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岩下哲典氏ー江戸の情報活動伝達人ー

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情報活動に関心がある人のなかには、
江戸時代の情報活動はどうなっていたんだろう?
という疑問に行き着く方、けっこう多いと思います。

そういえば、同じような問題意識をお持ちの方からいただいたメールを紹介し
たこと、ありましたね。

諜報に当たった忍者(お庭番)機関が残した記録はまずないでしょうし、
この部分は永遠に闇の中というところでしょう。

余談ですが、
維新の英雄西郷隆盛には、
薩摩藩主島津斉彬のお庭番として、諜報活動に駆けずり回った時代があります。


さて、
当時の人たちは一体どういう情報を手にし、
どういう資料を手元におき、
どんな風に情報を分析し、どう行動に反映させていたのでしょうか?

このあたりのこと、ぜひ知りたいことですよね。

ご安心下さい。
そういうことを専門に研究している学者がいるんです。
ご存知でしたか?ちなみにエンリケは知りませんでした。


今回ご紹介する岩下哲典さんの存在は、
ある読者の方から教えていただきました。

早速著書のひとつ『幕末日本の情報活動』を拝読したところ、
これが実に面白い。
ずいぶん分厚い論文集ですけれど、ぺろっと読めてしまいました。

現時点で読んだ本は
『幕末日本の情報活動』『江戸のナポレオン伝説』のみですが、
いずれも「情報活動から歴史を読み解く」という斬新な観点からのもので、
非常に面白いものでした。これから、他の著作を拝読させていただこうと考え
ています。

わが歴史学会には、
こういう良質な研究者の方もおられたんですね。
目からうろこ状態です。


読んで思うのは、
岩下さんは、学者としても有能なのだと思いますが、
それ以上に、読み手を意識できる、もの書きの才能があるということです。

この種の学者にしては、よみもの形式の本が異例に多く出ているのも、
そこに理由があるのかもしれません。


岩下さんのご経歴は以下のとおりです。

1962年生まれ。
青山学院大の文学部卒業後、一時期は郷里で予備校の先生をされましたが、
その後、学校からスカウトされる形で、学者人生をスタートされています。

もしかしたら、予備校時代の経験が、文章に表れているのかもしれませんね。
徳川黎明会の学芸員や鷹見家資料調査団の調査員としての経歴もお持ちで、
文献資料の扱いもプロといえるようです。

現在は明海大学、青学大の講師をされています。

なお、意外なお得感を覚えるのは、
各著作の最後にある「参考文献」です。
これは、実にお役立ちものです。

ご参考までに、
とても面白かった『幕末日本の情報活動』の目次を以下でご紹介します。
情報の流れを通じて幕末の動乱を眺めたとき、
なぜだか現代と共通項が多い気がしてなりませんでした。


序 問題の所在ー吉田松陰の書簡を手がかりにー


第1部 開国前夜における幕府・諸藩・庶民の「情報活動」


 第1章 アヘン戦争情報の伝達と幕府・諸藩の「情報活動」
   ー伝達初期における衝撃度合の検討を中心にー

 第2章 「ペリー来航予告情報」の伝達と幕府の「情報活動」
  第1節 「ペリー来航予告情報」の伝達と幕府の対応
    ー長崎オランダ商館長ドンケル・クルチウスと老中阿部正弘ー
  第2節 「ペリー来航予告情報」と中央政局の動向
    ー阿部正弘と雄藩大名らの連携ー
  第3節 幕末日本における「ペリー来航予告情報」
    ー「鎖国」下の長崎から発信された最重要情報ー

 第3章 開国前夜における庶民の「情報活動」
   ー嘉永3年板行「きたいな名医難病療治」にみる為政者像ー

 第4章 海外情報と幕府・雄藩・庶民の「情報活動」
   ー近世初期から開国前夜にかけての情報環境ー

 補論 開国直前の「情報活動」の一事例
   ー明海大学図書館蔵「魯西亜船渡来一件」ー

第2部 幕末の海外情報と個別領主の「情報活動」

 第1章 御三家筆頭徳川慶勝の海外情報研究
  第1節 慶勝直筆写本「阿蘭陀機密風説書」
   ーペリー来航後の対外献策の背景としてー
  第2節 幕末尾張藩の海防と藩主慶勝の役割
   ー慶勝による海防整備の実態とその出発点ー
  第3節 改革指導者慶勝の思想的背景
   ー慶勝直筆「目録」の分析をもとにー
   
  第2章 九州外様大名黒田長溥(くろだながひろ)と海外情報
   第1節 ペリー来航直前における黒田長溥の対外建白書
    ー尾張藩主旧蔵本から発見された建白書ー
   第2節 黒田長溥による海外情報の収集・分析・活用
    ー情報による近代化の意味ー

 補論 アヘン戦争からペリー来航へ
  ー老中鷹見泉石の資料からー

結び 「ペリー来航」と「情報活動」

史料編


岩下哲典氏の全著作

ちなみに私が読んだうち、
『幕末日本の情報活動』は絶版になっているようです。
しかし、その他の書籍は入手可能です。

・『江戸のナポレオン伝説―西洋英雄伝はどう読まれたか』
  ⇒ナポレオンが幕末武士にどういう影響を与えたか?情報面から読み解い
  ているエッセーです。蛮社の獄の犠牲者のひとりなのに、大変地味な存在
  の小関三英を重視している姿勢に著者の才能を感じます。

・『江戸の海外情報ネットワーク』
・『権力者と江戸のくすり―人参・葡萄酒・御側の御薬』
・『予告されていたペリー来航と幕末情報戦争』
・『徳川慶喜―その人と時代 』
・『江戸情報論』
・『近世日本の海外情報』

くわしくはこちら


(エンリケ航海王子)

【070202配信 メールマガジン「軍事情報」(本の紹介)より】

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(投稿日:2007年2月 2日 14:44
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