軍事情報記事(080421) 自衛隊:大臣補佐と助言

大臣補佐に関してよく見受けられる意見に、「シビリアンがおかしな事をす
れば制服が助言すればよいではないか」というものがあります。
それに接して感じることは、「助言」という言葉に対する認識の甘さです。
確かに助言自体は口頭で可能ですし、統幕長は首相と大臣に直接話をすること
ができます。これまでもいろいろな出来事が起きた際、政治家が制服の報告や
意見を聞きたがり、統幕議長(当時)や幕僚長が官邸に出向いたことは幾度も
あると聞きます。
しかしながら「助言」というのは「計画を立てて命令書の形に起案して提出す
る機能」のことをいいます。ここがキモです。
(ちなみに、「助言と承認」ということであれば案に副署名も付きます。
天皇陛下が公布される法律や政令などがこれに当たります)
これまで、「実行動命令」(作戦命令のこと)を各幕僚監部で起案して幕僚長
が決済して大臣に上げても、更に内局がそのうえに決裁の押印をする表紙を添
付して、防衛○○局やら運用××局のハンコが並ぶ間に官僚達が内容にゴチャ
ゴチャ干渉していたことなど、いろいろ聞いてます。
現状がどうなっているか詳細は十分に把握してませんが(当然の話です。笑)
伝え聞くところでは、この悪習は統合幕僚長ができてから大分改善されている
そうです。
今回の「幕僚長から命令執行機能(実質的な指揮権ですね)を取り上げる方向」
に反対するのは、内局による余計な干渉を防止し、餅は餅屋に任せるという状
況を維持徹底しておかねばと思うからです。
そうしておかなければ、これから先も命令に素人が関与できる状況を、変わる
ことなく継続する隙を作り、亡国につながりかねないと強く感じるのです。
一旦状況ができてしまうと、官僚は法律のプロなので、こういう言い方は失礼
ですが、通常の将校や政治家では太刀打ちできなくなるでしょう。
また、せっかく得た軍部隊を動かす権益を官僚が容易に手離すとはとても思え
ません。よほどの事態が起きれば別かもしれませんが。
そのためには、「命令の執行は幕僚長を通じて行なう」ことを意味する「委任
状」制度(=幕僚長に命令執行権を保持させ「幕僚長指示・指令」を機能させ
ておくこと)が必要ではないでしょうか?
とはいえ、もしかしたら、前提となる状況は既に過去の話なのかもしれません。
もしそうなら、ぜひご教授ください。
税金を払っている国民の立場からすれば、
素人官僚に軍の行動が左右されるような国には、怖くて住めないです。
住みたくもないです。