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『前世』
山口敏太郎(著)
青林堂
  
本著で紹介されているのは17人の人生です。
一話の長さも手頃で大変読みやすいです。

なかでも、『第10話 魂揺れし』は「英霊の無念」を見事に表現する作品でした。
主人公は大東亜戦争時の特攻隊指揮官で、終戦時に自刃。
あの世からずっとわが国の姿を見守っています。

「志ある自立した平和こそが、日本の復興である」

との声が現世に全く届いていないと嘆いています。

「それにしても、下界の民草を見ておると、自分が何のために英霊になったのかわ
からぬようになってきた。迷いの生じる肉体を廃し、護国の英霊となり、異国の鬼
神より日本を護るのが本当の戦いであると信じて自ら散ったのだ。欧米の精神的侵
略に対し、和魂の防壁となる神兵となって、今も戦っているのに。何故の所業であ
ろうか。この様な自堕落な国を後世に残すために己が礎になったのかと思うと、悲
しみの余り気が狂わんばかりの想いだ」

との一文は、出陣された方々すべての思いを代弁するものと感じます。

9日に封切りされた映画『硫黄島からの手紙』の主人公、栗林忠道中将(戦死後大
将)は訣別電文のなかで、「特に本島を奪還せざる限り皇土永遠に安からざるに思
ひ至り、縦ひ魂魄となるも誓って皇軍の捲土重来の魁たらんことを期す」と述べて
おられます。

あの合理的な栗林将軍ですらこう言っているのです。
「例え魂だけになってもあの世から国を護る」という感情は、決して特殊なもので
はないのでしょう。

歴代の首相が靖国参拝を政治ツール化していることに主人公は怒りを隠しません。
その理由は至極明快です。

「我らが軍神となったのはこの日本を護るためであって、再び戦をするためではな
い」

なぜ、堂々とこのことを世界に対して粘り強く発信してこなかったのか?
なぜ堂々と参拝しないのか?できないのか?
わたしにもその理由はさっぱりわかりません。


さて、著者のあとがきによれば、
本著で紹介されている話はすべて、「逆行催眠」を受けた10数名の方を通じて得ら
れたものだそうです。非常に面白いですね。

そういえば、山本五十六元帥や大西瀧次郎海軍中将は、航空隊への新人パイロット
配属に当たって顔相(手相だったかな?)を決め手にしたと聞きます。科学の最先
端にいた方が占いで人選を行なったというのは、人間社会の本質を示す非常に興味
深いエピソードですね。

科学的思考・論理ばかりが大手を振って歩いている戦後社会ですが、国力・国民の
質は下がる一方です。国を護るためには、論理で処理できない問題や課題を無視す
る姿勢を捨て、「不可思議なことに含まれる人間の真実」を探求する知的誠実さと
懐の深さが必要ではないか?と感じられてなりません。


正直言って、
第一印象とは全く違う読後感に爽やかさすら感じています。
誰がお読みになっても、日本の国柄を見つめなおすきっかけになるのは確かです。

ここでご紹介したのは第10話だけですけれど、
他にも、戦国武将や欧州のパン屋、貴族のお姫様など、バラエティに富む人生回顧
が紹介されています。語り手はすべて本人です。

有名人は一人もおらず、すべて地べたを這いずり回って生き、そして死んだ人ばか
りです。そういう人たちの生き様を通じて、あなたは一体どういう感想を持たれる
ことでしょうか。

最後にひとこと。
逆行催眠で軍人の言葉を集め、ひとつの歴史作品を作るのも面白いのでは?
(もしできればの話ですけど)


(エンリケ航海王子)


以下余談です。
この話を読むにつれ、大東亜戦争の本質を考えざるを得ませんでした。

西洋キリスト教文明と日本文明の覇権争い。
大東亜戦争の本質はここにあるのではないでしょうか。
その意味で、第二次大戦と大東亜戦争は全く性質の異なる戦だったように思えま
す。

終戦後、この点をもって連合国に反論した指導者は石原莞爾だけでした。石原が連
合国側から最大限の敬意を以って遇されたのは、ここに理由があるのでしょう。
おそらく連合国側も分かる人は分かっていたと思われます。

結局、連合国はマヤやインカ、メソポタミア、シナと同じようにわが文明を抹殺す
ることはできませんでした。その意味でわが国は、勝ちはしなかったものの、先の
大戦で敗北してはいないと感じざるを得ません。

米との戦では惜しくもガス欠となりましたが、わが国は英・仏・蘭のアジア地域の
足がかりを殲滅し、再起不能にしました。その原動力となった先輩方の気魄を、誇
るべき財産として後世に引き継ぎたいものです。

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(投稿日:2006年12月11日 19:17
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