【オリンピック自衛隊】知られざる自衛隊の栄光。 おまけつき

2020年3月12日


こんにちは、エンリケです。
五輪周りがなんだか騒がしくなってますね・・・
ちょっと見ただけでも、
●東京五輪招致で日本側が不正送金か~英紙
●ブラジル大統領が停職 五輪まで混乱続くか
なんてことばが目に付きました。
さて今日は、渡邉陽子さんのデビュー作
『オリンピックと自衛隊 1964-2020』
が高く評価できる理由を説明します。
その前に
本著を読みながら取った、
エンリケの読書ノートをちょっとご覧ください。
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軍人が軍人を評価する「ライフル競技」支援の重圧。
選手と心をひとつにした支援は、自衛隊にしかできないレベルの高いもの。
東京五輪フリーライフル金メダリスト・アンダーソン選手のことば
「今までにこのようにすばらしく運営された大会に参加したことはない。
用意していた望遠鏡をほとんど使わなかった。標的はタイミングよく
上下され、その操作は機械より正確で、私はただ冷静に銃を構える
だけでよかった。世界新記録で優勝できたのは、まったく協力隊員の
おかげである」
国際射撃連合事務総長 チンメンアン氏のことば
「私は50年にわたる射撃歴においてこれほど立派な協力を見たことない」
射撃競技のジンクスが破られた東京五輪
クレー射撃担当は空自。
競技終了後、主席審判員が支援隊全員の集合を要請し、
「今回のクレー射撃大会はひとつのトラブルもなく実に立派に行われ、
私がいまだかつて見たこともないすばらしいものであった。これはすべて
自衛隊の支援がよかったからにほかならない。諸君に空前絶後の立派な
協力に対し、ここに改めて敬意と謝意を伝えます」と挨拶した。
自転車競技の支援は最も難しかった。
支援担当は伊丹3師団基幹の149名。
何が難しいか?が、すごく意外で興味深い。
まったく問題なく任務を完遂した自衛隊の能力の高さを実感。
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・・・
国内でこれまで開催されたオリンピック運営に
自衛隊が協力している事実を知る人はほとんどいません。
知っていても
ブルーインパルスが飛んだよね?
くらいではないでしょうか?
渡邉さんによれば、
現役自衛官ですら「1964東京オリンピック支援」を
ほとんど知らないそうですから、一般人ならさもありなんです。
オリンピックと自衛隊のかかわりをテーマにした
一般向けの本も見当たりません。
関係機関の報告書や資料はあるんですが、
素人が入手するのは困難ですし・・・
読んでもチンプンカンプン・・・
そんななか、誠に時宜を得た
渡邉さんの『オリンピックと自衛隊 1964-2020』。
自衛隊の協力なしにオリンピックが運営できなかった事実を
詳細に丹念に追い、一般人が読める形のよみものにまとめた本です。
おそらく、この分野で初めて出た一般向けの本でしょう。
オリンピックで自衛隊が示した驚くべき支援内容の事実を知り、
わが自衛隊への誇り、そして日本への誇りが、読み手のこころ奥深く
じんわり染みわたってゆく本です。
渡邉さんは、
自衛隊と国民をつなぐ架け橋でありたい
との意識を強くお持ちです。
こういう方が、知られざるわが自衛隊の栄光に
日を当て、私たちの目に見えるところに持ってきてくれた
ことを、本当にうれしく思います。
この本を読んだあなたは、
わが自衛隊がいかなる労苦を乗り越え、
オリンピック支援という地味で苦しい任務をいかに完遂し、
いかに見事な成果を残したか?を知り、感動するでしょう。
この本を読んだあなたは、
オリンピックには、金メダルを取ること以上に大切なドラマがある
ことを知り、今年のリオ五輪、2020東京五輪を普通の人より
深いレベルで楽しめることでしょう。
感動の出来事の数々が、渡邉さんらしい冷静沈着な文面で、
淡々と描かれているおり、心に響きます。
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●この本の読みどころ
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あとがきで著者は
「自衛隊は尽くす組織」
とおっしゃっていますが、
いい得て妙です。
この本の読みどころは
1.自衛隊のオリンピック支援任務の実際を知ることができる
2.自衛隊の「尽くす心」とはどういうものかが理解できる
3.自衛官メダリストの声、有望選手、自衛隊体育学校の実像を知ることができる
です。
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●まとめ
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この本を読み、自衛隊なしにわが国内でオリンピックが運営
できない理由を知り、改めて国防の意味合いに気づきました。
五輪支援では、まったく未知の任務についた部隊も多かった。
しかし彼らは愚痴も泣き言もいわず、必死に練習・訓練を重ね
ひたすら自らを高め続けて来る日を待ったのです。
思えば自衛隊は、昨日までやるな、といわれていたことを
次の日突然「やれ」と命ぜられるケースが多いです。
五輪支援しかり、機雷掃海しかり、PKOしかり、
イラクしかり、海賊しかり・・・
しかしわが自衛隊は、いずれの場でも完璧な成功を成し遂げて
きました。
自らを高める努力を怠らない人間を天は愛するといわれます。
1964東京五輪支援任務が無事完遂できたのも、
天に好かれる生き様を、わが自衛官たちがひたすら積み上げてきた
から、という面も大きいのではないか?
そんなことを思ったりしました。
オリンピックを支えた自衛隊の知られざる歴史を
描き出し、一般国民にわかる形で整理整頓してくれた書。

『オリンピックと自衛隊 1964-2020』
 渡邉陽子(著)
時宜的にも内容的にも、見事な本といえます。
エンリケ
【おまけ】『オリンピックと自衛隊 1964-2020』はじめに
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はじめに
2013年9月、アルゼンチンのブエノスアイレスで開催された
第125次国際オリンピック委員会(IOC)総会で、2020年
夏季オリンピックの開催地が東京に決まった。冬季オリンピックを
含めると、日本での開催は2020年で4度目となる。
ところで、過去に国内で開催されたそのオリンピックすべてを、自衛隊が
支援していたことはご存知だろうか。もっとも記憶に新しい1998年の
長野冬季オリンピックで、競技会場の設営を行う姿をテレビなどで目に
した人はいるかもしれない。では約60年前の東京オリンピックでは?
 東京大会開催が決まったあと、法律を改正してまで自衛隊の支援が
求められたことを、どれほどの人が知っているだろうか?
防衛庁が陸上自衛隊を中心とした「オリンピック支援集団」を組織し、
約7000名もの自衛官が訓練を重ねて東京オリンピックの支援に
従事したことは、人々の記憶から抜け落ちている。いや、そもそも
最初から知られていなかったし、関心を持たれることもなかったのだろう。
けれど実際は、自衛隊の支援なしにオリンピック東京大会の成功は
なかったと断言できるほど、自衛隊が果たした役割は大きかった。
それゆえ、4年後の2020年東京オリンピック・パラリンピック
でも間違いなく協力を求められる自衛隊の過去の支援業務を知ることは、
自衛隊という組織そのものを知ることにもつながる。
自衛隊がどのような体制でどのような支援を行ったのか、その支援は
どう評価されたのか。重量挙げの三宅義信選手やマラソンの円谷幸吉選手は、
なぜ自衛官でありながらアスリートでもあり得たのか。ほとんどといって
いいほど知られていない事実を、公式記録や支援に関わった自衛隊OBの
証言、そして各部隊に残されている資料などから明らかにした。
本書が自衛隊の活動の一端を知る一助となり、微力ながら国民と自衛隊を
つなぐ架け橋の役目を担えれば幸いである。
なお、本文中に出てくる部隊名はすべて当時のものである。また、隊員の
役職、階級は取材時のもので、その後変更があった隊員については現在の
階級を付記した。
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