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【第35講】 スペイン語文法入門―兵法的外国語学習への誘い―(その13)

time 2009/10/08

孫子塾副塾長・孫子塾関西支部長
同志社大学/京都外国語大学・スペイン語非常勤講師
米田 富彦
http://espania.okigunnji.com/2008/06/post-1.html
みなさんに最近の興味深いスペイン・ネタの本を紹介します。それは、バルタ
サール・グラシアン(Baltazar Gracia’n 1601~1658)という17世紀スペイン
のイエズス会司祭であり哲学者であった方がお書きになられた『至高の哲人』
という名言集です。


グラシアンは、日本でも「グラシアン基金」というスペイン政府学術助成金の
名称になっているくらいで、後世の他の欧州の哲学者、思想家たちにも影響を
与えたスペインが生んだ傑物であり、欧米ではメジャーな存在です。このよう
な現実がありながらも、日本では、本講座でも敢えてスペイン学の現状と実態
(要するに語学屋の正体)を指摘して来たように、スペイン学そのものへの無
関心や学術面でのレベルの低さもあって、殆ど紹介もされなければ、スペイン
学研究を標榜する人たちの手になるまともな翻訳もなされたことがなく、大変
残念な実情を呈していました。
そもそもグラシアンの原本(17世紀のスペイン語。セルバンテスと同時代で
す)は、いささか「古典」の部類になりますし、その翻訳の場合には、当該の
語学以外に政治、文化、歴史、哲学などの幅広い背景知識から、かなりの学術
的、学際的な力量も求められます。よって、大学の外国語科目あたりで初学者
相手の語学さえやっていればよい「スペイン語屋」の次元では到底無理なもの
でもあります。
残念ながら、日本では、「日本イスパニヤ学会」のような”学術団体”なるも
のが既に存在してはいるものの・・・元々、スペイン、ラテンアメリカ関連の
研究は、学術的な層があまり厚くはなく(よって、みなさんが参入しやすいこ
とはいろいろと調べてみれば判明します)、たとえスペイン哲学の研究を自称
する人がいたとしても、グラシアンの著作をきちんと日本語に翻訳(思想、哲
学の本として)できるような人がいない・・・というのが実相です。グラシア
ンが世界的な有名人でありながらも日本では認知されていない原因はこのよう
なところにあるのです。
グラシアンの作品は、一見すると、その内容たるや”人”の実相を見切った電
撃的衝撃を受ける如き指摘が多く、むしろマキアヴェッリや韓非子の作品のよ
うな印象を受けるものです。が、今流行の成果だ!勝利だ!とかを宣伝文句に
している「目先的結果獲得優先」のパターンが多い”自己啓発系”の本を購入
するのならば、グラシアンの著作を購入して、じっくり自分で考えてみると、
それなりに本当の熟した結果を得られるものがありましょう。
みなさんも、本講座を機会として、スペイン語を学んで、スペイン、ラテンア
メリカの世界へ参入すれば、幾らでも面白い活躍が可能です!実は、『至高の
哲人』の翻訳者は、ドイツ哲学の研究者です。グラシアンの著作は、他にも
数点が日本語に翻訳されています。が、それらの翻訳者は、みんなスペインや
ラテンアメリカの研究者ではありません。
グラシアンは、かの有名なバロック絵画の巨匠、宮廷画家ベラスケスと同時代
人であり、彼の生きた時代とは、欧州最強を誇った軍事大国、新大陸からの富
で繁栄した”スペイン帝国”のゆっくりとした”没落”(この時代を現代のア
メリカ合衆国と複数の他国と比較することも興味深いでありましょう)と共に
ありました。軍事史では、ドイツ三十年戦争があり、スペインは、対オランダ
戦、対フランス戦と既成の”テルシオ”(イタリア-スペイン流戦争術)に対抗
する陣形や編制(フランス-オランダ流戦争術)が産み出されて来た”軍事革命”
などの言葉でも興味深い時代です。是非、みなさん、グラシアンの作品を書店
でご覧になってみてください。
(33)スペイン語文法入門―兵法的外国語学習への誘い―(その13)
今回から、名詞の仲間の品詞について学んで行きましょう。一足飛びにスペイ
ン語文を読みたいでしょうが、じっくり基礎を巻き込んで行ってください。
これが長文解読の実力形成につながるのです!
☆名詞と形容詞について
元々、西洋の文法の名詞と形容詞についての「発想」とは:
“nombre”(名前=具体的な「もの」・抽象的な「こと」の名前・・・)とい
うのが次の二つの名前として認識されていました。それらは:
ア)substantivo(“実体的な”名前):”実体的な”とは=”もの・ごと”です。
 例)家、山、愛、自由・・・など
(”もの”の名前=具象名詞、”こと”の名前=抽象名詞と中学校で習ったと
思います。)
イ)adjetivo(“付随的な”名前):”付随的な”とは=上の実体的な名前に”付加する名前”です。
 例)古い(家)、高い(山)、永遠の(愛)、力ずくの(自由)等
というような「単独使用/不単独使用」というような区分をしていたのでした。
この西洋の文法の名詞と形容詞についての「発想」=ラテン語文法では、現在、
名詞と呼ばれたり、形容詞と呼ばれたり、代名詞と呼ばれているような言葉は、
同じカテゴリー=「性・数・格」を有する言葉というところから、ラテン語で
“nomen”(ノーメン)=「名詞類」と言ったまとめ方をしていたのです。
現在では、名詞と形容詞を分けて考え、文法書にも分けて解説していますが、
名詞・形容詞の両者が対立的に用いられ始めたのは、時代的には「近世」以来
のことなのです。名詞と形容詞は、欧州では、ながらく”同じもの”として
考えられてきました。形容詞は、名詞と同じ仲間なので、外国語の文を解読す
る時には、形容詞があれば、”付加している名詞”を考えれば、日本語への
解読ヒントもでて来ましょう。
☆形容詞とは何か
古代ギリシアにおいては、”epitheton”(エピテトン。古典ギリシア語です)
という名称がありました。が、これがラテン語に訳されて、今日の”adjectivum”
(アドイェクティーウゥム。ラテン語です)という言葉(英語のadjective:
アドジェクティヴ=形容詞)になりました。ギリシア語でもラテン語でも共に
(名詞への)「添えことば」といった意味を持っています。
(ad-:傍らに,-ject:横たわる→”名詞に添い寝”している言葉なのです)
形容詞というのは、名詞に関する情報(=意味の増減・深浅・長短・・・)を
操作する働きがあります。よって、名詞が表している情報を形容詞を付加する
ことで上昇(持ち上げる、偉く高等にみせる、プラスイメージ)、下降(貶め
る、マイナスイメージ)、特殊化(差別化、個別・孤立の方向へ導く)、一般
化(特殊化の反対、普通のことにして行く)といった操作を行うことが可能と
なるのです。
簡潔明瞭な情報とは、形容詞があまり無いと思います。故に、スローガンや連
呼する文句などには名詞に形容詞があまり沢山付加されることはないようです。
この反対に形容詞が多い場合には、言葉を発している本人がアピールしたいこ
とが沢山ある=自分を解って欲しい、言い訳がましいのですし、そこから、
冗長な感じをうけたり、聞いていて蛇足的な感じをぬぐえない場合もあります。
形容詞とは、特に、陳述書、調書、報告書、小論文などの作成には、
「ある/ない」が諸刃の剣になっています。
☆スペイン語の形容詞は、表す意味から次の二つに分類できます
ア)・相対的形容詞(adjetivo relative アドヘティーボ レラティーボ)
 他の対象物と比較してはじめて認められるもの。(反意語で対になる)
 例) mucho 多い、poco少ない等
イ)・絶対的形容詞(adjetivo absolute アドヘティーボ アブソルート)
 他の対象物と比較してではなく、対象それ自体に備わっている性質を表すもの。
 例) verde みどりの、rojo 赤い等
☆スペイン語の形容詞の「用法」は次の二つです。
ア)附加語的用法(atributivo アトリブティーボ)
 ex. la flor hermosa
 (その 花 美しい →日本語の語順に直す→「その美しい花」)
 
この”付加語的用法”とは、スペイン語の語順では普通、名詞に後置修飾
(名詞の後ろに置く)されるのが普通です。
※しかし、多少、善悪、大小などを表す形容詞は、前置修飾であり、さらに不
規則な比較級や最上級を持っているのが”印欧語”の特徴でもあります。
 例: mucho(多い), poco(少ない), bueno(良い), malo(悪い)
 ex. Muchas gracias. Buenos Aires
イ)述語的用法(predicativo プレディカティーボ)
 ex. La flor es hermosa.(The flower is beautiful.)
 (その 花 です 美しい →「その花は美しい」)
この用法は、”つなぎ動詞”( “~です”= ser 動詞 / 英語 = be 動詞のこと)
の後ろで、主語( 名詞) の性・数・格(この場合には、「A=B」の論理を表し
ます。よって、”補語”とは、主格と同じ格になります)に一致します。
英語で言えば、S+V+C(補語)の文型と同じ用法です。
☆スペイン語の形容詞の”語尾変化”のパターン
形容詞とは、元々は名詞と”同根”なのです。よってカテゴリーを合わせます。
即ち:
付加する名詞の”性・数”に語尾を一致させます。そして、次の4つのパターン
を認識してください。
・A型:語尾が ”-o”で終わるもの
・B型:語尾が ”-o”以外の母音で終わるもの(” -e” が多い)
・C型:語尾が 「子音」で終わるもの(”-l”が多い)
・D型:国名・地名形容詞(-l, -・n, -・s で終わるもの)
では、それぞれの型を見て行きましょう。憶えやすくするには、ここで声を出し
て最低三回繰り返してみましょう。
・A型:語尾が”-o”で終わるもの
 男性単数(-o)、男性複数(-os)、女性単数(-a)、女性複数(-as)の四種類あります。
例)”alto”(背の高い)
 男性単数 el chico alto (背の高い少年)
 男性複数 los chicos altos (背の高い少年たち)
 女性単数 la chica alta (背の高い少女)
 女性複数 las chicas altas (背の高い少女たち)
・B型:語尾が”-o”以外の母音で終わるもの(” -e” が多い)
 単数は、性に関わらずそのまま。複数語尾が”-s”のみ。
例) “verde”(緑の)
 男性単数 el sombrero verde (緑のつば付き帽子)
 男性複数 los sombreros verdes (緑のつば付き帽子・複数)
 女性単数 la mesa verde (緑のテーブル)
 女性複数 las mesas verdes (緑のテーブル・複数)
・C型:語尾が「子音」で終わるもの(”-l”が多い)
 単数は、性に関わらずそのまま。複数語尾が”-es”のみ。
例) “azul”(青い)
 男性単数 el libro azul (青い本)
 男性複数 los libros azules (青い本・複数)
 女性単数 la camisa azul (青いシャツ→かのファランヘ党のシンボル)
 女性複数 las camisas azules (青いシャツ・複数)
・D型(国名・地名形容詞→これには甲・乙・丙の三種類があります)
 D型―甲・既出のA型とB型のパターンの混交タイプです(国名・地名の形
容詞です)
例) “espan~ol”(スペインの)
 男性単数 el chico espan~ol (スペイン人の少年)
 男性複数 los chicos espan~oles (スペイン人の少年たち)
 女性単数 la chica espan~ola (スペイン人の少女)
 女性複数 las chicas espan~olas (スペイン人の少女たち)
 D型―乙・語尾音節にアクセントがあるもの(国名・地名の形容詞です)
例) “france’s” (-e’s 型)(フランスの)
 男性単数 el chico france’s (フランス人の少年)
 男性複数 los chicos franeses (フランス人の少年たち)
 女性単数 la chica francesa (フランス人の少女)
 女性複数 las chicas francesas (フランス人の少女たち)
 D型―丙・ 語尾音節にアクセント(国名・地名の形容詞です)
例) “catala’n” ( -a’n 型)(カタルニアの)
 男性単数 el chico catala’n (カタルニア人の少年)
 男性複数 los chicos catalanes (カタルニア人の少年たち)
 女性単数 la chica catalana (カタルニア人の少女)
 女性複数 las chicas catalanas (カタルニア人の少女たち)
※特に国名・地名を表す形容詞(D型乙・丙)は、アクセント符号の有無、
そして語尾の一致に注意して下さい。
国名・地名の形容詞で語尾がうっとうしいのは”スペインの”だけですね。
国名・地名形容詞の面白いお話しですが、スペイン語の世界では、「中国人街」
という意味のある”el barrio chino”と言えば、そこには実際に中国人など
住んでいないところが殆どです。しかし、もし、現地の人からそこは、
“Barrio chino”ですよ・・・と聞いたらなら、所謂、悪人のたむろする魔窟
のような地区を指していますので、外国人としては決して近寄らないことです。
※スペイン語には、地名形容詞というのが英語よりもあります。日本の地名も
幾つかありますので、憶えておいてください。
Tokio (東京)= tokiense (東京の、東京の人)
Kioto (京都)= kiotaco (京都の、京都の人)
Osaka (大阪)= osakano あるいは osaquen~o(大阪の、大阪の人)
例)la costumbre osaquen~a 大阪の風習・習慣
ドリル)
次の名詞の後ろにある形容詞を相応しい形にしなさい。
la casa (negro) (黒い家)
el libro (blanco) (白い本)
la mesa (verde) (緑のテーブル)
el cielo (azul) (青い空)
el chico(catala’n) (カタルニア人の少年)
los chicos (espan~ol) (スペイン人の少年たち)
las chicas(alema’n) (ドイツ人の少女たち)
la chica(france’s) (フランス人の少女)
los estudiantes (italiano) (イタリア人の学生たち)
el problema (difi’cil) (難しい問題)
las cuestiones (fa’cil) (易しい質問・複数)
los puntos (importante) (重要な点・複数)
la tortilla (espan~ol) (スパニッシュ・オムレツ:中に色々と具を入れた
卵焼き)
la tortilla (france’s) (フレンチ・オムレツ:何も入っていない卵焼き)
では、次回をお楽しみに。
(つづく)

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