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軍の神聖な重責と防衛省キャリアの宿命

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キャリア制度は「広く浅く様々なポストを経験(渉猟)した健全な素人こそバランスの取れた健全な判断ができる」ことを前提にした制度です。

実際に各官庁のキャリアはその属する省庁の中を転勤して回ります。(これをツアーと呼んでいます)
こうして省全体を見渡せる目が養われるから、先程の前提が生きるのです。それでもなかなか省の壁を超えられないので、縦割り行政の弊害が叫ばれています。

ところが防衛省のキャリアは組織の大部分を占める自衛隊の部隊にすら勤務できません。これは後述するように制服ポストへの安直な往来が許されないからです。防衛省のキャリアは自分の属する防衛省のことすら机上の知識しか持っていません。民間企業では「現場主義」が強く叫ばれますが、彼等は現場を知らないのです。現場にやゝ近かったのはかつての「防衛施設庁」でしたが、これとて所詮施設の建設・整備と駐留米軍関係の仕事だけで、国防の骨幹である「対象国との関わり」や「戦闘」「教育訓練」等とは縁遠い話です。

つまりこれは警察に例えれば、地方の交番や警察署、県警本部などの勤務を一度もやったことのない者が警察庁の枢要な部署を占めているようなものです。こんな人達に、国民はまともな警察行政を期待できるでしょうか?
防衛省のキャリアとは正にこのとおりなのです。これ以上は先日の「内局部員」(*1)で書いたので繰り返しません。

さて、そうすると「ではキャリアに部隊勤務をさせれば良いではないか?」「どうして部隊勤務を経験させないのだ?」という声が出そうです。
実際、この要求は過去に何度も内局から出たのです。曰く、「警察や海上保安庁で出来ることを何故自衛隊各幕は拒否するのだ?」と。
彼等は、海にはズブの素人の国交省キャリアが高位の海上保安官の制服を着て指定職の半数以上を占めている海上保安庁が羨ましくて仕方なかったのです。

でもこれは諸外国軍にも例のない暴論です。海上保安庁は軍隊ではありませんが、自衛隊は諸外国から軍隊とみなされ、その国際法的地位を認められています。
将校たる軍人は「自国と自国民のために外敵を撃滅する命令を受け、国家を代表して、我が身を顧みることなく、その使命を遂行することを世界から公認された神聖な重責」を有しています。誤解を恐れずマンガ的比喩で云えば「007は殺しの番号」の如く「使命遂行のための殺人許可証を持つ」身です。
自衛官も同じで、防衛出動を下令されると(正当防衛や緊急避難でなくとも)外敵を殺傷することを公認されます。敵方に捕まっても殺人犯ではなく、軍人たる捕虜としてジュネーブ条約と軍事法規に基づいて扱われることが期待できます。

軍籍を有する将校は政府の正式に発行した将校名簿に記載されていなければなりません。この名簿はまた部隊指揮権を継承する資格と順序の根拠でもあります。(*2
ですから世界中の軍隊共通の常識として名簿の途中に適宜に入れたり抜いたりすることは出来ませんし、文官官僚が制服を着て部隊に天下ることも許されません。
そんなことをしたら「神聖な重責」を弄ぶことになります。世界中の軍人社会から侮蔑と村八分を受けるでしょうし、戦時ならスパイ扱いで死刑になるおそれすらあります。将校は候補生から順序に従って経歴する必要があるのです。

共産国やナチスドイツ等のような一党独裁国家ですら、官僚や党人が階級章を付けて軍に天下るようなことはしませんでした。それが出来ないから、政治将校、武装親衛隊、革命防衛隊等が生まれたのです。そしてその多くは滅んでいきました。唯一?の例外は北鮮の金正日「将軍さま」ですが、まぁあの国は万事が例外だらけですから・・・。(^-^)

なお、医師や特殊技能者が已むを得ず軍医や技術将校として尉佐官クラスに任命されることはありますが、将官の任命例はやはり寡聞にして知りません。

パキスタンのムシャラフ大統領は参謀総長の地位に最後までこだわりました。大統領は軍の最高指揮権を持つ上官なのに何故でしょう。世間では彼が参謀総長の地位にこだわったとの報道でしたが、本当は軍籍にこだわったのだと私は思います。参謀総長職だけなら一度手放して予備役に回る手もあるでしょうが、一度軍服を脱いで文官大統領になるともう軍籍には戻れないからでしょうね。

以上、ヨーソロの管見でした。


(ヨーソロ)


(*1)「官邸主導の防衛省改革有識者会議に期待する
   
(*2)「指揮権とその継承
   

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(投稿日:2007年12月11日 18:32
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これとて裁判員制度と同じように「あれ?何時の間に決まったの?」になるかも知れません 続きを読む



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