【第33講】 スペイン語文法入門―兵法的外国語学習への誘い―(その11)

孫子塾副塾長・孫子塾関西支部長
同志社大学/京都外国語大学・スペイン語非常勤講師
米田 富彦
http://espania.okigunnji.com/2008/06/post-1.html
みなさん!是非、孫子塾のサイト『孫子に学ぶ脳力開発と情勢判断の方法』の
中にある兵法問対コーナーの「孫子談義」( http://sonshi.jp/sonnsijyuku.html
を今すぐご覧になってくださいませ!筆者が孫子塾塾長・佐野寿龍先生へ質問
の書き込みをさせていただいております。この質問への回答は、しばらくする
と佐野先生からなされますが、その前に・・・みなさんは毎日クリックして、
質問の内容を自分で考え、自分なりの答えを分析してみてください。
質問内容とは、次のようなものです。『孫子』をタイトルに掲げる書籍は、
大型書店に行くと常に大小合わせて20冊は数えることが可能なのです。が、
何故、それらの書籍を購入しても自分の身にさしたる効果が現れないのか?と
いう疑問についての興味深い質問なのです。

また、色々な自己啓発関係の書籍が販売されていますが、本当は、その結果と
して自分自身の人生が自分の考えるよい方向へ抜本的に変わって行かなければ、
“ウソ”でありましょう。ひょっとすると・・・書籍の方が悪いのか、自分の
頭が悪いのか、それとも両方悪いのか・・・誠に気分の暗くなる選択になります。
多くの『孫子』関係、自己啓発関係の書籍に多いのは、みなさんもここで指摘
されてみれば、改めて感ずるところがあるでしょうが、即ち、それらの書籍と
は、実は、「草食系読者」に向けられているものであるのです。
みなさん!『孫子』などの兵書というのは、実は「肉食系読者」に向けられた
ものであります。著作者も実は、立派な肉食系なのです。”肉食系の御方”
・・・即ち、これのホンモノの方々とは、草食系の人々からは忌避される傾向
があり、差別されたり、結構、人生を回り道している方々です。(実は、自己
啓発の著作者の大半が草食系だったりなんかして・・・)
何故なら、草食系動物は、たとえどんなに喉が渇いていようとも決して肉食系
動物と共には泉の水を飲まないように、その存在を畏怖しているからです。
喉が潤うと同時に餌になる・・・草食系の危機管理からは当然ですが、とにか
く恐怖してしまうのです。
それを肩書きとか雇用関係とかで維持できてきたのが今まででした。今後は空
気も変わってくることでありましょう。裏が表になる時代になって来ています。
草食系が戦国大名とかを語ることは、喫茶店ぐらでしておくのが関の山なので
しょうか。本当の修羅場には決して出なくて良い方法を選択するのが草食系が
草食系たるところでもあります。
みなさん!もうここらへんで自己啓発関係の本を買うのを止めて、無駄なお金
を使わず、また、そのような書籍を読書する時間を節約しませんか?本当の自
分の人生の成功を望むのならば、孫子塾通信講座( http://sonshi.jp/sub10.html
を申し込んで、自分でテキストを読んで考え、レポートを作成して、達観した
分、実生活で行動に反映され、そして利益を獲得した方が、結局、金銭も時間
も回り道のようで近道になり、みなさんの命が”活き”て来ますよ!
(33)スペイン語文法入門―兵法的外国語学習への誘い―(その11)
今回は、先ず、名詞の「格」から始めましょう。とにかく・・・名詞のカテゴ
リー=性・数・格を最初にしっかりと押さえておくと、次に名詞と共に用いら
れたり、用いる名詞の代用をしたりする冠詞、指示詞、(人称)代名詞、形容
詞などが芋づる式にわかりやすくなりますよ!回り道で近道をする=「迂直の
計」なのです!
☆名詞の格について
名詞においては、「格」を表すため、”昔の印欧語”(サンスクリット語、
古典ギリシア語、ラテン語など)に共通して見られた語尾の変化=”曲用”
(declinacio’n デクリナシオーン)が、スペイン語をはじめとする現在のラ
テン語系の言語(ロマンス語)では、なくなりました。今は、曲用の代わりに、
語順とか前置詞がやってくれているのです。
「格とは、何か?」と言えば・・・、いわゆる、日本語の格助詞(いわゆる
“テニヲハ”のこと)に相当する概念になります。即ち、「格」とは、常に名
詞が「文」の中での働き(主語=ハになったり、目的語=ヲになったり・・・)
を表現するものです。
「文」の成り立ちを理解することで、格の仕組みもわかってきます。それは、
文とは、文の主役を担う”主部”と、主部のすることを説明する”述部”の
二つからできています。そして、「格」とは、名詞が主部の中で使われる場合、
また、名詞が述部の中で使われる場合、その名詞が”どのような働き”をして
いるのか...つまり、名詞が文の中でどのような「座標」にあるのか、
どのような「役割」を担っているのか、を示すものなのです。(日本語で簡単
に言ってしまえば、名詞にハ・ガが付くのかヲ・ニ・ノ・デが付くのかという
ことです)
名詞が文の中で主役を果たす場合を「主格」(日本語の格助詞なら~ハ、とか
~ガです)と言い、主役以外の名詞の方を「斜格」(シャカク:日本語の格助
詞なら、~ノ、~ニ、~ヲ、~デ、~カラ...があります)と言います。
この「斜格」とは、元々、ラテン語文法(現在の外国語の文法書は、殆どがこ
れに準拠しています。16世紀にやって来たスペイン人宣教師たちも、その後、
「日本語文法」の本をスペイン語で作成していますが、文法に関する記述は、
ラテン語文法に準拠して展開しています)において、ラテン語文法家が格につ
いて「サイコロ」を以て例えたものなのです。
サイコロの表面を主格としてとらえ、それ以外の底面とか横面は”斜め”とい
う感覚で捉えました。ここから斜めの格(caso oblicuo カーソ オブリークオ)
=斜格といわれるようになりました。
日本語の場合には、名詞そのものの語尾はかわることがありません。そして、
名詞のすぐ後ろにテニヲハをつけます。
 例)カタカナ部が格助詞
 名 詞 +  格助詞     秋ノ夕暮ハ、朱色デ薄化粧ヲしている。
カタカナの部分が格助詞です。それぞれ帰属(ノ)、主語(ハ)、道具・手段
(デ)、目的語(ヲ)を表しています。このカタカナの部分を変えてしまうと
他の文になってしまったり、あるいは意味不明の文(秋デ夕暮ヲ、朱色ハ薄化
粧ノしている=?)になってしまいます。
多数の方々が外国語の長文を読んで行く時に意味が分からなくなってしまうの
は、出てくる単語を逐語で以て日本語の意味を確認して行くからです。
それも必要ですが、日本語の文=和訳をしているのですから、この日本語の格
助詞に合った解読を進めているのかどうなのか・・・これを確認すると結構
日本語にしやすくなるものです。
また、日本語のように格助詞を名詞にひっつけることを「膠着(コウチャク)
させる」といい「ウラル・アルタイ語」的な性格(トルコ語等といっしょ)を
見せています。しかし、日本語の系統は、一般的には朝鮮語などと親近性が
言われたりはするものの、学術的には現在もなお不明とされています。
印欧語の場合は、本来、名詞が格によって語尾変化する「曲用」といわれる
ものがありました。ラテン語の例を見てみましょう:
HOMO HOMINI LUPUS EST.(ホモ ホミニ ルプス エスト)
という文の中で、”HOMO”は、「人間ハ(主格)」、”HOMINI”は、「人間ニ
(与格)」という意味です。”HOM-“(人)という名詞は、格(文の中で主語
なのかそうでないのか)で語形が一つづつ違いますね。これが曲用です。
この文は、一見、聞いただけでは、「ホモのおっさんが何かするのか?」とい
う印象を受けますが、それは違います。きちんとした意味は、「人間は、人間
にとって、狼(LUPUS)である(EST)」という意味になります。人は、人にと
って狼なのです。天災、地災何を怖れることやあろうやですね。
(しかし、本当に恐るるべきは他人ではなく、己の中で嵐や地震を引き起こし、
勝手に暴れまくる”私心”であり、私心に妥協したり、負けたりするような勝
負時にこそ自ら目覚めて勝たねばなりません!)
しかし・・・、現代の印欧語系の言語は、語順を確定させ、前置詞を使って
「格」を表現しています。この格について正しく認識することが外国語の文献
の解読に役立つのです。国語の古典の時間で習った「漢文」の”返り点”は、
語順の問題ですし、”送り仮名”は、動詞の時制などとこの名詞の格のことを
正しく認識する問題でもあります。
☆格の種類について
「格」の代表的なものを列挙しました。スペイン語では、以下の中でも4種類く
らいが出て来ます。スペイン語の母体であったラテン語は、6種類の格があり
ました。現代の言語では、ドイツ語では4種類が、ロシア語では6種類が有名
です。が、さらに格の種類を多く有する言語もあります。
主 格:nominativo(ノミナティーボ) ~ハ、~ガ
    文の主役=主語になる場合。
    位置→文の左端、もしくは活用している動詞のすぐ後ろ(倒置構文)。
斜 格:caso oblicuo(カーソ オブリークオ)
    主語にならない場合の格の総称です。
    位置→活用している動詞の右側、前置詞の後ろ。
以下の種類があります。
・属 格:genitivo(ヘニティーボ) ~ノ 
帰属/所有を表す。人称代名詞の場合、所有格という名称。
・与 格:dativo(ダティーボ) ~ニ 
別名、間接目的格
・対 格:acusativo(アクサティーボ)~ヲ
別名、直接目的格。他動詞と共に用いられます。
・具 格:instrumental(インストルゥメンタール)~デ
道具・手段を表します。
・奪 格:ablativo(アブラティーボ)~カラ
ある地点からの分離を表します。
・所 格:locativo(ロカティーボ)~ノトコロデ
位格や場所を表します。
・呼 格:vocativo(ボカティーボ)~ヨ
人に対して呼びかけを表します。
今日では、スペイン語をはじめとして、ロマンス諸語においても「格」は、
リストラ=合理化・簡略省略化され、その働きを語順や前置詞にとって変わら
れました。この故に、その言語なりの「文型」が確定してゆくことになるので
す。これを最も厳しく整理しているのは英語(5文型)であることは前回、
学んだところです。
この「格」の名残ですが、皆さんがお馴染みの英語では、that/than
やwho/whose/whom等の語形、他には、人称代名詞でI,my,
me,mine等を習っています。が、これらは、昔、格で語形を変えていた
時の名残です。スペイン語でも格で語形が違うのは英語と同じく”人称代名詞”
だけになっています。
☆名詞の数について
では、次に数について見て行きましょう。
名詞の数の概念は、印欧語の持っている特徴として考えられています。「数」
とは、「性」と「格」に加えて名詞の重要な文法上の決まりごと=名詞のカテ
ゴリーの一つです。
スペイン語の名詞には、常に「性」と「数」の概念があります。両者とも日本
語の名詞には見当たらない「カテゴリー」です。スペイン語等の印欧語は、
常に名詞に関して単数/複数を尋ねる習慣があります。要するに数の概念とは、
「単数と非単数の対立」のことなのです。
「数」は、単数と複数に分けられますが、昔は双数、三数とかいった二コの時
だけ...三コの時だけ...という「特別の複数形?」の作り方がありまし
た。しかし、現在では双数、三数とかは、すたれてしまい、二つで一つのもの、
即ち、”ハサミ(scissors)”のように常に二つで一対をなしている名詞にその
名残がある・・・といわれています。
スペイン語では英語と同じく、「単数」と「複数」の概念があります。また、
この単数/複数という「数」の概念は、全ての印欧語において名詞(単数/複
数)と動詞(誰が?=行為者=”人称”の単数/複数で活用が異なる)の基本
的な概念になっています。
☆スペイン語名詞の複数について
では、ここからスペイン語名詞の単数/複数は、どのようになっているのか?
を見て行きましょう。
※ここから、もうカタカナの読み方はつけないことにします。読み方を忘れた
ら、バックナンバーを見て確認してください。
ア)母音で終わるものには単数形の語尾に-s を添加する。
イ)子音で終わるものには単数形の語尾に-es を添加する。
複数のパターン:単語の終わり方に注意
・A型・無強勢母音、または、アクセント付き母音-a’,-e’、-n,-sで終わる場合
ex.
la casa → las casas(家)
el sofa’・ → los sofa’s (ソファー)
el hombre → los hombres(男)
el cafe’ → los cafe’s (コーヒー)
el tigre→ los tigres(虎)
・B型・子音(”y”で終わる単語を含む)で終わる場合
ex.
la pared → las paredes(壁)
 el papel → los papeles(紙)
 la tempestad → las tempestades(嵐)
la estacio’n → las estaciones(駅、季節:複数になるとアクセント
符号無し)
el a’rbol → los a’rboles(木)
 el rey  → los reyes(国王。複数は国王夫妻の意味)
・C型・アクセント付き母音-i’,-u’で終わる場合
ex.
el esqui’ → los esqui’es (スキー。複数は、スキー板)
 el tabu’ → los tabu’es(タブー)
・D型・ -c, -z で終わる場合: 綴字の規則=正字法上の規則といいます。
※特に、-ze、–ziの綴りは、スペイン語では避けます。代わりに、-ce、–ci
になりますので注意しておいてください。
ex.
la idiotez 愚かさ → las idioteces 原音である th 音を保存。
la vez 回数 → las veces 原音である th 音を保存。
el frac 燕尾服 → los fraques 原音である k 音を保存。
ドリル-1)
次の曜日(全て男性名詞です)を憶え、土曜日と日曜日の複数形を作りましょ
う。月曜日から金曜日までは”単複同形”(英語と違っています!)なので、
定冠詞のところだけを複数(los)にしましょう。
※英語の曜日は北欧神話(ゲルマン系)の神名より。スペイン語は、ローマ神
話(ラテン系)の神名より由来していますが、神々の果たす機能は一致してい
ます。詳しくは、バックナンバー(http://espania.okigunnji.com/2009/02/post-16.html)をご覧下さい。
例:英語:Friday(フレイヤより)
スペイン語:viernes(ウェーヌスより)
el lunes (月曜日)
el martes (火曜日)
el mie’rcoles (水曜日)
el jueves (木曜日)
el vierne (金曜日)
el sa’bado (土曜日)
el domingo (日曜日)
ドリル-2)
スペイン語の疑問文は文の前後を疑問符号で囲みます。また、「疑問詞」を
使う場合には、文の末尾を必ず下げ気味にして発音してください(英語でも
同じです)。もし、末尾を上げてたずねると、疑問詞+疑問のイントネーショ
ンなので、かなり尋問気味というか、疑惑を決めつけたような言い方になり、
相手に対し失礼にあたる場合があります。(実際に尋問するなら、これを逆用
すればよいのです。)
例文
 ?Que’ di’a es hoy? (ケー ディーア エス オーイ)
  今日は、何曜日ですか。
※que’ 何、di’a 日(男性・単数)、es ~である(動詞)、
 hoy 今日(男性・単数)
 Hoy es jueves. (オーイ エス フエーベス)
  今日は、木曜日です。
練習→各自で「今日は何曜日ですか?」のスペイン語文を発音し、続いて、
月曜日から順番に「今日は、~曜日です」と答える練習をしてみましょう。
何度も発音してください。
次回をお楽しみに!
(つづく)