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外人部隊への志願者数と入隊者数―外人部隊の真実(6) 元上級伍長 合田洋樹

time 2016/02/17

外人部隊への志願者数と入隊者数―外人部隊の真実(6) 元上級伍長 合田洋樹

はじめに

 今回は外人部隊の志願者数について紹介します。
過去から現在まで、外人部隊への志願者は減ることはありません。
平時でも戦時でも同様です。しかし創設期には志願者を集める
のにかなり苦労したようです。当時は名前が知られていなかった
ので当然でしょう。また一度入隊しても、あまりにもお粗末な装備
や食事事情のせいで、脱走者はあとをたたなかったようです。

 日本人が多く志願するようになったのは、1980年代後半からです。
この頃からフランス外人部隊に関する書籍が少しずつ出てくる
ようになったからでしょう。さらに第一次湾岸戦争、ボスニア紛争
(国連軍の一員として)に参加した日本人数名の活動が、テレビで
放映されたことも影響したと思われます。

 第一次湾岸戦争ではイラク兵と外人部隊兵の間で、激しい戦闘
は行なわれませんでしたが、第1外人工兵連隊に在隊していた
日本人は、多くの地雷を除去する任務を遂行しました。
地雷除去活動は地味な活動ですが、常に死と隣り合わせの危険な
任務です。

 ボスニア紛争では、流れ弾に被弾した(幸いにヘルメットを
かすめただけでしたが)日本人部隊兵が放映されました。
私の知る限り、近年外人部隊に在隊していた日本人の中で、
被弾した経験を持つのは彼だけです。

 2000年以降、コートジボワール、アフガニスタン、マリ、中央アフリカ
などの紛争地で、流れ弾が飛び交うなかを駆け抜ける修羅場を
十数名の日本人部隊兵が体験しています。しかし幸いなことに
被弾することはありませんでした。

 90年代中頃には落下傘連隊には、20人以上の日本人が在隊
していたと聞いています。私が落下傘連隊に配属された1999年
にも15名以上在隊していました。2004年頃には私も含めて3人
まで減りましたが、その後少しずつ増え、2015年の段階で15名と
なり、現在は10名ほどが在隊しています。

 現在、おそらく50名あまりの日本人が、各連隊に在隊していると
思われます。今後も冒険を求める、日本人志願者が減ることはない
でしょう。
 

▼外人部隊への志願者数と入隊者数

 2009年の情報であるが、約1万1500人がフランス各地の徴募所
を訪れ、志願した。志願した直後に4000人が落とされ、7500人
が予備選考を受けることになった。不合格の理由はさまざまで、
身分を証明できる書類がなかった、明らかに健康上に問題があった、
あるいは懸垂が3回もできなかったのかもしれない。

 予備選考でさらに1600人が落とされ、残り5900人が本選抜
を受けることになった。本選抜はオバーニュで行なわれ、CSIと
呼ばれる部署が担当する。この段階でDSPLE(警務部)による
面接もある。ここで3500人が落とされ、2400人が最後の難関
である「コミッション」と呼ばれる審議委員会にかけられ、
1000人が落とされた。最終的に認識番号を与えられて入隊した
のは1400人だった。

 近年、外人部隊では毎年約1000人前後の志願者を採用している。
400人も多く採用した2009年は、志願者にとっては非常にラッキー
な年だったわけだ。

 現在、フランス正規軍では新兵の獲得に非常に苦労している。
陸軍の場合、兵卒の採用倍率は2倍に満たない。この採用倍率は
徴兵制の終了以降、2.5倍を超えたことがない。そのため正規軍
では質のよい志願者を集めにくい状況が続いている。空軍と海軍
も似たような状況だ。しかし、パリのテロ以降、愛国心に燃えた若者
の志願が増えている。付け加えるなら士官学校は15倍と創立以来、
非常に人気が高い。

 それに比べて外人部隊の採用倍率は、近年7倍から10倍で、
それだけポテンシャルの高い者を選ぶことができる(ポテンシャル
が高いことと、有能な兵士は別ものだが)。

 これは世界の軍隊の中でも珍しい傾向だろう。国内外で大規模な
広報活動をする必要がない。そんなことをしなくても各国のメディア
が外人部隊を取り上げて勝手に宣伝してくれる。

 そのおかげで歴史と伝統のある外人部隊は、世界中に知られ、
多くの志願者がやってくる。長い歴史が培ったネームバリューのおかげ
だろう。しかし、時に過度に誇張されてしまうので、「外人部隊は特殊部隊
である」と誤解されてしまうこともある。

 部隊では2015年から2016年にかけて1700人を新規採用する話
が出ている。通常の1・7倍以上だ。このタイミングで志願すれば入隊
もしやすいかもしれないが、くれぐれも最低限の体力と語学レベルに
達してから志願してもらいたい。準備なしに志願すると、間違いなく大恥
をさらすことになるだろう。

(つづく)

(ごうだ・ひろき)

【著者紹介】
合田洋樹(ごうだ・ひろき)
1978年神奈川県生まれ。都内の高校卒業後18歳で渡仏。
1997年フランス外人部隊に入隊。計17年半勤務し2014年11月除隊。
最終階級は上級伍長。在隊中は主に第2外人落下傘連隊に在隊し、
ジブチの第13外人准旅団にも計3年在隊。長い在隊期間中の約11年間
を後方支援中隊にて事務員として勤め、そのうちの5年半を警務課で
勤務。外人部隊を深く理解するうえでこの部署での経験が非常に役立つ。
『外人部隊125の真実』を近く出版予定。ほかに第2外人落下傘連隊に
ついての電子書籍版を執筆中。

《長期派遣歴》
1997年01998年ジブチ、2009年02011年ジブチ
《短期派遣歴》
1999年ボスニア、2000年ガボン、2001年ジブチ、2002年ギアナ、
2004年ジブチ、2006年ジブチ、2010年カタール、2011年ウガンダ

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