日の丸父さん(16 )「再会 永田曹長の思い出」 石原ヒロアキ

2019年2月6日

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はじめに

 今回のテーマは離婚で、あまり明るい話ではありません。しかし自衛隊では意外に多いので、取り上げざるを得ません。
 私の先輩で、先妻の娘が20年ぶりに結婚の報告に父親である先輩に会いに来るということがありました。お互いどのような気持ちで会ったのだろうと想像しながら今回漫画を描きました。
 さらに今回は、災害派遣時の除染所の情景を絵に描いてみました。CBRN(シーバーン)テロの話は「ブラックプリンセス魔鬼」という作品の中でも描いていますが、現場の構成を鳥瞰図的に具体的に描いたのはこれが初めてだと思います。最近金正男氏がVXで殺害され、北朝鮮の化学兵器を総理大臣が言及するような時代になってきました。参考にしていただけたらと思います。
 石原ヒロアキ「まんが館」を立ち上げました。 現役時代に頼まれて描いた4コマ漫画もアップしています。
http://yonekurahiroaki.wix.com/cbrn
◆「日の丸父さん」第1巻が電子書籍として発売中です。ここには第1話から第12話までエッセイと一緒に収録してあります。ぜひ感想をお聞かせください。
◆マンガ「第16話 再会 永田曹長の思い出」は下記をクリック。今月末まで無料で読めます。
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自衛隊と離婚

「自衛隊は日本社会の縮図である」とよく言われます。自衛隊は聖人君子の集団ではありません。一般人と何ら変わらないのです。離婚にしてもそうで、日本社会で離婚が増えれば自衛隊でも増えることになります。
 ただ、離婚率が一般に比べて高いか低いかはあると思います。はっきりした統計は見たことがありませんが、私の周りは意外と離婚者が多かったように思います。理由は様々です。不倫や浮気、金銭問題、性格の不一致など、世間一般と同じです。とくに大きな理由もなく、お互いの気持ちが離れていくというのもあります。単身赴任や長期間の訓練などが主な原因でしょう。
 多くの幹部の場合、単身赴任は避けて通れない問題です。2~3年であればなんとかなりますが、続けて10年以上というのもざらにあります。そうなりますと帰っても自分の居場所がない、一人が楽ということになりかねません。また、長期訓練では、1か月以上も演習場にいる場合や、海上自衛隊ですと長期の航海があります。とくに潜水艦などはその任務上不定期に不在することはいつものことです。訓練中は通常家族との連絡がとれません。新婚家庭や子供が小さい家庭は辛いことでしょう。
 国際貢献活動や災害派遣でも長期不在があります。長い時では半年です。私が経験した災害派遣の一つに雲仙普賢岳の火山災害派遣がありますが、担当警備区域の連隊では、1年間で200日以上派遣されていた隊員もいました。
 以前、離婚しそうな家庭から相談を受けたことがあり、いろいろ話をしたのですが結局別れてしまいました。不倫や浮気、金銭トラブルは一切ありません。子供が長期単身赴任の父親になつかなくなり、父親の自衛官も妻や子供に対する愛情がなくなっていったのが原因です。官舎時代から家族同士知っていた仲だったので、大変残念でした。
 今はスマホや携帯があります。日ごろからこまめに連絡を取り、家族との絆を確かめておくということが大切なのではないでしょうか。また、留守家族同士の連携も大切です。官舎にいる場合は、家族同士集まりやすい環境にあります。とくに同じ部隊の家族が集まっていますと、みんな一斉に訓練などでいなくなるので、同じ境遇のお母さんたちが子供と一緒に官舎の公園で井戸端会議をすることはよくあります。そのおかげで協力し合ったり、悩み事は相談しあったりして、これは官舎住まいのメリットの一つでしょう。
 さらに、家族に自衛隊の仕事を理解してもらうことも大切です。記念日などは積極的に家族を駐屯地に呼ぶようにしていますが、部隊ごとに家族を集めてバーベキュー大会や餅つき大会を催して、家族を含めた一体感を醸成しています。
 自衛隊は隊員家族を大切に扱います。とくにPKOなど長期間、遠隔の地で勤務する機会が増えてきました。留守家族のケアは任務遂行上の大切な業務の一つになっています。派遣された隊員が後顧の憂いなく勤務できるよう自衛隊は留守家族を手厚く支援します。北海道では、雪の多い日などは留守家族の除雪などを手伝うこともあります。
 離婚は本人にとっても家族にとっても大変な負担になります。その結果、仕事にも影響が出てきかねません。
 私は家族という単位は国家の根源をなすものであり、必要最低限守らねばならないものと思っています。
(いしはら・ひろあき)
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『日の丸父さん(1)』(1~12話)
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【著者紹介】
石原ヒロアキ(ペンネーム)
1958年、宮城県石巻市生まれ。青山学院大学卒業後、陸上自衛隊入隊。第7化学防護隊長、第101化学防護隊長を歴任。その間地下鉄サリン事件、福島第1原発災害に出動。2014年退職。学生時代赤塚賞準入選の経験を活かし、戦争シミュレーション漫画『ブラックプリンセス魔鬼 全10巻』(電子書籍版)を発売中。『漫画で学ぶサイバー犯罪から身を守る30の知恵』(ラック サイバー・グリッド・ジャパン・並木書房)の漫画を担当。家族3人(一女)。本名:米倉宏晃。
『ブラックプリンセス魔鬼』
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『漫画で学ぶサイバー犯罪から身を守る30の知恵』
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※最近「石原ヒロアキまんが館」(URL:http://okigunnji.com/url/97/)
というホームページを開設しました。
ここには、化学学校ホームページで掲載中の4コマ漫画『CBRNロボタマ子さんが行く!!』を毎週1話ずつアップしていきます。
このホームページは部内用なので普通閲覧できませんが、CBRN(シーバーン)の啓蒙も兼ねて化学学校の許可を得て掲載しています。ぜひご覧ください。