旧陸軍の本当の雰囲気が感じられました。

水曜連載著者 荒木肇さんへのお便り
陸軍の大動員から関特演までの圧巻のご説明に旧陸軍の本当の雰囲気が感じられました。
私の世代は旧軍軍人に親しく触れた最後の世代だと思います。私の銃剣道の故恩師も関東軍でノモンハンにも出動した経験がありました。塹壕では着剣が使いにくい事、ノモンハンで一番辛かったのは水の補給が止まり、塹壕を掘ると出てきたススキのような草の根から出る汁を飲んで乾きを癒し、ソ連軍のマキシム重機の水を飲んだ将兵もいた事、ソ連の戦車兵が戦車を捨てて逃げないように鎖で車内に繋がれて戦死しているのを撃破された戦車の中で発見した時は敵兵の立場を思うと涙が出たなどの貴重な話を度々聞かされたものです。
馬匹での重火器搬送や補給の事、馬匹そのものへの補給。膨大な統計と情報から懐かしい恩師たちの苦労や時代が偲べます。現代は膨大な燃料、部品、衛生、食料、そしてITが絡んだ膨大な通信とその電源となると自衛隊の海外派遣やその他での事は想像も尽きません。
ありえない事でしょうけど、先の大戦で戦病死・餓死が戦死者を上回るような致命的なミスは絶対にあってはならないと思います。これは陸軍だけでなく全国民が再考しないとならない日本の構造的な欠陥だったと思うのですが。
さらに100%職業軍人化した時代の自衛隊をどうやって私たちが支えていけるのか、少子化や国の財政赤字を考えるともっと抜本的な議論も必要ではないでしょうか。
戦技、戦術では旧軍の努力は決して世界に劣らなかったのでしょうが、欧州のように多分、ナポレオン時代前後から確立した国民と国家と軍隊の関係を日本独自の形で確立しないと本当の外交・軍事という複雑で危険な作業がこなせないままなのでしょう。
(HY)