メールマガジン「軍事情報」のホームページ

創刊2000年10月のメールマガジン「軍事情報」です。

2011年日中開戦&失敗の中国近代史

time 2008/04/26

わがマンガ
わが国のマンガが、質量ともに世界最高レベルにあることはよく知られています。時代を経るにしたがって、マンガという表現媒体の社会に与える影響力が大きくなっています。

これはたとえば『マンガ日本経済入門』からはじまり『嫌韓論』の大ブームへとつながる「教養・自己啓発系マンガ」の流れで顕著ですね。今回ご紹介する『2011年日中開戦』も、その流れに位置するものと見てよいでしょう。

私が思いますに、

作るのが難しい
この分野でよき作品をつくるのは非常に難しいのではないでしょうか?
テーマに対する正確な知識、読み手を厭きさせないストーリー性、そして描画自体の品質の高さ、この三つのバランスが取れていないと駄作になってしまうように思うからです。

あわせてマンガには「吹き出しにあるせりふ」という独特の世界があります。
ここでどれだけ読み手にとって「印象深く」「感情を揺さぶる」言葉を使うか。
これこそが、作品の死命を決するキモかもしれません。

本作品の原作はあの兵頭二十八さんです。一番目の条件はこれでクリアできました。
あとのふたつはどうだったかというと・・・

絶品のセリフと心配り

独特のクールさに馴染めない人がいるかもしれませんが、ストーリー展開が実に面白く、登場人物の魅力が十分表現されていることに驚くばかりです。
あわせて、先ほど取り上げた「セリフ」の選択が実に素晴らしいですね。現実を示唆する言葉も多々ありますし、感動してウルウルすることばは、あちこちに散りばめられています。

あくまで仮想の出来事を表現した作品ですが、読んでいるうちに現実との境目がまるでわからなくなってくる。そういう凄みも持っています。

それと全体を通して思うことですが、この作品には深みを感じます。「いまそこにある危機」を、ナマにではなくさりげなく読み手にあちこちで伝える姿勢からは、マガジン発行人としても大いに学ぶところがありました。

読み手を深いレベルの考察に導く良質な心配り。
大人の余裕を感じさせてくれる作品です。
そかしこれだけでは終わらないんですよね・・・

立体的な視野を得る

『2011年日中開戦』は、題名どおり未来の話です。これをよみながらある本を並行して読めば、現在過去未来の「中国」の全貌が浮き上がって見えてくるようになります。「歴史軸によるタテの比較」が読み手に可能となるからです。

その本が『失敗の中国近代史』です。

『2011年日中開戦』にも登場する中共指導部の言葉の背景にある歴史的事実、「中国」なるものの本質的な姿勢など、その場で折に触れて確認できるわけです。著者は、清王朝末期から支那事変に至るまでのいってみれば「中国」誕生時代の歴史を時系列で表現します。軍事にも造詣が深い著者は、作戦・統帥面から見たシナの特質にも言及されています。

たとえば日清戦争やアヘン戦争のときのシナ政府高官の態度を読むと、『2011年日中開戦』にある1シーンと共通するものが見えてきます。また、「清」「中国」が過去どういう経緯を経て戦に突入したかを知ることもできます。『日中開戦』での経緯と比較考慮するのも大変面白いです。

孫文の国民党が作った中華民国なるものの実体が社会主義国であり、それが現在の中共を産む基盤になっていることも改めて理解できます。軍事面から「中国」史を考察する姿勢は、かの国の行動・意図・歴史を捉える上で必須の視点と思います。シナにおける類著はたぶんないと思います。その意味でも貴重な本といえますね。

そんなこんないっているうちに二冊を読み終えて・・・

ハイブリッド読みを終え、感じることですが、

シナで政治を執る者は、シナ国民のことなどこれっぽっちも考えていないですね。彼らにとって教養が意味するのは、彼らをいかに自分の都合のよい方向に動かすための道具、なのでしょう。

同じ漢学でも、わが国に入ってきたら「自己修養」になりましたが、かの国では「支配者の道具」としてしか扱われなかった。「わが国とシナの文明の違い」に改めて気付かされます。

こういう視点を得られたのも、二冊を通じて立体的にシナを把握できたからかもしれません。あなたはハイブリッド読みから得られる立体的視野から何を導き出されるでしょうか?大変興味があります。私の場合、こんな感じでしょうか・・・

オススメします

シナ大陸の政治はつねに、時代の流れとともに国民に打倒され、新しい王朝に変わるという治乱興亡の中にあります。いくら中共が永久の国家になりたいと願っていろいろ策を弄しても、この宿命から逃れることは結局不可能でしょう。

わが国朝野が一般の常識でシナを捉えている限り、日露戦争以後の外交と同じ過ちを繰り替えすことになるでしょう。
そうならないためにも、この二冊を同時並行で読み、立体的な視野からシナを見る姿勢を身につけることは意義あることだと思いますね。

それとあわせて、両作品とも、わが国の問題点に多くの気付きを与えてくれる本です。「敵を知り、己を知る」ことが可能な作品です。
オススメです!!

ハイブリッド読みをお薦めした本はこの二冊でした。

『2011年日中開戦』
 兵頭 二十八, 倉橋 光男, 時役 佳ニ
 マガジン・マガジン
 2008年5月10日発行

『失敗の中国近代史』
 別宮暖朗 著
 並木書房
 2008年3月10日発行


sponsored link

down

コメントする




CAPTCHA


このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください

その他

英霊来世

メルマガ購読・解除
 

自己紹介

おき軍事

おき軍事

軍事に関する歴史から技術、戦略・指揮統率、こぼれ話、今の自衛隊事情、インテリジェンス、そして軍事英語まで。軍事に関わる全てのことがらをカバーしている日本唯一の無料総合軍事メルマガです。配信はほぼ毎日。 執筆者は、将軍、提督、元米軍士官、軍制史の権威、ベテランライター、インテリジェンスのプロ、防衛問題研究家など。20年の歴史を持つメルマガならではの、他では得られない粒ぞろいの陣容です。 冷戦構造の崩壊を契機に、千年に一度レベルの大激動時代に入った世界でわが国がサバイバルするには、国民レベルで「現代の武」をわきまえておく必要があります。 それに資する情報を無料で伝えています。

作戦司令部の意思決定ー米軍「統合ドクトリン」で勝利するー

日米中激突! 南沙戦争

情報戦と女性スパイーインテリジェンス秘史ー

猫でもわかる防衛論

『日の丸父さん』石原ヒロアキ


「日の丸父さん」(1)
「日の丸父さん」(2)

脚気と軍隊ー陸海軍医団の対立ー

検証 危機の25年ー日本の安全保障を真剣に考えるー

メルマガ登録

ガントリビア99―知られざる銃器と弾薬の秘密―

図解 孫子兵法ー完勝の原理・原則ー

中国戦略”悪”の教科書ー「兵法三十六計」で読み解く対日工作ー

オリンピックと自衛隊 1964-2020

中国が仕掛けるインテリジェンス戦争ー国家戦略に基づく分析ー

「地政学」は殺傷力のある武器である

戦略的インテリジェンス入門ー分析手法の手引きー

新史料による日露戦争陸戦史ー覆される通説ー

大東亜戦争と本土決戦の真実ー日本陸軍はなぜ水際撃滅に帰結したのかー

誰も語らなかった防衛産業

日本人はどのようにして軍隊を作ったのかー安全保障と技術の近代史ー

あなたの習った日本史はもう古い!ー昭和と平成の教科書読み比べー

兵法の天才 楠木正成を読むー河陽兵庫之記 現代語訳ー

インテリジェンス

アーカイブ

あわせて読みたい

あわせて読みたい

人気の検索キーワード

最近検索されたキーワード

カテゴリー

sponsored link

メルマガ購読・解除
軍事情報
   
バックナンバー
powered by まぐまぐトップページへ


「日の丸父さん」(1~12話)
高速バスの予約 icon