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【第62講】スペイン語文法入門―兵法的外国語学習への誘い―(その40)

公開日: : 最終更新日:2014/06/06 スペイン・ラテンアメリカ講座 , ,

 他動詞と自動詞の違いが区別できるようになってきたら・・・、次は”再帰動詞”に
ついて学びましょう!
☆”再帰”とは、何か?
 ここでは「再帰」という考えに基づいた動詞・・・「再帰動詞」について学びます。


 再帰動詞とは、スペイン語で”verbo reflexivo”(再び元のところに反射して来る
動詞)と言います。verboは、「動詞」、re-が再び、flex-は、光の反射が屈折(跳ね
返る)するという意味を持っています。
 再帰とは、要するに・・・「行為を仕掛ける本人が自分自身をマト(目的語=~ニ・
~ヲ)にして、本人が自分自身で行為する」ことを表現するもので、日本語や英語で
は、あまりピンとこないものです。
 しかし、スペイン語を始めとして、ドイツ語やロシア語では、この「再帰」の発想
は、重要なものとなっています。即ち、他動詞と自動詞の区別は、厳格に行っている
ことを意味します。
(印欧語の仲間である英語は、スペイン語でやるような「再帰」の発想が省略されて
現代に至っているだけです。)
☆再帰の発想とは
 日本語では、例えば・・・「殺す」という動詞があります(物騒な表現ですが・・・
分かりやすいので、例として使用しますから、少し我慢して観察してください)。
 知らない人の前で「ワシ殺すねん」、「ワシ殺すねん」、「ワシ殺すねん」・・・と
十回程度繰り返すと・・・「あんた誰ヲ殺すねん?」と尋ねられますね。
 ここから、「殺す」と言ったら、それは他動詞(”~ヲ”のついた名詞が必要である
動詞)であることが判ります。では、ここで他動詞から自動詞へ、即ち、”再帰”の
考え方でこの「殺す」という他動詞をアレンジします。
 ツールとして”再帰代名詞”(=~自身ニ・ヲ)を用いますが、この発想は、日本語
で漢字を用いて表現すると「自」に相当します。この漢字を再帰の発想で”自分自身
ヲ”という考えを加えて「殺す」という漢字に加えると「自殺する」になりますね。
 では、この「自殺する」を分解してみましょう。
 自分自身を殺す・・・誰が?・・・主語が・・・です!
 例えば、「彼は、自殺します」と言えば、「彼が、彼自身ヲ、彼が殺す」ということ
です。では、主語を変えてみましょう。「君たちは、自殺する」と言えば、「君たち
が、君たち自身ヲ、君たちが殺す」ということです。殺し方には、自分で可能な範囲
で、千差万別があるものの・・・要するに・・・行為者が行為者を対格に置いて行為者
が行為する・・・
 そうすると・・・「殺す」という動詞が元の他動詞から自動詞の「自殺する」になっ
ていますね。これが再帰動詞の基本となる考え方なのです。
 日本語では、漢字に送り仮名を変えますね。例えば・・・切ル/切レルなどです。
☆再帰代名詞について
 ここでは再帰代名詞(pronombre reflexivo)について学んで行きましょう。再帰代名
詞は、常に再帰動詞と共に使用されます。その正体たるや”~自身”という意味を持っ
た与格・対格を表す人称代名詞の一つです(今まで習った英語では、myself,
yourself, ourselves・・・に相当します)。
私自身ニ・ヲ→me
君自身ニ・ヲ→te
彼自身ニ・ヲ→se
我々自身ニ・ヲ→nos
君たち自身ニ・ヲ→os
彼ら自身ニ・ヲ→se
 語形は、与格、対格の人称代名詞と殆ど変わりません。
 第三人称単数と複数が共に”se”という形を取るだけです。
☆再帰動詞の表現について
 先ず、再帰動詞は、不定形の時、語末に再帰代名詞の第三人称単数形”se”をシンボ
ルとして必ず付けています。それで再帰動詞であることを一般の動詞から区別してくだ
さい。では、次の文を見てみましょう。
ex.
ア)普通動詞=”levantar”(直接法現在)
Yo te levanto.
私ハ 君ヲ 私が起こす:僕は、君を起コス(他動詞)
イ)再帰動詞=”levantarse”(直説法現在)
Yo me levanto.
私ハ 私自身ヲ 私が起こす:私は、起キル(自動詞)
 例文の人称代名詞の対格の形を見てください:
ア)は、他人が対格(=君ヲ)  ⇒ 行為は、「私ハ、他人ヲ何とかする」です。
イ)は、自身が対格(=私自身ヲ)⇒ 行為は、「自分ガ自身ヲ何とかする」です。
 そして、ア)は、普通の他動詞(+対格)ですが、イ)は、補語(complemento)を
とらない自動詞になっているということです(補語:Yo soy estudiante.でestudiante
の部分。主語とイコールの関係を述べる)。ア)の「起コス」がイ)の「起キル」に
変わったことを観察してください。
ドリル-1)
次の再帰動詞を直説法現在・第二人称以下を練習しましょう:
Me quito la chaqueta.(私はジャケットを脱ぎます)  quitarse(脱ぐ)
Me pongo la chaqueta. (私はジャケットを着ます)   ponerse(着る、履く)
Me llamo Luis.(僕はルイスというんだ) llamarse(自分を~と呼ぶ→~という名前
です)
※あなたは、「私ハ、私自身ニ・ヲ~します」とか”直訳的に接する”のではなく、
「再帰動詞」になっている動詞の日本語訳=”日本語の意味”で覚えた方が習得が
早くなります。
ここまでの要点を整理すると:
◯行為者=主語が行為者自身を他動詞の目的格補語=対格を用いて、他動詞を自動詞と
     して使用するように変える働きをします。
◯他動詞において、主格が対格と人称一致して、「自分が自分自身に自分が行為する」
 という表現形式を取ることで他動詞を自動詞にしてしまいます。
◯主格の人称=再帰代名詞の人称=動詞の活用の人称と「3つの人称が一致」します。
◯再帰代名詞は→「定形の時は前」、「不定形の時は後ろ」で「人称を一致」させま
 す。
 では、「不定形の時は後ろ」で人称を一致させるには(例文では、主格の人称代名詞
を書いておきます):
ex.
Yo voy a levantarme a las siete. (僕は、7時に起きるつもりだ)
Tu vas a levantarte a las siete.
El va a levantarse a las siete.
Nosotros vamos a levantarnos a las siete.
Vosotros vais a levantaros a las siete. (レバンターロスと読んでください)
Ellos van a levantarse a las siete.
となります。
 ところで・・・英語にはこのような再帰動詞のような種類の動詞は見当たりません。
 何故ならば、自分自身に相当する”~self”という言葉は、意味の上で、「比重が重す
ぎる」ところから、使用が避けられるようになり・・・今日に至っているのです。
 英語は、動詞の「自動/他動」についての境界線は、あいまいになっています。が、
スペイン語をはじめ、フランス語、イタリア語ドイツ語、ロシア語では、自動詞と他動
詞の区別は、大変厳格なのです。
※因みに、スペイン語では、再帰代名詞の他に”~自身”を強調して表現する場合に、
次のような表現方法があります。
→人称代名詞  +  mismo(-ma, -mos, -mas) =ing. “same”
例)私自身 yo mismo   貴男自身  Vd. mismo 貴女自身  Vd. misma
ex.
Vds. mismas no piensan nada. (貴女たち自身は、何も考えていない。)
☆再帰動詞の基本用法
次の”五手”が基本なので、初級として記憶に残しましょう。
ア)他動詞の自動詞化(=対格の場合)
  Me levanto a las siete.(僕は、7時に起きる)
イ)他動詞の自動詞化(=与格の場合):「自分自身ニ対して体の一部ヲ~スル」
  Pedro se lava las manos antes de comer. (ペドロは、食前に手を洗う)
  Quiero laverme las manos. (私は、手を洗いたい→トイレへ行きたい)
  Maria se quema la mejilla. (マリアは、頬をやけどする)
ウ)強意用法( ~し尽くすの意味合いになってくる=完了の意味がある)
  Me como el melon. (私は、メロンを食べてしまう) (comerse  平らげる)
  Vete.(あっち行け!  うせろ!  消えちまいな!)
(irse  行ってしまう:命令)
エ)相互用法( お互い~しあうの意味):「自分自身に~スル→複数になると~しあう」
  Juan y Carmen se quieren mucho el uno al otro.(mutuamente)
(フアンとマリアは、お互いにとても愛し合っている。)
オ)再帰動詞でしか使用されない動詞
  Siempre aquella tia se queja del ruido del vecino.
   (quejarse de  ~ニ不平を言う)
(いつもあのおばさんは隣人の音にぶつくさ言っている。)
Me atrevo a decir la verdad. (atreverse a + inf.  強いて、敢えてinf.する)
(僕は敢えて真実を言うよ。)
 あなたは、再帰代名詞を与格、対格の人称代名詞と混同しそうになるでしょう。が、
「主語=再帰代名詞=動詞の活用」で「人称一致」しているのが一大重要ポイントなの
で、何も心配することも不安がることもありません。
 次回は、いよいよ動詞の法、時制、相へと話しが展開して行きますのでご期待くだ
さいませ!

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