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第3話「世界最大の軍用犬訓練学校━━ソルジャードッグ(3)」

time 2013/09/13

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◆[軍隊式英語術・短期連載]Takashi Kato

第3話「世界最大の軍用犬訓練学校━━ソルジャードッグ(3)」
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 2004年当時、海兵隊 (Marine Corps) の軍犬兵 (dog handler) ダウニング軍曹とパートナーの爆弾探知犬レックスはベトナム戦争以来初めての軍用犬チーム (military working dog team) でした。

 米本土では十分な訓練が行なえず戦地での試行錯誤から軍用犬のもっとも効果的な使い方を学ばなければなりませんでした。

 実戦で得られた軍用犬チーム投入方法のノウハウ (know how)を陸・海・空軍・海兵隊の次世代軍犬兵に伝授するのが第341訓練中隊(341 Training Squadron)です。

 テキサス州サンアントニオ市、ラックランド空軍基地 (Lackland Air Force Base) にある世界最大の軍用犬学校 (Dog School)です。

 ちなみにこの基地ではヒトの新兵訓練 (Basic Training/boot camp) も行なっていますが、双方とも基本は命令に従う態度と仲間意識を育むこと。

 自由 (freedom) と個人の尊厳 (individualism) が強調される一方、義務 (obligation) や連帯責任がなおざりにされる米国社会ではこれが思いのほか困難。もっとも犬の場合は軍の飼育専門家が仔犬の時から育てておりその限りではないようですが…世界最大の軍用犬訓練学校。

 後半ビデオに出てくる陸軍の一等軍曹(Sergeant First Class: SFC)が、Force Multiplier(フォース・マルティプライヤー)という言葉で爆弾探知犬(bomb sniffing dog)を説明しています。

 この場合、forceは「戦力」でmultiplier は「倍増させるもの」ですから「戦力増強要因」ですが、日本語では今ひとつピンときません。

 具体的に説明するには19世紀後半に登場した機関銃(machine gun)を取り上げるのが良いでしょう。

 当時は手動式ボルトアクション小銃(manually operated bolt-action rifle)が主流。熟練射手でも1分間に20~25発が限度でした。ところが機関銃はずぶの素人でも引き金を引くだけで毎分500発撃てます。1人で20人分以上の弾幕を張れたのです。

 機関銃が本格投入された第1次世界大戦の塹壕戦(trench warfare)は目を覆う大殺戮となり、そのフォース・マルティプライヤー能力を証明する結果となりました。

 より最近の例なら、ステルス機(stealth plane)でしょう。レーダーに探知されにくいということは、敵の地対空ミサイルや空対空ミサイルに撃ち落とされないということ。したがって以前は大編隊を組んで爆撃を繰り返さなければ出せなかった戦果を1発の精密誘導爆弾(precision guided bomb)で達成することが可能です。

 戦闘機として使えば、1機で多数の敵機を無力化できます。フォース・マルティプライヤーの好例です。

 犬の話に戻ります。爆弾探知犬の脳にある嗅覚レセプター(olfactory receptors)は、ヒトの数百万倍もあると言われています。

 犬は空気中を漂う臭いの分子を嗅ぎ出せるので、ヒトが金属探知機(metal detector)などで何時間もかかる捜索をほんの数十分で終えることができます。ハイテク時代の戦場でも軍用犬はフォース・マルティプライヤーなのです。

基本語彙(カタカナ表示は大ざっぱなものです)

Tone(トーン) 口調 調子
Heed(ヒード)聞き入れる 注意を払う
Obediently(オビィーディアントリー)忠実に
Add up(アッドアップ)合計する
Force multiplier(フォース マルティプライアー)戦力増強要因
Off leash(オフ リーシ)紐をつけないで 自由にさせて
Compatriot(コンパトリオット)同国人 同胞
margin of safety(マージン オブ セイフティ)安全域 安全性 安全度

シナリオ(カウンターを00:00に合わせてください)

It is not the tone you expect to hear between two military members at work.
(勤務中の軍人同士の声とは思えないでしょう)

But if you are thanking a certain breed of specials working hard learning to saving lives, it is perfect.
(しかし、救命訓練中の特別な犬たちを褒めるには、これがぴったりなのです)

Commands are heeded obediently at 341 TRS, the largest dog school in the world.
(世界最大の軍用犬学校、空軍の第341訓練中隊では、命令は忠実に守られます)

This year they will graduate and certify 850 students. 500 are humans and with 350 canine partners.
(今年は850名を卒業・認証します。500人の軍用犬訓練兵と350匹のパートナーです)

They will add up more than the sum total on the battle field.
(合計すると、いま戦場にいる軍用犬チームの数を凌ぐことになります)

(カウンターを00:40に合わせてください)

I do use the term force multiplier for dogs because my dogs and I have done searches that would take humans hours to conduct and it takes us 20-30 minutes.
(犬は戦力増強の要因だとあえて言います。ヒトが何時間もかかる捜査を私と犬は20~30分でやったことがあるからです)

I knew that my dogs searched effectively.
(犬の方が効率的に捜索したと言い切れます)

The specialized search dog program is teaching teams of dog handlers and dogs to find explosives off leash.
(爆弾探知に特化したプログラムでは、犬をリードから外して自由にさせ爆発物を探すことを教えています)

The dogs work far in advance of their human compatriots providing speed for the search and a margin of safety for men.
(犬たちはヒトが到着するはるか前から仕事をします。これによって捜索が迅速になり、ヒトの安全度も増すわけです)

英語一言アドバイス:
margin of safety は文字どおりに訳すと「安全の領域・余地」でしょう。もっと普通にいえば「安全度」「安全性」です。薬や精密機械などで、誤使用や誤操作の場合の許容度が低い場合などに使えます。

“This medicine/machine does not have a wide margin of safety”
(この薬・機械の安全範囲はあまり大きくない)

動画サイト:
http://www.youtube.com/watch?v=46OXftIH1pM&feature=related

参考サイト:著者のメルマガ「もしも、の英会話入門:軍隊式英会話術」http://archive.mag2.com/0000229939/index.html

加藤 喬(たかし)

追伸:「軍用犬レックス」翻訳完了! 日本語版は並木書房より十月刊行予定。乞うご期待!
https://www.facebook.com/takashi.kato.71465572?fref=ts

新刊『レックス 戦場をかける犬』予約受付開始しました。
詳細は並木書房HPをご覧ください。
http://www.namiki-shobo.co.jp/

●著者略歴

加藤 喬(かとう・たかし)
米国防総省外国語学校日本語学部准教授。元米陸軍大尉。都立新宿高校卒業後、1979年に渡米。カリフォルニア州立短大ラッセン・カレッジ、アラスカ州立大学フェアバンクス校で学ぶ。88年空挺学校を卒業。91年湾岸戦争「砂漠の嵐」作戦に参加。カリフォルニア陸軍州兵部隊第223語学情報大隊中隊長をへて、現職。著書に第3回開高健賞奨励賞受賞作の『LT ある“日本製”米軍将校の青春』(TBSブリタニカ)、『名誉除隊』『加藤大尉の英語ブートキャンプ』(いずれも並木書房)がある。現在メルマガ「軍隊式英会話術」を配信中。



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