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スローライフを夢見る部隊兵―外人部隊の真実(7)

time 2016/02/24

スローライフを夢見る部隊兵―外人部隊の真実(7)

はじめに

 今回は15年以上在隊し、恩給を支給されている外人部隊兵は、除隊後にどのような生活を望んでいるかを紹介します。

 「15年以上も外人部隊にいたのなら、その経験を活かして民間軍事会社で高給取りのコントラクターとして、危険な紛争地で活動するのだろう」「除隊後もエキサイティングな生活を望んでいるだろう」と思われるかもしれません。

 しかし、長く在隊し、恩給を受給している元部隊兵の大半は「除隊後はあくせくせず、家族と一緒にtranquille(トランキル、平穏の意)に過ごしたい」と思っているのです。今回紹介する元上級伍長のような部隊兵は実際に非常に多いのです。これは正規軍の恩給受給者も同様です。

 除隊直後から毎月死ぬまで支払われる、一定額の不労所得を得られることにより、大きな心のゆとりが生まれます。そのため、あくせく働かなくても、ちょっとしたアルバイトをして恩給と同額、またはそれ以上の副収入を得れば十分暮らしていけるわけです。

 ちなみに17年半勤めた私の場合、手取りで毎月803ユーロ(約11万円、注:為替レートにより多少変化)を受け取っています。

 一部の部隊兵は、在隊中から住宅ローンを組み(軍人は毎月必ず一定額の給料が支払われるので、銀行としてもお金を貸しやすい)、マンションの一棟を購入します。購入した棟はすぐに賃貸に出して、無料の駐屯地内に住みながら、賃貸料をローン返済に充てるのです。なかには1人で3棟も持っている強者もいました。

 15年以上在隊すれば、除隊前にはローンはほぼ完済されており、除隊後は家賃収入が得られます。しかもフランスでは、日本のように新築物件の価値がすぐに下がることはありません。

 なお、現在では最低17年在隊しないと、除隊直後からの恩給受給はありません。今後は20年、もしくはそれ以上に引き延ばされることが予想されます。

▼除隊後はスローライフを夢見る部隊兵

 除隊後、部隊兵はどのような仕事に就くのか? 私の友人であるハンガリー人の元上級伍長のケースを紹介しよう。

 コルシカ島には世界中の金持ちが所有している別荘(villa)が数多くある。彼はこの別荘の一つに奥さんと住み込みで働いている。

主な仕事は、別荘の管理と補修、それに警備だ。別荘の近くに管理人用の住居も用意されている。当然、家賃はかからず、給料はそのまま懐に入る。

 真夏の2カ月間は別荘の持ち主が家族とともに滞在するので、それなりに忙しいが、残りの10カ月間は夫婦だけで、たいして仕事もない。平日は、のんびり別荘の手入れをし、週末は自分の舟で釣り三昧。部隊の仲間たちと庭で釣った魚を焼いて食べるという、豊かなスローライフを満喫している。

 彼は部隊に20年以上勤め、多数の海外派遣も経験しているので、毎月1200ユーロ(約16万円)ほどの軍人恩給をもらっている。別荘の管理で同額以上の給料がもらえ、ほかに不動産も所有しているので、そこからの家賃収入もある。

 彼はまだ40代半ば。この歳で悠々自適な暮らしを送れるなど、日本ではまず考えられないだろう。そのようなチャンスを外国人にも与えてくれるのが外人部隊なのだ。もちろん在隊中、時に危険な目に遭いながらフランスと部隊のために勤務したことは忘れないでほしい。

 彼のように恩給をもらえるまで勤めた部隊兵は、除隊後はあくせくせず、マイペースで仕事をしながら、スローライフを送りたいと思っている者は非常に多い。

 ちなみに、この元上級伍長は連隊内のカゼルヌマン(casernement:施設の補修などを担当する部署)で長い間働いていた。大工仕事はもちろん、溶接、配管、電気、車の整備はお手のものだし、普通免許から超大型免許(バス含む)、さらにクレーンやフォークリフトいった特殊免許まで持っている。

 要するに何でもできる男であり、つぶしの利く仕事を現役時代からやっていたわけだ。だからどこに住んでも就職先に困ることはない。彼はコルシカ島での田舎暮らしをとても気に入っているので、しばらく島に残ると言っている。

 若い部隊兵の中にも、除隊後は自分のペースで働き、平穏(tranquille)な生活を望む者も多い。軍隊という非常に束縛された環境で過ごしていると、その反動から毎日17時半に仕事を終えて帰宅できる生活にあこがれるようになるのだ。

(ごうだ・ひろき)

(以下次号)

合田洋樹(ごうだ・ひろき)
1978年神奈川県生まれ。都内の高校卒業後18歳で渡仏。1997年フランス外人部隊に入隊。計17年半勤務し2014年11月除隊。最終階級は上級伍長。在隊中は主に第2外人落下傘連隊に在隊し、ジブチの第13外人准旅団にも計3年在隊。長い在隊期間中の約11年間を後方支援中隊にて事務員として勤め、そのうちの5年半を警務課で勤務。外人部隊を深く理解するうえでこの部署での経験が非常に役立つ。『外人部隊125の真実』を来月出版予定。ほかに第2外人落下傘連隊についての電子書籍版を執筆中。

《長期派遣歴》
1997年〜1998年ジブチ、2009年〜2011年ジブチ
《短期派遣歴》
1999年ボスニア、2000年ガボン、2001年ジブチ、2002年ギアナ、2004年ジブチ、2006年ジブチ、2010年カタール、2011年ウガンダ

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