オススメ本:『「日露陸戦国際法論」を読み解く ─武力紛争法の研究─』 佐藤庫八
こんにちは、エンリケです。
大東亜戦争が終わったのは昭和20年9月2日ですが、
戦後日本国内では、停戦のご詔勅が出た昭和20年8月15日を、
戦争が終わった日と認識させられています。これも戦争の大惨禍
を招いたのは日本人ですと日本人に思いこませるためのひとつの
プロパガンダといえましょう。
こういう洗脳から覚めるために何が必要かと問われても、
ひとことではいえません。
・きちんとした戦史を読んで歴史の流れを正確に把握する
・きちんとした軍事啓蒙書を読んで、軍事常識をわきまえる
・・・
ただこれまでの戦後日本でひとつだけ決定的に欠けていた分野があります。
それが法律分野における国防啓蒙です。
とくに軍事と国際法は不可分一体なのですが、なぜかわが国では、
一般国民に対する国際法啓蒙が全く行われていなかったといえます。
いってみれば、一般国民と防衛・軍事・国防をつなぐ道で唯一存在しなかった
「法の分野における軍事国防啓蒙」の穴を破る本が遂に出たことを、
あなたはご存知でしょうか?
明治の軍人は、文明国軍隊の軍人として国際法にのっとり正々堂々と
戦ってきました。本書は、その戦いぶりを広く欧米社会に知らしめる
ため刊行された『日露陸戦国際法論』(著者は満洲軍の国際法顧問、
陸軍大学校教官有賀長雄博士)を要約・解説したものです。
『日露陸戦国際法論』のなかでもとくに現代戦に適用可能な部分を
抜粋しています。
本書により、敵が白旗を掲げた場合の対応、降伏勧告の要領等々、
戦闘中に生起する諸問題とその解決法を学ぶことができます。
有賀博士は、帝国陸軍が文明国の軍隊の一員として国際法を守って
いかに戦ったかを国際社会に説明する必要性があるとの思いから、
まずフランス語で刊行し、その後に日本語版を出版しました。
『日露陸戦国際法論』はいまなお「武力法制法」の名著として
知られており、著者である佐藤氏も「陸上自衛隊幹部学校の教官当時、
私のバイブルでした」と高く評価しています。
本著は『日露陸戦国際法論』を要約・解説したものですが、
とくに現代戦に適用可能な部分を抜粋してあります。敵が掲示した
白旗への対応、降伏してきた敵兵の取扱い、残置された傷病兵の
保護、後送、遺体の処理、軍使が派遣された場合の対応、
降伏勧告の要領、部隊単位で降伏してきた敵部隊の武装解除・捕虜
手続・捕虜収容所への後送、捕虜収容所における管理、休戦手続き
の要領等々、現代戦においても適用可能な武力紛争法上の諸問題
を戦例をもとに解説しています。
さらに各章の最後に「まとめ」として、現代の視点から重要項目の
解説が付されています。陸上自衛隊の法務課法規班に長く勤務し、
有事関連法制の整備にも携わった著者が「武力紛争法」の基本知識
をわかりやすく解説しています。
著者の佐藤庫八さんは、1969年自衛隊入隊以来2015年に
退官するまで、長きにわたって法務領域に従事した、
まさに自衛隊法規の生き字引といってよい存在です。この本が
初の著書となります。
■著者略歴
佐藤庫八(さとう・くらはち)
1950年長崎県生まれ。元陸上自衛隊幹部学校防衛法制教官。
中央大学(法学部)卒業後、1976年陸上自衛隊に入隊。
94年から2005年まで陸上自衛隊陸上幕僚監部法務課法規班
(02年から05年まで法規班長)に所属し法務領域に従事。
有事関連法制等の整備に携わる。2006年2月定年退官。
その後、再任用自衛官として任用され幹部学校教官として
2015年2月まで勤務し再退官。
現在、学校法人加計学園千葉科学大学危機管理学部教授。防衛法学会理事。
『「日露陸戦国際法論」を読み解く ─武力紛争法の研究─』
佐藤庫八
A5判/300ページ
定価2500円+税
ではさっそく、実際の武力紛争法(国際法)のエキスがつかめる
入門書の中身を見ていきましょう。
■目 次
はじめに 1
第一章 日露陸戦国際法論 11
1、『日露陸戦国際法論』発刊の経緯 11
2、『日露陸戦国際法論』の構成 12
3、有賀長雄について 13
4、フランス語版『日露陸戦国際法論』の発刊 15
5、フォーシル博士の序文 16
6、日本語版発行上の着意事項 19
[凡例] 19
第一章のまとめ 30
■戦争は法律家にとって優秀な学校である 20
■日本陸軍は報告・記録を重視していた 21
第二章 日本軍と国際法 23
一、国際法の遵守施策 23
(1)戦争の法規慣例に関する国際条約への加盟 23
(2)陸軍・海軍大学校における国際法講座の開設 24
(3)陸海軍省への国際法専門家の配置 24
(4)開戦の詔勅に国際法遵守を明示 25
(5)各軍への国際法専門家の配置 25
二、開戦とその直接の効果 27
(1)開戦の原因 27
(2)中立国に送付した開戦説明書 29
(3)宣戦布告をしない開戦 31
(4)開戦の時刻─明治三七年二月六日 35
(5)外交官の召還 37
(6)京城の露国公使 38
(7)敵国民の取扱い 40
(8)在留日本国民の保護 42
第二章のまとめ 45
■自衛官は国際法規・慣例に通暁し遵守せよ 45
■陸軍大学校における国際法の教育 47
■戦いの法規の原則は不変である 49
■開戦宣言と「武力の行使」 51
■敵国民の取扱い 52
第三章 戦闘地域 55
一、戦闘地域の複雑な性格 55
二、開戦当初における韓国の法律上の地位 56
(1)韓国の法律上の地位に関する議論 56
(2)有賀博士の意見 58
(3)考察 61
三、三七年二月二三日以降の韓国の法律上の地位 65
(1)議定書の締結 65
(2)議定書の効果 66
(3)保護権の性格 67
(4)保護権の強化 68
四、清国の地位 69
(1)日清両国間の外交交渉 69
(2)考察 73
五、満洲の法律上の地位 74
(1)清国の主権の保持 74
(2)交戦軍隊の権利 75
(3)満洲における日本軍の行動 76
(4)満洲軍政委員の活動 77
(4)関東州の法律上の地位 78
第三章のまとめ 80
■日本は事前に中立国の合意をとりつけた 80
第四章 交戦者および非交戦者 82
一、交戦者 82
(1)交戦者の資格制定の理由 82
(2)交戦者の資格 84
二、補助輸卒 85
(1)補助輸卒の制度 85
(2)補助輸卒の評価 87
三、日本軍の義勇兵団 89
(1)韓国安州の兵站司令部の戦闘 90
(2)第十二師団の兵站司令部の戦闘 91
(3)ミスチェンコ騎兵集団との戦闘 92
四、露国の義勇兵団 89
五、陸戦規則第二条の価値 96
(1)国際社会の対応 96
(2)日本の対応 98
第四章のまとめ 99
■戦闘員と一般住民を区分する目的 99
■戦闘員、非戦闘員、一般住民の違いは 100
第五章 衛生部員及び衛生機関 102
一、露国逃走列車と赤十字旗 102
二、露国衛生委員の範囲不確定 104
三、露国看護婦エカテリナ・カロリ 111
四、敵騎兵の我が野戦病院に対する不法襲撃 113
5、日本の衛生部員の戦闘への参加 115
第五章のまとめ 118
■人道的観点に立って行動することの大事さ 118
■衛生部員及び衛生施設の重要性 119
■衛生部員の正当防衛 119
第六章 害敵手段 120
一、害敵手段の制限に関する経緯 120
(1)サンクト・ペテルブルグ宣言(一八六八年) 120
(2)ブラッセル宣言(一八七四年) 122
(3)ハーグ平和会議における三宣言(一八九九年) 123
(4)陸戦の法規慣例に関する条約、同附属書(一八九九年) 124
二、ダムダム弾の使用禁止 125
(1)ダムダム弾 125
(2)ダムダム弾の使用 126
三、不必要な苦痛と日露両軍の小銃弾 128
(1)日本軍小銃弾の利点 129
(2)日本軍小銃弾の欠点 130
四、赤十字旗、白旗及び国旗の濫用 131
(1)日本国旗と赤十字旗の識別 131
(2)露軍の赤十字旗等の濫用 132
五、制服の使用 133
第六章のまとめ 135
■陸戦規則の禁止行為七項目を実践させる 135
■陸戦規則の「背信と助命」 136
■今なお有効な一九〇七年改正の「陸戦規則」 137
■規則は運用するのは人である 137
第七章 旅順の攻囲と砲撃 139
一、旅順攻囲作戦の準備 139
(1)住民に対する避難指示 139
(2)露軍が降伏した場合の措置 141
二、聖旨伝達及び開城勧告 143
(1)明治天皇の勅命 143
(2)軍使の派遣及び露軍の回答 144
三、旅順における外国従軍武官 145
四、旅順市街への攻撃及び病院保護に関する交渉 147
(1)経緯 147
(2)二〇三高地占領以前の状況 149
(3)二〇三高地占領後の状況 150
(4)評価 152
五、遺体収容のための戦闘休止 153
第七章のまとめ 156
■降伏勧告及び戦闘弱者の保護 156
■白旗の使用 157
■遺体の捜索と収容 157
第八章 旅順開城 159
一、旅順開城交渉及び開城規約の締結 159
(1)ステッセル将軍からの交渉の要請 159
(2)交渉の開始 160
(3)規約正本の作成 165
(4)旅順口開城規約の締結 166
(5)晩餐会での談話 168
二、開城規約の評価 169
(1)開城規約案の作成時期 170
(2)規約の効力(第一一条関連) 170
(3)俘虜及び宣誓解放(第一条、第七条関連) 171
(4)露軍の軍事物資等の取扱い(第四条関連) 172
(5)一般住民の管理(第五条関連) 172
(6)帯剣(第七条関連) 172
(7)衛生部員及び経理部員(第九条関連) 174
(8)旅順の行政事務(第一〇条、附録関連) 174
(9)将校の従卒の処置(第七条関連) 176
三、開城手続き及び処理 176
(1)ステッセル将軍の処遇 176
(2)規約に基づく開城手続・処理 177
四、開城以後における傷病者の取扱い 183
(1)露軍の傷病者の状況 183
(2)日本軍の救護準備 184
(3)日本軍の救護の実施 186
第八章のまとめ 191
■事前に準備された降伏規約 191
■降伏に関する陸戦規則 191
第九章 樺太占領 193
一、樺太南部の占領 193
二、樺太南部露国住民の還送 197
三、樺太北部の占領 203
四、樺太北部の還付に関する交渉 208
第八章のまとめ 211
■南樺太及び北方四島の領有権 211
■理想的な戦いで樺太占領 212
第十章 俘虜の取扱い 213
一、俘虜に関する諸規則 213
(1)陸軍俘虜取扱規則 213
(2)俘虜情報局、同事務取扱規定 214
(3)その他の規則 215
二、いかにして俘虜となるか 216
三、俘虜心得書の配布 219
四、俘虜整理委員 222
五、野戦軍における俘虜の取扱い 223
六、宣誓解放 224
七、日本国内における俘虜待遇 225
八、露国の日本軍俘虜に対する待遇 227
(1)俘虜取扱規則に関する報道 227
(2)矢野法学士の経験談 228
(3)国際法上検討すべき事項 229
第十章のまとめ 232
■称賛された日本軍の捕虜の取扱い 232
■戦争終末段階での適切な処理 233
第十一章 傷者及び病者の救護 234
一、日本軍の野戦衛生体制 234
(1)従軍外国軍隊軍医の評価 234
(2)傷病者の救護状況 236
二、戦場における露軍の傷病者救護 236
三、傷病者虐待に関する相互の論告 239
(1)露軍の虐待行為 239
(2)露国の世論誘導に対する日本(軍)の対応 240
四、露軍主要幹部の陸戦法規違反 243
第十一章のまとめ 245
■露兵にも分け隔てなく医療行為を実施 245
■戦場で求められる博愛の心 246
第十二章 死者の保護と戦場掃除 247
一、原則及び規則 247
二、死者の保護 251
三、死者の埋葬 253
第十二章のまとめ 258
■広範多岐に及ぶ死者の取扱い 258
■他国に先駆けて死者の取扱いを規則として制定 259
第十三章 軍律及び軍事裁判 260
一、日露戦争における軍律の状態 260
二、軍律の内容 263
三、軍律法廷及びその裁判手続き 265
四、連座罰及び告発者の褒賞 268
五、陸戦規則の間諜の意義 269
六、清国官吏の軍中反逆 275
七、天長節における特赦 278
第十三章のまとめ 279
■軍律及び軍律裁判の目的 279
■陸軍毛法に規定されいる十一の罪 280
第十四章 休戦及び講和の交渉 281
一、満洲軍の休戦交渉 281
(1)休戦条款の締結 281
(2)満洲軍の交渉手続 282
(3)満洲軍の交渉 284
(4)休戦条款及び議定書の解釈 286
二、ポーツマス条約 289
(1)条約の概要 289
(2)条約の論点 291
第十四章のまとめ 294
■重要な交渉場所の選定 294
■条約遵守の原則 295
あとがき 296
『「日露陸戦国際法論」を読み解く ─武力紛争法の研究─』
佐藤庫八
A5判/300ページ
定価2500円+税
戦争は政治の一部である以上、始まりと終わりが法的に定められています。
戦争がいつ始まっていつ終わったか、戦場では何をしなければ
いけないか?戦場のルールはどういうものか?といったことは、
戦争のルール=国際法に基づいて決まるのです。国際法がわからないと、
戦争がいつ始まっていつ終わったかがわからず、プロパガンダに
引っかかり無意識のうちに敵にとって有利な人間に改造させられます。
とくにわが国の専守防衛体制では、戦争=軍民入り乱れる本土決戦
ですから、国際法については、軍人や政治指導者のみではなく、
国民レベルで知っておかねばならない必須常識になったといえましょう。
ご自分の国防知識に一本筋を通したい、との思いを持つ読者さんに
ぜひ読んでほしいです。これほど画期的で実に読みやすく面白い本
なのですが、ハッキリ言ってあまり売れてません。在庫が切れたら
絶版になるのは確実です。絶版になればバカ高いプレミアがつくのも
確実です。図書館ではいつも貸し出し中になっています。
ですから在庫がある今のうちにお手に入れておく方が将来のあなたの
ためでしょう。
今すぐご参加ください。
http://okigunnji.com/url/201/
エンリケ
追伸
国際法で知的武装できれば、ばらばらだった軍事国防知識が
まとまって智慧に変わる瞬間を味わえる日がまもなくやってくるでしょう。
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