日本が原子力潜水艦を保有することの意義
中共の企図している台湾侵攻の戦火は、必ず先島諸島から我国全体に及ぶでしょう。
それを阻止できるか、否か、はまさに「バトル・オブ・ブリテン」の先例にあるとおり、彼我の航空優勢の如何にかかっています。侵攻側戦闘機は往復航程分だけ戦場滞空時間が少なく、防御側に比べてハンデがあります。
しかし、中共は空母保有でそのハンデを克服しようとしています。
それに効果的に対抗できるのは原潜です。
かつてフォークランド紛争では、英原潜「コンカラー」がアルゼンチン巡洋艦「ヘネラル・ベルグラノ」を撃沈したことで、英国側の最も警戒した空母「ベインティシンコ・デ・マヨ」が出撃することは遂にありませんでした。
ことほど左様に原潜の存在は効果的です。
実は、1980年代の半ばに米海軍から海上自衛隊に対して「原潜が要るならば提供する用意がある」と申し入れてきましたが、事務レベルから上に上げることなく断ったことがありました。政治問題化を嫌ったことと、他の予算を圧迫することがその理由でした。
当時はソ連全盛時代末期で、米国も真剣に対峙してくれていたので、この判断は妥当だったかもしれません。(個人的には残念に思いましたが…)
でも21世紀の今では、米国は中共に対してすっかり宥和的になってしまいました。核兵器を持つ中共に対して、我国はおそらく独自に対処しなくてはなりません。
核兵器以外で最も効果的な侵攻抑止戦力は原潜です。例え核魚雷や核ミサイルを積んでいなくても効き目があります。
原潜自体は大量破壊兵器ではありませんし、核拡散防止条約にも抵触しません。
非核三原則(個人的には大反対ですが)にも触れません。
しかもその抑止能力は在来型潜水艦の比ではありません。
原潜と電池潜水艦の差異は、固定翼機とヘリの違いと同様で、それぞれに捨て難い特徴がありますが、期待される役割が異なります。
いまこそ、我国は原潜の保有を真剣に考えるべきだと思います。
(読者)