クビにせよ

「守屋次官を退任させ、後任に西川官房長を昇格させる」とする小池大臣の人事案が六日、マスコミにリークされました。

塩崎官房長官は「俺は聞いてない」、守屋次官は「俺はやめない」といって小池大臣と対立しています。十六日現在、状況は変わっていません。
さまざまなご意見があるようですが、私どもの見解は非常に簡単です。
「即座に次官をクビにせよ」
です。
理由は以下のとおりです
1.文官も武官も、政治の命令に従う(シビリアンコントロール)ことに変わりはない。政治任命された大臣には人事権があり、大臣が更迭の意向を明らかにした人事案件が、官僚による首相への直訴や各種政治工作で潰れてしまうようでは、シビリアンコントロールは成立しない。
1.現政権が官僚をコントロールできないことが海外に知れ渡ってしまうことは国益毀損に値する。こういう国家は他国から見ると攻略するのはいとも簡単である。政治と行政の連携が取れておらず、騒乱状態を作るのに政治側からも行政側からもコントロール可能とみられるからである。
1.政治優先は、文官・武官に関わりなくすべての官僚に適用されなければ弊害を生む。政府の意に沿わない官僚を切れないようでは、民意に従う政治が行なわれるはずもない。本件は、防衛省の問題にとどまるものではない。
■関連ばなし
1.昭和初期に統帥権干犯問題というのがあった。これは、当時の政治家連が憲法のことば(字面)を政争の具にし、「統帥権は行政府から独立している」と主張することからスタートした。この問題は政府による陸軍への統制力を失わせる結果を生み、わが歴史を敗戦に至らしめる方向にねじまげた事件となった。問題は、発端が「政治家連の泥仕合」だったことにある。
それに便乗したのが陸軍であった。
1.小池大臣を「腰掛マドンナ」と見誤っている人々(守屋次官、塩崎官房長官など)は、小池大臣のしたたかさを受け、いささか意地になっているように見受けられる。小池大臣は政治の素人ではない。大臣経験者でもあり、官僚の人事案件などの基本手順は熟知している。霞ヶ関の裏もある程度把握しており、加藤や山崎、経世会を通じた「泣き」が入ることはあらかじめ計算の上であったと思われる。それが今回強硬手段に出た理由だろう。
1.守屋次官の気持ちはよくわかる。これまで防衛プロパーは、他省庁からの落下傘組に煮え湯を飲まされつづけてきた。守屋次官は「省昇格を成し遂げた」という「プロパー出身の超事務次官」として、省のこれからをプロパーに託したい気持があるのだろう。これまでの専横的な省内人事をみても推察できる。
しかし、今回大臣が示した次期次官の西川官房長は警察庁の人である。
1.防衛庁時代から防衛官僚にはとかくの黒い噂がある。検察が動き始めたとのうわさも聞く。
1.ちなみにマスメディアは、官僚を通じてニュースのネタをもらっているので、官僚との対立は避けたいと常に思っている。今回のような場合、テレビ、新聞報道は官僚の側に立つ。よってその内容はあまりあてにならない。マスコミの限界である。
■結論
1.安部首相は迅速に本件を処理し、守屋次官をクビにすべく手を打つべきである。
(おき軍事)
【2007年8月16日配信】