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朝鮮統一と日米同盟

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北鮮が終始一貫目指している国家目標は、われが主導する朝鮮統一です。

二十八日金曜日、北鮮が黄海へ向け3発の短距離艦対艦ミサイルの試射を行な
いました。

過去数日にわたって、北鮮はミサイルを試射しており、核の話を延期するとか
韓国と共同で開発する工業団地にいる韓国の当局者を追い出す、とかいろいろ
な恐喝を行ない米韓両国にいちゃもんをつけています。

直接の原因として北鮮がいちゃもんをつけているのは、
先々週に行なわれた、韓国の次期合同参謀議長(正式には内定者)・金泰栄陸
軍大将による議会発言です。北鮮は「北鮮先制攻撃」といちゃもんをつけてい
ますが、以下を読めば軍事常識にのっとった至極当たり前の話に過ぎません。

金大将は、

<最も重要なのは、敵(北朝鮮軍)が核(武器)を持っている可能性のある場
所を確認し、打撃すること><北朝鮮の核兵器をわれわれの地域で炸裂させな
いことが目標で、計画を立てて着実に実践している>

と発言されています。

二十七日付の韓国中央日報によれば、この発言に関し韓国軍関係者は

<「北朝鮮の核兵器が韓国でさく烈しないよう、北朝鮮の核兵器がある場所を
打撃するには、北朝鮮が核ミサイルを発射する前にわが軍が精密誘導武器で先
制攻撃をしてこそ可能」と述べた。 一種の予防的レベルの先制攻撃概念とい
うことだ。この関係者は「北朝鮮が発射した核ミサイルをパトリオットミサイ
ルなどで空中迎撃するのは消極的な防御」と付け加えた。 >

と述べたそうです。

(専守防衛なるものが絵に描いた餅であることは既に常識ですが、わが国では
このことを理解するだけで相当時間がかかりそうです)

さて、
わが国は朝鮮情勢に少し鈍感すぎると感じます。
兵頭二十八さんや高ヨンチョルさんといった信頼できる有識者も指摘される
通り、朝鮮の動向は日米同盟存続と「きわめて密接」に関わっているのにです。

地政学上朝鮮半島は、東アジアの海洋勢力と大陸勢力の緩衝地帯であり、
その軍事戦略的価値はきわめて大きいです。米が韓国を手離さないのはそのた
めです。

わが国でも武の教養が広く行き渡っていた頃には朝鮮へのかかわりが国防に
果たす意味を常識レベルで十分認識しており、朝鮮支配を巡って戦争が起きた
ことも幾度かあります。

現在、朝鮮にはすでに核兵器があります。
これは「国際世論に耳を傾けることなく自分のやりたいことができる」フリー
ハンドを取得したことを意味します。また、いずれ生まれる統一朝鮮はその誕
生時から核をもっているということです。

韓国海軍退役少佐・高ヨンチョルさんの名著『白頭山3号作戦』では、北鮮が
韓国の富を喉から手が出るほど欲しがっているという趣旨の言葉があります。
核と富のバーター取引なんてのもあるかもしれません。

現代の国際情勢を考える上で米の存在を欠かすことはできませんが、
米の戦略的主敵はシナです。韓国も北鮮も、そのことをよく理解しています。
今後のシナとの対立関係をちょっと考えただけでも、朝鮮の存在が今より遥か
に重大な意味合いを持ってくることが明白だからです。

六者協議にヘタレ外交官を送り込み、米がぜんぜんやる気を見せないのは、
今後の朝鮮とのかかわりを残しておきたいためです。将来に備え、北鮮に恩を
売っておくことが今必要だ、と考えているフシも見受けられますね。

対シナ戦略を考えた場合、朝鮮が親シナになることが、米にとって最も都合が
悪いですね。そうならないように、あれこれ手を打つことでしょう。
ここで注意しておかねばならないのは、韓国も北鮮も、シナと近しいようで
実は近しくないという点です。

韓国主導の親米政権で統一されるのが、米にとって最も望ましい事態でしょう。
よろこんで「核保有国」朝鮮と同盟を結び、日米同盟の価値は一挙に薄れます。
北鮮主導の場合でも、北鮮は「アジアのイスラエルになる」と米と緊密化を
図ります。

というか、統一まで待つことなく、北鮮は現時点で単独でそうしようと図って
いると見られます。普通に考えても、シナと組んで米に対抗するより米と組ん
でシナと対抗するほうが楽だしメリット多いですからね。

というわけで、韓国主導であれ北鮮主導であれ、朝鮮統一が実現すると日米同
盟の価値ははかり知れないほど減じ、影が薄くなります。下手すれば破棄され
るかもしれません。

破棄されることはないにしても、わが国は米にとって単なる大口の兵器輸出先
としての意味合いしかもたない存在になる気がします。

わが国にとって最も望ましいのは「朝鮮半島分断の継続」です。
しかしそれでも、北鮮と米が同盟関係を結ぶ可能性は大いにあります。
そうなれば日米同盟の意味合いは大いに薄れ、わが国の存在感は一挙にしぼん
でゆくことでしょう。

わが国はそういう事態を想定し、シナに対抗可能な国防力を今から整備してお
かねばなりません。ケツに火がついてからでは、遅いからです。
それが間に合わないとしても、せめて「軍を軍事常識の下で普通に運用できる」
レベルにまでは最低なっておかねばなりません。

先ほど紹介した高ヨンチョルさんの「白頭山3号作戦」には、こんな言葉が
書かれています。

<アメリカが同盟国である韓国と日本を見捨てて、北朝鮮と手を結ぶー日米安
全保障条約の永続を信じている日本人には俄かには信じがたいかもしれない。
だが、国際関係も人間関係とまったく同じである。「永遠の友もない、永遠の
敵もない、ひたすら自国の利益だけ」という厳しい国際関係のもとで、アメリ
カの「核の傘」が韓国と日本の安全を最後まで守ってくれると信じるのは故の
ない楽観論でしかない。その信頼性と永続性には限界があることを知らねばな
らないのだ。>(P94~95)

ありとあらゆる可能性を考え、検討し、それに備える計画を立てる。
きちんとやっておく姿勢が必要です。


参考

『白頭山3号作戦』 高ヨンチョル
『逆説・北朝鮮に学ぼう』 兵頭二十八

http://sankei.jp.msn.com/world/korea/080303/kor0803031944003-n1.htm
http://blogs.yahoo.co.jp/hiromichit1013/54137014.html
http://mainichi.jp/select/world/news/20080303k0000m030004000c.html
http://sankei.jp.msn.com/world/korea/080303/kor0803031944003-n1.htm
http://www.reuters.com/article/worldNews/idUSSEO3669420080330?feedType=RSS&feedName=worldNews
http://www.reuters.com/article/worldNews/idUSSEO3669420080328
http://www.sphere.com/rdr?t=http%3A%2F%2Fwww.reuters.com%2Farticle%2FpoliticsNews%2FidUSSEO3669420080329&s=reuters_inline&q=art&c=reuters_inline-arthttp://www.reuters.com/article/worldNews/idUSSEO299720080328
http://japanese.joins.com/article/article.php?aid=97970&servcode=500§code=500

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(投稿日:2008年4月 3日 20:38
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