【第40講】 スペイン語文法入門―兵法的外国語学習への誘い―(その18)

孫子塾副塾長・孫子塾関西支部長
同志社大学/京都外国語大学・スペイン語非常勤講師
米田 富彦
http://espania.okigunnji.com/2008/06/post-1.html
スペインと言えば・・・みなさんは、「スペイン 江沢民」で検索して見てく
ださい。スペイン法廷が江沢民をジェノサイド(集団虐殺罪)と拷問罪で起訴
し召喚状を出しています。日本法廷はやらないのか?できないのか?
昔で言えば一個大隊以上の政治家たちが訪中していますが、人権問題は、軽く
済ませるか無視するのはどちらも一緒(日本では年間自殺者が3万人を連続
11年継続していますが、毎年決まった数字になること自体、何の政治改革も
なされていない=良くなっていない証拠です。”臣民ならぬ選挙権の民主国民
の命は、鴻毛よりも軽し”ですか?)なのか?しかし、外国勢力が魅力という
か外国の力を借りて日本を仕切りたいとでもいうのでしょうか。

この国民としての人権の存亡に対する戦い・・・ですが、筆者の思い出です。
先ずは、クリスマスになると思い出すのですが・・・筆者がスペインに留学し
ていた時・・・滞在中、最も仲の良かった友人とは、ポーランド人で神学部に
博士論文提出のために留学して来ていた二人の神父さんたちでした。大学の
新学期開始前の外国人向け語学・文化研修コースで同じクラスでした。
筆者の留学先は、スペイン北部・ナバラ県のパンプローナというところにある
ナバラ大学(映画『ダ・ビンチ・コード』で出てくる”オプス・デイ”
http://www.opusdei.jp/ ]が運営しています。実際の組織は、映画と本当
に違いますが、みなさんにはスペインを知る上で重要な団体なので、またの機
会にお話しをいたしましょう。)でした。母校の京都外国語大学はナバラ大学
と提携しているのです。
このパンプローナは、かつてレコンキスタに貢献したキリスト教王国でバスク
人によるナバラ王国(バスク人とナバラ王国の研究については、母校の新田増
先生が第一人者ですので検索してみてください)が栄えたところで、フランシ
スコ・ザビエルはここの王族でした。ザビエル城というのが南へ約50キロのと
ころにあります。ザビエルを縁として日本では山口市が姉妹都市になり、パン
プローナには日本庭園があります。また、ヘミングウエイの『陽はまた昇る』
という小説の舞台でもあり、「サン・フェルミン祭」という街中の通りを闘牛
用の牡牛を放ち、その前を闘牛場まで男たちが疾駆する祭りで知られたところ
であります。
このポーランド人の神父さんが博士号取得のための勉強をしていた時代とは、
ローマ法王ヨハネ・パウロ二世が教皇史上初のスラヴ系(=ポーランド人)と
なり、未だに共産主義国家で最高峰のソ連が君臨し、シベリア上空は旅客機が
通過できないで(当時、大韓航空機が樺太あたりで領空侵犯をしたとかでソ連
の戦闘機に撃墜された事件がありました)、アラスカのアンカレッジから北極
経由で欧州へ行く北回りルートがあった時代です(もう一つは、東南アジアか
らアラビア経由の南回りルートでした)。そして、ココム=対共産圏輸出統制
委員会があり、輸出品目の統制があった時代でもありました。
そして・・・ポーランドは、ソ連の属国(日本は戦後常にどこかの属国になる
か、あるいは新たになろうとしていますが)・・・ヤルゼルスキ(ウィキペデ
ィアでの検索が手頃です。この程度の情報とは、冷戦当時は結構入手困難であ
ったでしょう。が、現在ではいとも簡単に手に入る恩恵に浴しています)とい
う共産党一党独裁兼軍事独裁者が仕切っていて、自主労組連帯(ワレサ委員長)
が反体制運動(反共産主義)を展開していました。即ち、自主労組連帯とか
神父をしている人間は、反共活動家としてかの当局から監視されていたような
時代でした。
※みなさんの参考サイトは、
「フォーラム・ポーランド」( http://www.forumpoland.org/ )や
「ポーランド情報館」( http://www.polinfojp.com/ )がありますので、
日本とポーランドの興味深い歴史(日露戦争や1920年のポーランド人孤児
の救済)など、詳しくはクリックあるいはさらに検索をかけてご覧ください。
この神父さんの祖先が、実は、日露戦争でロシア軍側(当時はポーランドがロ
シア領だったので・・・)にいて、遠くから日本人を見る機会があった・・・
ということでした。よくぞ日露戦争でロシアをやっつけてくれたと好感を持っ
てくれていました。当時は、ソ連がポーランドの上に君臨していたのです。
そのロシアとロシア人に対する気持を日本人から客観的に理解するには知識の
階段を踏まねばなりません。
このポーランドがソ連勢力下で立場と条件から語られなかったことが映画化さ
れています。黒澤明監督のフアンで日本フアンでもあり、古都クラクフに日本
の文化センターを私財で建設したアンジェイ・ワイダ監督の作品の
『カティンの森』( http://katyn-movie.com/pc/ )です。
現在、東京で(関西は来年1月9日あたりから)上映されていますが、組織の
管理職を抹殺して、その後の再興に影響を与えるという点や情報・宣伝工作面
での独ソ戦を観察するには興味深いものがありましょう。
ポーランド人は、”武”を尊める点では日本人と共通性があるようです。
丁度・・・クリスマス前にポーランド人の神父さんたちとスペイン人の神父さ
んと史跡ツアーがあって参加したのですが、どんよりとした寒い冬景色の中で、
高速で走る自動車の中、「我々ポーランド人は昔、ナポレオン軍に加わり、
スペインの軍勢とこの地で大激戦を展開して見事に戦った」との自信に満ちた
説明を受けました。
ポーランドはナポレオン軍に加わって( http://www.amazon.co.jp/gp/product/0850451981
スペインでも激戦を展開したことがありました。反対のスペイン側については、
こちら( http://www.amazon.co.jp/gp/product/1855327635 )をご覧下さい。
三冊シリーズにまとめられています。
興味深いことですが、ポーランドとフランスは、ドイツをまたいで交流があり
ますし、スペインとドイツは、フランスをまたいで交流があります。どこも隣
同士はライバル関係ですね。地政学などの観点からすれば、これも面白い事例
でありましょう。では、日本は、地政学的にどこの国と交流を増進させれば
今後、国益に合うのか?天下の国営放送で『坂の上の雲』が始まっていますが、
この機会にもみなさんも考えてみてください(昨今の情勢から、日本が地図か
ら消えないようにするのも現代日本人の仕事であります)。
(40)スペイン語文法入門―兵法的外国語学習への誘い―(その19)
では、いよいよ、スペイン語文法の面白いところである動詞について学んで
行きたいと思います。
☆動詞とは、何か?
それは、動作を表す言葉であり、文の中では中心的で、重要な働きをします。
即ち、文においては主部(行為の主体について述べている部分で、中心になる
のは名詞)に対する述部(何を、何時、如何するのか・・・という部分)の中
心になる言葉・・・ということです。よって、名詞と動詞の二つの品詞は、
日本語と比べて、ことさらに(語尾変化などを通じて)印欧語では重視されて
います。
また、動詞が表現する動作とは、常に時間と空間に関連するものです。この動
詞には、動詞そのものが有する基本的な時間と空間があります。例えば、
(引き金を)引く、殴る、書く、知る、生きる・・・といろいろな動詞があり
ますが、それぞれの例示した動詞が表現する時間(特に時ならぬ、その”間”
の長さや性格)と空間(展開されるところ)には差・違いがあるのが分かりま
す。動詞も良く見ると面白いと思います。
一般に、印欧語の場合には、動作に関して、話者の気持ちの表現と行為の時間
関係を基礎にして、その行為の主体=主語に合わせて、動詞の語尾が規則的に
対応します。
このような現象を動詞の「活用(conjugacio’n)」といいます。
また、動詞の活用は、名詞の語尾変化=格変化である「曲用(declinacio’n)」
と合わせて「屈折(inflexio’n)」といいます。活用と曲用という語尾が変化
すること=「屈折」が印欧語の言語の構造上の一大特徴となっています。この
ような言語を「屈折言語」と言います。
☆活用の概念について
英語でのbe動詞については、I am, you are, he is, we are, you are,
they are,という不規則活用がありました。また、一般の動詞では、何故か、
「三人称の単数だけには、動詞の現在形の語尾に”-s”をつけねばならなか
った」ことを思い出しましょう。
その時、名詞の「単数/複数」と同じく、日本語の動詞にはない発想だ!と
思った人も多かったでしょう。日本語には、「動詞の活用」といえば、五十音
図に基づいて未然・連用・終止・連体・已然・命令とかいった「活用」をしま
した。が、ほとんどそれらは、主に「法(モード)」と呼ばれる話者の気持ち
などを表現する概念についてのものでした。
では、スペイン語の「動詞の活用」とはどのようなものでしょうか?
それは、行為者=”人称(パーソン・スペイン語はpersonaです)”が
数(ナンバー・スペイン語は、nu’meroです)の概念である単数(singular)/
複数(plural)ごとに区切られて、それが土台となり、話者の気持ちを入れるか
入れないか(法:modo)、今のことを言うのか言わないのか(時制:tiempo)、
行為を済ませてしまったのか未だに継続中なのか(相:aspecto)などの
文法範疇(文法上の決まりごと)に従って、それぞれ語尾が変わるのです。
要するに:
1.第一人称・単数の語形
2.第二人称・単数の語形
3.第三人称・単数の語形
4.第一人称・複数の語形
5.第二人称・複数の語形
6.第三人称・複数の語形
となります。この語形=活用の語尾が”法・時制・相”のセットごとに異なっ
たものが出てくるだけなのです。
それぞれの人称と数の分だけ、法・時制・相(モード・テンス・アスペクト)
の三種類をワンセットにした表現の”基準”として、それぞれの場合で動詞の
語尾が変化し、相手にクッキリと明瞭に、誰(パーソン)が何人(ナンバー)
で、現実の世界でなのか仮想の世界でなのか(心的要素の有無→モード)か、
何時(今なのか、そうでないのか→テンス)、動作の完結・未完結(完了した
のか進行しているのか→アスペクト)の情報を伝達するのです。
この活用の種類なのですが、大きく法で二つのグループに分かれ、時制ごとに
さらに分かれます(相は、過去時制において、また現在完了、過去完了、未来
完了などでの迂言法があります。将来には必ず習得しますので今は慌てないで
ください):
(1)直接法:現在、完了過去、不完了過去、未来、過去未来があります。
(2)接続法:現在、過去、未来があります。
ざざっと一見したところ、最低8通りの活用があり(完了の表現も入れるとこの
倍になりますが)、大変なようです。が、この活用とは、情報の明確化という
点では、とても合理的なものなのです。
即ち:
第一人称の単数/複数、第二人称の単数/複数、第三人称の単数/複数でそれ
ぞれ二つずつの”数”の概念ペアが人称構造(第一人称~第三人称)の3種類
分あります。よって、「2×3=6」ということになり、ここに法・時制・相
という動詞の持つ決まりごと=動詞範疇(動詞のカテゴリー)に従った”活用
語尾”がついて通常6個でてくるのです。
英語も、もともと昔はこのような「動詞の活用」を”さかんに”していたので
す。が、時代が下るにしたがって「簡略化」されてしまいました。即ち、活用
する語尾を省略してしまったのです。これは、英語の名詞にもいえることで、
「数」=単数/複数という概念の名残はありますが、「性」の区別等と共に主
格~ハ、与格~ニ、対格~ヲ等の名詞の座標を示す「格」の概念を表す語尾変
化=「曲用」も既に消え去りました(名残があるのは人称代名詞あたりです)。
☆スペイン語の動詞について
英語の場合は、単語を見ているとどれが動詞なのかハッキリとは分かりません
でした。そして、長文読解の学習では、常に辞書にある見出しを最後まで見て
おかなければなりませんでした。察するところ、語順(厳しい五文型の順守)
が固定化している英語では、主語の次の位置に置かれる単語が動詞として使用
されていると考えることが可能です。この点、英語は少しややこしく感じられ
るようです。
日本語の場合は、-ル、-ウで終わるものは「動詞」とわかります。
スペイン語の場合は、「動詞」ならば、-AR,-ER,-IR以外の語尾で
は絶対に終わりません。そして活用は常に”√語根+活用語尾”(次回で解説!
ややこしいところがとても早く覚えられるコツでもあります!)の形をとります。
☆スペイン語動詞の活用の構造について
スペイン語の動詞は、全て必ずそれらの語尾が-AR,-ER,-IRで終わ
っていることは上述しました。この中で、”A”,”E”,”I”という母音
のところが”テーマ母音”(”幹”の意味=語幹のこと)になる重要な部分な
のです。要するに、その後が動詞であるのなら、その動詞たることを示す語尾
特徴とは、-Rで終わるのだということです。
このような特徴をさらに詳しく見てゆくと:
-arで終わるものを “verbo -ar” =-ar 動詞( アール 動詞) と言います。
-erで終わるものを “verbo -er” =-er 動詞( エール 動詞) と言います。
-irで終わるものを “verbo -ir” =-ir 動詞( イール 動詞) と言います。
スペイン語の動詞には、これ以外の語尾で終わるものはありません。(これは
英語以外の印欧語はそうなっており、動詞を示す特定の語尾があるものなので
す。)
このような活用する以前の語尾がついている動詞を”不定形(infinitivo)”と
言います。即ち、「未だに定まった活用形をしていない」という意味であり、
誰が何時やるのか?という具体性が抜かれているのです。よって、動詞の意味
だけが抽象化されて、「~すること」という訳になり、扱いは名詞(男性単数)
扱いになります。反対にきちんと決まった人称に対応して、誰が何時その行為
をするのか・・・という具体性が示されているものを”活用”をしてい・・・
即ち、「定形」である・・・と言います。
今回は、ここまでにしておきましょう。
次回がいよいよ具体的な活用を習得して行きます。
年明けには名詞関連の実力テストを実施しようと計画中です。
一人用クリスマスケーキを祝う方もいれば、二人のクリスマスケーキもありま
しょうし、家族のクリスマスケーキもありましょう。
みなさん、何はどうあれ、それなりに楽しいクリスマスをお過ごしになって
ください!
(つづく)

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