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【本の紹介】 『平和の敵 偽りの立憲主義』 岩田温(著) 並木書房

time 2016/01/27

【本の紹介】 『平和の敵 偽りの立憲主義』 岩田温(著) 並木書房

集団自衛権行使限定明言から平安法制定に至る過程で、
一部のメディアを除くわが国マスメディアは、

「一般人ですらいわぬような極端な意見ばかりを取り上げ、
これが世論だと欺瞞」

しました。

あの狂乱で、国民世論を騙そうとしたひとたちの行動のキモは

「立憲主義というあやふやな言葉を使ったプロパガンダにあった」

こともわかりました。

彼らが使った言葉は

「立憲主義への挑戦」

でした・・・・

本著は、
「集団自衛権限定行使明言」とそれに伴う
「平安法制定」に伴う大騒ぎについて、

膨大な資料の調査を通じ、

一体あの狂乱はなんだったのか?
その背景に何があったのか?

を、分かりやすく解説するものです。

これから先に生きる後輩たちが、
建設的な議論ができるように現状を伝え、
わが安保言論の土壌を整備する意味を持つ書です。

著者の岩田さんは、新進気鋭の政治学者です。
テレビ番組にも登場しておられますが、
ネットでの知名度も高い方です。
(エンリケもツイッターを通じて知りました)

岩田温(いわた・あつし)
1983年生まれ。政治学者。早稲田大学政治経済学部卒業。
同大学大学院修了。拓殖大学客員研究員。専攻は政治哲学。
著書に『政治とは何か』(総和社)『逆説の政治哲学 正義が
人を殺すとき』(ベストセラーズ)『人種差別から読み解く
大東亜戦争』(採図社)などがある。

難解な法や政治の理論的な話を
ここまで噛み砕いて解説できる人はなかなかいません。

おそらく集団自衛権や憲法解釈について
この本ほどわかりやすく理解できる書はないでしょう。

正しいことを伝えるのはカンタンですが、
読み手が理解できるよう正しく伝えることはカンタン
ではありません。

岩田さんにはそれができる力があります。

一読しての感想は

「すごく読みやすくてわかりやすい」

でした。

平和の敵 偽りの立憲主義
岩田 温 (著)
単行本(ソフトカバー): 256ページ
出版社: 並木書房
発売日: 2015/10/30
http://okigunnji.com/url/59/

集団自衛権限定行使明言・平安法制定に狂人のごとく
反発した人たちのほとんどは、
PKO法制定のときも、今回と同じく

「立憲主義が死ぬ」

と絶叫していた人たちでした。

この本では、

「立憲主義」というキーワードを通じ、

・「ブラックボックス化した立憲主義という概念」の解明。
・「いわゆる立憲主義者」の論理破綻・暴走の実態
・「いわゆる立憲主義者」が平和の敵である現実

を明るみにしています。

第一章では、今回の件で明らかになった
「自称護憲派」「自称立憲主義者」の発言・行動の論理破綻、現実感の
なさ、暴走ぶりが冷徹に整理されています。

第二章では、憲法9条の解釈について、吉田茂の解釈変更から今に至る
経緯、現在の神学論争の根にあるものが何か?が実にわかりやすく
まとめられています。
自衛隊が合憲である法理、今回の平安法整備に至る反対派の論理矛盾
は、ここを読めばわかります。

第三章では「近代立憲主義」について解説されています。近代立憲主義を
考えるときに欠かすことのできない重要な二点がわかります。

第四章は、憲法の観点から見た自衛権に関するわかりやすい解説です。
「個別自衛権」「集団自衛権」「集団安全保障」の区別、自衛権行使が
意味するところも解説されています。集団自衛権という概念そのものが
生まれた経緯も必読です。

偽りの立憲主義者たちの化けの皮がはがされている章でもあり、
最も重要です。

なお、ここで記されている「集団安保の行きづまり」「集団自衛権に
関する解釈を戦後日本は一貫してきたというのはほんとうか?」は極めて
重要な指摘です。今回の集団自衛権行使限定明言に反対した学者
たちの、学問的いい加減さがよく理解できる内容でもあります。

第五章は、集団自衛権行使をいかに運用するか?について、政治の立場から
検討が行われています。実はこの問題は一言で結論が出るのですが、
反対派はこの点を見事にスルーしています。

著者は「非武装中立論」「自主防衛論」「日米同盟主軸安保」の3つを比較して
います。とくに湾岸戦争、ペルシャ湾派遣当時の歴史をまとめた箇所は必読です
ね。

なお著者の「集団安保から集団自衛の時代になったとの指摘」「臺灣への視座」
は正鵠を射ており、見落としてはいけないポイントです。

第六章はPKO派遣を通じてあらわれた朝日新聞と法学者の言葉を通じ、
彼らの懲りなさ、いい加減さ、メチャクチャさ、偽りの立憲主義者ぶりが
詳細に明らかにされています。

なおこの章では、今回の平安法制定でできるようになった「駆けつけ警護」で、
死ぬほどの苦しみを味わったルワンダ難民救援隊(1994年)の指揮官・神本
さんの言葉にぜひ触れてほしいです。

補遺としてつけられた一番最後のパラグラフでは、
現憲法の制定過程が記されています。わが国弱体化のための情報戦ツールとして
強制的に仕込まれた現憲法を「平和憲法」だとかいって崇め奉っている愚かさに、
改めて気付かされます。制定過程を正確に理解し、憲法論議を深める必要を覚え
ます。

目 次

はじめに 1

第1章 暴走するリベラルたち 13

 安保法案反対なら何を言ってもいいのか? 13
 マイクを持った「ならず者」17
 自らの正義に陶酔する人々 19
 論理的に破綻した主張を展開する鳥越俊太郎氏 23
 集団的自衛権の行使を認めるとテロが起きる? 27
 空想的な平和主義から現実主義へ 33
 安全保障の問題は個人の交友関係とは別次元 36
 「あなた方だけには何も言われたくない」39
 村山元総理の異常な行動 45

第2章 憲法九条がありながら、なぜ自衛隊は存在できるのか? 48

 憲法に「集団的自衛権」の記述がないのに憲法違反? 48
 憲法九条が日本の平和を保障しているわけではない 51
 自衛戦争まで否定していた吉田茂 55
 国際情勢の変化にあわせて変化した吉田の憲法解釈 59
 解釈を大幅に変更して自衛隊を保持 63
 憲法改正せずに自衛隊を創設したことから生じる矛盾 69

第3章 近代立憲主義とは何か? 73

「人の支配」か「法の支配」か? 73
 人はなぜ国家を建設するのか―ホッブズの「社会契約説」79
 ナチズムと共産主義 84
 近代立憲主義で守るべき「自由」とは何か? 90
 バーリンの「消極的自由」と「積極的自由」92
「積極的自由」の思想が全体主義をもたらす 96
 近代立憲主義の二つの特徴 101

第4章 偽りの立憲主義 108

「個別的自衛権」と「集団的自衛権」108
 国連の理念としての「集団安全保障」111
 機能不全に陥った「集団安全保障」114
 国連の「集団安全保障」では国を守れない 117
 過去の憲法解釈変更を認めない憲法学者の不誠実 121
 偽りの立憲主義者 128

第5章 集団的自衛権の行使は是か非か? 135

 集団的自衛権は「権利」であって「義務」ではない 135
 非現実的な「非武装中立」139
 一見勇ましい「自主防衛論」144
 日本の核武装が自主防衛を損なう 148
 日米同盟を基軸とした安全保障体制 156
 日米同盟が抱える根本的な矛盾 159
 世界規模の危機に「カネ」で済ませた日本 163
 戦後日本の大きな転機─ペルシャ湾に掃海艇派遣 169
 機能しなくなった「集団安全保障」の枠組み 177
「集団安全保障」から「集団的自衛権」の時代へ 182
 中国の軍事的覇権主義 185
 台湾有事と集団的自衛権の行使容認 192

第6章 PKO活動の新たな一歩 201

 とにかく自衛隊を海外に派遣させたくない『朝日新聞』201
「集団的自衛権」と「集団安全保障」を混同した朝日新聞 206
 憲法が抱える矛盾―戦後日本の最大の悲劇 209
 法の解釈がすべてと思い込む、現実離れの法学者 213
「憲法九条は死んだ」と言いながら、護憲を訴える矛盾 216
 日本の文民を守ることができなかったカンボジア派遣 221
 PKO活動の新たな一歩―「駆けつけ警護」の整備 225

補遺 虚偽と暴力にまみれた憲法制定過程 233

 憲法制定の真の目的は日本の弱体化 233
 憲法問題調査委員会の立ち上げ 236
 民政局が目をつけた過激な憲法私案 239
 圧倒的な暴力によって憲法を強制された 243
 憲法強制以後の徹底した検閲 245

おわりに 250

一昨年の集団自衛権限定行使明言⇒昨年の平安法制定
にいたる流れのなかで見えたことは、

1.「集団自衛権限定行使明言」という「憲法解釈の変更」を
無理やり「立憲主義への挑戦」というキーワードでつないで、
反対世論を盛り上げようとする一連の流れがいまだ国内
で生存している現実

2.立憲主義なるものの定義がきわめてあやふやで、
プロパガンダのためのイデオロギーと化しているのに、
立憲主義に関する議論・啓蒙が全く行われていない。

3.自衛権、集団安全保障といった概念、憲法と自衛隊の関係
への理解が国民レベルでできていない現実。

でした。

本著を読む人が増えれば、この問題点はクリアされるでしょう。

長南さんもそうですが、
昨今、とても優れた若手学者が世に出ていますね!

アカデミズムは言論の土台ですから、
頼もしい限りです。

岩田さんのこれからのますますのご活躍を
願ってやみません。

ことし最初のおススメ本として
心から推薦します。

平和の敵 偽りの立憲主義
岩田 温 (著)
単行本(ソフトカバー): 256ページ
出版社: 並木書房
発売日: 2015/10/30
http://okigunnji.com/url/59/

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