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日本の国防とインドとの関係について

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前号でインドが新型戦闘機を開発したとお知らせしましたが、読者の方から、
「インドの戦闘機と日本の防衛との関係が良くわからない」というご質問を
多数いただきました。そこで、この問題について少し詳しくお伝えしたいと
思います。どうぞご参考になさってください。

この問題の本質は、インド洋の制空権がもたらす影響の大きさにあるといえ
ます。

インドは、インド洋地域の覇権を勝ち取ろうとする大国意識が強く、外交に
おいて独自性を打ち出す傾向が強いと見られています。また、ネルー大統領
の時代から反米意識が強い国と言えます。すなわち、インドがアメリカと同
一歩調を取ると必ずしも言えないことが、問題の根幹にあるといえます。
皆さんは、米軍が世界の安全保障に果たす役割については良くおわかりにな
っていると思いますので、米軍の役割についての詳細は記しません。

ご存知ないかもしれませんが、インド洋にある小島ディエゴ・ガルシア島に
は、米軍の航空基地があり、この基地は地政学的に見て欧州・中東・アフリ
カ地域における有事に対応できるもので、米軍の戦略拠点といえる極めて重
要な基地です。日本にとって重要なことはこの基地が沖縄を後方支援基地と
しているということです。インド洋の制空権をインドに奪われることは、こ
の基地が沖縄とのルートを絶たれる恐れが発生することを意味します。

したがって、最もこの事態を憂慮しているのは米軍で、もし、制空権をイン
ドに握られた場合、有事の際に、沖縄からの補給ができる見通しが不透明と
なり(インドが米側につくかどうかわからないため)、有事に備えたディエ
ゴ・ガルシア基地の存在価値がなくなってしまうからです。

この地域を航行する側(アジア各国)から見れば、インド洋上ルートの防衛
に際してはこの基地からの空軍支援が不可欠です。というより、公には知ら
れていませんが、この基地の存在は第3・7艦隊と並んで、アジア~中東間
の戦闘抑止力となっています。(日本のタンカーが護衛なしで航行できるの
はひとえにこの基地のおかげです)

もしこの基地がその価値を失えば、抑止力を失った南アジア~ペルシャ湾岸
にわたるインド洋地域は覇権争いの舞台となり、その地域の航行は極めて危
険なものになると思われます。

また、インドネシアなどをはじめとするアジア各国は、中東地域に多くの出
稼ぎ労働者を送っており、経済的に見て日本とは比較にならないほど中東へ
の依存度が高いため、インド洋上ルートの脅威については日本以上に神経を
尖らせています。

アメリカがディエゴ・ガルシア基地の空軍によって、インド洋に対する制空
権を持つという今の状態があればこそ、アジア諸国は安心してこの地域を通
行できるというのが現実的な考えでしょう。

日本が直接軍事攻撃を受ける可能性という点から見ても、インドの軍拡は日
本にとって大変重要な問題といえます。インド洋の制空権をめぐってインド
と米が緊張関係に入るようなことがあった場合、否応なしに日本はこの渦中
に巻き込まれることになります。ディエゴ・ガルシア基地の補給基地たる沖
縄が攻撃される可能性が極めて高いからです。

そんな事態を未然に防止し、アジア地域の安定を図り、わが国の国益を守る
ためには、アメリカの最大の同盟国であり、国際的にアジアの代表と見なさ
れている日本が、アジア地域の安全保障の中核ともなっている日米安保を強
力に機能させるよう務め、それがディエゴ・ガルシア基地を有効に生かすこ
とにつながるという事実を知る必要があります。これにより、南アジア地域
の軍事バランスを均衡させ、インドに睨みをきかせることができるのです。
インド洋地域におけるインドの軍拡抑止に最も有効な手段は、今のところこ
れしかないように思えます。

よもやこんな方はいないと思いますが、もし、日米安保を破棄・弱体化する
ようなことがあれば、日本が、自国船舶の安全を図るために米軍抜きで自衛
隊の護衛をつけることとなりますが、これでは安全を図るという目的を達成
できません。
その理由として、日本と軍事的同盟関係にある国がこの地域には存在しない
ため、自衛艦の補給活動ができないことと、それ以上に致命的な問題として、
同じ理由から自衛隊航空機による護衛ができないことが挙げられます。艦船
の安全を図るには、制空権を持つ必要があることは現代軍事の常識で、「制
空のないところに制海はない」ためです。
以上の点からみて、現状では米軍抜きの自衛隊派遣は、絵に描いた餅だとい
わざるを得ません。

また、経済面でインドと緊密に結びつくことも必要です。そのためにも日本
はすこしでも早く経済状態を良くせねばならないでしょう。
効果的な軍事力をもたないアジア各国の安定に、日本が貢献できる手段はこ
ういったことになろうかと思います。そしてこのことが国益につながると考
えます。 日本の国益を守るためには、シーレーン防衛政策を日本一国の単
位だけで考えてはいけないのが今の時代だ、と私は感じています。

(エンリケ航海王子)

【010114配信 メールマガジン「軍事情報」より】

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(投稿日:2001年1月14日 20:49
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