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ニコラス・スパイクマン (著), 渡邉 公太 (翻訳):「スパイクマン地政学 『世界政治と米国の戦略』」

time 2017/02/05

ニコラス・スパイクマン (著), 渡邉 公太 (翻訳):「スパイクマン地政学 『世界政治と米国の戦略』」

マッキンダーと並び評される地政学の父。
それがスパイクマンです。

どうもわが国ではマッキンダーばかりに注目されているようですが、
スパイクマンについてはほぼほぼすルーされてきたようです。

まあ、アメリカ大陸と欧州大陸を主役にしてものごとを
考える学問ですから、軍事常識や応用力のない人はわが国に
置き換えて考えることができなかったのでしょう。

スパイクマンの主著が初めて邦訳されたのが本著という点を見ても、
わが朝野の地政学への意識の低さが見て取れます。

地政学との接点はまったくない、ハートランドとリムランドの意味が
分からない人には、スパイクマンのこの本はちょっと厳しいです。
まずは兵頭二十八さんの

「「地政学」は殺傷力のある武器である。」
 http://okigunnji.com/url/171/

をお読みください。

いかがですか?

ここまで読まれているということは、
おそらくあなたは

ハートランドとリムランドの違いはわかる
地政学の概念は把握している
地政学を使って仕事している

地政学オタクか、将校か、研究者か学生か、国政にかかわっている人か
のいずれかでしょう。

ここから先は遠慮なく、スパイクマンの初の邦訳を紹介しますね。

封じ込め戦略の事実上の生みの親として知られる
スパイクマンはアメリカの人です。
WW2後の米の対外戦略に非常に大きな影響を与えた人で、
今に至るも影響が残っているとされます。

スパイクマンで有名なのは、
第二次大戦後の世界の姿をほぼ正確に予見したことでしょう。

その他次のような警句などを残しています。

「ハートランドの膨張に対抗するため、日米英がハートランドの沿岸部
空軍基地を殲滅できる軍事力を保有する必要がある」
「ハートランドに侵入できうる強力な陸軍兵力投入力を有さねば
ハートランド封じ込めは不可能となる」
「攻撃こそ最大の防衛なり」
「パワー」という概念
「米国と日本の同盟関係の重要性」

本著で非常に興味深いのは、

「えっ?いまの話じゃないの?」

と錯覚するほど、そっくりな事例がそこかしこに表れることです。

その典型がトランプの「アメリカ・ファースト」です。

1942年に出た本なんですが、

1930年代のアメリカで起こった
「介入主義か孤立主義か」
という対外政策論争は半永久的に続くだろう、
とするスパイクマンの見通しは見事に的中しました。

そもそもスパイクマンが言う通り、
建国当初から米という国の対外政策は、
「介入主義」と「孤立主義」という枠のなかで動いている
だけのことなんです。

トランプの「アメリカ・ファースト」は突然降ってわいてきたもので
はないんですね。

トランプの姿勢って実は、
オバマがシリアで示した「介入主義⇒孤立主義への転換姿勢」を
形にして引き継いだものでしかないわけです。

変換点には動きが生まれるものです。
ちなみにロシアは、オバマがシリアで及び腰を示した半年後に
クリミアを侵攻しました。地政学の感覚を持つことの大切さ、
わかりますよね?

さて、マッキンダーもスパイクマン同じことを言ってるんですが、

地政学が重視するのは

ハートランド

です。

今ハートランドを支配しているのはロシアと中共です。
ちなみにわが国はリムランドに分類されます。

地政学で必ず出てくるハートランドという考え方は、
ロシアや中共が世界の大国足り得ている理由の
ひとつといってよいでしょう。

ですから、国単位で見る世界情勢の動き、流れをつかむには
地政学の感覚がなければいけないことを改めて感じさせて
くれます。

地政学で有名なことばがあります。

「ハートランドのランド・パワーが大海軍力を持ったとき、
地球上のいかなる国家も、独立を維持することはできない」

中共の海軍力増強を甘く見てはいけないのです。

21世紀以降のわが防衛を、真摯かつ合理的かつ効果的に考えるうえでも
地政学というツールを使わない手はない。

改めてそう感じさせてくれた名著です。

おなじみに「訳者解説」もいつもながら非常に充実しています。
今回は渡邉公太さんの手になりますが、
「本著の内容を今のわが国安保・防衛に適用した」内容が実に興味深く、
血と肉になる気がします。

訳者解説を読むだけでも買う価値ありです!

おススメします。

 「スパイクマン地政学 『世界政治と米国の戦略』」
 ニコラス・スパイクマン (著), 渡邉 公太 (翻訳)
 芙蓉書房出版
 2017/1/20発行
 
 http://amzn.to/2jMUcrB

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