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創刊2000年10月のメールマガジン「軍事情報」です。

自衛隊への無理解を解く

time 2007/05/26

□投稿の内容

<>情報ワールドで世界に通用する先輩方を持つわが国なのに、なぜこれほどまでに「情報」はマイナーなのだろうか、ということです。(070522配信「自衛隊ニュース」 編集雑記の一部)

「事態対処」のための「情報活動」しか、していないからだと思います。私がいう「事態対処」とは、ある事柄が生じた後に如何に対処すべきか、という意味であり、事柄(事態)が生じる以前に、「どのような状況(事態)にすれば国益にかなうか」という発想なりがない、もしくはあっても我々には公けにされていない、ということです。

例えば ・イラクに行くことになった→そのために必要なものは という流れで情報活動を行なっているように感じます。

そして、これまでこれで対処できてきたようです(自衛官の皆さんが優秀なわけです)
派遣された自衛官が死ぬことがあれば、災害派遣なりで自衛隊がまったく機能しなければ、何かしらの反省・改善も湧き起こるでしょうが、アメリカに依存した情報活動で、結果として「事態によく対処」してしまうため、なんとなく、情報の必要性のみ反省としてあげられるものの、決定的に重要である、という認識までには行かないようです。

私は個人的に「北朝鮮による邦人拉致」に強い関心をもっています。この状況に対応すべき者たちは誰なのか。私は外交官と軍人であると思います。しかるに我が国の自衛隊は、いったいどれほどこの問題に当事者意識をもっているでしょうか。私の目に映るのは、外交官と警察官の姿しかありません。

事実、私の知る現職の自衛官(陸)は、「拉致よりも核が我々(自衛隊)が対処すべきこと」と明言しました。または「環境(法的整備の意)が整っていない」として政治家や国民に責任を転嫁しています。ガッカリします。

我が国の民間人数名が外敵の国家意志により、我が国領土から強制的に連行される事態・・この状況に対して自衛官の皆さんの当事者意識の低さに、私は呆れるばかりです。

私は決して自衛官の方々に敵意を持つものではありません。むしろ自衛隊に対し、好意を持つ者です。現になされている主権の侵害(拉致)に対し、生来予想される安全保障上の脅威(核)を並列に並べて優先順位をつけているかのような彼らの言動に対し、私は不信の念をもっています。生来予想される大きな厄災を理由に、現在生じている被害に反応できない者たちがはたして我が国の国民の安全を真剣に考えているのだろうか、という不信です。

さて話はずれてしまいましたが、情報活動についてです。
おそらく、邦人拉致に関しても、しかるべき手続きを経て「邦人救出作戦を検討せよ」との命令がなされれば、自衛隊はこの「事態」に「対処」すべく情報活動を実施するでしょう。ただし、これまでのようにその「事態対処」が上手くいくとは思えません。いま必要なのは「事態対処」ではなく、「青写真を描く」ことではないでしょうか。

「拉致被害者を救出すべき主体は我々(自衛官)だ」という自覚のもと、与えられた事態に対処するのではなく、自らその状況をつくり出す、そんな活
動をして欲しいです。

情報に関する書籍で得られるものは常に組織論や、その必要性の話ばかりです。組織を作って、環境作りをして、その後でなければできないというのではなく、自衛官にはまず、行動を起こして欲しいのです。彼らが「元自衛官」として組織論や我が国の安全保障の問題点を論じているのを見るたびに、以前は「なるほど」と思ったものですが、現在は「なぜ現職の時に権力を行使しなかったのか」と厳しい見方になっています。

現職の時には保身にはしり、退官後に正論を述べる姿には、ある種の軽蔑さえ覚える自分がいます。

なんだか愚痴を書いてしまいましたが、書きながら気付きました。私が聞きたいのは、情報組織の必要性でも国民の理解でもなく、国民の生命を護る自衛官の決意の言葉なのです。「政治を語らず」という吉田茂の言葉を信奉する防衛大学生の友人がいました。立派なものだと、当時は思いました。今は、「政治を語りたくても語れないのではないか」という不信感を持っています。

つまり語るべき「政治理念」などないのではないか、ということです。拉致問題に関し、私は自衛官の言葉をこれまで一度も聞いたことはありません。そして、残念ながらこのメルマガでも・・・・

勢いで書いてしまったため、非常に侮辱的で不快な言葉になってしまいましたが、自衛官の役割に期待する者の嘆きとしてお許しください。また、このメルマガを昔から愛読している者の「愚痴」として、どうかお許しください。読者との交流に関して、このメルマガが「開けている」との印象を持ったゆえ
のことと、どうかお許しください。>

ポイント1

<「事態対処」のための「情報活動」しか、していないからだと思います。私がいう「事態対処」とは、ある事柄が生じた後に如何に対処すべきか、とい
う意味であり、事柄(事態)が生じる以前に、「どのような状況(事態)にすれば国益にかなうか」という発想なりがない、もしくはあっても我々には公けにされていない、ということです。>

【見解&必須知識】

自衛官、特に上級部隊の指揮官やその幕僚は常に『事柄(事態)が生じる以前に、「どのような状況(事態)になれば国益にかなうか」という発想』で
国内外の動きを見ていなければ「いざ鎌倉」のときに間に合いませんし、防衛省防衛研究所や各自衛隊の幹部学校(列国の戦略大学や指揮幕僚大学に相当)で勉強していることも正にそれです。

しかし、軍事に関わる(というより正確には「自衛隊が活動する可能性のあることがら」に関わる)事態の読み方それ自体が、我が国では極めて政治的にセンシティブな問題です。

その典型的な例が「戦闘地域」の定義でした。

こんなものは実は問題の核心ではなく、危険見積そのもの(当然、見積もっていますし、上は政府トップまで報告されています)が本当は最も重要な筈ですが、その内容はとても外に公表されるようなものではありません。そして国会の議論は機関銃の数や装甲車輌の有無のような駄論で終始しました。

軍事には「敵に知られないよう、味方にも隠す」情報もあれば、「味方を安心、納得させるために敢えて知らせない」情報もあります。

「命じられたことは即実行する」ということは「明示される可能性のあることへの心の準備は常にしておく」ことです。「上は天下国家から下は近所の火事」まで全てです。

でも、その心中を口にすることはありません。我が国では言葉が一人歩きしますので、痛くもない腹を探られる(否、叩かれる)からです。

これは例えば、沖縄の辺野古沖の海上自衛隊による海中調査です。大臣が公表してからでもあれだけの騒ぎです。もし自衛官が事前に「命ぜられても即応できるように心の準備だけは出来ています」等と漏らしただけで大問題になったことでしょう。

○ポイント2

<・イラクに行くことになった→そのために必要なものはという流れで情報活動を行なっているように感じます。そして、これまでこれで対処できてきたようです(自衛官の皆さんが優秀なわけです)
 派遣された自衛官が死ぬことがあれば、災害派遣なりで自衛隊がまったく機能しなければ、何かしらの反省・改善も湧き起こるでしょうが、アメリカに依存した情報活動で、結果として「事態によく対処」してしまうため、なんとなく、情報の必要性のみ反省としてあげられるものの、決定的に重要である、という認識までには行かないようです。>

【見解&必須知識】

それは、事前に独自に現地調査をしたくても充分にさせてもらえない自衛隊への的外れな見方です。

本来の目的(所望結果)が何か、その目的達成の為に必要なことは何か、等々、ことに臨んでは命を懸けなければならない自衛官が、そのようなことを事前に考えないと思いますか?

 こんなことは作戦要務の初歩の初歩です。1尉以上の幹部自衛官なら誰でも心得ていることです。

しかし、外務省ですら自分の持っている情報を積極的には流してくれません。その他の国内で得られる情報はタカが知れています。やむを得ず乏しい海外出張旅費枠から捻出した外国出張ですら、マスコミや野党から無用の詮索や憶測による攻撃、中傷があり、しかもそれを求めた官僚や政治家は話の矢面には立たず、いつも知らぬ顔の半兵衛です。

このような条件下では同盟国である米軍から情報を得ることが主になることは避けられません。もっと良い方法があれば後輩達に教示してやってほしいものです。

自衛官は永年、自分の職務のために「当然準備しておかなければイザというときに対処できないような問題」について、実際に準備しては叩かれ、プランをメモっても叩かれ、事前に勉強したり考えただけで叩かれてきました。沖縄復帰準備、三矢研究、核攻撃対策の研究等、累々たるものです。

その一方で、ことが起きたときには、対応が遅い、準備がなっていない、と非難され続けて来たのです。

このような制約下で、自衛官は黙して出来るだけのことをしてきました。国民に知らせていない、自分は聞いたことがない、からとて、自衛隊が後手後手
のその場しのぎをやってきたとは思わないで頂きたいものです。

○ポイント3

<私は個人的に「北朝鮮による邦人拉致」に強い関心をもっています。この状況に対応すべき者たちは誰なのか。私は外交官と軍人であると思います。
しかるに我が国の自衛隊は、いったいどれほどこの問題に当事者意識をもっているでしょうか。私の目に映るのは、外交官と警察官の姿しかありません。
事実、私の知る現職の自衛官(陸)は、「拉致よりも核が我々(自衛隊)が対処すべきこと」と明言しました。
または「環境(法的整備の意)が整っていない」として政治家や国民に責任を転嫁しています。ガッカリします。>

【見解&必須知識】

あなたは何を自衛隊に期待しているのでしょう?

北鮮を攻撃することも、(憲法の範囲内で)武力で威嚇することも、あるいは奪還作戦を行うことも(成功確率はともかく)政治が命じれば自衛隊はやるでしょう。

でも国民はそれを望んでいるのでしょうか?大多数は望んではいないから政府もそれを命じないのではないでしょうか。

それを政府とは関係なく自衛隊に期待するのは、自衛隊の部隊の前で「イラク派遣反対」と叫んでいたプロ市民運動家と同じように無意味です。
自衛隊は命じられたことをやり、命じられないことは出来ないのです。それがシビリアン・コントロールです。

海上自衛隊は北鮮のKAB(秘密工作船)が我が国と往復していることをはるか昔から毎日フォロー(我が国周辺海域の監視任務)していましたし、警察はそれらが何等かの非合法活動を行っていることを把握していたに違いないと思いますが、政治的な理由で一切公表されませんでしたし、対策も施されませんでした。

我々は切歯扼腕していましたよ。

これらを放置し、拉致を含む北鮮の非合法活動をのさばらせたのは全て政治の責任、特に左翼野党の責任です。

○ポイント4

<我が国の民間人数名が外敵の国家意志により、我が国領土から強制的に連行される事態・・この状況に対して自衛官の皆さんの当事者意識の低さに、私は呆れるばかりです。私は決して自衛官の方々に敵意を持つものではありません。むしろ自衛隊に対し、好意を持つ者です。
現になされている主権の侵害(拉致)に対し、生来予想される安全保障上の脅威(核)を並列に並べて優先順位をつけているかのような彼らの言動に対し、私は不信の念をもっています。>

【見解&必須知識】

当事者意識の高低以前に、自衛隊は拉致事件の当事者ではありません。それは貴方の過剰期待です。

拉致事件は国内で起きた犯罪です。それが外国官憲の手によるものであったとしても刑事犯罪であって、侵略ではありません。

自衛隊は犯罪に対処する法的権限が与えられていないのです。もしそれが可能なら軍政をしくことだって出来ますが、海上警備行動が発令されて初めて「海上」でのみ海上保安庁や警察と同じことができるだけなのです。

例え、急迫不正の主権の侵害が生じた場合ですら、防衛出動(つまり殺人や破壊活動の公式な許可)が下令されなければ法的に対応できません。

自衛隊は(特に警察から)永年クーデター危険視されてきましたので、政治の命令や行政の要請なく部隊を動かすことを厳重に禁じられて今日まで来ました。

既にご存知と思いますが、阪神大震災で出動が遅れたのも兵庫県知事の出動要請がなく、連絡幹部が何度も催促し、最後に「この連絡を出動要請と見なしますよ、良いですね」と念押しして、県庁の担当者が返答の言葉を濁したことでやっと出動したのです。

このように自衛隊はその活動を法律で雁字搦めにされています。最高指揮官の首相でさえ自由に動かせるわけではなく、その度に泥縄で法律を作ったり改正したりする愚を繰り返さざるを得ないのです。

拉致と核では優先順位を付けるどころか、最初から順序にもなりません。不信を持つなら自衛隊へではなく、無為に見過ごさせた政治家達、特に積極的に
北を援助したに等しい野党政治家にぶつけるべきです。

○ポイント5

<さて話はずれてしまいましたが、情報活動についてです。おそらく、邦人拉致に関しても、しかるべき手続きを経て「邦人救出作戦を検討せよ」との命令がなされれば、自衛隊はこの「事態」に「対処」すべく情報活動を実施するでしょう。

ただし、これまでのようにその「事態対処」が上手くいくとは思えません。いま必要なのは「事態対処」ではなく、「青写真を描く」ことではないでしょ
うか。「拉致被害者を救出すべき主体は我々(自衛官)だ」という自覚のもと、与えられた事態に対処するのではなく、自らその状況をつくり出す、そんな活動をして欲しいです。>

【見解&必須知識】

貴方は大変なことを言っておられる。かつて関東軍が盧溝橋や柳条湖でやったとされているのと同様な行為を欲しておられるようですが、それは論外です。

○ポイント6

<彼らが「元自衛官」として組織論や我が国の安全保障の問題点を論じているのを見るたびに、以前は「なるほど」と思ったものですが、現在は「なぜ現
職の時に権力を行使しなかったのか」と厳しい見方になっています。現職の時には保身にはしり、退官後に正論を述べる姿には、ある種の軽蔑さえ覚える自分がいます。>

【見解&必須知識】

現役の自衛官は発言や投稿を厳重に抑制されています。それは保身ではありませんし、そもそも理想的な組織を検討し、実現させることは日々鋭意動いていることですが、自衛隊内の権限だけで実現させられるような軽いものではありません。(「権力を行使」は全く違和感があります)

組織人が自分の組織の長短をあげつらう話を部外に流すことはすべきではありません。部内で議論され、検討され、予算要求されるようなことでさえも、原則的には政府原案が出来上がるまで公表されませんし、すべきではありません。稀に観測気球的に新聞に出ますが、あれは例外的なものです。

まして、特務機関や情報機関のことを公然と部外に向かって論じるような人を貴方は信用できますか?

政治を自衛官が語ることを聞きたければ、貴方も自衛隊にお入りなさい。毎日、毎日、目一杯聞けますよ。でも、部外の人には聞かせません。

(以上 ヨーソロ)

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