中国の”Show the Flag” – 日本列島波高し(5)

尖閣諸島付近を航行する中共海軍艦艇 総選挙は自民党大勝のうちに終わりましたが、どの政党も郵政、年金や個人攻撃ばかりで、国益、安全保障、国の将来についての論議はスッポリと抜けていました。
さて、国内が選挙に目を奪われているスキに、東シナ海のガス井付近では中国海軍の艦艇が徘徊し始めました。ガス井が武力で脅かされる気配など皆無であるにも関わらず、ドサクサに紛れたようなこの行為。日中の利害の錯綜するこの海域における典型的な“Show the Flag”ですね。今回はこの問題について考えてみました。
1.石油資源逼迫の予感
 最近の石油の値上がりは凄まじいものがありますね。一昨年秋の約30ドルから倍以上の値上がりです。様々な事情のあるとはいえ、根本の原因は中国のエネルギーのドカ喰いにあるでしょう。この高値は当分続くという見方が大勢です。かつて1970年代の二度のオイルショックで我が国の省エネは相当に進みましたが、石油依存がなくならない以上、今回の問題は今後我が国にも大きくのしかかって来るでしょう。でも省エネの進んでいない中国の方がより影響大でしょうね。
2.歴史は繰り返すか?
 日米開戦の直接原因は、米国の禁輸による石油の欠乏を補うため、我が国が蘭領インドシナに進出したことにあります。これは、前後の事情や大義名分はあるにせよ、有り体に言えば強盗行為でしたね。腕力に多少自信のある国が兵糧攻めにあえば、今も昔もやることは同じようなものです。
 今は未だ値上がりだけですが、世界人口の2割を占める13億の民が年率2桁の経済成長を遂げれば、いずれは量的不足が起きるでしょう。禁輸など無くても、中国が国内需要の逼迫と云う意味でかつての日本と同じようなアセリを感じることは容易に想像できます。その先にあるのは資源の争奪ですね。
この意味で、中国艦艇の昨今の東シナ海活動の活発化にジワ~とした意図を感じるのは私だけでしょうか。
3.挑発に乗せられぬためにこそ断固として・・・
 過去の紛争の歴史では先に手を出した方が悪役にされ、その後に起きる事件を含めて全ての原因を被せられることが多いですね。特にプロパガンダの発達した近代以降はそうです。でも、明治以来の日本はこのことに比較的無頓着で、日清、日露、日米の各開戦は全て日本海軍の奇襲から始まりました。前の二つの戦争は幸いにも勝ったので問題になりませんでしたが、真珠湾の件は今も重く尾を引いています。
(ちょっと道草:あれは米国の罠でしたね。米国は開戦の罠の常習犯。民主主義国では民意に火を付ける必要があるのでやむを得ぬ面もあるでしょうが、我が国もこの狡猾さを学ぶ必要がありそうです。)
 今回の中国艦艇の徘徊に対して、我が国は適切に対応しなければなりません。このようなとき、宥和的態度や毅然としない不拡大方針は往々にして相手の増長行動を誘発して徐々に追いつめられ、挙げ句の果てに「窮鼠反って猫を食む」の類で先に手を出すことになりかねません。弱者のしばしば陥る悲劇です。
心理的圧力にはむしろ強気で積極的に対応することが、現実の事件に発展することを未然に防ぎますね。スウェーデンが2世紀に渡って武装中立を保っているのも、フィンランドが大国ロシアの横暴に耐えて辛うじて独立を保ってきたのも、この「積極的初期消火精神」があったためのように思えます。
4.核保有国に対する対応
 今後、軍事力を背景にしたような中国の行動がより顕在化し、他国と深刻な利害の対立が生じたとき、否応なく核兵器のことが相手国民の頭をよぎります。たとえ核保有国側に核の恫喝の表明は無くとも、相手が言外にその恐怖を感じることは否めないでしょう。昔は海という天然の堀がありました。歴代の中華帝国に対して我が国が独立を守れた所以です。しかし核兵器とロケットの時代には、もはや意味がありません。
 日本は米国の核の傘に入っている、と云われています。しかし、本当にそんなものが現実の役に立つでしょうか?お互いに破壊能力のある核保有国が“第三国のために”相手を核攻撃で報復するような約束など「お伽噺」です。例え大統領でも自国民のためにそんなリスクを冒せるわけがありません。核保有国に対してシリアスな利害の解決を真に対等の立場で要求するには「相互確証破壊能力の保有」しか手段がない、と私は思います。
5.平和ボケの今は未だ・・・
 インドはその潜在能力にも係わらず長い間国際社会で軽視されてきました。昨今BRICsとして無視できない存在になったのは、やはり核武装によるものが大きいですね。核の出現以来「核保有国が核保有国と戦った例はない」とも言われています。一方、日本の核武装は国際社会でしばしば話題になるにもかかわらず、我が国の政治家ではまだ石原都知事や民主党の西村代議士ぐらいしかその必要性を公言していません。被爆国としてのタブーから触れることを避けている人達ばかりです。
 しかし今後、膨張する中国と我が国の利害が交叉したとき、中国の要求に膝を屈するか、それとも核武装するか、国民の判断を求められる日が来るのはそんなに遠くないのではないでしょうか。海底資源に関する中国の今のような強硬姿勢や示威行動が続けば、「核武装による相互確証破壊能力の保有こそ真の安全保障」という冷戦で実証された意見が、そう遠くない将来に沸き起こるに違いない、と言う気がしています。
 昔、著名な某自衛隊OBが「独自に核爆弾を造るなら二年は掛かるだろう」と言いましたが、一説では「決心すれば2週間で造れる」という話もあるとか。日本を挑発すれば核武装に追いやることになる、と中国は気付いているでしょうか?
以上、ヨーソロの管見でした。

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