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西洋経済史講義

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歴史の書物は有機的であって欲しい。いつもそう思っています。
「読み物として面白いものであってほしい」ということです。

しかし、理論重視の世界ではすべてが理論で、あまりに無機質です。
無機質なものから養分を得ることはほとんどできません。

無機質の代表選手とされるのが経済学の書籍ですが、
なかには有機的な内容を持つ、実に面白い解説書もあります。

この本は、
古代から現在にいたるまでの西洋経済史の概説です。大学の学部生向け教科書
ですが、いやあ、実に面白いですね。特に「イギリス資本主義の確立」(127
ページ)、「情報革命とグローバリゼーション」(280ページ)は非常に参考
になりました。

私が学生時代の学史は、単なる理論の変遷を記した実に味気ない無機質なもの
でしたが、これを読むと実に有機的な内容で、「教科書?」と思ってしまった
ほどです。中大の学生さんがうらやましい・・・

まえがきで著者は、

「経済学史が対象とするのはわれわれ人間の社会であるが、その際われわれは
対象から距離を取った神のごとき立場から真実を「批判的、客観的に把握」
するなどということは実際にはできないものであり、対象の真実の把握が同時
にわれわれ自身を歴史の器官にしてしまうような研究態度を目指すべきである」

と述べていますが、全く同感ですね。
この言葉だけ見ても、著者の見識が伺えます。

文章が実に読みやすいです。
ひとつの章も短いです。
西洋歴史の入門書として、十分オススメできる内容です。

著者の専門はドイツ経済史なので、ドイツが取り上げられる機会が多いですが、
一般読者からすれば、そのおかげで無機質な印象が少なくなり、読み物として
とっつきやすい印象を受けますね。

「教科書だから・・・」という理由で読まないのはあまりにもったいない本です。

特に、戦後日本に生まれ育った人間には、十六章以降は必読の内容と思いますね。
十七、十八、十九章を読んでいると、戦後日本とワイマール共和国の相似、経
済恐慌など、よく似た歴史の流れが見受けられます。

日々地道に働いているあなたにこそ、この本を読んでいただきたいですね。
オススメします。


ご紹介した本は

西洋経済史講義
 柴田英樹 
 学文社

 
 
でした。


(エンリケ航海王子)

目次

第一章 ヴェーバーと近代
第二章 ハーバーマスと近代
第三章 ヘーゲル・マルクスと近代
第四章 共同体論と古代ゲルマン農牧社会
第五章 封建制の成立
第六章 封建制の再編
第七章 封建制の危機
第八章 主権国家の発展
第九章 農民解放
第十章 営業の自由
第十一章 ドイツ関税同盟
第十二章 産業革命1
第十三章 産業革命2
第十四章 金融資本の成立
第十五章 ユンカー
第十六章 社会民主党史
第十七章 ワイマール共和国の成立
第十八章 世界経済恐慌
第十九章 ナチス史
第二十章 占領期
第二十一章 西ドイツの発展1
第二十二章 西ドイツの発展2
第二十三章 東ドイツの発展
第二十四章 再統一と欧州化
第二十五章 情報革命とグローバリゼーション

【070928配信 メールマガジン「軍事情報」(本の紹介)より】

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(投稿日:2007年9月28日 12:43
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