir”動詞だけです。他の”-ar動詞””や”–er動詞”には起こりません。
この”-ir”動詞というのは、このほかにも結構、不規則変化をするものが多いの
で、憶えて行く時には必ず注意して行ってください。
pido
pides
pide
pedimos
pedi’s
piden
(√語根の中の母音”-e-“が”-i-“になっているだけですね。)
例)Pido un cafe’. 私は、コーヒーを一杯注文いたします。
ドリル-4)先ず、各人称と数に合わせて、活用の練習をしましょう。
次に、un cafe’の箇所にuna cerveza(ビールを一本)、 una can~a(生ビール
を一杯)una copa de ron (ラム酒を一杯)、 una copa de vodka (ボートカ
と読みます。ウオッカを一杯)、 una copa de ginebra(ジンを一杯)、
un coctel (カクテルを一杯)を置き換えて順番に表現して行きましょう。
余談ですが、「火炎瓶」のことをcoctel Molotov(コクテール・モロトーフ)と
言います。あなたは、自分で作ると罰せられます。投げても当然ですね。
「火炎瓶」はスペイン内戦(1936)から使用されましたが、スペイン内戦での
知識(情報)が如何に自軍の展開に活用されたかについては興味あるところで
す。ノモンハン事件(1939)、フィンランド対ソ連の冬戦争(1939)では大い
に対戦闘車両に活用されたことが知られています。詳しくは、「火炎瓶」で
検索してみてください。 http://tinyurl.com/y9tpznq
いろいろな”A型の不規則動詞”を早く憶えたいところでしょう。
しかしここはじっくりと、これまで出てきた動詞だけ、√語根の中の母音に
視点が自然に向くよう練習を繰り返してください。
次回は、のこりの”A型の不規則動詞”の練習をしてから、
“B型の不規則動詞”に入って行きましょう。
乞う御期待!
Hasta luego!
(つづく)
(米田富彦)

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