自衛官退職時の特別昇任

2019年2月6日

みょうこう
一般の国では、任期を終えた兵隊や、現役を退いた職業軍人が予備役に編入されるのが普通です。一定期間は、国から呼び出しが掛かればそれに応じる義務があるというわけです。国の継戦能力を担保することが目的です。
その時に、後輩に伍して昔の経験を生かして勤務してもらうわけなので、それに相応しい階級で遇さねばなりません。一方、予備役招集の者は現役の同じ階級の者より後任(席次が下)になるのが世界中の軍隊の慣習です。

ですから、予備役編入時に進級に相応しい人達の階級は前もって上げておくのです。自衛隊の退職時の特別昇任もこれに倣っています。我が国にはごく少人数の予備自衛官制度だけで本格的な予備役制度はありませんが、これでは万一の有事にはとても兵力が足りません。世界中の国にこの制度のあること自体が、何よりその必要性を物語っているにも係わらず我が国には欠落しています。
必須の制度なのに欠けているので、現実には有事になると元自衛官に声を掛けて再志願してもらうしかありません。現実の有事計画もそうなっています。つまり強制ではなくて、「義をみてせざるは勇無きなり」に期待する「お願い」でしかありません。
ですから、この特別昇任には「有事にはこの階級で戻ってきて下さい。」の意味が込められているのです。なお、現役の将官の特別昇任はありません。
(ヨーソロさま)
【参考】
我が国「自衛官予備定員」の数(「H17 防衛白書」より 050331現在)
・予備自衛官(3自衛隊合わせて):47900
・即応予備自衛官(陸自):9004
・予備自衛官補(陸自):995
予備自衛官制度を確保する意義
国家の緊急事態にあたって、マンパワーを「急速かつ計画的」に確保するための制度が予備役制度。我が国の場合、これに「類似する」制度として「予備自衛官・即応予備自衛官・予備自衛官補」制度を設け、有事に備えている。
(参考:「H17 防衛白書」)
予備役制度の説明
「常備兵力のほか、有事、現役軍の補強及び戦闘損耗の補充等の要員として予備兵力を確保するために設けられている制度。現役勤務終了後に服務する制度と、現役勤務に服することなく当初から予備役として服務する制度とがある。両方式とも義務制と志願制度とがある。各国は、その国情に適した予備役制度を設けており、一般的に徴兵制の国は現役の基本兵役に引き続き、志願制の国では現役任期終了に引き続き、一定期間予備役に服務する義務制度をとっている。日本の予備自衛官制度は、任期満了して退職した自衛官のうち志願した自衛官を採用する制度をとっている」
(「国防用語辞典」朝雲新聞社 昭和55年 より)