台灣の歴史を知ることが肝要(予備役空軍大尉)

2019年2月6日

臺灣 「中共によるわが国と台湾の分断工作がはじまった」。(080617配信 軍事情報 第348号「自衛隊ニュース」より)
 まさにドンピシャリと思います。中共の最終目標はアジア太平洋地域に覇を唱える帝国の建設にあり、その準備段階として何が何でも台湾を併合する必要があります。台湾が陥落すればフィリピンは戦わずして中共の軍門に降り、南シナ海は文字通り共産シナの内海となり、シーレーンを握られたわが国と韓国は中共の属国となるでしょう。
では、日本人は何をすべきか?
中共およびその走狗たる在台湾親中勢力(中台統一派)の宣伝戦への対抗策はきわめて単純です。それは歴史を学ぶことです。
臺灣の歴史
 彼らはこう主張します。「台湾は中華人民共和国の不可分の一部である」。大嘘です。そもそも台湾は日清戦争後の講和条約(下関条約)の結果、日本領となったわけですが、わが国はサンフランシスコ講和条約(1951.9.8署名、1952.4.28発効)によりその領有権を「放棄」しました。ポイントは「放棄」という点です。すなわち、わが国は台湾の領有権を放棄しただけで、いかなる外国政府に対しても台湾を「返還」した事実は無いのです。
 日本政府はかつて国会答弁において明確にそのことを述べています(第046回国会 予算委員会における池田勇人首相の答弁)。共産シナ政府(中華人民共和国政府)が成立したのは1949年10月1日のことですから、この時点においては台湾はいまだ国際法上は日本の領土だったわけです。
「中華人民共和国の神聖な領土の一部」などであるはずがないし、中共はただの一秒たりとも台湾を実効支配した事実はないのです。
では台湾はどこの国の領土なのか?
 現在、台湾を実効支配しているのは「中華民国政府」です。中華民国政府が台湾の実効支配を開始したのは、戦後まもなく、マッカーサーの命令を根拠として中華民国軍が在台湾日本軍を武装解除するために台湾に進駐したことに始まります。
 この進駐はあくまでも終戦処理をするためのものであって台湾を中華民国に返還する意味合いはありません。中華民国のトップであった蒋介石はカイロ宣言(1943年12月1日発表)を根拠に台湾は中華民国に返還されたとして、台湾に中華民国憲法を適用しましたが、カイロ宣言は単なるプレスリリース(報道機関向けの広報資料)に過ぎず法的拘束力のある国際条約ではありません(条約ではない証拠に出席者であるルーズべルト、チャーチル、蒋介石のいずれも署名をしていません。なお中共もカイロ宣言を自己の主張の根拠としています)。
 さらに、わが国と中華民国の間に締結された日華平和条約(1952年4月28日署名、1952年8月5日発効)においても日本の台湾領有権の放棄が明記されたのみでそれ以上のことは定められておりません。
 結局、「中華民国政府」は国際法上では、台湾を違法に占拠していることになります。蒋介石による不法占拠が現在に至るまで継続しているということです。結論をまとめますと、現在の台湾の「国際法上の地位は未定」であるというのが正解です。もし、「台湾は中国の一部だ」と言う人がいたら、以上の経緯を説明し断固反論すべきです。歴史を学ぶことこそ、最強の理論武装です。
(予備役空軍大尉)