メールマガジン「軍事情報」のホームページ

創刊2000年10月のメールマガジン「軍事情報」です。

空中給油機をもう少し詳しく知ってみませんか

time 2007/11/24

F-16(左下)に空中給油を行うKC-10(右) wikipediaより

【質問1】「空中給油機は自分の給油をどうするのか?給油中に自分がガス欠になる怖れはないの?(^o^;)」
→空中給油機の自機の燃料ですが、例えばKC10を例にとりますと、他機に給油する燃料は、床下を燃料庫とし自機の燃料は通常通りに搭載しております。
原型機が旅客機なので滞空時間も長いので、エリアごとに担当空域を持つ空中給油機には大した問題とは言えません。給油する相手の戦闘機や攻撃機に比べれば、遥かに長い時間飛行することが可能です。

【質問2】「空中給油機は単機で出動するのでしょうか?」
→ミッションにより状況は変わります。単なる機体の空輸任務であれば空輸する機体数に見合った給油機を飛ばすことになります。単機で出動することは十分にあり得ます。

【質問3】「編隊を組むのであればどういう内容になるのでしょうか?」
→編隊を組む場合、被給油機と給油機となれば給油される側が複数となる場合給油機と被給油機は給油中は無防備となるため、給油待ちの機は、当該機を援護する必要があります。援護する位置についてはご容赦を。大体皆様のご想像通りですが(笑)

【質問4】「空中給油機の行動可能時間はどのくらいなのでしょうか?」
→原型機が旅客機や輸送機で存在するので、おわかりの方も多いかと存じますが、燃料の搭載量に大きく左右されますので、これいった数値は示せませんが同型の旅客機程度は飛行可能です。例えばKC135Rであれば、約18,000キロ程度の飛行は可能です。原型となった航空機と殆ど変わらないと考えて差し支えありません。

【質問5】「空自は空中給油機を一体何のために導入したいのでしょうか?そのホンネは?」
→空自の本音というわけではありませんが、私個人の見解として申し上げさせていただければ、空中給油機の任務と空中給油機の導入については、この機種を採用している国家の理由と殆ど変わることはないと考えます。それは、航空機の有効利用です。

例えば機体をフェリーする場合、ルート上に着陸可能な基地が無い場合、緊急を要するミッションで着陸する時間を割けない場合などにあたります。
遭難者の捜索などの災害派遣では、捜索機の航続力を延ばし捜索可能時間を延長することができますし、少ない機数でCAP(戦闘空中哨戒)を行う場合もそうです。

世間の知識者(?)と呼ばれている方の中には他国へ侵攻するためと言う方がお出でになりますが、そうであれば、攻撃侵攻する機数に匹敵する数の給油機を装備する必要があるでしょう。少数を給油完了の度に戦場に投入していては戦闘の原則である戦力の集中にはほど遠いでしょうし、1機あたりの給油量などたかが知れております。

空中給油機の導入は、確かに航空機の滞空時間を飛躍的に延長します。航空基地の数が限定されており、民間機との共用の問題等がある我が国独特の航空事情のある程度の解消が目的であるとも言えますし、今後、用途廃棄の航空機が続出し、新しく就役する機体が減少することを考えれば、少ない機数でやりくりしなければなりません。空中給油は少ない機数を多く見せることが可能です。

また、航空基地の少ない我が国では、基地が損害を受けることは致命的です。着陸可能な基地が無い場合、基地機能が復旧するまで空中給油機は最後の砦となるでしょう。少なくともフューエルレベルロー(燃料切れ)で墜落することはありません。搭乗員も機体も救うことが可能となるのです。

【質問6】「空中給油機を保有している空軍にはどのような国があるのでしょうか?」
→我が国以外の西側諸国、欧米諸国では大抵の国が装備しており、戦闘機、攻撃機、爆撃機のみならずヘリや輸送機などにも空中給油が可能な機体が使用されています。

【解説:侍魂さま(元空自)】


コメント

down

コメントする




CAPTCHA


このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください

その他

英霊来世

メルマガ購読・解除
 

自己紹介

おき軍事

おき軍事

軍事に関する歴史から技術、戦略・指揮統率、こぼれ話、今の自衛隊事情、インテリジェンス、そして軍事英語まで。軍事に関わる全てのことがらをカバーしている日本唯一の無料総合軍事メルマガです。配信はほぼ毎日。 執筆者は、将軍、提督、元米軍士官、軍制史の権威、ベテランライター、インテリジェンスのプロ、防衛問題研究家など。20年の歴史を持つメルマガならではの、他では得られない粒ぞろいの陣容です。 冷戦構造の崩壊を契機に、千年に一度レベルの大激動時代に入った世界でわが国がサバイバルするには、国民レベルで「現代の武」をわきまえておく必要があります。 それに資する情報を無料で伝えています。

作戦司令部の意思決定ー米軍「統合ドクトリン」で勝利するー

日米中激突! 南沙戦争

情報戦と女性スパイーインテリジェンス秘史ー

猫でもわかる防衛論

『日の丸父さん』石原ヒロアキ


「日の丸父さん」(1)
「日の丸父さん」(2)

脚気と軍隊ー陸海軍医団の対立ー

検証 危機の25年ー日本の安全保障を真剣に考えるー

メルマガ登録

ガントリビア99―知られざる銃器と弾薬の秘密―

図解 孫子兵法ー完勝の原理・原則ー

中国戦略”悪”の教科書ー「兵法三十六計」で読み解く対日工作ー

オリンピックと自衛隊 1964-2020

中国が仕掛けるインテリジェンス戦争ー国家戦略に基づく分析ー

「地政学」は殺傷力のある武器である

戦略的インテリジェンス入門ー分析手法の手引きー

新史料による日露戦争陸戦史ー覆される通説ー

大東亜戦争と本土決戦の真実ー日本陸軍はなぜ水際撃滅に帰結したのかー

誰も語らなかった防衛産業

日本人はどのようにして軍隊を作ったのかー安全保障と技術の近代史ー

あなたの習った日本史はもう古い!ー昭和と平成の教科書読み比べー

兵法の天才 楠木正成を読むー河陽兵庫之記 現代語訳ー

インテリジェンス

アーカイブ

あわせて読みたい

あわせて読みたい

人気の検索キーワード

最近検索されたキーワード

カテゴリー

メルマガ購読・解除
軍事情報
   
バックナンバー
powered by まぐまぐトップページへ


「日の丸父さん」(1~12話)
高速バスの予約 icon