兵頭二十八:「兵頭二十八の防衛白書2016 」
軍事評論家として兵頭二十八さんは異色の存在です。
どこが異色かといえば、
発想と着眼点のユニークさ、そして面白いストーリ作りができる点で、
他とは一線を画しているという点でです。
ひとことでいえば、
軍事事情を語ることのできる人なんです。
軍事事情を説明したり、解説したりできる人はたくさんいますが、
語ることができる人はほとんどいません。
理由は、そのためには軍事全般にわたる視野とともに細かい知識を
つかんでおく必要があるからで、ある分野の専門家というだけで
軍事事情は語れないからなんですね。
兵頭さんの出版物は、すべて軍事事情を語っています。
だから面白くて役に立つんですね。
ファンが多いのも納得できます。
また忘れてはいけないのは、
ご自身が任期制隊員として陸自にいた経験です。
最近になって、より幅の広い作品が出てくるようになったことは
非常にうれしいです。
さて兵頭さんの作品については、
メルマガでもツイッターでもいろいろな形で
紹介していますが、今回ご紹介するのは、
兵頭さんの着眼点から世界の軍事事情を捉えた作品。
「兵頭二十八の防衛白書2016」です。
2014年から刊行が始まったこのシリーズは
今回で3回目の発行となりました。
現時点で
名前のとおり、世界の軍事事情を兵頭さんの目で
捉えてまとめた内容で、
ロシア、中東、アフリカ、オセアニア・南シナ海・南西太平洋、
インド・パキスタン、中共・台湾、米国、朝鮮半島、日本
という章立てになっています。
読んでほしいのは、「細かい知識」です。
真実は細部に宿るといわれますが、一般人にとって一番むつかしいのが
この点です。
日常生活の中では埋もれてしまうような、つい見過ごしてしまう
兵器や装備、歴史・政治の細部知識が実に読みやすいストーリー仕立て
で記されています。
だから読むだけで事情がスッと分かるんですね。
たとえば270pの「きっちり仕事しているマケインとGAO」とか
222pの「ベンガル湾の角遂」、77pの「「シリア三分の計」+「イラク三分の計」」
など、著者独自の着眼点がとらえた状況を細部知識を通じて面白く語る
醍醐味を存分に味わってください。
2017年版の発刊も楽しみです。
汲めども尽きぬ兵頭さんの知恵を、
この本を通じて手にしてください。
兵頭二十八の防衛白書2016
兵頭 二十八 (著)
2016/8/23発行
http://amzn.to/2kRS6sD