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日朝協議と並行して始まった民間の遺骨収集に「怪しい親北日本人」の影

time 2012/09/09

産経新聞
http://sankei.jp.msn.com/world/news/120908/kor12090812000002-n1.htm

2012.9.8 12:00 [朝鮮半島ウオッチ/外交ウオッチ]

 日本と北朝鮮の政府間協義の対象になった日本人戦没者の遺骨返還で、日本の民間団体による埋葬地訪問が最近行われた。北朝鮮に残留する日本人の遺骨は約2万1600柱(厚生労働省社会・援護局)。遺骨は必ず祖国に帰ってこなければならないが、問題は、墓参や収集話に絡んで北朝鮮と関係の深い怪しげな日本人たちが活動を始めていることだ。日朝交渉の駆け引きに人道問題が使われるのはもってのほか。遺骨返還問題を行う日本政府は、経緯をクリアにして進める必要がある。

(久保田るり子)

北朝鮮が「遺骨」にご執心であるワケ

 遺骨問題は、8月初旬に行われた日朝赤十字実務協議で北朝鮮側が日本人遺族の墓参受け入れを表明。これをうけて戦前、北朝鮮東北部の咸鏡北道清津に在住していた人たちの民間団体「全国清津会」の正木貞雄事務局長(82)ら4人が8月28日から訪朝し、平壌や清津など北朝鮮の案内で訪問した。

 同会の訪朝は、ミサイル発射(2006年)以来実施している渡航自粛など対北経済制裁の例外扱いとして、日本政府の支援で行われた。

 日本海に面した港湾都市、清津市は北朝鮮の工作船が出航する軍港で、外国人の立ち入りは厳しく制限されている。今回の訪朝団は北朝鮮側の許可による特例だった。北朝鮮側は、「全国清津会」に日本人遺骨の埋葬地とされる農地を案内したり、「軍人とみられる遺骨」などを見せたりと、至れり尽くせりの異例の対応をみせた。

 北朝鮮が日本人の遺骨返還に熱心になったのは今春からだ。

 中井洽元拉致担当相が宋日昊・日朝国交正常化担当大使と一昨年来、秘密接触するなかで、「今年はじめから北朝鮮側は、『遺骨』『遺骨』になった」(交渉筋)という。5月には「戦没者の遺骨取材に応じる」と言いだし、6月、日本メディア2社に平壌市内の埋葬地2カ所を公開した。

北朝鮮側が旧日本軍人らの埋葬地と説明する畑で手をあわせる「全国清津会」の正木貞雄事務局長。手前は昨年3月に発見し埋め戻したという遺骨=5日、平壌市郊外(共同)

 日本人遺骨問題とは、日本の植民地だった北朝鮮地域からの引き揚げ途中に飢餓や疫病で死亡した人々や、シベリア抑留者がスターリン指導下にあった北朝鮮に移送され収容所で死亡した旧軍人などの遺骨が残されたままになっていることを指す。植民地時代に死亡した人々の遺族による墓参問題も含む。

 北朝鮮側は「遺骨問題が、北朝鮮と日本との過去の清算(植民地時代の賠償要求)につながると考えているフシがある」(日朝関係者)とされる。

 米国は北朝鮮と、朝鮮戦争(1950-53年)の行方不明米兵(MIA)遺骨捜索で1993年に合意、96年から断続的に共同で収集作業を行ってきた。北朝鮮の核問題で2005年から中断したが、昨年再開に合意、今春から開始している。未帰還兵は約8000人で、米国は一体につき、さまざまな名目で北朝鮮側に1万ドルから3万ドル(80~240万円)を支払っているとされる。

 朝鮮戦争の未帰還兵と日本の戦没者遺骨では事情が全く異なるが、北朝鮮では「軍人の遺骨はカネになるとの認識が広がっている」(日朝関係者)という。

慌ただしく動きはじめた親北ビジネスマンたちの影

 北朝鮮にこれまで何度も渡航し、日朝ビジネスに関わってきた親北の人物たちが、遺骨をめぐって慌ただしく動き始めたのは今春から。「全国清津会」に接近し、咸鏡北道へ行く墓参団の募集に関わってきた。

 関係者によると、墓参団のなかには一時、北朝鮮にいる「よど号」ハイジャック犯の縁者も入っていたが、「全国清津会」の訪朝が正式に決まり、注目を集め出すと、表舞台から引いて「地下にもぐってしまった」(同)という。

 ただ、同関係者によると親北ビジネスマンらは日朝赤十字会談の開催前にひそかに訪朝。「日本人遺骨」に関しての日本情報を北朝鮮側に伝達していたという。

 「全国清津会」の会員の1人は「今春、(全国清津会から)墓参募集の手紙が来た。国が援助するから3万~5万円ぐらいで(現地に)行けるという話で、おかしいなと思った。結局、4人しか入れないことになったが、何か不透明な感じがしている」と話す。

 また、別の会員は「北朝鮮には元軍人の遺骨が3000柱あるといわれており、遺骨返還事業で1人3万ドルかける3000人で9000万ドル(約70億円)のカネになるという試算が、まことしやかに流れている」と話した。

 戦没者の遺骨収集は、遺族の高齢化から一刻を争う人道的事業のひとつ。朝鮮半島に残った遺骨は日朝間の国交がなく敵対関係が続いたため、これまで全く進まなかった。それだけに遺族の期待は膨らんでいるが、そこにつけ込む勢力があるのも事実。4年ぶりの日朝協議の対象となった経緯には、この「人道問題」交渉のテコに使おうとの北朝鮮の思惑が透けてみえるだけに、日本政府は、透明性の高い協議を行う必要がある。



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