「軍事図書情報の環境を変えよう」について思う事

神田神保町に・・堂という軍事専門の古書店がある。

高校から大学時代には、頻繁に訪れた。
私が入手した稀覯本の多くがこの店にあったものだ。
アレン・ダレスの「諜報の技術」などもこの店で震える手で、
その高価さから、清水の舞台から飛び降りる思いで買い求めた。
あれから四半世紀、その店を訪れる事はなかなか無くなったが、
昨年訪れた際には、正直愕然とさせられた。
まず、本が溢れている、良くない意味でだ。
素人目に見て、入りと出のバランスが崩れている事が解る。
次に値崩れが起きている。
私がこの店で入手した、四半世紀前の稀覯本が、床から平積みにされている。
手に取れば、私が四半世紀前に購入した金額の数分の一だ。
それは価値が薄れたのではなく、恐らくは持ち主の逝去でもって、
流通量が増えたのだ。
大学教授などを中心に、蔵書を図書館に寄贈する場合もある様だが、
基本的には本人の逝去によって、家族が個人のコレクションに造詣がない限り、
蔵書文化がなく、家屋寿命の短い近代の日本では、どんなに貴重な蔵書も、
散財されて、散在となる運命にある。
大宅壮一文庫の集合住宅の様なものがあれば良いと思うが、
これも欧米の様に寄付文化と税制があれば可能だろうか。
何れにしろ、この様な状況に至らしめているのは、
日本の「公情報資源管理哲学」の欠如である。
最近やっと、この事実が認識される様になって、
アーガイブ文化やアーキビストの養成も話題になったりしているが、
様々な挑戦は悉く私の知る限り、失敗したり尻切れトンボになっている。
「公情報資源管理哲学」が無いからだ。
そこで気になるのが、先日初会合が開かれた、
「公文書管理の在り方等に関する有識者会議」の行方だ。
この会議の答申が、本棚整理法程度の内容になるのではないかと危惧している。
日本の公文書管理は、欧米や近隣の中国、韓国などからも遙かに遅れている。
更に言えば、その基準は信じがたい事に存在しないと言っても過言でない。
政府が公文書管理の新法を目指すのは、遅ればせながら良いニュースだ。
しかし、その「目的」(報道筋)は、最も肝心で大切なものが抜けているが故
に間違っている。
「公文書の作成から管理・保管まで一貫した手続き」を定め
「公文書を誤って廃棄・紛失するのを防ぐ」ではなく、
「公文書を行政情報資源と捉え、その作成様態・管理・再利用までの基準」を
定め、
「公文書の電子形態一元化によって、より公業務生産性の高い先進政府を目指
す」
となるべきだ。
実はこの事を行えていない先進国は、日本だけだ。
勿論この事を、日本の官僚は知っているはずだ。。
これを行えなければ民間から10年以上遅れるている
政府イントラネットなど絵空事だ。
昨年、ある日米情報セキュリティー関連のセミナー(小池防衛相も登壇)で、
ある省から参加した官僚は、
「我が省は、XML対応を完了した。米国の情報要求に耐えられるのは我々だけ」
と豪語していた。これは事実だ。この省が電子化にいち早く取り組んだからだ。
社会保険庁の遅態は、日本の行政の非効率・低生産性の象徴だ。
これは日本政府の正統性に拘わる程の危機だ。
21世紀対応可能な行政府が構築出来るか否かは、この5年で決まってしまう
だろう。
これに失敗すれば最早、まともな若者は行政に係わった仕事をしようなどと、
考えない。
そこは正にお化け屋敷になってしまうからだ。
(高橋光男)
参考
アメリカ連邦政府における情報資源管理政策-その様態と変容-
 関西大学出版部
巨大政府機関の変貌-初の民間出身者が挑んだアメリカ税務行政改革-
(財)大蔵財務協会
⇒おたよりありがとうございます。
先日不動産屋さんが、「ブロードバンドが使えるかどうかが部屋探しのポイン
トになってきている」と言ってました。
ブロードバンド環境のない安いホテルでなく、少し高くても、そういう環境が
整っているホテルを選ぶ人も多いです。
これからは、生まれたときから家にPCがある人ばかりになります。
上で紹介したような人ばかりになってゆくことでしょう。
職場のデジタル環境が劣悪。これは就職先として忌避する正当な理由になる
でしょうね。
主要なメディアは現在RSSを配信しています。ブログのほぼすべてがそうです。
RSSでも使われているのがXML形式です。すでに素人レベルのインフラになって
ます。米軍もRSS配信しているところが多いですよね。(というか知る限りす
べての主要サイトはしています)
また、古本屋の状況は、ご指摘の通り急激に悪い方向に変ってますね。
「情報情報」とかみつばしく言われる割には、その根幹をなす書籍の扱いが
あまりに粗略に過ぎると感じられてなりません。
これをお読みの方で、始末に困っている軍事系書籍があればご連絡ください。
(エンリケ)
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■軍事図書情報の環境を変えよう
<わが国の軍事図書情報の総合環境を、すこしでも改善するために、
広く皆様のお知恵をあつめたいものと念じております。>
(兵頭二十八さん)
⇒あなたのお知恵を、ぜひお寄せください。(エンリケ)

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