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坂の上の雲 5つの疑問

time 2012/07/10


わが国最大の軍事サイト「軍事板常見問題」の管理人・消印所沢さんから
書評を頂きましたので紹介します。

木曜日の連載
「朝鮮戦争における「情報の失敗」 ~1950年11月、国連軍の敗北~」
の著者、長南政義さんの最新の本です。

(エンリケ)

『坂の上の雲 5つの疑問』
http://tinyurl.com/7htel42
「ゲームジャーナル」編
本体価格 :\1995
出版 :並木書房
サイズ :20.8 x 15 x 2.2 cm / 215p
ISBN :978-4890632848
発行日 :2011/12/1
——————————————————————————–
橋渡し

評価
★★★★
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 内容に不安を覚えるような題名や表紙だったが,中身は予想を裏切る有益なもの.
 『坂の上の雲』がNHKにて放送されたのに合わせての出版なのだろうが,史料批判を
徹底して行っており,やっつけ出版などでは全く無し.
 かつ,『坂の上の雲』発の俗説の誤りに斬り込むだけにとどまらず,旅順戦,日本海
海戦,奉天会戦の実相を描き出すところにまで,記述は及ぶ.
 当方にとっても間違えて覚えていたこと,知らなかったことが,意外に多数.

▼旅順要塞攻撃編:
 西方面主攻論とは?(p.9-12)
 旅順の露軍兵力を,かなり下算して見積もっていた大本営(p.14)
 第7師団が第1回総攻撃の段階で投入されていれば,極めて可能性が高かった望台占
領(p.14)
 第3軍に渡された地図のお粗末さ(p.14)
 実際は前線偵察もちゃんと行っていた第3軍参謀(p.15)
 東北方面攻撃案,西北方面攻撃案を比較考量した結果,前者を選んだ第3軍司令部
(p.16)
 攻路掘開が比較的容易だった東北方面(p.17)
 歩兵突撃を実行したのは,「砲弾の関係上」やむをえない選択(p.18-19)
 当時の戦術常識(p.19)
 第2回総攻撃は,正攻法と強襲法の折衷(p.21)
 死角をカバーし合う,203高地周辺の露軍陣地帯(p.22-23)
 直接視認できる可能性がある位置には事実上,存在しなかった軽砲の死角(p.24-25)
 最大の障害,永久堡塁本体の外壕(p.24-25)
 部分攻撃実施を困難にした,砲弾の不足(p.27)
 砲弾不足と言う取り返しの付かない事態になりかねないことを恐れ,二段階攻撃案
を案出した大庭(p.29-30)
 第3軍が203高地攻略を後回しにした理由(p.32-33)
 第2回総攻撃の後も,203高地主攻に反対していたのは,満洲軍総司令部(p.34-35)
 露軍の夜襲の撃退をもって,山頂占領を確信できた日本軍(p.41)
 重砲陣地転換の本当の目的(p.42)
 転換のデメリット(p.44-45)
 旅順陥落の理由(p.45-49)
 203高地が陥落すれば,旅順艦隊を壊滅させることができるかどうかについて,
確証があるわけではなかった,その当時(p.50-51)
 「最初は無防備」ではなかった203高地(p.52-53)
 旅順要塞が降伏したのは,203高地が陥落したからではなく,望台が陥落したから
(p.54-55)
 御前会議における,海軍の「脅し」(p.57)
 28cm砲「送るに及ばず」は,長岡の思い違い(p.66)
 旅順攻略を,海軍より先に言い出した陸軍(p.131-133)

▼日本海海戦関連:
 「波高し」のため,三浦湾に帰還した水雷艇隊(p.69)
 「団子になってやってきた」バルチック艦隊(p.70)
 かなり後まで影響を及ぼした,バルチック艦隊の艦隊運動失敗(p.72)
 完全な「先頭艦集中射撃」というわけでもなかった日本艦隊(p.75)
 下瀬火薬の窒息効果(p.77)
 ロシア第3戦艦隊の遊兵化(p.77)
 T字をなした時期に,戦闘を一旦中止してしまった日本艦隊第1戦隊(p.78)
 ロシア艦隊の戦闘力には殆ど影響がなかった,「T字」の時間帯(p.88)
 実質的に開始後30分で決着が付いていた日本海海戦(p.90-93)
 「丁字」戦法の構造的欠陥(p.91,93)
 短時間でしかなかった,「丁字」が完成された時間帯(p.92-93)
 ロシア艦隊に最も打撃を与えたのは並航砲戦(p.93)
 当時,戦艦は文字通り不沈艦だったため,長期化した海戦(p.95)
 秋山「丁字」理論の実際(p.94-97)
 「イ字」でもない(p.96-97)
 決して宮廷官僚ではなかった,ロジェストウェンスキイの経歴(p.98-101)
 その後の東郷元帥の「老害」(p.102-104)

▼秋山関連:
 騎兵戦術の3大革命(p.107-108)
 挺身行動への変化(p.108-109)
 当時の騎兵戦術「常識」(p.110)
 土城子の戦い(p.110-111)
 秋山の述べる騎兵の用途,「捜索」「警戒」(p.112)
 ロシア軍重騎兵に対抗するための,秋山の考え方(p.112)
 日本軍騎兵の特色となった,随伴砲兵・随伴機関砲(p.113)
 「ミシチェンコの8日間」(p.114-116)
 威力を発揮した,日本軍騎兵の機関砲(p.116-118)
 問題を残していた対歩兵戦(p.118-119)

▼児玉関連:
 児玉の執務スタイル(p.132-134)
 遼陽会戦における,総司令部の回答不明確(p.136-137)
 首山堡論争(p.136-139)
 「味方撃ち」の逸話の真実(p.150-151)
 「肉弾」を承認した児玉(p.151-152)
 黒浩台会戦の敗因(p.154-157)
 「ミラー・イメージ」の陥穽(p.158-159)
 児玉の「才」の中身(p.157)

▼奉天会戦関連:
 実は包囲だった奉天会戦(p.163-168)
 当時と今の「包囲」の概念の違い(p.168)
 やはり殲滅を意図していた日本軍(p.168)
 第3軍を増強しなかった失敗(p.170-171)
 4個軍が轡を並べて露軍を撃破しようという意図だった満洲軍総司令部(p.176)
 乃木の意図(p.178-179)
 高くついた前進停止命令(p.180-181)

▼その他:
 伊地知の秘密任務(p.62-65)
 秋山真之と孫文との繋がり(p.123-124)
 大本教に帰依した秋山(p.125)
 「価値判断抜き」というところに価値がある公刊戦史(p.126)
 落合参謀転出理由(p.140)
 上田師団長問題(p.144-145)
 沙河会戦において,日本軍に悪影響を及ぼしたルーズヴェルト提案(p.146-147)
 日本軍最良の諜報組織(p.160)
 東条英機の父親は,本当に長閥の犠牲者だったのか?(p.172-173)
 私怨臭のする伊崎解任問題(p.182-183)
 戦費について洞察力のあった大山巌(p.184-186)
 28cm砲導入反対論を抑えた大山(p.188)
 日露国力(p.191-197)
「日露戦争で,最も得をしたのは英国かもしれない」(p.202-203)
 日米危機の火種(p.204-205)

▼ただし構成に難あり.
 見開き2ページが上下で2分割され,上と下とで別の記事が併進しているような箇所
が,何箇所もあり,読み辛し.
 普通の構成でも,別に支障はないように見えるが,なぜそうしなかったのか?
 また,執筆者が複数であるためか,重複内容も若干あり.

▼初心者にも比較的関心がありそうな部分から始めつつ,次第に深く掘り下げていく
という点では,橋渡し的存在.
 買え.

【関心率,約90%:全ページ中,手元に残したいページがどれだけあるかの割合.
当方の価値観基準】

(消印所沢)

【空の宝箱 http://ameblo.jp/7ninblog/entry-11285803129.html より転載】

追伸
非常に有益な書評ですね。ありがとうございました!
http://tinyurl.com/7htel42


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