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D・パークス、R・ブライアン(共著) 友清仁(訳):最強軍団 アメリカ海兵隊 テロとの戦い最前線

time 2009/09/11


『最強軍団 アメリカ海兵隊 テロとの戦い最前線』
著者:D・パークス、R・ブライアン(共著)
訳者:友清仁
出版社:並木書房
発行日:2009/8/25
http://tinyurl.com/l6v7ca
<(前略)ちょっと世界を見渡しただけでも、海兵隊よりもはるかに尊敬を受けている軍隊を見つけることができる。


世界一のエリート戦闘集団として認められている海兵隊員たちは、多大な尊敬を受けていることは間違いないが、一方でその尊敬と同じくらい誤解を受けている集団でもある。(後略)>
以前メルマガでも書きましたが、米海兵隊に対する一般の印象は「ならず者の吹き溜まり」というイメージが強いようですね。
残念ながらそのイメージとはかけ離れているのが海兵隊の実態です。
<現在のブーツたち(海兵隊の俗語で新兵の意)は、大学に進学するか海兵隊に入るかを迷った末、海兵隊に志願してきた者ばかりである。>(P13)
米海兵隊といえば以前、越前谷さんの『デビルドッグ』をご紹介しました。
お持ちの方は、本著とあわせ読むと、より立体的かつ有機的に海兵隊理解が深まることでしょう。
本著は、今の米海兵隊を理解把握する上で欠かすことのできないガイドブックです。書店さんには、ミリタリー書の棚だけではなく、ミリタリー系雑誌のラックにも置いていただきたい内容です。
詳細な兵器の紹介や部隊、海兵隊式教育システムの解説はもちろん、優れた軍事啓蒙書に必ず含まれている「そこに所属する人間をいかに育てるか」「戦争とは何か」に関する記述があります。
いかなる軍隊でも最も重要なのは演練ですが、海兵隊の場合、いったい何が重視されているのか?が本著を読む中でよく把握できる構成になっています。
キーワードは、「適応能力」ということになりましょうか。
また、湾岸戦争、テロとの戦い、イラク戦争を中核とする実戦記録を通じて、海兵隊の特色や装備、訓練、隊員の意識等を解説している第2章、第3章は圧巻です。有機的に軍隊を解説するお手本だなと感じました。
あわせて、訳者の友清さんがあとがきで述べられていますとおり、
・イラク戦最大の激戦となった「ナシリアの戦闘」
・バグダッド陥落後のファルージャにおけるテロリストの戦いをはじめとする、テロとの戦い・イラク戦争の最前線をここまで明らかにした本は、少なくともわが国にはないと思います。
テロリストがどういう形で攻撃を仕掛けているのか?もよくわかります。
この点でも貴重な資料といえるでしょう。
21世紀の海兵隊の任務は市街戦および平和維持活動の警察的任務に移行するとされていますが、これに代表される変革の真只中に海兵隊はあります。(というより、軍事界全体がその渦中にあると見るべきでしょう)
著者は海兵隊HPをはじめとする海兵隊広報誌の編集者で、通常以上に海兵隊を知っているはずの人ですが、その人でさえ「はじめに」で
<本書を書き出してすぐに私の知識が不足していることを痛感した。わたしの知っている知識では、第1章さえ満足に書くことができなかったのである。ひたすら調査、調査のくり返しであった。>(P9)
と述べています。
実に正直なことばだと思います。
海兵隊が他の軍種と決定的に違うのは
「常に臨戦体制にある」
ということであり、
「陸海空軍が持つ装備をすべて保有している(規模は違いますが)」
という点にあります。
本著の第2章ではこのあたりのことが詳しく解説されています。
各軍の特色について記されている部分を引用します
<海軍は、海上から敵を攻撃することを意図している。空軍はアメリカ本土上空、さらには宇宙から本土を防衛するとされている。また陸軍は、陸上での軍事作戦に対応するため大兵力を維持している。
陸、海、空軍は、大兵力を擁するため、いかなる作戦も独自に行うことができる能力、つまり自己完結性を持っているものの、弱点がひとつだけある。(後略)>(P27)
弱点については本著をお読みいただきたいのですが、その弱点を補うのが海兵隊ということになります。
現在も、「テロとの戦い」の最前線にいるのが米海兵隊です。
米海兵隊は、単に米軍の代表ではなく、国際社会の「テロには断固対処する」とする意思を示す軍隊といえる存在です。
わが国は現状のまま自衛隊を出してはなりませんが、米海兵隊を初めとする諸国の軍隊が、わが国も決して無縁ではない「テロとの戦い」で今も出血している事実を、本著を通じて忘れないようにしたいものです。
第4章では、今後の展望がかかれています。
個人的には「海上基地構築」に興味を持ちました。
読了して感じたことは、
海兵隊を応援し、擁護し、その士気を上げ、守ることのできる民の言論がおおっぴらにできる米という国と海兵隊は幸せだな、ということでした。
こういう素晴らしい読み物を邦訳し、われわれに提供する機会をくれた並木書房さんに感謝するばかりです。
おそらく本著は、21世紀の海兵隊読本になることでしょう。
「いまの海兵隊」を知ることのできるコンパクトな事典である本著を、越前谷さんの『デビルドッグ』とあわせて、ぜひお読みください。
オススメします。
写真が非常に多く、豊富で有機的な内容である割にはボリュームが少ない(全143ページ)のもオススメできるところです。
本日紹介したのは
『最強軍団 アメリカ海兵隊 テロとの戦い最前線』
著者:D・パークス、R・ブライアン(共著)
訳者:友清仁
出版社:並木書房
発行日:2009/8/25
http://tinyurl.com/l6v7ca
でした。
■もくじ
はじめに
第1章 海兵隊の新兵訓練 ー勝つために訓練する
誤解されている戦闘集団
伝説の海兵隊員たち
新兵募集の新しい試み
最初の試練
13週間の新兵訓練
54時間続く最後の試練
海兵隊士官学校(OCS)
第2章 海兵隊の組織と戦い方 -勝利は、戦いが始まる前から約束されている
紛争から6時間以内に派兵
予期せぬ状況を乗り越える
成功した戦車救出作戦
「仲間」と「勇気」は同意語
高まる海兵隊の遠征能力
海兵空地任務部隊(MAGTIF)
海兵遠征部隊(MEU)
海兵遠征旅団(MEB)
海兵遠征軍(MEF)
海兵隊員はライフルマン
海兵隊の戦闘支援部隊
戦争の3段階
海兵隊ドクトリンと戦闘
「勝つまで戦い続ける」
世界で5番目の航空戦力
海岸上陸は海兵隊のお家芸
水陸両用車「AAV7」
次期水陸両用車(AAAV)
海兵隊を支える戦闘技術研究所
最精鋭のフォースリーコン
スカウトスナイパー
砲兵部隊との連携プレー
3発同時着弾の高度な砲撃
海兵隊の車両に対する考え方
近接航空支援
AH-1W攻撃ヘリ「コブラ」
AV-8Bハリアー2
戦闘による損害
計略による戦争
ラマディの戦闘
アフガニスタン:「不屈の自由作戦」
リノ前線基地でのタリバン掃討
検問所での戦闘
ふたたび、海兵隊員とは
第3章 テロとの戦い -新たな戦場に対応する
戦場が都市部に変わった
中東の市街戦
海兵隊の市街戦プログラム
困難な自爆攻撃との戦い
イラク戦争:フセイン大統領宮殿の制圧
ナシリアの戦闘
ジェシカ・リンチ1等兵の不運
ナビゲーションシステムの誤作動
待ち伏せ攻撃にパニックに
「私はレイプされて殺される・・・」
救出作戦は失敗した
橋を制圧せよ
友軍の誤射で危機に立つC中隊
ウンムカスルの戦闘
戦わずに逃げ出したイラク兵
北進、バグダッドへ
バグダッドへの攻撃開始
バグダッド市民の歓迎
新たな敵、テロリストの登場
テロリストの戦略
海兵隊の苦悩
アフガニスタンのテロリスト
息を吹き返したテロリスト
イラク戦争:ファルージャの激戦
超至近距離の戦闘
命に代えても仲間を守る
海兵隊は全力をもって反撃する
戦闘で倒れた者は天使になる
帰りを待つ家族のもとに
第4章 これからの海兵隊 -米国の防衛を担う最強の組織
海兵隊の強みは高い適応能力
新たな任務「テロとの戦い」
注目されるリーダー育成法
新たな戦闘組織
次世代指揮発令所と海上基地
新たな補給組織
航空戦力の更新
海兵隊の特殊部隊論
資料 海兵隊が参加した主な戦い
チャプルテペックの戦い(1847年9月12日~13日)
ベローウッドの戦い(1918年6月1日~26日)
ガダルカナルの戦い(1942年11月20日~1943年2月9日)
タラワの戦い(1943年11月20日~23日)
硫黄島の戦い(1945年2月16日~3月26日)
長津湖の戦い(1950年11月26日~12月13日)
訳者あとがき
本日紹介したのは
『最強軍団 アメリカ海兵隊 テロとの戦い最前線』
著者:D・パークス、R・ブライアン(共著)
訳者:友清仁
出版社:並木書房
発行日:2009/8/25
http://tinyurl.com/l6v7ca
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