藤井厳喜:「日米対等 ―トランプで変わる日本の国防・外交・経済―」

こんにちは。エンリケです。
・現在の自衛隊は米軍の補助部隊であり、真の国軍にする必要がある。
・臺灣がいますべきは国名変更と国軍創設である。
・政府発行通貨は政治カードの一つになる
・外務省の解体的再生への提言
などなど、いわゆる「タブーとみられること」にズバスバ切り込ん
でいる本です。こういう論客が多くの日本人の支持を受けている現
実からみても、いまが時代の転換点の真っただ中にあると強く実感
します。
著者の藤井厳喜さんは、現在わが国で最も注目されている論客の一人で、
1999年に日米の保守政治家が交流する場「日米保守会議」を創設した人
です。アメリカ政治の現実に精通していることで知られ、
多くの評論家が米大統領選でトランプは当選しない、としていた中、
トランプ当選を一貫して主張した極めて数少ない人物として有名です。
この本は、トランプ政権誕生直後に発行されたもので、
なんといってもトランプ政権のパワーバランスとベクトル、そして課題
がわかる、極めて有益な内容です。
なかでも第4章のトランプ政権の人物略伝が非常に面白く、
・なぜトランプが勝ったのか?
・トランプを支持しているのはどういう人なのか?
・トランプのミクスのキモとなる政策の背景にある考え方
・軍人重視といわれる人事配置の真の意図
・グローバリストたちの最後の砦とトランプはどう対応しようとし
ているか?
といったことが見えてきます。
国務長官にティラーソンを登用した背景も非常に興味深かったです。
トランプ政権のキモとなる「エネルギー」「アメリカンドリームの
復活」「アメリカファースト」の3つの要素をすべて兼ね備えてい
るのがこの人なんですね。
わが国がトランプ政権とどう付き合っていけばいいのか?
については1~3章、そして5章で語られています。
著者は、米国はものすごいスピードで変化してゆく、これまでと同じ意識で
考えているととても追いつけず、対応を間違うこととなる。いまこそ対米
自立のときであり、トランプ政権誕生とともにチャンスがやってきたといい
ます。
周辺国の今後についても現実的な見通しを示しており、
とくに朝鮮半島については、最悪の事態(北による統一)も見据えた難民処理の
検討を今からすべきとしています。
アイデアもいろいろ提案しており、
なかでも「自民党海外事務所」は、今すぐ実行した方がいいと思いますね。
また、
トランプ政権最大の敵はISであり、2番目が中共。
矛先が自分に向かないよう中共は裏でISの支援をしている。
米ロが手を組めばISは壊滅できるであろう
という指摘もされています。
タイトルの「日米対等」という言葉に惹かれる方も多いでしょう。
おうおうにしてこの種の言葉に接すると「大日本帝国復活!」と
受け止める人が多くなりがちですが、これは支那的でダサい反応です。
著者が言う「対等」は米と肩を並べる大国になる、という意味でなく、
わが国が精神的に自立することで英や仏のような普通の国になり、
米・支その他の国々に対して堂々とものが言える国になる、という
意味の対等です。
そうなるためにわが国はいま何を為すべきか?
「憲法9条の改正」である
と著者はいいます。
下書きを英文で書いて、それを日本語に訳しているのでは?
と思わせるほど、鋭利なことばが続きます。
この種の鋭利さに慣れていない人は、
数回読み直すのがいいでしょう。
一度読んで頭に血が上ってしまうケースが結構出てくるかもしれません。
でも再度読み直すと、著者が言いたいのはそういうことじゃなかった、
ということがわかるようになります。
指摘が刺激的で、知られざる現実を知ることができ、目からウロコ
の視点が満載です。
おススメします。
藤井 厳喜
日米対等 ―トランプで変わる日本の国防・外交・経済―
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エンリケ
追伸
著者は地政学の本も出しておられます。
こちらも面白いので、後日紹介します。