米国の軍事意思決定システム

2019年2月6日

米統合参謀本部と陸海空軍省の関係
 わが国と同様(というより日本が米国を参考にしたのですが・・)に、米統合参謀本部と陸海空軍省はフォースユーザーとフォースプロバイダーの関係にあります。
 それぞれの分野で、大統領・国防長官・国家安全保障会議に対する軍事顧問的な役割を持っています。
意思決定のシステム
 意思決定のシステムとしては、フォースユーザーとフォースプロバイダーが調整し、軍事的な視点から最適行動方針等を決め、大統領・国防長官・国家安全保障会議に具申する統合参謀長会議(JCS)があります。
 構成メンバーは、議長(CJCS)、副議長(VJCS)、陸軍参謀総長(CSA)、海軍作戦部長(CNO)、空軍参謀総長(CSAF)及び海兵隊総監(CMC)です。
 統合参謀本部(JOINT STAFF)は、統合参謀長会議に対して責任を負う組織(情勢分析、計画や命令の作成等)で、人事、情報、・・といった機能別の部で編成されています。これらを総括するのが、「Director,Joint Staff」(事務局長)で中将(★★★)の職種です。
ここまで書いて気づきませんか?
わが国で統合参謀本部議長とされているのは(ちなみに現在の議長は、デンプシー陸軍大将です)、実は「統合参謀長会議議長」のことなんですね。
統合参謀本部は、統合参謀長会議の幕僚組織を意味するものなんですよ。
陸・海・空各軍種の副作戦代理
 統合参謀長会議(JCS)での大きな議題に行くまでには、それぞれのレベルに応じた調整を行い、積み上げていく必要があります。
 米統合参謀本部には、そのための調整を行う「DepOpsDeps」(陸・海・空各軍種の副作戦代理)という職種があります。統合参謀本部の事務局長と調整する各軍種(陸海空軍省)の代表者ですね。
 OpsDeps(陸・海・空各軍種の作戦代理) は中将クラス(★★★)の作戦担当部長、DepOpsDeps は、少将クラス(★★)の計画担当部長がメンバーになっているようです。
 これらのメンバーが、統合参謀本部事務局長が主宰する会合に集い、統合参謀長会議が管轄する範囲内の問題を検討し、あるいは重要な議題を統合参謀長会議での議論に至る前に選別する。こうすることで、統合参謀長会議は、各人の注意を引く案件に時間をあてることができるという趣旨です。