【第34講】 スペイン語文法入門―兵法的外国語学習への誘い―(その12)

孫子塾副塾長・孫子塾関西支部長
同志社大学/京都外国語大学・スペイン語非常勤講師
米田 富彦
http://espania.okigunnji.com/2008/06/post-1.html
みなさん、今回は少し前段が長くなりますが、兵法、戦略を考える上で、
著者の”青臭~い話”をいたします。その時その場で、何かに都合を付けて
は、自分自身をダマくらかそうとしたり、抵抗したりする「もう一人の自分」
がいるものです。これに対面した時に決してブレなかったら・・・それが
“信念(必ずこうなる、必ず実現する)”であり、克己の条件であります。

「信念とは、時機に応じて、その真偽の程を天から確認される」ものです。
何度か最初のノリから違った展開になって、くじけそうになったり、おいしそ
うな誘惑や悪魔との取引になって来たら=天から確認されたら、覚悟を決め
て、その時は自分そのものを裏切らないで原点に返ることです!
著者が大学院生だった時、構造主義言語学の理論に基づいたスペイン語動詞の
アスペクト(相:完了とか進行とかのことです)に関する修士論文を提出しま
した。論文の主査(指導教授)は、言語学の先生でしたので、これは至って
普通のことでした。しかし・・・この主査に対して、以前からかなり憎悪
(過去の経緯があったのでしょう)をしていた二人の副査の教授たちがいま
した。
副査たちは、大学院教授とかいう雇用状態にあるものの、実は一方が日本史、
他方がネイティヴの語学教師でしかなく・・・外国語学(Foreign Studies)と
いう大学の主旨からはいささか離れた存在でした。彼らは理論で展開される
学術というものにはかなり感情的な反応をして来ていました。そこで、論文の
中でスペイン語動詞と比較したロシア語動詞の箇所や参考文献で示した英語文
献やドイツ語文献の箇所を指摘して、「米田というのは、イスパニア語学科
(現スペイン語学科)の院生のくせにスペイン語以外のことを書いているのは
けしからん。これは修士論文として認められない。また偉い先生の意見に対し
反論なんぞ付けているとは生意気で間違っている」という理由をつけ、提出期
日前までに絶対に審査は通さないと通告して来たり、また、審査当日には二人
とも攻撃的な口調で感情をあらわにして、主査を横から罵り、何と審査を途中
で放棄するようなことをしたのでした。
この後、「主査が米田の論文指導をきちんとやらなかったからデタラメな論文
を提出させた・・・主査はこの不始末の責任を取れ」とか、訳の分からない
因縁をつけ、主査に「大学院から退職しろ、米田も退学させろ」と要求して
来たのです。
これは、教授間の感情的対立・権力争いでした。その時、大学院教授資格のな
い当時の学科主任教授が「これはイスパニア語学科内部で起こった問題です
よ。これは主任教授の私に仲裁させてください」という理由を述べて審査に
介入して来たのです。この主任教授は、何と二人の副査の教授たちを煽って
対立を激化させ、和解を修復不可能なものにしておいてから、提出された論
文の訂正(スペイン語で作成した論文を対立しているネイティヴの教授に語
順とか表現を変えるよう依頼し、その変更箇所がそのまま間違い箇所として
カウントする)や部分的な書換を主任教授という立場から一方的に命令(こ
れは急に夜半に電話して来て、勝手な参考文献を指定し、主任教授が自分で
決めた項数を指定した期日内に書換えるもの)して、”何度も”(2ヶ月半の
間)反復して追い詰めて来たのでした。
それこそ、対立するネイティヴの教授が感情的になって書き殴った汚い文字や
塗りつぶした論文原稿を読み取ってタイプを打ち直すのですが、後になってか
ら、600箇所以上の間違いがあったから訂正しても無効だとか言って揺さぶ
りをかけてくる悪質なものでした。こうして著者を心身共に疲労させ、
「就職」の事も不安がらせて屈服させ、両親とも不和にさせて、主査との離
反を狙って来ていました。
この主任教授たるや、言語学など当初から門外漢であったので、訂正や書換の
命令についても”学術的”に見れば、おかしなものばかりでした。が、要する
に、仲裁を任されている主任教授という立場から、自分のための条件づくりを
実行していたのです。これらの主任教授の命令に対し、何度も徹夜作業を繰り
返し行うことで、訂正や書換の作業は乗り切りました。すると業を煮やした
主任教授から遂に呼び出しを受けてある人気のない喫茶店に連れて行かれま
した。
この時に、高圧的に「あのなあ、米田、オマエは不遜な野郎なんだよ。不遜な
野郎だ。本当にオマエは不遜なんだよ。米田、オマエがどんなにがんばっても
絶対に卒業させてなんかやらないよ。僕は、オマエを退学させてやることがで
きるんだよ!僕をなめるんじゃないぞ~!もっと長く引っ張ってやることもで
きるんだ!そこでだ、一言、主査のジジイの奴が能ナシってみんなの前で証言
しろ!すぐに楽になるぞ!主査だろうが副査だろうがあのジジイ連中なんざ
誰もオマエの将来のことなんかこれぽっちも考えてやいないよ。一言、主査が
能ナシって僕の側に立って証言してくれたら、僕がオマエの将来を考えてあげ
ていいよ。今までオマエは一生懸命やって来たんだろ。何のためだったんだ?
主査が能ナシって証言しろよ!」ということでした。
著者は、「私は、間違ったことはしていません。もし、ウソの証言をして、
主査を裏切って無事に京都外大でスペイン語の先生になり、たとえ今までの努
力の結果として念願の教壇に立てたとしても、授業で使うスペイン語のテキス
トの中で、”愛”だ”誠意”だとかいう言葉が出て来た時には、それこそ、
十九歳や二十歳の未だ世の中のことがよくわからない学生たちに対して胸を
張って言うことが出来ませんし、将来、教授になれても、一生、生活が安定し
ても、いつも後ろめたい思いをします。絶対に主査を裏切るようなことはしま
せん。今回の一件は、こちら側に粗相は何もありません。おかしいのは副査の
二人で、そして仲介に入った先生ですよ」と返答しました。
この時は、天によって人間が試されていると思いました。しかし、これで全て
を失う。大いなる進路変更ですね。学費を出していただいた両親には本当に
申し訳ありません。ごめんなさいです。将来は、恐らく苦労ばかりになるであ
ろう・・・人生をゼロにする・・・「人生は要領だ」という言葉が頭に浮かび
ました。が、このような品性下劣で学術面では決して勝負できない主任教授の
ような人間の手下になることにはたとえ死んでも妥協するまい、恥を知れで
す。
これは自分自身の器量の正念場だと思いました。
主任教授(実は、母校の京都外大の大先輩になる人でもあります!)は、
「コラ!米田、こんなしょうもない京都外大みたいな三流、四流のアホ大学で
修士論文だとか笑わせるなよ!ええカッコするんじゃないよ!論文なんかやめ
ちまえよ!アホみたいなこんなつまらない四流大学で何が修士なんだよ!オマ
エ、大学院を退学しなよ!ここを退学して他の大学院に行けよ!こんな京都外
大みたいなアホ大学やめちまえ!」と激高して来たので、「先生も京都外大の
出身で京都外大に務めているのではないですか。自分の母校と勤め先を何故
悪く言えるのです。あなたのような人の言うことは、たとえあなたが主任教授
としていかなる権力を持っていても何をしてこようとも絶対に聞きません」と
答えました。
すると、「米田、この野郎、オマエ、タダでは済まさない。イスパニア語学科
主任教授のオレを怒らせやがったな!誰がオマエを卒業なんぞさせてやるもん
か!」そして、継いで「オマエ、あのな~本当にこのまま卒業したけりゃ、
ここまでこの僕を働かせたんだ。ちゃんとして欲しかったら、これだけぐらい
用意するのが本当だなんだよ!オレの言うことを聞かなけりゃオマエの親が
泣くぞ!これが最後のチャンスだ!これだけ持ってこい。さもないと後はどう
なるか知らんぞ!結局、もう論文も僕が再審査処理にしてやったから成績評価
は”可”どまりだ!オマエはもうこれで再起不能なんだよ!どうするんだこれ
から?あ~?」とか片手を示して言ってくるので、著者から「あなたの言うこ
とには屈しません。50万円も払えませんし、あなたに払う必要もありません。
スペイン語の先生にはとてもなりたいですが、”万が一の期待”を持って自分
は野に下らせてもらいます。本当に万が一の期待を持って野にくだります。
そして学術できちんと勝負させていただきます」と返答しました。主任教授
は、
「米田、オマエ、このオレの目の黒い限り、オマエには絶対にどこのスペイン
語の世界にも二度と入って来れないようにしてやる!」と激怒して席を立って
行きました。
結局、論文審査は、主査が他大学の言語学の専門の複数の教授に読まれるよう
に依頼していました。これら専門の先生方から何で京都外大でこの論文が問題
になっているのか分からない・・・という意見がなされました。これが機会と
なり、確か総長か理事長から、紛糾停止命令が出され、主任教授の意図は崩れ
去ったのです。主査の首もつながりました。しかし、主任教授には、かなり根
に持たれて、修了式への出席は、大学までわざわざ来させておいてから別室に
閉じ込められた上でしつこく嫌みを言われ、出席させてもらえませんでした
し、卒業後にもあらぬことを他人に言いふらされたりしていました。
この後、程なく、「日本ロマンス語学会」でこの論文で述べたことを研究発表
することになりました。これは、複数の先生方から良い評価を受け論文内容が
間違っていなかったことが証明されました。このことが主任教授にも伝えられ
た様子で、何故か、「米田の野郎を名誉毀損で告訴してやる」とか訳の分から
ないことをわめいて、さらに激怒していた・・・と後に主査を通じて聞き及ん
だことがあります。(この主任教授というのは、その後、この二十年ぐらいで
すが、さしたる学術研究活動は一つもしていません。)
著者は、一度、大学院修了時に、それまでの努力、即ち、人生がチャラになっ
た訳ですが・・・これは、「サムライとは、どの道を選んでも坂道ばかりで、
たとえ他人を助けても返って悪く批評される、しかし、これを甘んじて受ける
というのがサムライとしての人生というものかも知れない」と思いました。
あの時の悪魔の誘惑に乗らずによかったと思います。もし、誘惑に乗っていた
ら・・・生活は安定して良き家庭をつくって貯金も出来て毎日が平穏無事であ
ったのでしょう。が、悪魔に魂を売り飛ばした代償は倍返しで償う羽目になっ
たことと思います。
この生き方の基本は今も変わりません。だから今でも傘張り牢人です。これを
生き様が不器用で、大いなる損ととるか、それとも得と取るか、”戦略的”に
はまだまだ”未明”であります。
みなさん、兵法とは、戦略とは、その本質たるや時と間があるようでないよう
です。今回の青臭い話は戦いで勝って、戦争で負けたと見るか・・・あるいは
・・・面白いところでありましょう。戦いを職業とする方々、また、勝負を生
業としたい修行中の方々はケーススタディとして考えてみてください。
しかし・・・「武士は食わねど高楊枝」(言うは易し、行うは難し)ですね。
兵は詭道なりと言えども、詭道が何故詭道になり得るのか・・・そのところを
考えよです。
「う~んんん」と考えたら・・・ここですかさず、
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共に精進しませんか?
(33)スペイン語文法入門―兵法的外国語学習への誘い―(その12)
今回は、名詞の数の続きから始めましょう。今回で名詞を終わります。形容詞
は、次回にしますので、名詞の最後のところを集中しましょう。適宜、今まで
のバックナンバー( http://espania.okigunnji.com/ )を閲覧してください。
・特殊な場合・強勢母音 + -s / -x で終わる場合は、単複同形です。
ex.
el virus los virus(ヴィールス)
la crisis las crisis(危機)
el cli’max los cli’max(絶頂、クライマックス)
el lunes los lunes(月曜日)
el martes los martes(火曜日)
el fe’nix los fe’nix(不死鳥)
・名詞で複数形のみの場合しかないもの(これをpluralia tantum プルラーリ
ア タントゥムと言います)
ex.
las afueras 郊外
las tinieblas 闇
los vi’veres 食糧
los modales 行儀
・双数(dual)の概念を残すとされているもの
ex.
las bragas パンティー
las medias ストッキング
los calcetines ソックス
los calzoncillos トランクス
los pantalones ズボン
los zapatos 靴
los guantes 手袋
los alicates ペンチ
las tenazas やっとこ
las gafas 眼鏡
las tijeras ハサミ
・名詞で単数形のみの場合しかないもの(これをsingularia tantum シング
ラーリア タントゥムと言います)→科学、学術の名称に多い
ex-1.
la mu’sica(音楽)
la lingu”i’stica (ing. linguistics 言語学)
la lo’gica(論理学)
la teologi’a(神学)
ex-2
“-ismo” で終わるもの・ ~主義、~教と訳す。
el cristianismo(キリスト教)
el comunismo(共産主義)
el marxismo(マルクス主義)
el budismo(仏教)
el maquiavelismo(マキアヴェリズム)
ex-3
“方位”
el este(東) [oriental]
el oeste(西) [occidental]
el sur(南)[meridional]
el norte(北)[septentrional]
※[]内は、それぞれ形容詞です: 方位はゲルマン語からの外来語。形容詞は
ラテン語からのものになっています。→ローマ時代のゲルマン人との抗争か
ら。
・複数形を持たないもの
ex.
el de’ficit 欠損
el supera’vit  剰余
el ultima’tum 最後通牒
・単数と複数で意味の異なる場合
単数
el bien 善、幸福
el celo 熱心さ
la corte 宮廷
la letra 文字
複数
los bienes 財産
los celos 嫉妬
las cortes 国会
las letras 文学
・抽象名詞が複数になると具体名詞化する場合
el amor 愛 los amores 情事、浮気
el cielo 天 los cielos 天国(死後)
la curiosidad 好奇心 las curiosodades 骨董品
el di’a 日 los di’as 人生
la expresio’n 表現 las expresiones 宜しくとの伝言
☆自然性と関連しての注意
・男性名詞の複数を用いて、女性をも含めた数を表す。
“los muchachos” = el muchacho + la muchacha
   = los muchachos + la muchacha
  = el muchacho + las muchachas
  = los muchachos + las muchachas
→複数になると自然性を持つものは全て男性形で統一することになります。
ドリル)次の名詞の単数形を複数形にしましょう。(定冠詞と共に)
la estacio’n (駅・季節:複数形になるとアクセント符号が要りません)
el soste’n (ブラジャー:これも複数形にするとアクセント符号が要りま
せん)
el problema (問題)
el sistema (体系、システム)
el ajedrez (チェス:”z”を”c”に書き直して-esをつけましょう)
憶えることが多くてしんどいでしょうが、繰り返し読んでがんばってくださ
い。
これで、名詞の性・数・格のあらましを終えました。復習で充填して行きま
しょう。この名詞のカテゴリーをそのまま頭に残して、次回は”形容詞”に
ついて入って行きましょう。
(つづく)