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政府の国際広報活動 ~「それは違う!と言える日本」への脱皮を!~ –日本列島波高し(9)

time 2005/11/09

 小泉首相が先月靖国神社に参拝してから、日本のマスコミは火の点いたように中韓を気にした報道を繰り返していました。西欧世界でも一部に批判的な論調が見られました。これらを見ながら、なぜ我が国は、特に日本政府は国際的な広報が下手クソなのだろう、という疑問が湧いてきました。

「雫石事件」と「なだしお事件」の苦い経験

 これに関連して思い出される自衛隊在職中の苦い記憶があります。1971年の「雫石事件」と1988年の「潜水艦なだしお事件」です。

 雫石事件は「全日空の旅客機と航空自衛隊の戦闘機が空中衝突」した事件で、「民間航空路を飛行中の全日空機に戦闘機が侵入して衝突」、「両者は墜落して旅客機の乗員乗客は全員死亡」したのに「戦闘機のパイロットが射出座席で脱出して助かったのはケシカラン」、という論調の報道が全国に流されました。

 また潜水艦なだしお事件は「遊漁船第一富士丸と潜水艦なだしおが衝突」した事件で、「航路航行中の遊漁船に航路横断中の潜水艦が衝突」、「遊漁船は沈められ乗客30名が死亡した」のに「潜水艦側が助けなかったのはケシカラン」、という論調の報道でした。

 両方の事件とも長期の裁判や海難審判があり、初期の不正確で偏った報道の誤りはその後に相当に明らかになりましたが、当初の報道の誤った情報は未だに多くの国民のイメージに残っています。誤報の判明した実例を夫々一つだけ挙げれば、「旅客機のスピードの方が速くて戦闘機(古い型を練習機として使用していた)の背面に衝突したこと」、「遊漁船客女性の一人がマスコミに再三語って大きく取り上げられた内容の殆どが真っ赤なウソだったこと」などです。

日本のマスコミはアジテータ

 話が横道に逸れますが、同様の過熱報道は1974年の原子力船「むつ」の放射線漏れ事故の時にも生じました。

 このとき洩れた「放射線」の強度は胃のレントゲン撮影時の被曝量の約1/500と少なく、原子炉上部の甲板に「ここでは立ち止まらぬこと」とでも書いておけば充分に安全な程度であったのです。それにも拘わらず、マスコミは「放射能が洩れた」と誇大に騒ぎ立てて漁民を煽り、「むつ」を60日以上洋上を漂流させたうえに、技術立国の貴重な先進産業として有望な知的財産になったかも知れない核動力技術を潰してしまいました。この時の国民のトラウマが今度の原子力空母の横須賀母港化反対にも出ているように思われます。

 日本のマスコミの軍事的あるいは技術的な専門知識の欠如は目を覆うものがあります。特に事件が発生したときに担当する「社会部」記者の人達の発想や態度は、およそ専門的正確さや客観的中立的立場とは程遠く、センセーショナルさを競うアジテータのそれであるように思えます。

防衛庁・自衛隊が得た広報に関する教訓

 話を元に戻して、防衛庁・自衛隊が関わった上述の二つの事件の場合、それ以前の不祥事とは異なる事情がありました。それまでの事件や事故の多くは事実関係や因果関係が比較的に単純明白で、相手関係者も少なかったのです。
自衛隊は毎度のようにマスコミの偏向報道と罵詈雑言の非難を浴び、ひたすら黙してそれに耐えることで事態の沈静化を図ってきました。警察予備隊発足以来の「もの言えば唇寒し秋の風」が染みついていたのです。

 ところが「雫石事故」や「なだしお事件」は自衛隊以外の民間被害者やその関係者が多数に上り、過熱したマスコミの取材は口の重い防衛庁側よりも、気軽にインタビューに応じるその人達の方に殺到したのでした。そして連日、数々の虚言、誤報がさも事実のごとく報道されましたが、自衛隊はそれらに耐えて殆ど反論もせず、一方的に悪者にされました。そしてそれは更に悪い結果を生み、裁判にも影響を与えたのです。

 海空自衛隊はこの両事件から永年信じてきたものが間違っていたことを悟りました。「黙っていても分かる人は分かってくれる」男の美学も、「何れ裁判になれば真実が明らかになる」公明正大も、今ではもはや通用しない。「主張すべきはキチンと主張し、嘘や誤解はすぐに反論しなければ、相手の嘘も真実と見なされて流布してしまう」ことを痛いほど思い知らされたのです。改めて思い起こすのは、第二次大戦中の米海兵隊の戦訓の一つ「指揮官達は敵を恐れるよりもプレスの連中を恐れた」ことでした。

反日キャンペーンに対する政府の広報活動への疑問

 いま、中韓鮮の反日キャンペーンは連日のように世界に向けて発信されています。それに迎合する日本のマスコミの自国を貶めた虚報「従軍慰安婦」や「南京大虐殺」、戦前の「百人切り競争」など、日本人でも信じ込まされた人達がいます。中には公的立場で浅はかにも謝罪してしまった某首相や某国会議長も出るありさま。それが相手に更なる反日エネルギーを与えることが分からなかったのでしょうか?

 事実と異なる風説をさも事実のように流す反日活動については、例えそれが公的立場から出たものでなくても、外務省や政府はキチンと反論、是正、啓発すべきです。世界中の多数の人達が信じてしまえばそれを消し去ることは難しく、歴史上の事実として一人歩きを始めます。真実は「ある」か「ない」かの○×でしかありません。曖昧な妥協や足して2で割る解決は、第三者から見れば虚偽の反日主張を事実と認めているようにしか見えません。

 「内政干渉」もそうです。教科書問題にせよ、靖国問題にせよ、日本政府は「それは内政干渉だ」、「内政干渉は拒否する」となぜ言わないのでしょう?
 他の国々が「内政干渉」と見なす基準より格段に高いハードルを自分で勝手に設けて自分の首を絞めているようで、私には不思議でなりません。

それは違う!と言える日本

 エンリケ航海王子さまも先日お書きのように、近隣国と必ずしも円満でない国家関係は世界中そんなに珍しいことではありません。近隣で付き合いが深ければ深いだけ「近親増悪」が生じがちなのは国家も個人も同じです。避けられない問題には正面から立ち向かう勇気が必要です。

 文化の違いはお互いに理解し難く、誤解を受け易いことも事実です。しかし、異なる文化を受け入れることと、自分の文化を捨てることは同じではありません。自分の文化を捨て去ることはやがて国を失うことにつながります。

 「NOと言える日本」という石原慎太郎氏の有名な著書がありますが、これからの日本は「それは違う!と言える日本」でなくてはなりません。

以上、ヨーソロの管見でした。

(ヨーソロ)



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