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『作戦司令部の意思決定 ー米軍統合ドクトリンで勝利するー』 堂下哲郎(著)

time 2018/10/09

『作戦司令部の意思決定 ー米軍統合ドクトリンで勝利するー』 堂下哲郎(著)

「難しい内容をかみ砕き、例示も豊富、コンパクトにまとまっている」

「早速、大学の授業で活用、図書館にも入れさせてもらいました。経営戦略、組織コミュニケーションにも有益な内容です。」

「作戦を組立てる側から理解でき目から鱗でした。防衛、外交関係者、さらには一般の読者にとっても有益な内容を、詳細かつ分かりやすくまとめられている。」

「政府機関の政策決定や企業経営者の意思決定にも、広く応用できるヒントが含まれている。」

(読者感想の一部)

本著は、作戦司令部の意思決定プロセスがわかる書ですが、
スタッフ組織の意義、大切さを理解、再確認できる点でも
実に優れた内容です。

わかっていそうでわかっていない
リーダーシップと意思決定の関わりを把握できます。

作戦指揮官の意思決定は、作戦司令部がなければ
なしえないことがわかるとともに、これは何も軍だけの
はなしじゃないぞ?ということに気づかせてくれます。

危機対処にあたる「戦う組織」には、
優秀で生産性の高いスタッフ(幕僚)能力が欠かせません。

そのキモとなるのが
「長い年月の間に普遍化されてきた軍の意思決定プロセス」
です。

そこで堂下さんは、
米軍が長年かけて作り上げた統合作戦司令部の「意思決定プロセス」
の公開情報を元に、ご自身の艦隊司令部、米中央軍司令部等での経験
を通じて感じたことなどをまとめあげ、すべての「戦う組織」の参考に
なる「作戦司令部の意思決定技法」を世に問われました。

著者によれば、この本の目的は2つあります。

1.軍事作戦を「規模との戦い」と「不確実性との戦い」という
2つの側面からとらえる

2.抽象度の高い戦略論や、個々の兵器レベルではない
「作戦レベル」で、軍事作戦がどのような考え方や手順で
計画・実施されているかを提示する

政治・外交がらみの戦略レベルのはなしや、兵器レベルの
はなしに終始するだけでなく、この本を通じて、両者をつ
なぐ「作戦レベル」の感覚を持てるようになり、

現実の国際情勢をより深く把握できるようになるので、
より正鵠を射た情勢判断へとつなげることもできる
でしょう。

本著の概略は次のとおりです。

第一章は、戦いの階層、作戦の成り立ち、作戦術やJOPP
の考え方を理解することで議論の土台を作る章です。

つづく第二~四章で具体的な手順の説明が行われます。

第二章は、JOPPのステップ1と2にあたる初期的な
「作戦アプローチ」の解説です。

第三章は、前章で導かれた初期的な「作戦アプローチ」に
対して、空間や時間的要素のアレンジを加え、「分岐策」
などを組み込み、フェーズに区分して「作戦アプローチ」
を完成させて視覚化する手順が解説されます。

あわせて明らかになったリスクとその対策、計画作業を進
めるうえで必要な仮定や制約、作戦評価や情報収集の準備
を進め、JOPPの前半の作業のまとめとして、計画チームが
行なった検討結果を部隊全体にブリーフィングして、以後
の計画作業の指針を示すところまで描いています。
通常の作戦アプローチはこれで完成です。

第三章までで、
作戦計画作りは計画チームの手を離れ、
第四章からは、関係する全部隊の司令部の作業の解説と
なります。

第四章は、「使命分析ブリーフィング」と「計画指針」と
して示された「作戦の包括的指針」を受けて、部隊ごとに
「行動方針」を練り、ウォーゲームで分析・検討し、作戦
計画や命令案を作る手順の解説です。 計画や命令が完成
したら作戦の実行段階へ移行します。

第五章は、作戦を実行する作戦司令部の組織や態勢につい
て解説しています。「作戦指導」のあり方、業務処理上の
工夫、指揮下の部隊や上級司令部との同期性を確保する方
策、指揮官の意思決定や作戦指導のための4段階サイクル
とそれを支援する態勢について説明しています。 最後に
「作戦指導」にあたってのいくつかの留意点について触れ
られています。

第六章は、意思決定を阻害する「落とし穴」とそれを回避
する方法について述べられています。 意思決定を阻害する
「要因」「落とし穴」は、意識することである程度回避す
ることが可能であり、「レッドチーム」を機能させること
でなお効果的になることがわかります

もくじは次のとおりです。

————————–
はじめに 1
事例としての「イラク戦争とフォークランド戦争」10

第1章 作戦、作戦術とは何か 15
1)戦いの階層と「戦略」「作戦」「戦術」16
2)統合部隊と統合作戦 20
3)6フェーズ作戦モデル 22
4)柔軟抑止選択肢 26
5)「作戦術」「作戦設計」「JOPP」30

第2章 初期的な作戦アプローチを導く 39
1)計画作業を開始する 40
2)使命を分析する 45
3)作戦環境を把握して問題を定義する 53
4)目標系列を確認して使命達成クライテリアを設定 57
5)重心を特定し戦い方を決める 63
6)暫定的な決勝点と作戦系列を決める 70

第3章 作戦アプローチを完成させる 75
1)作戦をアレンジする 76
2)作戦の流れを組み立てる 87
3)「作戦アプローチ」の完成 91
4)リスクを評価する 96
5)「仮定」を決め「制限」を明確にする 98
6)「作戦評価」や情報収集の準備をする 105
7)計画作業の包括的指針を示す 109

第4章 作戦計画を完成させる 111
1)行動方針(COA)案を作る 112
2)「ウォーゲーム」でCOAを分析・比較する 121
3)COAを比較して決定する 130
4)計画と命令を作成する 136
5)実行段階へ移行する 140

第5章 作戦を実行する 143
1)戦争指導と作戦指導 144
2)「作戦水平線」サイクルの発動 148
3)ハイブリッド編成の司令部 152
4)「バトルリズム」を構築する 160
5)作戦指導のための「意思決定サイクル」166
6)「作戦指導」に求められるポイント 175

第6章 意思決定を阻害する「落とし穴」181
1)個人に起因する要因 182
2)組織に起因する要因 189
3)「レッドチーム」で意思決定を支援する 193
4)「レッドチーム」による批判的検討 199
5)「レッドチーム」による敵の模擬 206
6)効果的な「レッドチーム」活動の条件 207

おわりに 210

付録1 平時と危機発生時の計画作業 214
付録2 統合作戦における命令の種類 217
付録3 統合作戦の原則 218
付録4 統合作戦計画標準様式 220
付録5 一般的な論理上の誤り 224
付録6 悪魔の代弁者 227
付録7 用語・略語集 228
付録8 作戦計画作成のためのJOPPステップと意思決定サイクル(折込図)

主要参考文献 235

コラム(1)「独創的な発想」とは? 33
コラム(2) 目標の堅持と柔軟性について 61
コラム(3)「行動の自由」とは? 104
コラム(4) 作戦のための文章 138

図1 戦いの階層:戦略・作戦・戦術レベル 18
図2 統合任務部隊の構成例 21
図3 6フェーズ作戦モデル 23
図4 作戦術、作戦設計、JOPPの関係 32
図5 問題の定義 56
図6 目標系列:エンドステート・目標・効果・任務の関係 58
図7 PMESII分析による重心の分析イメージ 64
図8 重心に対する防護と撃破の検討例 66
図9 直接アプローチと間接アプローチ 67
図10 作戦系列の例 71
図11 分野別非軍事活動系列の例 72
図12 初期的な作戦アプローチの導出 73
図13 作戦資材補給の概念 80
図14 縦深性の概念と活用例 83
図15 フェーズ区分 89
図16 フェーズ区分:分岐策、事後策、決心点 90
図17 大規模、長期作戦アプローチの完成 92
図18 分野別非軍事活動系列と支援目標の関係例 93
図19 時系列的な活動系列と相互関係の例 94
図20 「イラクの自由作戦」における作戦系列とスライスの関係(推測)95
図21 作戦評価の考え方 106
図22 「イラクの自由作戦」の作戦概念における全体線表(推測)121
図23-1 ウォーゲーム成果物:COAスケッチ 127
図23-2 ウォーゲーム成果物:決心支援マトリックス 128
図23-3 ウォーゲーム成果物:同期化マトリックス 129
図24-1 COA比較:加重数値比較法の例 131
図24-2 COA比較:ナラティブまたは箇条書き比較法(NEOの例)132
図24-3 COA比較:プラスマイナス比較法(医療支援の例)132
図25 3つの作戦水平線 149
図26 異なる階層の司令部間の垂直的統合 151
図27 Jコード編成の例 152
図28 機能/ミッション志向型ハイブリッド司令部編成の例 153
図29 PMBでの調整マトリックスの例 157
図30 作戦/計画同期化マトリックスの例 159
図31 タッチポイントの例 161
図32 週間および日々バトルリズムの例 162
図33 クリティカルパスの例 166
図34 指揮官の意思決定サイクル 167
図35-1 作戦環境:エスカレーション評価の例 170
図35-2 任務評価マトリックスの例 171
図36 作戦設計と作戦計画作業のバランス 173
図37 DUBスライド構成の例 174
図38 個人と組織に起因する「落とし穴」193
図39 利害関係者のマインドマッピングの例 197
図40 レッドチームの役割・手法と主な適用場面 198
図41 競合仮説分析の例 200
図42 SWOT分析の例 203
—————————-

統合戦の時代になったいま、
統合作戦司令部は、意思決定に当たって戦域(ドメイン)を
はじめとする飛躍的に広く深くなった検討事項と向き合い、処理し
(規模との戦い)、正鵠を射た指揮官の意思決定を導く(不確実性と
の戦い)必要に迫られています。

そのために作られた米軍の意思決定プロセスが、
この本では紹介されています。

意思決定に当たって、
昔とは比べ物にならない広く深い検討事項(コンプラなど)に
対処・処理し、よりよき意思決定を導く必要に迫られているの
は、ビジネスも同じです。

統合作戦指揮官と企業経営者は
意思決定に当たって、同じ課題と直面しているわけです。

その意味で本著は、
とくに不確実性が高い大規模企業経営者の意思決定を
支えてくれる書といえましょう。

統合作戦司令部の意思決定プロセスがわかる書ですが、
スタッフ組織の意義、大切さを理解、再確認できる点でも
実に優れた内容です。

統合作戦指揮官の意思決定は、統合作戦司令部がなければ
なしえないことがわかるとともに、これは何も軍だけの
はなしじゃないぞ?ということに気づかせてくれます。

政治・外交がらみの戦略レベルのはなしや、兵器レベルの
はなしに終始するだけでなく、この本を通じて、両者をつ
なぐ「作戦レベル」の感覚を持っていただきたいです。

作戦はいかに設計されるか?を解説しながら、
司令部というスタッフ組織への目を拓いてくれる
軍の意思決定のリアルを伝える実用書。

豊富な戦例を通じて血が通った解説。
北鮮情勢や戦史の実例を取り上げたコラムなど、
実のある読み物が充実したこの本を、
あなたにもぜひ読んでほしいです。

『作戦司令部の意思決定 ー米軍統合ドクトリンで勝利するー』
著:堂下哲郎
発行:並木書房
発売日: 2018/10/5
http://okigunnji.com/url/352/



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