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小峯隆生、柿谷哲也:『蘇る翼 F-2B』

time 2017/06/05

小峯隆生、柿谷哲也:『蘇る翼 F-2B』

こんにちは。エンリケです。

東日本大震災の被害を受け、修理を行っていたF-2Bの第一陣が昨
年3月、松島基地に帰還しました。このニュースをご覧になった人
は多いでしょう。

しかし多くは「よかったよかった」レベルで、背景事情、ほんとう
の意味・意義を理解している人は少ないのが実際ではないでしょうか?

この本は、東日本大震災時、松島基地で「海水漬け」になったF-2
Bの修復プロジェクトを丹念に追跡したドキュメンタリーです。

複座式のF-2Bは空自にとって戦闘機パイロット育成のため欠かせ
ない機体です。しかしF-2の生産はすでに終了しており、壊れたか
らといって新たに作ることはもうできない。このままいくと、わが
国防に大きな穴が空いてしまう・・・・

松島基地を再建し、F-2Bを復活させなければならない。

そう考えた人々は、震災後ただちに空幕内に「チーム松島」を設置。
前代未聞の「海水漬け」戦闘機の修復プロジェクトをスタートさせ
たのです。

彼らの尽力により、被災した18機のF-2Bのうち13機が修復さ
れ、再建中の松島基地に続々と帰還しています。

精密機械の塊である「戦闘機」。
津波で大きく損傷してしまった戦闘機を完全修復することなんてで
きるわけないよ。

素人でもそのくらいのことはわかります。それが常識でしょう。

しかしわが国には、その常識を乗り越える気概と気魄、洞察力、判
断力、実行力を持ち、実現させた政治家、軍人、民間技術者がいた
のです。そして彼らはいま、あなたと同じ時代を生きています。

損傷した航空機、施設、すなわち戦力をいかに回復させるか?いか
に何をなすべきかという「ダメージコントロール」を現実に実践し
たわが空幕。
そして実際に損傷機体の修復に取り組んだメーカーの「ものづくり魂」。
彼らを政治・財政面で支援した自民党と各省庁。

このプロジェクトは「日本」というものが成し遂げた偉業ではないか?
とすら感じます。

本著からは、感動的な舞台裏の報告を通じF-2Bの復活劇がいかに
すごいことであるかが把握できます。戦力回復がいかに困難な事業
であるか、国防基盤を支える環境がいかに重要であるか、もわかり
ます。こういった目に見えにくい部分も忘れず吸収しておきたいと
ころですね。今後の国防軍事ばなし・論に厚みが出るからです。

地震当日、津波襲来時の松島基地でF-2Bが壊れたことを知る人は
多い。しかし実際現地がどういう状況になって、その結果F-2Bが
どうなったか?を知る人はまずいません。

当時の松島基地トップ、隊員たちの声を通じて、そのことを
直接聞くことはまずできないでしょう。
しかし本著を読めばそれが手に入るのです。

たとえば、津波襲来時になぜ航空機を退避させなかったのか?
と、その判断力を疑問視する声もあったのですが、当時の判断が正
しかったことは、4空団司令兼ねる松島基地司令、基地現役隊員の
証言を通じてよく理解できます。

被災当時に的を射た迅速な対処ができた理由が、当時の4空団司令
兼ねる松島基地司令だった杉山さんの訓練方針の賜物といわれて
いる理由もつかめます。

実戦を想定した訓練を実施しにくいわが自衛隊が、基地の被災、装備の
喪失等々に直面したとき何が起こりどう対処するのが妥当か?を把握す
るケーススタディとしても非常に重要な書物といえます。

自衛官はもちろん、研究者や政策立案者、意思決定にかかわる人々は
目を通す必要のある内容ですし、自衛隊ファンや安保国防と真剣に
向き合っている一般国民にも必読の一冊といえましょう。

歴史の真実を伝える貴重な一次資料であり、
本著を元に各種環境整備の修正・立案にもつながりうる優れた報告です。

とにかく関係者の「ことば」が多く、その話が具体的で感動的で、
思わず引き込まれます。そういう本です。

著者と写真は以下の方々です。

—————————–
小峯隆生(こみね・たかお)
1959年神戸市生まれ。2001年9月から週刊「プレイボーイ」の軍事班
記者として活動。軍事技術、軍事史に精通し、各国特殊部隊の徹底的
な研究をしている。
著書は『新軍事学入門』(飛鳥新社)ほか多数。日本映画監督協会会
員。日本推理作家協会会員。筑波大学非常勤講師、同志社大学嘱託
講師。

柿谷哲也(かきたに・てつや)
1966年横浜市生まれ。1990年から航空機使用事業で航空写真担当。
1997年から各国軍を取材するフリーランスの写真記者・航空写真家。
撮影飛行時間約3000時間。
著書は『知られざる空母の秘密』(SBクリエイティブ)ほか多数。
日本航空写真家協会会員。日本航空ジャーナリスト協会会員。

—————————–

あなたも、本著を通じてF-2B復活に取り組んだ人々の姿を知り、
自分も日本人で本当によかった、とぜひ感じてほしいです。

「ヒゲの隊長」として知られる、元1等陸佐、元第1次イラク復興業
務支援隊長、元第7普通科連隊長兼ねる福知山駐屯地司令の佐藤正久
参議院議員も推薦の辞を寄せられています。

「F-2Bの復活は、わが国の安全保障のため重要なことである。
同時に福島出身の私にとっては、東北復興の第一歩でもあると確信
している!」

心からオススメです。

「蘇る翼 F-2B」
小峯 隆生 (著), 柿谷 哲也 (写真)
並木書房
発売日: 2017/6/5
http://okigunnji.com/url/237/

エンリケ

追伸
プロジェクトのキーマンへのインタビューを積み重ねるなかで、知
られざる快挙の舞台裏を丹念に再現した作品です。
http://okigunnji.com/url/237/



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