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どう防ぐ中国機の自損テロ (大礒正美)

公開日: : 最終更新日:2014/06/06 台湾, 大礒正義, 大礒正義のよむきる

尖閣問題国際政策コラム<よむ地球きる世界>No.165
    by 大礒正美(国際政治学者、シンクタンク大礒事務所代表)

平成24年12月26日

           どう防ぐ中国機の自損テロ

 総選挙中の12月13日、中国国家海洋局の小型プロペラ機が尖閣の上空を堂々と領空侵犯した。米政府は直ちに「懸念を直接伝えた」。
 しかるに海洋局の公式HPは、上空から近接撮影した尖閣諸島の写真を公表し、「海空から中国領土をパトロールし、日本船に退去するよう命令した」と記載した。

 米政府が初めて、直ちに、直接、中国政府に警告したのは、米国が苦い経験をさせられたのを思い出したからである。日本側で思い出したのは専門家のみであろう。

 2001年4月1日、南シナ海の公海上空を飛行していた米軍のプロペラ機EP-3電子偵察機に対し、近寄ってきた中国軍のジェット戦闘機が故意に「幅寄せ」し、とうとう接触して自分が墜落、行方不明となった。どう見てもバカで未熟なパイロットの自業自得である。

 しかしEP-3のほうも飛行継続を断念し、最も近い飛行場を探して海南島の中国空軍基地に緊急着陸した。
 これで小躍りして喜んだのが中国政府である。ハイテクの固まりである電子偵察機と情報専門家を含む24人の米軍民を、そっくり手に入れたからだ。

 この豪華な人質を中国はフルに活用して米政府を揺さぶり続け、最終的に米国に領空侵犯とすべての責任を認めさせた(と内外に宣伝)。

 中国側でも、この成功体験は生きているに違いない。日本の海上保安庁は領空侵犯に対処する権限も能力も持っていない。尖閣領空を侵犯されたら航空自衛隊の戦闘機が出動することになる。

 中国側には2つの選択肢があるから有利といえる。すなわち中国も戦闘機を飛ばして対抗するか、あくまで非武装の海監プロペラ機を侵入させ続けるかを選べるのだ。

 米政府の素早い警告は、中国が戦闘機を出せば臨戦状態直前となり、自動的に日米安保条約の発動に至るぞという意味である。

 しかしもう一つの隠れた意味は、空は海よりはるかに複雑で、何でも起こりうるから手を出すなということであろう。

 もともと日本側はスクランブル発進しても、自機が攻撃されない限り相手を攻撃することができない。侵入機に退去を呼びかけながら牽制飛行するだけである。
 小型プロペラ機だと速度が違いすぎて、それさえも難しい。

 そこに中国側が目を付けて、故意に接触してくるかもしれない。もし海洋局機が自分から墜落して、「日本の戦闘機に撃墜された」と宣伝したらどういう事態になるか。
 
 海監機だけの仮定ではない。中国にはビジネス小型機が日本の何倍もある。香港の反日活動家が漁船で尖閣に突っ込んできたように、次は小型機で低空から侵入し、日本のF15戦闘機を誘い出して接近し、わざと墜落してみせるという事態もありうる。

 その最悪の場合、中国に存在するすべての日本人と日本企業が、文字通りの人質になるだろう。日米安保の対象にはならないから米国も手が出せない。

 米国がいくら中国に「尖閣は日米安保の適用対象」だと繰り返しても、中国は全く意に介さない。なぜなら「日本の施政権下にあるから」という条件付きなので、その部分を無効にしてしまえばいいと当然考えるだろう。

 中国政府はすでに施政権が中国にあるとみなして行動しており、国民の大多数は「それなのに日本は突然国有化を宣言し領土を奪い取ろうとしている」と信じ込んでいる。

 もはや中国政府も、国民をマインド・コントロールしすぎて、後戻りできなくなってしまった。日本は領海侵犯を繰り返す外国公船を強制的に追い出すこともできない。施政権が日本にあることをいまさらどうやって確認したらいいのか。

 乾坤一擲、窮余の一策、これしかないという名案をひとつ示しておこう。

 それは尖閣諸島を一括して、米軍に基地として貸与することである。

 もともと5島のうち久場島はまだ民間人の所有で、防衛省が賃借している。元から国有地の大正島とともに1978年まで米軍の「射爆撃場」として使われたが、中国は一度も抗議したことはなかった。書類上、この2島は今でも米軍に貸与されているらしい。

 人が住める魚釣島など3島と合わせ、5島を一括して改めて米軍に貸与する。そうすれば、施政権は日本にあり、それを米軍が基地として使うという関係が、中国国民にもハッキリと分かる。沖縄県の他の米軍基地と全く同じ位置づけになる。

 基地といっても飛行場や艦隊の使用には小さすぎるので、せいぜいレーダー基地と小型艦艇の常駐、それにオスプレイ用のヘリパッドにとどまるだろう。いわゆる船だまり(漁船の待避所)も、米軍管理の下に新設することはあり得るだろう。
 環境保全のために日米のNGOが協力する姿も想像できるだろう。

 日本にとっては、実質的に何も変わらない。領海と領空の警備も日本の責任で変わらない。ただ、米軍基地の上空や周辺海域にあえて挑んでくる無法者はいなくなるだろう。

 中国の習近平政権も表向きは激怒するだろうが、内心はホッと胸をなで下ろすのではないだろうか。国民を煽りすぎて自縄自縛になっていることは自覚しているはずだ。

 米国にとってもプラスは大きいと思われる。台湾に近接する尖閣に、小なりといえども拠点ができれば、東アジアに要(かなめ)石を置くようなものだ。台湾の住民も安心感を抱くだろう。

 一石何鳥もの利点があると思われるこの案を、安倍新政権が取りあげるかどうか、「公務員の常駐」という公約(もう先送り)とどちらがいいか、とっくりと考えてみていただきたい。

(おおいそ・まさよし 2012/12/26)

「国際政策コラム<よむ地球きる世界>No.165」より
http://www.geocities.co.jp/CollegeLife-Cafe/5562/column/latest165.html

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