航空自衛隊 警戒航空隊(4)

飛行警戒管制隊飛行班の1等空尉はAWACSのパイロット。常に「整備と連携して安全に飛ばすこと、上空ではミッションクルーに快適な環境を与えること」を心がけているといいます。
本来パイロットというのはもっともスポットライトを浴びる花形というイメージがありますが、1尉からすれば「AWACSの主役はあくまでも管制」。
そんな1尉にとって、フライトできついのはコックピットに照りつける日差しの強さだそうです。なるほど! 窓のない閉塞的な空間にいるミッションクルーには無縁の、対極ともいえる悩みですね。
AWACSで兵器管制を担当している警戒管制班の2等空尉は、健康管理も重要と話してくれました。
「フライト前に風邪薬は飲めないんです、眠くなったら困りますから。不規則な勤務体制でも体調を崩さないよう、日頃から気をつけないといけません」。
兵器管制官の仕事には答えがないから日々学ぶことばかり、だからやりがいがある、とも。
確かに、固定のレーダーサイトでのオペレーションと異なり、AWACSの管制は場所を選びません。毎回違う状況で任務を遂行しなければならないから、管制能力だけでなく順応性や柔軟性も求められます。
機上で警戒管制を行う防衛班の3等空曹は、「いかなる状況でも確実に正しい情報を入手し、それをより早く送りたい。そしてその技術を後輩にも伝えていきたいです」。
そしてこのAWACSが常に能力を発揮できるよう整備しているのが、第2整備群です。
第2整備群整備隊の1等空曹は、「AWACSの飛行時間が長いほど整備の隊員も長時間拘束されるのは大変ですね」と教えてくれました。上空で航空機を交代することによって警戒管制を行なう連続哨戒になると、土日も関係なくなるので、隊員も疲労が溜まりやすくなります。「そういったときいかに気を抜かずに集中するかが大切です」。
修理隊では、エンジン、油圧、計器、電気系統などの整備を担当しています。2等空曹はエンジン分隊で、「エンジンを換えるのは何度やっても大変な作業だし難しいですね。その分達成感もあります」。
レーダー、コンピューター、通信を担当する装備隊の中でコンピューターを担当している2等空曹は、「故障の原因が分からないとき、分かっても直らないときなどは大変です。けれどコンピューターは動いて当たり前と思われている、その信頼をずっと提供し続けたいです」。
第2整備群の隊員たちに大型機のメリットを尋ねると、大勢の整備員が「同時に作業できること」を挙げました。
小さな航空機だとスペース上、場所を譲り合いつつ作業しなければならないこともあるそうです。言われてみればそうですよね。整備、清掃、給油など、どれを取っても大型機は大変なことばかりと思い込んでいたのですが、なるほど納得です。
(つづく)
(わたなべ・ようこ)
(令和元年(西暦2019年)6月13日配信)