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『軍事システムエンジニアリング―イージスからネットワーク中心の戦闘まで、いかにシステムコンセプトは創出されたか』
大熊 康之
かや書房


⇒元海自幹部(海軍退役役将校)の著者は、
新しい軍事システムを開発するにあたっての「目に見えない仕事」を解明し、いか
に活かすか、というテーマに取り組みました。

新技術や新システムは、木の股から突如生まれたのではなく、どこかの誰かが頭の
中で思いついたことを出発点にしています。しかし、これを解明するには専門分野
の長い経験と深い理解が不可欠で、誰でもできるというものではありません。

この取り組みに成功したか否かは著者のみぞ知ることでしょう。
しかしわたしは、かなり成功しているように感じました。
それ以上に、こういう業績を残されたこと自体に深い敬意を表します。

本著では、今日の中核的な米海軍システムを構築してきた8人の先達による、実践的
な「コンセプトの形成」及び「プロジェクトマネジメント」の本質を、プロたる著
者が解明しています。

解明にあたっての焦点は「システムそのもの」ではなく「いかにシステムを考えた
か」に向けられており、わが国の大規模システム構築者に対し「いかにシステムを
創り出すか」に関する手法も論じ、考察しています。

わが国の軍事本には、「システムや仕組みをいかに創出したのか?」という開発担
当責任者の内面に係る著作はほとんどないと思います。ひとことでいえば「見える
ものにしか関心をもたない」という偏った傾向に支配されています。

将校と下士官兵の任務の違いについて説明した
「将校の仕事は目に見えない仕事をすること。下士官兵の仕事は目に見える仕事を
すること」という言葉は、軍における役割分担を見事に表現しています。

このことばで例えると、これまでわが国で出版されてきた軍事本の多数は、「目に
見える仕事」の分野のもので、「目に見えない仕事」の方はほとんどなかったとい
えましょう。非常にアンバランスです。

この傾向は、軍事を知りたいと真摯に考えている人を軍事から遠ざけ、彼らから軍
事の本質を把握する機会を奪い、まっとうな軍事論議を妨げる原因のひとつになっ
ています。

いま、一般国民の求める軍事本は「目に見えない仕事」を解説した本です。
「目に見えない仕事」を理解する国民の存在は、国防を支える知的財産になると思
います。

昨今の情勢変化を受けて、志方俊之さんや太田文雄さん、中村好寿さんなど高級幹
部(*)の手になる「社会科学系 目に見えない仕事解説本」は増える傾向にあり
ます。またよく売れているそうです。

ただ技術系については、百年一日の如く「見えるもの」に焦点を合わした書籍しか
見当たりません。今回出版されたこの本は、新しい動きを生み出したといえ、今後
を期待させるものです。


(エンリケ航海王子)

(*)高級将校のこと。大佐(1佐)以上の将校を指す

【著者の紹介】
大熊 康之
昭和13年岐阜県生まれ。防衛大学校(電気工学)昭和33年卒業(6期)。米海軍ミサイ
ルスクール等留学。護衛艦艦長、護衛隊司令、海幕装備体系課班長(イージスシス
テム導入担当)、プログラム業務隊司令等を経て、平成5年海上自衛隊退職(海将
補)。以後、「軍事システムエンジアリング」の研究、講演等で活躍(本データはこ
の書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

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(投稿日:2006年12月 4日 19:14
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