本の紹介
2010.7.22 普天間の謎 基地返還問題 迷走15年の総て
2010.7.20 『世界がさばく東京裁判 ~85人の外国人識者が語る連合国批判』
2010.7.18 『「太平洋戦争」こう戦えば・・・ ~Ifの太平洋戦史~』
2009.7.15 杉山穎男 『サムライと日本刀─土方歳三からの言伝て─』
2009.7. 3 杉山穎男 『サムライと日本刀─土方歳三からの言伝て─』 特典付先行販売 締め切りは7/3
2009.6.26 金子貴一 『秘境添乗員』 (アリーマ山口)
2009.6.22 葛原和三 『機甲戦の理論と歴史』
2009.6.12 『坂井三郎の零戦操縦(増補版)~真剣勝負に待ったなし~』 世良光弘
2009.6.11 『自衛隊風雲録』 田母神俊雄
2009.4.24 『国防論』 田母神俊雄・松島悠佐・川村純彦・勝谷誠彦
2009.3.21 田母神俊雄 『田母神塾 これが誇りある日本の教科書だ』
2009.3.18 『ゼロ戦の秘密』
2009.3.15 本の紹介
2009.2.21 田母神問題が87分でスッキリわかるヒミツの方法
2009.1.30 斎藤吉久 『天皇の祈りはなぜ簡略化されたか --宮中祭祀の危機--』
2008.12.27 渡部昇一・田母神俊雄 『日本は「侵略国家」ではない!』
2008.12.14 田母神俊雄 『自らの身は顧みず』
2008.9. 9 隷属国家日本の岐路~今度は中国の天領になるのか?
2008.6.27 平和の地政学 ~アメリカ世界戦略の原点~
2008.6.22 北京五輪後 中国はどうなる?
2008.6. 6 加藤大尉の英語ブートキャンプ 軍隊式英会話
2008.6. 4 オンライン映像版「英語ブートキャンプ」(元米陸軍大尉 加藤喬)
2008.6. 1 シリーズ軍事力の本質(2) シー・パワー その理論と実践
2008.5.23 平和はまだ達成されていない ナウマン大将回顧録
2008.5.16 『戦友』 高部正樹 (YouTube資料映像付き)
2008.4.26 2011年日中開戦&失敗の中国近代史(080425配信 メールマガジン「軍事情報」より抜粋)
2008.4.11 教科書 日本の防衛政策
2008.3.28 [新訳]孫子
2008.3.19 『中国人の交渉術』 産経新聞外信部 文藝春秋 の復刊支援(追伸つき)
2008.3.14 デビルドッグーアメリカ海兵隊日本人伍長のイラク戦記ー
2008.2.29 逆説・北朝鮮に学ぼう ヘタレの日本に明日はない
2008.1.11 知っておきたい!! 自衛隊100科
2008.1. 5 14歳からの戦争学
2007.12.22 日本人は戦略・情報に疎いのか
2007.12. 5 年末年始に是非どうぞ。
2007.12. 5 核を売り捌いた男 ~死のビジネス帝国を築いたドクター・カーンの真実~
2007.11.30 最強戦闘機 F-22ラプター
普天間の謎 基地返還問題 迷走15年の総て
著者:森本敏
発行:海竜社
発行日:2010/7/17
http://tinyurl.com/2a4my5m
>>続きを読む:普天間の謎 基地返還問題 迷走15年の総て
『「太平洋戦争」こう戦えば・・・ ~Ifの太平洋戦史~』
『「太平洋戦争」こう戦えば・・・ ~Ifの太平洋戦史~』
著者:三野正洋
発行:WAC出版
発行日:2010/6/30
http://tinyurl.com/25tj6y4
内容をざっくり言えば、
大東亜戦争開戦から終戦までの軍事できごとについて
「もしあのとき・・・だったらどうなっていただろう」ということを、
30個のIfを通じて検証するという、
一般人向け戦史エンターテインメントです。
>>続きを読む:『「太平洋戦争」こう戦えば・・・ ~Ifの太平洋戦史~』
杉山穎男 『サムライと日本刀─土方歳三からの言伝て─』
本著は、神器、武器の二律背反を兼ね備えた日本刀という武器と、そのことをわきまえて生きた武士のすがたを通じて「わがサムライ」の生き様を描き出す試みです。
語り部には、新撰組の土方歳三が選ばれました。
キモは、
>>続きを読む:杉山穎男 『サムライと日本刀─土方歳三からの言伝て─』
杉山穎男 『サムライと日本刀─土方歳三からの言伝て─』 特典付先行販売 締め切りは7/3
杉山穎男さんの新刊が、いよいよ出版されます!
『サムライと日本刀─土方歳三からの言伝て─』
(四六判204ページ・並製・定価1575円・7月15日発売)
いまなら、杉山さんの花押が入った本、送料無料、振込手数料無料、書店で並ぶより早く入手
という4つの特典をGETできますよ。
金子貴一 『秘境添乗員』 (アリーマ山口)
新刊は『秘境添乗員』という。
文芸春秋社の『本の話』というPR誌に2年3カ月連載されたものに、大幅加筆修正を加えたものだ。
彼とのお付き合いはエジプト以来で、20年来の古い仲間である。
交遊の経緯は彼の前作『報道できなかった自衛隊イラク従軍記』の紹介等で触れたので、ご参照いただければ幸いである。
http://arima.livedoor.biz/archives/50754013.html
http://honyarara.livedoor.biz/archives/50922517.html
http://arima.livedoor.biz/archives/50742482.html
>>続きを読む:金子貴一 『秘境添乗員』 (アリーマ山口)
葛原和三 『機甲戦の理論と歴史』
しかし、人間社会が存在する限り、軍事は残り、陸戦も永遠に残りつづける。
今必要な新しい陸戦理論を編み出すために必要な要素、エッセンスは何か?という問題意識から、機甲戦理論の歴史とその発展についてまとめたのがこの本です。
ちなみに監修者である、戦略研究学会常任理事の川村康之さんは<機甲戦理論は、現代では陸上戦理論と同義語ともいうことができ・・・>とかかれています。
著者には、
21世紀の用兵の核となる「統合軍」の中核として即応しうる「機動展開グループ」のための新たな理論形成に資する目的もあると推察します。
>>続きを読む:葛原和三 『機甲戦の理論と歴史』
『坂井三郎の零戦操縦(増補版)~真剣勝負に待ったなし~』 世良光弘
表紙には、帝国海軍の高高度飛行用電熱服を身にまとい、腕組みをしてカメラを見据える若き戦闘機乗り。
裏表紙には、白いタートルネックセーターを着、笑みを浮かべながら鋭い目つきでカメラを見据えるメガネ姿の老人。
が、それぞれ映っています。
表紙の若者と裏表紙の老人は、同一人物です。
『自衛隊風雲録』 田母神俊雄
<「何故あなたは、テレビ朝日の報道を信じ、私たちが何ヶ月もかけて
縷々説明してきたことを信じないのか」と訊いた。
すると「空自の最初の対応がまずかったから問題が大きくなった」と言う。>
(P223)
<すると増田次官は私に「懲戒審議会の審理を辞退して欲しい」と虫のいい
要望をしてきた。
私は「いや、それは出来ない。むしろ徹底的に審理して欲しい」と答えた>
(P249)
ここで紹介した文はそれぞれ第5章、第6章からの抜粋です。
この2章を読んだだけで
「やっぱりそうだったのか・・・」
とため息をついてしまいました。
>>続きを読む:『自衛隊風雲録』 田母神俊雄
『国防論』 田母神俊雄・松島悠佐・川村純彦・勝谷誠彦
「軍人は右でも左でもない。ひたすら国防のために邁進する存在だ。それを理解しようともせず、
戦争そのものを忌避し、ひたすら軍事に無知でありつづけ、自衛隊を不当に貶め、国防に必要な手を何も打っていない戦後日本の現状は、戦争を生む土台を作っていることにほかならない」
ということです。
>>続きを読む:『国防論』 田母神俊雄・松島悠佐・川村純彦・勝谷誠彦
田母神俊雄 『田母神塾 これが誇りある日本の教科書だ』
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■「沖縄と共に『自立国家日本』を再建する草の根ネットワーク」
立ち上げシンポジウム開催!
ネットワークの代表・仲村覚さんは、沖縄出身初の少年工科学校入
学者のおひとりです(S57)。わが陸自の航空科で任務につきH3に
除隊。現在は企業を経営されています。
・沖縄出身者が、改憲を呼びかけています
・沖縄出身者が、祖国日本の国防改革を呼びかけています
・沖縄出身者が、沖縄の危機的状況を伝えています
本土の有志は、いまやこの声に応える秋ではないでしょうか。
開催日:3/28(土)
時間:1300~(シンポジウム)、1600~(懇親会)
場所:日本青年館ホテル 中ホール(地下)
シンポジウムの詳細・参加受付はこちらで
⇒ http://jiritsukokka.com/cat4/
主催:「沖縄と共に『自立国家日本』を再建する草の根ネットワーク」
http://jiritsukokka.com/
共催:理想国家日本を実現する東京大学OBの会
活動趣旨を紹介した動画:
『あえて沖縄から目指す「自立国家日本」の再建-仲村覚氏に聞く』
平成21年2月12日放映 チャンネル桜「防人の道 今日の自衛隊」 より
http://zoome.jp/atatata/diary/1372
※5分40秒から主催者・仲村覚さんが出演しています。
シンポジウムの詳細・参加受付はこちらで
⇒ http://jiritsukokka.com/cat4/
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配信解除はこちらからお願い致します。
http://www.mag2.com/m/0000049253.html
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軍事情報 (本の紹介) 11,366部
平成21年(2009年)3月21日
┏【目次】─────────────────────────────☆
┃☆【本の紹介】 品切れ続出という話ですが・・・
┃☆ 軍事図書情報の環境を変えよう
┃☆ メルマガ紹介
┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━☆
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>>続きを読む:田母神俊雄 『田母神塾 これが誇りある日本の教科書だ』
『ゼロ戦の秘密』
■第1章は、零戦の実戦記録です。
操縦士たちの「戦闘機乗り魂」が余すところなく表現されており、実に面白い
ですね。宇垣纏中将の特攻出撃で終わるこの章は、零戦・空戦方面から描いた
「コンパクト大東亜戦史」ともいえる内容です。
記述は詳細で、読み手の頭に現場の光景が浮かび上がるようです。
文庫本なのに、ここまで「微に入り細に入った」深い表現がなされていること
に少し驚いてます。
>>続きを読む:『ゼロ戦の秘密』
本の紹介
■『【新訳】名将言行録』 兵頭二十八 PHP 2008/10発行
戦国武将の選りすぐりの言行をまとめた『名将言行録』岡谷繁実(原著)の
兵頭版注訳。
特徴は原著にあるすべての項目を取り上げ、新書一冊にコンパクトにまとめた
点。コンテンツそのものよりも、まえがきにある、岡谷繁実に関する兵頭さ
んの解説が一番滋養になるように感じた。
>>続きを読む:本の紹介
斎藤吉久 『天皇の祈りはなぜ簡略化されたか --宮中祭祀の危機--』
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エンリケです。
十二月にWACさんが行なった田母神退役空将講演会の模様がDVDで
ご覧いただけます。今日書店で当該DVDが売られているのを確認しました。
ネットではまだ扱われていないようです。
興味あるなあ・・・と思ったら、お近くの書店で問い合わせてみてください。
発売元はWACさんです。(月刊誌「WiLL」の出版元です)
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配信解除は以下から可能です。お役にたてれば幸いです
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軍事情報 (本の紹介) 11,531部
平成21年(2009年)1月30日
┏【目次】─────────────────────────────☆
┃ ☆本の紹介(天皇・皇室を知る本)
┃
┃ ☆発行:おきらく軍事研究会
┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━☆
■配信解除は以下から可能です。お役にたてれば幸いです
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取材・インタビュー・原稿作成・webコンテンツ用テキスト文作成・自費出版の
原稿作成支援およびアドバイス・その他《書く》ことに附帯する一切の業務に
ついて執筆活動を展開しております。 ライター・平藤清刀
E-mail hirafuji@mbr.nifty.com
WEB http://homepage2.nifty.com/hirayan/
――――――――――――――――――――――――――――――――
⇒「書きたいことがあるけれど、筆が進まない」「自他ともに認める文章下手
なのに、書かねばならないことがある」というあなたの力強いアドバイザーで
す。できないこと、不得手なことはプロに頼める時代です。(エンリケ)
こんにちは!!
おき軍事のエンリケ航海王子です。
今年初めての本の紹介です。
実に素晴らしい本を紹介できる喜びに打ち震えています。
ではどうぞ
(エンリケ)
渡部昇一・田母神俊雄 『日本は「侵略国家」ではない!』
田母神さんの最新刊
『日本は「侵略国家」ではない!』
著者:渡部昇一・田母神俊雄
発行:海竜社
発行日:2008/12/29
http://tinyurl.com/76ac7m
は現在全国書店で発売中です。
>>続きを読む:渡部昇一・田母神俊雄 『日本は「侵略国家」ではない!』
田母神俊雄 『自らの身は顧みず』
前空幕長田母神さんの手になる本が出版されました!
一言で言えば、「田母神問題」の本質は正しく伝えられていない。
ということです。
そのことを正確に把握するために必要な情報がぎっしり詰まっているのが本著
です。
自衛官の言論の自由云々、自衛隊内の手続き云々、軍政関係云々・・・
これら巷で話題になっていることごとは「田母神問題」の本質ではない、と
いうことが本当によくわかります。
今巷でいわれている話題のほぼすべては、いってみればどうでもいい枝葉のこ
とです。
ではなにが本質なのか?
>>続きを読む:田母神俊雄 『自らの身は顧みず』
隷属国家日本の岐路~今度は中国の天領になるのか?
━━☆☆☆☆━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━★
軍事情報 (本の紹介) 11,421部
平成20年(2008年)9月5日
┏【目次】─────────────────────────────☆
┃ ☆ 本の紹介(『隷属国家日本の岐路~今度は中国の天領になるのか?~』)
┃
┃ ■広告に関するご案内
┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━☆
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取材・インタビュー・原稿作成・webコンテンツ用テキスト文作成・自費出版の
原稿作成支援およびアドバイス・その他《書く》ことに附帯する一切の業務に
ついて執筆活動を展開しております。 ライター・平藤清刀
E-mail hirafuji@mbr.nifty.com
WEB http://homepage2.nifty.com/hirayan/
――――――――――――――――――――――――――――――――
平藤さんは、私エンリケがもっとも信頼するプロのライターです。
年間三十日の訓練に出頭する、即応予備自衛官でもいらっしゃいます。
ライター経験はすでに十六年を超え、雑誌「サピオ」への寄稿やご著作
『予備自衛官になる本』、弊メルマガ連載『ひらやんのブツクサ独り言』
など、さまざまな媒体での実績をお持ちです。(エンリケ)
こんにちは!!
エンリケ航海王子です。
今日も良い本を紹介できます。
感謝するばかりです。
(エンリケ航海王子)
>>続きを読む:隷属国家日本の岐路~今度は中国の天領になるのか?
平和の地政学 ~アメリカ世界戦略の原点~
■地政学への反感
わが国には、地政学という名前に生理的に反感を持つ学者やエリートが多いよ
うです。
これはドイツのハウスホーファーの悪名と対日弱体化工作の相乗作用がかなり
影響しているようですが、あつものに懲りて膾を吹く典型といえましょう。
その結果、わが対外政策は常に泥縄・机上の空論・責任逃れという方向に行っ
ているようです。
しかし私が知る将校各位はすべて、地政学の真髄を血肉化しておられます。
それが、世界の中のわが国を考えるにあたっての「本(もと)」となっていま
す。ですから、改めて「ハートランドが云々」という「末(すえ)」の言葉を
口に出されません。
国際社会での国家行動の土台にあるのは地政学的感覚で、それを把握できなけ
ればまったく世界が理解できません。そういう感覚のない対外担当者は相手に
されません。
■地政学の真髄は治乱興亡の理と共通する
明治期まで、わが国要路には現在でいえば地政学的とよべる感覚がありました。
武士教養がまさにそれです。西洋的ではありませんが、漢籍の史書や経書、先
輩から聞く武功夜話を通じて彼らが会得した「治乱興亡の理」は、江戸300
年の鎖国というハンデのなか維新を成し遂げた根っことなりました。
楠木正成、源頼朝、織田信長、豊臣秀吉、徳川家康、高杉晋作、西郷隆盛、大
久保利通、山縣有朋や伊藤博文などといった指導者には、武士教育を通じて、
今で言う地政学的な感覚が常識としてあったとみて間違いないでしょう。
地政学の根本にあるのは「世界を一つの単位で見る」「国家の地理的特徴はほ
ぼ一定で変わらない」「常に動的で総合的」という感覚です。
それがよくわかる本著からの抜粋です。
<地理的面から安保問題を考慮することは可能で、ここからの分析結果は国家
意思決定者にすぐ利用できるものとなる。世界は単一の勢力として見る必要が
あり、自国の平和に影響を与える要素への関心を、地球の地表全体や国家の強
さと弱さに影響を与える全ての要素にまで拡大する必要がある。世界規模の平
和と安保を求めるには、地球の表面全体を一単位として分析されなければなら
ない。
最も顕著な特徴は、静的状態より、パワーの中心地における動的な状況を考慮
する点にある。政治世界の変化は、ある瞬間重要だった要素が時とともに変化
して、その後の物事の成行きに影響を与える。技術面の変化は。特にパワーが
実践される場の状況を変える。これにより、地理的事実は変化しないがそれら
が対外政策に与える意味は変化する。>
<地理、人口密度、国の経済構造、民族構成、政府体制、外相の偏見・好み、
国民の価値観などとの関連なく、要素単独で分析することは不可能。あわせて
「地理」のような「全てを含んだ一般原則」に単純化されてはならない。>
<地球表面全てが政治勢力の活動するたった一つの舞台になった。ある場所の
勢力バランス変化が他地域の勢力に影響を与えるようになった。>
ご覧いただければおわかりのとおり、地政学は対外行動を考察する際に必須の
感覚といえるもので、理論というのとは少し違います。武士たちが学んだ四書
五経が、理論ではなく行動原理を養う注釈に過ぎなかったのとよく似ています。
ですから、地政学を「モデル」とかいう風に理論としてみるのは非常に危険で
あると同時に、その持つ一番滋養に富むエキスを奪う行為と考えます。
ひとりの人間の中で感覚・常識というレベルにまで染み込ませることで、はじ
めて意味を持ってくるもので、一理論としてもてあそぶと、あまりに使いやす
い道具のため、朝から晩までその種の仕事についている人以外、よほど注意し
ないと「硬直公式君」に堕ちてしまうでしょう。一寸先は闇という現実を無視
し、机上の公式に基いただけでいとも簡単に結論づけて良しとする人間を産む
危険があります。この点、十分注意しておく必要があります。
この毒を十分認識した上で、地政学のエキスを身に付けることは、要路にない
我々にとってもきわめて益の多いものとなります。
■地政学の真髄
地政学的な感覚から導き出される現時点の結論のひとつとして、
米には、ユーラシア大陸の東西端にある英国とわが国を自分の側から外すつも
りはない。ということが挙げられます。
日米同盟の現状から見ればそれほど気にならないかもしれませんが、わが国が
おかしくなれば、米は武力を使ってでも押さえにかかるかもしれない、という
ことです。こういうことを書くと言葉尻だけ捉えられて誤解を招くので本当は
書きたくないのですが、以下のとおり、現在わが国を巡る状況はのんびりでき
るものではありません。それほど逼迫した状況にあることをご理解いただきた
いものです。
ユーラシア東部でシナに充てられるのはロシアであり、ユーラシア大陸東側の
パワーバランスはこの両国でとるということです。
現在米が中共に警戒を強めているのは、中共が「海洋進出」を図っているから
です。
海洋進出、米の警戒強化が何を意味するかといえば、「●シナ海確保にあたる
責任があるのにぐずぐずしてきた日本に対するシナの攻勢が、ついに具現化し
た」ということです。本来ならば米が云々ではなく、標的にされているわが国
が、もっと以前から真剣に捉え、世界平和に貢献するために対処すべき問題な
んですね。
しかしそういう声を上げているのは一握りの政治家、軍人・民間の一部、有名
どころでは平松茂雄先生くらいです。
改憲をして、日米同盟を強化して、ユーラシア大陸東の押さえとして、シナと
ロシアのパワーバランスを維持させ、豪州との協力関係を強化し、アジアの地
中海にあたる●シナ海を敵の手に渡さないようにする努力を世界に見せること
が必要なんですね。その行動こそが、国際社会に「日本は世界平和に貢献して
いる」と理解してもらう、もっとも手っ取り早い方法なんですが・・・
■本著を見れば、いろいろな事が見えてきます
たとえば、最近の英メディアが「ジンバブエ」を臨時ニュースやトップニュー
スで報じている理由が理解できます。
英にとって重要なのは地中海を維持することなんですね。
(地中海要衝のジブラルタルは未だ英領です。)
そのためにはアフリカの情勢安定が重要になります。
英の志向は、まさに「唇滅べば歯寒し」という治乱興亡の理に基づくもので、
地政学的な観点からみて本当によく理解できます。
英のアフリカ重視は、わが国の場合豪重視になります。
その根幹にあるのが、本著によれば「地中海」という感覚です。
安倍前政権は豪州を重視し、同盟関係強化を行いました。
地政学を十分理解・把握した行動といえましょう。
アジアの緊要である地中海とはどこでしょうか?
本著の中でお確かめ下さい。
ヒントはシナのつく海です。
そういえば、シナの最新鋭原潜「晋級(094型)」が、●海艦隊の主要基地で
ある●●島基地に配備されたとの新聞報道がありましたね。この海で展開する
ためですね。
あわせてわが国は、幾度も煮え湯を飲まされているのに、アフリカを必要以上
に重視する対外政策を変えていません。なぜこんなことになるのでしょう?
どうも、心理的「錯覚」が要因の一つにあるようなんですね。
本著では目に見える形でそれが示されています。是非ご覧ください。
わが国にとってのアフリカは、●シナ海と豪州ほど重要ではありません。
アフリカに向ける力があれば、豪州、●シナ海に向けるべきなんですね。
■活きた示唆を汲み取れる
第二次大戦、大東亜戦争終結後、アメリカは対外政策をいかにすべきか?
という内容の本で、昭和十九年に出版されたものですが、今も活きる極めて
示唆に富む内容があちこちにあります。
特に数年前に米が国防方針として発表した「不安定の弧」ということばは、
名前は異なりますが本著の中で同じ概念が出ています。
現在の米国は本著でかかれているとおりの行動をとっているように思えてなり
ません。
もう一つ重要なのは、海外の国・勢力は全てここで書かれている原理を理解吸
収していると思われることです。特に西洋諸国の場合はそれが顕著に顕れてい
るようです。
ロシア、中共、アルカーイダ、ハマス、イラン、北鮮、韓国、台灣、フィリピン
・・・も皆、同じ原理で動いていますね。
これは何を意味するか。
先ほども書いたとおり、この原理に基かない行動は理解・評価してもらえない
ということです。
本著を読み、地政学的感覚を血肉化する人が増えることを望みます。
なお、本著で導き出された米の対外方針提言は、概略以下のようなものです。
・対外戦略の根本は、ユーラシア大陸東西で圧倒的なパワーを持つ国が出ないよ
う警戒すること。
・ユーラシア大陸にある国が欧州とアジアで圧倒的かつ支配的な立場を獲得する
のを不可能にする。
・自らの安全を図るため、欧州・アジアの政治に積極的に協力しなければなら
ない
■抜書き
以下、ご参考までに抄録を一部ご紹介します。
・地政学者により一般化された理論が実際の政策に適用される場合には、常に
善悪の倫理判断が考慮される必要がある
⇒過度の一般化は学者の弊です。それを鵜呑みにすることなく、意思決定者た
る政治は自らの見識・胆識で決心すべしということですね。
・ユーラシアの国々のパワーは実質的に海を通じてしか我々に届かない。
エアパワーが発達してもこれは変わらない
⇒海運に取って代わる輸送手段が出てくるまで、この言葉は通用することでし
ょう
・国家のパワーにとってより重要なのは鉱物埋蔵量よりも実際の産出量
⇒中東ではサウジが何より重要ということですね
・根本的で変化しない要因では地理的要素が最も重大。歴史的に、人があふれ
かえるところに強力国家は出現する。そして、もっとも国力と近い関係にある
のは工業生産力である。人口密度と工業生産力の間には一定の関係がある。
⇒わが国の少子化、中共・インドの人口増大は無視できませんが、アフリカの
人口爆発は少なくとも国家のパワーという点で見れば無視できるということで
す。
・歴史の理論を一括して適用するのは間違い
⇒先ほども書きましたが、現実をモデルや公式で解こうとする姿勢は不可です。
■オススメします
これだけの内容なのに、ビックリするほどの薄さです。(全152ページ)
あわせてうれしいのが、訳者奥山氏の解説にある「参考文献」(149~152ペー
ジ)ですね。
また、地政学という内容の特性上、地図の数が豊富です。
なかでも、目次のあとにあるカラーの地図は、非常に有益ですね。
私はここを切り取って別とじにしました。一部には現在の状況を書き込んでい
ます。
コンパクトで中身が濃く、より実際的な地政学入門書です。
全ての方にオススメします。
本日ご紹介したのは
『平和の地政学 ~アメリカ世界戦略の原点~』
著:ニコラス・スパイクマン 訳:奥山真司
発行;芙蓉書房出版
発行日 2008/5/20
でした。
(エンリケ航海王子)
追伸
地図を見るだけでも面白いですから、目次紹介には掲載されている地図をすべ
て書きました。
もくじ
序文に代えて
イエール大学国際研究所ディレクター フレドリック・シャーウッド・ダン
地図(原著の色刷り地図)
地図26 石炭と鉄鉱石の埋蔵地
地図27 一九三七年の石炭と鉄鉱石の生産量
地図28 一九三六年の水力発電の推定潜在量
地図29 石油生産の中心地
地図35 ユーラシア大陸の地政学地図
地図40 「統一性」対「複数性」
地図41 戦闘区域 一九四三年
地図45 ユーラシアの紛争地帯
地図46 ハートランドVSリムランド
地図47 リムランド内の紛争
地図48 海洋国家と両生類国家の紛争
地図49 エアパワーと周辺の海
地図50 北極越えのルート
地図51 未来の西半球の様子?
1.戦時と平時における地理
平和のための、もう一つの選択肢
地理と対外政策
地理と安全保障
2.世界の地図化
地図を作る際に発生する問題
地図の投影法の種類
世界地図の選択
3.西半球のポジション
対外政策の枠組みを作る要因
ロケーションと世界権力
潜在力の分布状況
アメリカと世界
4.ユーラシア大陸の政治地図
マッキンダーの世界
ハートランド
リムランド
沖合の陸地
ユーラシアの政治のダイナミックなパターン
5.安全保障の戦略
世界戦争
第二次世界大戦の戦略パターン
ユーラシアの紛争地帯
アメリカからユーラシアへのアクセス
アメリカの対外政策
【解説】米国の世界戦略とスパイクマンの理論
ー訳者あとがきと解説ー 奥山真司
スパイクマンの経歴とリベラルな思想
本書の内容
現代の世界情勢を見るために
訳文・訳語について
謝辞
収録地図一覧
地図1 円錐図法
地図2 心射図法
地図3 正射影図法
地図4 等距離方位図法
地図5 シヌイソイダル図法
地図6 マローヴェイド・ホモグラフィック図法
地図7 メルカトル図法
地図8 ガルの立体図法
地図9 ミラー図法
地図10 伝統的なヨーロッパを中心においたメルカトル図法
地図11 極点を中心においた等距離方位図法による地図
地図12 西半球を中心にしたミラー図法
地図13 セントルイスが中心
地図14 北極が中心
地図15 パナマ運河が中心
地図16 東京が中心
地図17 ベルリンが中心
地図18 ロンドンが中心
地図19 モスクワが中心
地図20 地理的な方位 1938年のチェコスロヴァキア/1939年のポーランド/
1941年のユーゴスラビア
地図21 世界の地形
地図22 気候のベルト
地図23 降雨量の分布
地図24 小麦の生産地帯
地図25 米の生産地帯
地図26 石炭と鉄鉱石の埋蔵地
地図27 一九三七年の石炭と鉄鉱石の生産量
地図28 一九三六年の水力発電の推定潜在量
地図29 石油生産の中心地
地図30 人口密度の分布
地図31 1929年の毎日の労働量
地図32 包囲された西半球
地図33 マッキンダーの世界地図
地図34 ハウスホーファーの世界地図
地図35 ユーラシア大陸の地政学地図
地図36 世界の耕作地
地図37 ドイツと日本の最大拡大範囲 1914~1921年
地図38 第一次世界大戦直後のドイツと日本
地図39 ドイツと日本の最大拡大範囲 1931~1942年
地図40 「統一性」対「複数性」
地図41 戦闘区域 一九四三年
地図42 パワーVS空間
地図43 ハートランドへの入り口
地図44 枢軸国の障壁
地図45 ユーラシアの紛争地帯
地図46 ハートランドVSリムランド
地図47 リムランド内の紛争
地図48 海洋国家と両生類国家の紛争
地図49 エアパワーと周辺の海
地図50 北極越えのルート
地図51 未来の西半球の様子?
本日ご紹介したのは
『平和の地政学 ~アメリカ世界戦略の原点~』
著:ニコラス・スパイクマン 訳:奥山真司
発行;芙蓉書房出版
発行日 2008/5/20
でした。
北京五輪後 中国はどうなる?
■腹立たしい限りです。
なんでわが権益を手離すのでしょうか?
金を払えばうまくいく。
一歩譲れば相手もこちらを慮ってくれる。
典型的な平和ボケです。
政治と経済はまったく別次元のはなしです。
政治問題は金で解決できないのが常識です。
共産国では経済も政治の枠内ですが、都合が悪くなれば「政治と経済は違う」
という常識論を使います。
対外交渉は
「一歩譲れば二歩踏み込まれ、二歩譲れば十歩踏み込まれる」
のが常識です。
近い将来、「権益分の原油は回せない」と言われるときが来るでしょう。
当該地域の油田はすべて中共に持っていかれるでしょう。
それ以前に、尖閣の領有自体が怪しくなってきました。
おそらく、石油関連施設という名目で尖閣に施設を作る口実を得たと中共は
考えていることでしょう。
そしてマスコミが伝えないうちに、シナによる実効支配が既成事実化するでし
ょう。
台湾以前に尖閣でシーレーンを脅かされる事態になるかもしれません。
尖閣油田をエサに台湾との連携も進めようとするでしょう。
周辺油田というひさしを貸して母屋を乗っ取られるのは目に見えています。
このような目先の効かない愚かな政治を持つと、後世に禍根を残します。
申し訳ない限りです。
■「金を出して権益を買い取る」
ということは、そもそも先方が保有する権益であることを国家が認めたことを
意味します。確か、それ以前の「権益争い」の話をしていたはずですよね。
その交渉がめんどくさくて、いやになっちゃったんでしょうか?とかくの噂が
ある大臣からの命令が出たんでしょうか??
現政権はどうも中共指導部の意に沿うことしかしていないように見えますね。
その引き合いに出すのが拉致問題進展でしょう。不見識も甚だしいですね。
現政権になって、一気に国家の尊厳は放棄されたように感じます。
今回の失政が、将来にどれだけ大きな禍根を残すかを想像できる人もいなかっ
たのでしょう。
彼らは、残らず後世から売国奴という汚名をかぶせられます。
それまでにネパールのような形で中共の属国にするべく話を進めるでしょうが、
そうは問屋が卸しません。
功名だけに生きる小人に責任ある立場を委ねてはならない、という教訓を忘れ
ないようにしましょう。
今回のわが出資については、シナ国内でも「国辱もの」という批判があるよう
です。
しかし中共がそれを国際報道に公開した時点で、「今回の取引がいかにおいし
いもの」かが如実に示されたといえるでしょう。日本政府とわが政治部は同じ
苦しみを共有しているんですよ、という感情共有を通じた謀略ですね。
中共はこの権益を絶対に手離すことなく、尖閣を拠点に野望実現に出てきます。
それが見えないわが国はまたもや「権益から自ら手を引く」選択をしました。
こんなことでいいのでしょうか?
自称・現実主義者という人がいますが、彼らは常に「多数はどちらか?]を
見回すだけの日和見主義者、オポチュニストに過ぎません。胆識はもちろんの
こと、見識も持っていません。「その他大勢」という立場がふさわしいのです。
国家的決心を行なう部門にこういう人を混ぜてはいけません。
■宮崎正弘さんの情報
以上は、今話題の尖閣周辺わが海底油田問題に関する思いです。
現政権の異常さを図らずも示す出来事となりました。
そんななか読み始めた本著です。
いやはや頭に染み込む染み込む・・・
環境というのもばかにできませんね。笑
中共の現状を知るにあたって、もっとも信憑性が高いのはネット情報です。
産経新聞以外のマスメディアはほぼ信用できません。
(というより「肝心なことに限って」は事実すら伝えません。逆煽動したりし
ます。実におかしなはなしです。特に自称公共放送局が甚だしいです)
なかでも、宮崎正弘さんの日刊メルマガ(*1)と、大紀元(*2)は、国語で
読めるなかでもっとも信頼できる中共情報源の双璧といえましょう。
(*1)「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」
http://www.melma.com/backnumber_45206/
(*2)http://jp.epochtimes.com/
宮崎さんのメルマガは、なにより見識を感じられる点が最高ですね。
とはいえ、本メルマガ読者の過半は宮崎メルマガの愛読者でしょうから、
これ以上はお薦めしません。笑
最新刊の『北京五輪後 中国はどうなる』も、非常に興味深い内容です。
すでに中共は崩壊過程に入っていると思いますが、この本で宮崎さんは多方面
から詳細な事実をひとつひとつ積み上げて、そのことを実証しています。
台湾の動向、水問題、経済格差、国際金融、反日教育など、マスコミのニュー
スを見る時間があるくらいなら、本著を読んだ方が、限られた時間を有益に
活かせることでしょう。
「世界最大の投資家ウォーレン・バフェットのペトロチャイナ株売却(昨年)」
への言及もありました。さすがだと思います。感服するばかりです。
非常に重要な出来事と思うのですが、ほとんど国内では報じられてませんでし
たね。私もあのときが中共経済のピークで、その後は落ちる一方だと見ていま
した。少しうれしかったです。
あわせて、全編を通じて流れている、チベットの悲劇、中共がシナ全土で展開
している反日活動については、すべての国民が知悉するべき重要事項と考えま
す。
また反日活動の詳細部分は、特に教師の方に熟読吟味をお願いしたい所です。
対処するための、三冊の必読図書も書かれています。
それにしても、そんな国に投資しようとしているのが、自民容共勢力と公明が
主導する福田政権です。国辱としか言いようがありません。愚かここにきわま
れりです。
次期政権の対中共政策を考え、進言する上で、この本は手放せません。
中共の今がぎっしり詰まった有機的な情報源です。
有機的だから養分を吸収できます。
すべての方にオススメします。
本日ご紹介したのは
『北京五輪後 中国はどうなる?』
著:宮崎正弘
発行;並木書房
発行日 2008/6/15
でした。
(エンリケ航海王子)
追伸
ちなみにおき軍事一同は、北京五輪に反対していますので一切の競技を見ませ
ん。五輪開催中は関連CMも入らないケーブルテレビのみ視聴する予定です。
もくじ
プロローグ 中国文明の衰退がはじまっている
中国には世界を魅了する文化も思想も希薄
北京五輪以後、中国経済の破綻が始まる
共産党政権は歴代王朝の末期と極似してきた
空前のドル激安で世界経済はさらに大荒れ
四川大地震後の激動が見えてきた
第一章 チベット虐殺で北京五輪は失敗の恐れ
西側の北京批判の大合唱を前に逆ギレ
ウイグル独立運動にも抗議の火がついた
中国共産党による偽ダライ・ラマ誕生という悪夢
北京は五輪期間中の「テロ」を最も恐れている
周到に用意された中国人の官製デモ
経済失速の責任をかぶるのは温家宝首相
愛国主義が毛沢東思想に代替できるか?
第二章 水、空気、食糧汚染と大災害
中国人の八割が水不足と汚染に悩んでいる
毒餃子事件どころではなかった未曾有の大雪被害
世界的な穀物高騰で恒久的なインフレがはじまった
公務員の腐敗・職権乱用が猛烈な勢いで拡大している
10億円のブラジャー!遅れてきた世紀末バブル
腐敗の温床、マカオのカジノを規制へ
大地震難民と貧窮する農民を共産党は救えない
第三章 五輪以後、経済が崩壊するシナリオ
こんな国に五輪を開催する資格があるのか
チベット虐殺をめぐる中国非難の声が全世界に
ウイグルの資源を漢族が盗掘している
中国では繁栄と崩壊が同時進行中
北京から離れると人々の関心は五輪以外
上海近辺にイスラム教の集落ができつつある
重慶市初期は知日派だが、さらなる発展は疑問
当世結婚・離婚事情
第四章 軍国主義的市場経済の矛盾
中国の軍事予算は公表されている数字の三倍強
ロシアにとって中国は常に潜在的な脅威
世界に飛び火する反中国感情
ハイテク企業の買収と台湾籍中国人のスパイ活動
ネット社会は軍国主義中国を変えるか?
第五章 中国投資を見限りはじめた欧米
中国へ流入する摩訶不思議な投資資金の流れ
世界を覆いはじめた華銭
米国は日本の金融業界を見限り中国重視にシフト
赤いファンドと白いファンドが世界を荒らす
EUの求心力が失われ、独仏は違う道を歩みはじめた
米中は経済面では相互依存体制
中国経済「崩壊」への動きが顕著になりはじめた
つぎは中国版サブプライム問題
第六章 捏造と改竄の反日記念館
「反日記念館」抗議に立ち上がる日本の国会議員ら
日本側の訂正要求に応じる気配はまったくない
反日展示はウソとデッチ上げばかり
日本軍を悪魔視する改竄の手法
台湾懐柔の謀略ははじまっている
歴史への無知が展示のデタラメを加速する
反日展示ばかりが目立ち、西洋列強への憎悪はなぜか希薄
悪名高いデタラメ展示の典型は北京の「抗日戦争記念館」
魯迅や周恩来の日本との関連が削除されていた
毛沢東の生家に観光客が押し寄せる
国民党の評価に変化が見え始めた
第七章 モラル欠落、倫理の無存在
歴史改竄のはじまりは撫順の「日本戦犯収容所」での洗脳
蒋介石神話の崩壊
コソボ独立宣言と台湾独立
民族自決権は尊重されなければならない
プーチンはユダヤ財閥を国外へ追放しはじめた
プーチン一派とユダヤ人財閥のロシアの富をめぐる争い
ロシア人と真面目に付き合っては損をする
中国が国際的に孤立したとき、台湾独立のチャンスがくる
南オセチアとアブハジア併呑の政治的野心が露わに
第八章 馬英九の台湾はどこへ行く?
台湾産業界の中国大陸への投資はまだまだ続く
国民党大勝を素直に喜べない理由
北京におもねるように米国は台湾に圧力をかけ続ける
中国も米国を利用して台湾を恫喝する
また突発事件が重なった台湾の総統選挙
中国と台湾の「共同マーケット」は実現するのか?
新総統への期待は景気回復と財布の中身が増えること
早急な中台統一はありえない
なぜ「中国が民主化されたあとで、話し合いをすればいい」と言えないのか
第九章 かくも軽き日本の存在!
米国は日本に過度の期待をすることをやめた
ウォール街は日本というライバルを容赦なく蹴落とした
「根拠なき悲観」が日本の市場をおおっている
米国主導のグローバリズムが日本の経済力を弱めた
IT社会が日本人の情緒の破滅をもたらした
エピローグ 中国のご都合主義
中国人に善意や誠意は通じない
中国の歴史は権力者の創作である
日中友好という幻想に騙されてはいけない
本日ご紹介したのは
『北京五輪後 中国はどうなる?』
著:宮崎正弘
発行;並木書房
発行日 2008/6/15
でした。
加藤大尉の英語ブートキャンプ 軍隊式英会話
入隊の条件は「何が何でも英語でコミュニケーションしたい!」という熱意のみです!
「英語ブートキャンプ」の訓練状況にどっぷり浸かり、その場にいるつもりで会話
してください。さまざまな軍隊生活を体験しながら「活きた英語」を学べます。
アメリカ国防総省外国語学校(DLI)の日本人教官が、
初めて公開する実戦的な軍隊式英会話です!
加藤教官朗読による音声講座も無料でダウンロードできますよ!
現在予約受付中です。
http://www.namiki-shobo.co.jp/
■内容
1.英語ブートキャンプへようこそ≪加藤教官の軍隊式英会話≫
2.ブートキャンプで鍛えよう-1≪ドリルサージャントには逆らえない≫
3.ブートキャンプで鍛えようー2≪行進歌を一緒に歌おう≫
4.ブートキャンプで鍛えようー3≪地獄の催涙ガス室体験≫
5.ブートキャンプで鍛えようー4≪初の実弾射撃訓練≫
6.エアボーンスクールで鍛えようー1≪地上1メートルの高さから降下?≫
7.エアボーンスクールで鍛えようー2
≪34フィートの降下訓練塔から飛び下りる≫
8.エアボーンスクールで鍛えようー3≪本物の飛行機から降下≫
9.国防総省DLI体験入学ー1≪63週間で外国語を完全にマスターする≫
10.国防総省DLI体験入学ー2≪「習ってません」は通用しない≫
11.士官クラブへ行ってみよう-1≪レストランを予約する≫
12.士官クラブへ行ってみよう-2≪料理を注文する≫
13.基地で迷ってしまったら≪I am lost を使ってピンチを切り抜ける≫
14.基地で許可を得るには≪戦車に乗って記念写真を撮ろう≫
15.基地に忘れものをしたら≪遺失物係に電話する≫
16.海軍サバイバル訓練で鍛えようー1≪水没したヘリからの脱出訓練≫
17.海軍サバイバル訓練で鍛えようー2≪酸素マスクを外すとどうなる?≫
18.海軍サバイバル訓練で鍛えようー3≪装備を着けたままで泳ぐ≫
19.超音速ジェット搭乗訓練ー1≪完全武装のサムライ≫
20.超音速ジェット搭乗訓練ー2≪F/A-18戦闘機を操縦する!≫
21.超音速ジェット搭乗訓練ー3≪初の超音速飛行を祝うパーティで≫
22.初めての射撃訓練ー1≪安全マナーを身につける≫
23.初めての射撃訓練ー2≪銃が故障したら≫
24.軍法会議を通訳する≪正確で分かりやすい言葉を選ぶ≫
25.アラスカでの冬季訓練ー1≪凍傷から身を守る≫
26.アラスカでの冬季訓練ー2≪ワナを仕掛ける≫
折々、以下の加藤さんのコラムもはさまれています。
やめたくなったら読む話(1) 72ページ
やめたくなったら読む話(2) 86ページ
やめたくなったら読む話(3) 158ページ
英会話上達のコツ(1) 104ページ
英会話上達のコツ(2) 130ページ
特典「加藤教官の音声講座」の受け取り先URLは本の中で紹介されてますよ!
■感想
63週間で外国語をマスターするという米軍式の語学トレーニングをプロから
直接学べるなんて、なんていい時代になったのでしょう。
そのうえコストは本代のみ。いやはやビックリです。
著者の加藤喬さんは、メールマガジン『元米陸軍大尉が教える 軍隊式英会話
術』
の著者です。
1957年東京生まれ。元米陸軍大尉 (Former Army Captain) 。
現在、カリフォルニア州モントレーの米国防総省外国語学校日本語学部
(Defense Language Institute Foreign Language Center Japanese Branch)
の部長をしておられます。
本著は配信中のメルマガ記事をベースにまとめられたもので、
「英語ブートキャンプ」は、本文、加藤さんのコラム、映像、音声
という有機的なつながりで編成されています。
そのため、たったひとりでも、すべての器官をフル稼働させて本著と接するこ
とが可能です。通勤電車の行き帰りで音声を耳から聞いて、家では本と映像
を楽しむ。町のネットカフェでは映像にひたれます。車のなかでは音声にあわせて
発音できますね。ipodで持ち歩いてもいいですし、その他いろんな楽しみ
方・活用が可能ですね。
コンテンツは「活きた英語」が満載の全26章と、加藤さんのコラム5つか
らなります。映像講座は音声講座へのリンクとあわせて弊サイトで一覧紹介し
ています。URLはのちほど。
■読みやすいのに情報量豊富
ひとことでいえば、肩の凝らない有機的な英語教材ですね。
だから「使える」と思います。
ご覧になればわかるとおり読みやすいにも関わらず、英語情報量が多いです。
そのうえ、日本語と同時に英語が示されているのでつっかえません。
英語本で一番鬱陶しいのは「日本語と英語の距離によるつっかえ感」ですが、
本著はそれがなくすらすら読めます。文作り、構成が非常にうまいためと
思います。
本文の一例をあげると以下のようです。
<有事の際、難民にまぎれて潜入してくるかもしれない、日本語を解する北朝
鮮工作員を尋問したり、日米合同演習(Japan Bilateral Exercise)で日米将
官の通訳を務めたりする場合も例外ではありません。>(P69)
<"Request permission to come on board"
(乗艦許可をお願いします)
"Permission granted,Sir/Ma'am"
(乗艦を許可します)
(中略)
映画の中で艦長(captain)の「面舵いっぱい!」(Hard Starboard!)、
「取舵いっぱい!」(Hard Port!)という指令に従い操舵手(helmsman)が
動かすハンドルのことです>(P98)
<"O.K. Folks, Let's get rolling. Showtime!"
(良いわね、みんな。始めましょう。本番よ!)>(P112)
<兵曹(petty officer)がラックにかかっている何十着もの対Gスーツを指
差しています。"Snug"は「快適な」とか「身体に合った」の意味です>(P136)
■軍事が好きなら軍事からでいいのでは?
語学を学ぶ上でもっとも大切なのは「自分が興味を持つ内容の教材」と
私は思っています。
英語を身につけたい人は、
釣り好きな人なら英語で書かれた釣りの本を、ヘビメタ好きな人
なら英語のヘビメタ雑誌を教材にすればいいんですよね。
軍事が好きなら、軍事本を教材にしてもいいですよね。
■中身も面白い
本著は単なる語学教材ではありません。内容そのものも面白いです。
語学に興味がなくても、英語の専門用語が入った米軍紹介として楽しく
読むことができます。
面白いのは、英語が混じった本著の方が日本語だけの解説本よりも「より
理解できたと思える」ことです。
数人に読んでもらいましたが、みな同様の感想を口にしていました。
■オススメです
英語の翻訳を業としておられる方や現役自衛官の方にとっても、米軍の日常
で使われている「活きた言葉」を拾える本著はかなりオススメではないでしょ
うか。
うれしいことに本著には聞く教材と見る教材も用意されています。
コストは本代のみです。
英語を身につけたいなと思う方から、米軍に好奇心を持つ方、軍事英語の辞書
を探しているあなたまで、軍事に少しでも関心をお持ちの方なら、かならず満足
いただける内容です。是非一度手にとってください。
本日ご紹介したのは
『加藤大尉の英語ブートキャンプ 軍隊式英会話』
著:加藤喬
発行;並木書房
発行日 2008/6/15
でした。
現在予約受付中です。
予約はこちらでどうぞ↓
http://www.namiki-shobo.co.jp/
(エンリケ航海王子)
追伸
有機的な内容で軍事英語を国民向けに伝える資料や書籍は少ないです。
そんななか、手にとりやすく取っつきやすい本著がでたのは非常に重要な出来
事、と個人的にわたしは思っています。
もくじ
1.英語ブートキャンプへようこそ≪加藤教官の軍隊式英会話≫
2.ブートキャンプで鍛えよう-1≪ドリルサージャントには逆らえない≫
3.ブートキャンプで鍛えようー2≪行進歌を一緒に歌おう≫
4.ブートキャンプで鍛えようー3≪地獄の催涙ガス室体験≫
5.ブートキャンプで鍛えようー4≪初の実弾射撃訓練≫
6.エアボーンスクールで鍛えようー1≪地上1メートルの高さから降下?≫
7.エアボーンスクールで鍛えようー2
≪34フィートの降下訓練塔から飛び下りる≫
8.エアボーンスクールで鍛えようー3≪本物の飛行機から降下≫
9.国防総省DLI体験入学ー1≪63週間で外国語を完全にマスターする≫
10.国防総省DLI体験入学ー2≪「習ってません」は通用しない≫
11.士官クラブへ行ってみよう-1≪レストランを予約する≫
12.士官クラブへ行ってみよう-2≪料理を注文する≫
13.基地で迷ってしまったら≪I am lost を使ってピンチを切り抜ける≫
14.基地で許可を得るには≪戦車に乗って記念写真を撮ろう≫
15.基地に忘れものをしたら≪遺失物係に電話する≫
16.海軍サバイバル訓練で鍛えようー1≪水没したヘリからの脱出訓練≫
17.海軍サバイバル訓練で鍛えようー2≪酸素マスクを外すとどうなる?≫
18.海軍サバイバル訓練で鍛えようー3≪装備を着けたままで泳ぐ≫
19.超音速ジェット搭乗訓練ー1≪完全武装のサムライ≫
20.超音速ジェット搭乗訓練ー2≪F/A-18戦闘機を操縦する!≫
21.超音速ジェット搭乗訓練ー3≪初の超音速飛行を祝うパーティで≫
22.初めての射撃訓練ー1≪安全マナーを身につける≫
23.初めての射撃訓練ー2≪銃が故障したら≫
24.軍法会議を通訳する≪正確で分かりやすい言葉を選ぶ≫
25.アラスカでの冬季訓練ー1≪凍傷から身を守る≫
26.アラスカでの冬季訓練ー2≪ワナを仕掛ける≫
加藤さんのコラム
やめたくなったら読む話(1) 72ページ
やめたくなったら読む話(2) 86ページ
やめたくなったら読む話(3) 158ページ
英会話上達のコツ(1) 104ページ
英会話上達のコツ(2) 130ページ
あとがきにかえて
本日ご紹介したのは
『加藤大尉の英語ブートキャンプ 軍隊式英会話』
著:加藤喬
発行;並木書房
発行日 2008/6/15
でした。
現在予約受付中です。
予約はこちらでどうぞ↓
http://www.namiki-shobo.co.jp/
オンライン映像版「英語ブートキャンプ」(元米陸軍大尉 加藤喬)
メールマガジン『元米陸軍大尉が教える 軍隊式英会話術』の著者、元米陸軍
大尉加藤喬さんの最新刊「加藤大尉の英語ブートキャンプ」(6/15発売予定)のオンライン映像
バージョンです。
加藤さんは1957年東京生まれ。元米陸軍大尉 (Former Army Captain) 。
現在、カリフォルニア州モントレーの米国防総省外国語学校日本語学部
(Defense Language Institute Foreign Language Center Japanese Branch)
の部長をしておられます。
加藤さんについては、以前メルマガでご紹介しましたが、米軍将校時代の体験をまとめた本「名誉除隊-星条旗が色褪せて見えた日-」
が並木書房さんから刊行されています。
以下、映像版「ブートキャンプ」をどうぞ。
1.「入隊」前編
撮影:Yasuhiko Kuroda氏。
1 「入隊」後編
撮影:Yasuhiko Kuroda氏。
2.「射撃の安全ルール」編
撮影:Yasuhiko Kuroda氏。
3.「射撃」編
撮影:Yasuhiko Kuroda氏。
カリフォルニア州立ラグーナ・セカ射撃場(Laguna Seca Riflr&Pistol Range)の場内でアナウンスされる英語の指示を実際に聴きながら、加藤大尉がその意味を解説。実銃を取り扱う場合に必要な手順と注意を講義している。
4.「英語をやめたくなったら」編
撮影:Yasuhiko Kuroda氏。
なお、本著の全文がなんと音声でダウンロードできます。加藤大尉ご本人の声です。
通勤電車の中でも「マンツーマンで英語ブートキャンプ」を楽しめます。
ダウンロードはこちらでどうぞ。
http://www.namiki-shobo.co.jp/boot/top.html
シリーズ軍事力の本質(2) シー・パワー その理論と実践
皇室ジャーナリストの斎藤義久さんは、昨日配信された『【臨時増刊号】斎藤
吉久の「誤解だらけの天皇・皇室」【平成20年5月29日】』で、以下のような
ことばを残されています。
<(前略)天皇の制度にしても、宮中祭祀にしても
、日本の歴史とともに古く、それだけ奥が深いものです。また自然発生的なも
のですから、文字に表された資料だけでものをいうこともできません。事件記
者が人一倍多くの取材を重ねた結果、事件の核心に迫れるとは限らないのと同
じように、資料を渉猟しても本質をとらえられるという保証はありません。
したがってどのような分野にも共通することですが、優れた研究者ほど、謙虚
です。私たちもその謙虚さを学ぶべきではないでしょうか。(後略)>
【 http://www.melma.com/backnumber_170937_4110808/ 】
この一文を拝読し、「軍事も同じだよなあ」と以前ヨーソロ様からいただき、
配信した以下のことばを思い起こしました。
<(前略)「軍隊」は人々の歴史の中で最も古く自然発生した社会組織の一つ
で、軍事諸制度は各民族固有の風土と永い歴史のなかで改善され、普遍化され、
伝統化されて今日に至っています。それら制度の中の典型的な一つが部隊の指
揮権とその継承の制度ですね。(後略)>
軍隊・軍事を理解するには、皇室と同じく知識のみでは不可能だろうと私は思って
います。
■歴史を知る
どの世界でもそうですが、学ぶ前提であり緊要となるのは「歴史」です。
理論はいってみれば「歴史の残りかす」「時代の仇花」にすぎず、流行と同じ
です。流行や理論に踊らされて本分を失うことには注意が必要です。
流行に注意しそのエキスを適切に取り入れることは、海老のように殻を脱ぎつ
づけて日々進歩し続けるために必要ですが、「海老であることをやめてしまえ」
といった僻論が必ずつきまといます。
特にわが国のような軍事後進國では、その弊害は大きいです。歴史を見ると、
その僻論が國・政治を覆ったとき必ず亡国につながってますね。十分注意した
いものです。
さて、歴史を学ぶ上で排除しなければいけないのは「現在の物差しで過去を評
価する」姿勢です。そういう姿勢で読む限り、読書は単なるマスターベーショ
ンとしての意味合いしかありません。
ですから歴史は、読む人の力量によって価値がガラリと変わってしまう怖さが
あるんです。汲めども尽きぬ叡智の宝庫であるはずの歴史から、一番大切なも
のを得られないことは、人生の損失ともいえますね。
■今回ご紹介するシリーズ
本著は「軍事力の本質」というシリーズの第二回配本で、一回目の「エア・パ
ワー」につづいて「シー・パワー」が取り上げられています。
防衛研究所、海上自衛隊などから、気鋭の研究者が寄稿した論文の集成といっ
てよい内容です。その意味で専門家向けの書といえましょう。
執筆者のおひとり立川京一さんは
<本著は「エア・パワー」同様、教科書的な文献を企図し、一般大学の学部、
大学院、防衛大学校、陸海空自衛隊幹部学校、幹部候補生学校、そして防衛研
究所などで基本図書として使用されるとともに、一般の方々には入門書として
手にとっていただけれるような文献を目指して編集した>と、まえがきでおっ
しゃっています。
そんな専門書ですが、今回ご紹介しようと思ったのは、本著が、海軍力とその
歴史を包括的に一冊で学べる本邦唯一の本である、という点に大きな価値と魅
力を覚えたからです。弊マガジンの記事を毎週目にされている方でしたら、そ
れほどハードルは高くないとも思いました。
取り上げられている分野は「潜水艦」「空母」「水陸両用作戦」「統合作戦」
「海自」「米海軍の戦略」などです。それぞれを担当著者が歴史的に捉え、
今後の見通しも示しています。著者は防衛研究所の研究者や海自将校、世界的
に有名な軍事研究家です。
本著を通じて一般の人が「海軍力とはどういうものか?」「どういう背景で海
軍は今日にいたっているのか?」「海軍はどこへ向かうのか?」を考えるきっ
かけができれば素晴らしいですね。むしろそれこそが、本著を通じて得られる、
いや得るべき唯一のことではないでしょうか。
先ほど言いましたとおり、本著は編著者各位の論文集ですが、記載されている
内容を俯瞰総合的に見ると、「海軍力の歴史と今後の展望」というのが適切と
思います。
■内容の概略
まえがきで詳細に述べられていますので、ここではざっと紹介するに止めます。
第一章
1.絶対的な意味から見て、今後もシー・パワーの重要性は高い。シー・パワ
ーの根本が「制海」にあることは今日でも事実。海軍の伝統的役割は今後も高
く評価されよう。
2.戦時における海軍力の役割は相対的に低下している。役割は海上からの戦
力投影(陸軍力、空軍力を陸地に投入する)のためのプラットフォームであり、
その意味で、補助的、歴史的に見ればより本来的なものとなろう
3.とはいえ、戦略環境の変化、技術革新に伴い変わる可能性は常にある
4.平時のシー・パワーの重要性は高まる
第二章
コルベットの分析手法を使い、「英国流の海戦方法」の有無を検証し、その特
徴を明らかにし、効果・実行について検討
第三章
誕生から現在までの「潜水艦の発展と役割」の変化の歴史を記している。著者
は第一次大戦期を重視し、1914年を潜水艦がシー・パワーに挑戦した年と
して記憶すべきとしている。第一次大戦で帝国海軍は独自の潜水艦戦を構想し
た(潜水艦と航空機を結合し、敵の重要な陸上目標を攻撃するとの発想による)
が、この発想は現在の原潜・SLBM・SSGNにつながっている。
第四章
第二次大戦以降現在までを1.第二次大戦期、2.冷戦期。3.1983年以
降の三つに分け、戦略・戦術・作戦を取り巻く状況変化が水陸両用作戦に及ぼ
した影響を検討している。
第五章
シー・パワーとしての空母の存在意義に着目し、その保有する戦力投影(パワ
ー・プロジェクション)能力が冷戦後の安保環境に大きな役割を果たしている
と指摘。近い将来も国家に柔軟な軍事オプションを提供する空母の役割に変化
はないとする。空母は「エア・パワー」であると同時に「シー・パワー」であ
る。非常に重要な章。
第六章
有史以来、大東亜戦争までのわが国におけるシー・パワーの歴史を概説的に論
じている。著者はわが国のシー・パワーについて「二度の断絶を経ている」と
見ている。
それによれば「白江村の戦いから江戸期の水軍時代」⇒「海軍創設から大東亜
戦争までの海軍時代」⇒「海自時代」ということである。必読であろう。
第七章
大東亜戦争以後のわがシー・パワーにつき、「1950~60年代」「197
0~80年代」「1990年代以降」にわけて論じている。わが海自のシー・
パワーは国防のみならず世界の安保にも貢献しているとしている。ここも必読
と思う。
第八章
わが海自の保有する能力が戦後の日米同盟の中でどう形成され発展してきたか、
及び海自の能力が日米同盟の中核要素としてどのような役割を果たしてきたか
が述べられている。海洋国家間の同盟における海軍力の結びつきがいかに重要
かがよく分かる。必読。
第九章
米英海軍の戦略が、「大洋管制の海洋戦略」から「軍事力の地上への投入とい
う沿海戦略」に発展してきた様相を歴史的に論じている。米海軍は「制限戦争」
「統合作戦」を具体化させており、技術革新を通じてこれを更に発展させ、陸
上・航空・宇宙をつなげており、戦争の次元を点(一次元)⇒平面(二次元)
⇒立体(三次元)からリアルタイム化(四次元)へと既に突入させている。
「ネットワーク中心の戦い」というのがそれである。今の海軍の方向性がよく
分かる
第十章
米軍が戦力を紛争地帯に投入するにあたっての拠点について、著者は「海外の
陸上基地」より「空母を中心とする海上拠点(シー・ベース)」の方が重要に
なりつつあると歴史的に考察している。同時に、今後の米の軍事作戦は「海上
拠点を土台とした統合作戦」を中核に遂行すべきとの提言がなされている。
■執筆者の紹介
石津朋之(防衛研究所戦史部第一戦史研究室主任研究官、英王立統合軍防衛安
保問題研究所(RUSI)客員研究員)
⇒石津さんは、わが国の軍事学開闢にあたる魁のお一人といえましょう。
ジェフリー・ティル(ロンドン大学キングス・カレッジ教授)
⇒英海軍大学、ロンドン大学キングス・カレッジ軍事学科長などを歴任
退役一等海佐 山内敏秀(元防大教授)
⇒防大卒、海自入隊。潜水艦長、海自幹部学校教官、防大助教授、同教授を歴
任されました。平成十六年一月退役。「潜航ドン亀・潜水艦幹部への道」など
活発な言論活動を展開されている退役将校のお一人です。
カーター・マルケイジアン(米海軍分析センター研究員)
⇒カリフォルニア大バークレー校大学院修了(修士)、オックスフォード大
大学院修了(博士)、米海兵隊の文民アドバイザーとしてイラク戦争に従軍。
塚本勝也(防衛研究所研究部第一研究室助手)
⇒現在、タフツ大学フレッチャー法律外交大学院博士課程在籍中。
立川京一(防衛研究所戦史部第一戦史研究室主任研究官)
⇒国際政治学者、歴史学者で、専門は国際関係史、軍事史、フランス語圏研究
ということです。石津さんと同じ年に同じ職に就かれています。
道下徳成(政策研究大学院大学准教授)
⇒防衛研究所主任研究官、内閣官房副長官補(安保・危機管理担当)付参事官
補佐などを歴任。
海将補 鮒田英一(海自舞鶴地方総監部幕僚長)
⇒東大卒、海自入隊。ハーバード大学ケネディ・スクール修了(修士)、
一航空隊司令、統幕事務局防衛企画調整官、二十二航空群司令を経て現職。
退役一等海佐 高橋弘道(元防衛研究所所員)
⇒同大卒、海自入隊。京都産大大学院国際政治学研修、海幕法務課員、防衛研
究所戦史部所員を経て、平成十五年海自警務隊司令で退役。
ウイリアムソン・マーレー(オハイオ州立大学名誉教授、米海軍大学客員教授)
⇒米海兵隊大学教授、米陸軍大学教授、防衛分析研究所研究員を歴任。現在も
っとも高名な軍事研究者のひとりでしょう。
■細かな知識に拘泥するのは・・・
軍人さんや専門研究者さんはまた別でしょうが、一般人が本著を読むにあたっ
ては、細かい知識やご高見の是非に拘泥することなく、歴史の流れ、うねりを
俯瞰的につかむ読み方が適していると思います。
即効性を求めて何かを得られる本ではありません。
幾度も読み返す中で、海の軍事とはどういうものなのか?を総合的にわがものと
してしまうための本です。ですから、長い付き合いができる重厚な本になって
います。
あなたのなかの国防意識、軍事感覚の水位が上がるにつれ、違ったものが得ら
れるようになることでしょう。
まずはわが国を含めた海軍の歴史のうねりを、後世の歴史に残ることを考えて
書かれた本著の言葉を通じて、体で味わっていただきたいものです。われわれ
はこれまであまりに、イデオロギーや私見による軍事知識を受けすぎてきたた
め、軍事理解の過半が雑多な断片知識に拠っているのではないでしょうか?
せめて本著とそのシリーズを通じて、軍事なるものを長期的な歴史的視野で捉
える癖を身につけていただきたいものです。そうすれば軍事なる幻影から解き
放たれて、心は自由になり、安らかに軍事と接することができるようになると
思います。これは私自身の自戒でもあります。
あわせて思ったことですが、海軍を含めた米軍の「理論偏重主義」には正直
危うさを感じています。
■うれしいブックガイド
教科書に必須の「充実した参考文献」「詳細な索引」を兼ね備えており、本音
を言えばこの部分だけでも本著を求める価値があります。
「軍事学」が列国同様学会で確固たる地位を占める日も近いことでしょう。
そうなれば、軍事学部や国防学部といった教育機関が一般大学でも誕生するこ
とでしょう。
その魁になるかもしれない本著を、先に出た「エア・パワー」とあわせ、
一人でも多くの方に手にとっていただきたいと思います。
なお、このシリーズの次回作は「ランド・パワー」です。
楽しみです。
今回ご紹介した本は
『シリーズ軍事力の本質(2) シー・パワー その理論と実践』
立川京一、石津朋之、道下徳成、塚本勝也 編著
芙蓉書房出版
2008/4/30発行
でした。
(エンリケ航海王子)
もくじ
はじめに (立川京一)
第1章 シー・パワー -その過去、現在、未来ー (石津朋之)
はじめに
1.シー・パワーとは何か
2.シー・パワーの特性と役割
3.シー・パワーの歴史(その1)ー海軍の誕生と帆走海軍の時代を中心に
4.シー・パワーの歴史(その2)ー蒸気力海軍の時代から今日まで
5.技術の発展とシー・パワー
6.シー・パワーの未来
おわりに
第2章 コルベットとイギリス流の海戦方法 -効果と実行にまつわる諸問題-
(ジェフリー・ティル(立川京一訳))
はじめに
1.コルベット理論の要点
2.イギリス流の海戦方法の特徴
3.イギリス流の海戦方法の効果ー評決に向けて
4.実行にまつわる諸問題
(1)必要な資源の発見
(2)侵攻に対する防御
(3)海上護衛
(4)必要な戦闘の追求
5.効果の問題ー海軍による戦力の投入の限界
(1)「やむを得ざる形で戦争をはじめること」
(2)経済封鎖
(3)水陸両用作戦
第3章 深海からの挑戦 (山内敏秀)
はじめに
1.シー・パワーへの最初の挑戦
2.第一次世界大戦
3.第二次世界大戦
(1)ドイツ
(2)アメリカ
(3)日本
4.新しい役割
おわりに
第4章 水陸両用作戦の歴史的変化
(カーター・A・マルケイジアン(塚本勝也訳))
はじめに
1.第二次世界大戦における水陸両用作戦
(1)戦略環境
(2)作戦ドクトリンの発展と進歩
(3)第二次世界大戦における攻撃と地域拒否戦術
2.冷戦期における水陸両用作戦
(1)戦略的文脈の変化
(2)水陸両用作戦の新たな作戦上のアプローチ
(3)冷戦期における攻撃と地域拒否戦術
3.一九八三~二〇〇二年における水陸両用作戦
(1)戦争における戦略・作戦・戦術上の文脈の変化
(2)冷戦後の水陸両用作戦の戦術
おわりに
第5章 シー・パワーとしての空母 (塚本勝也)
はじめに
1.空母のシー・パワーとしての特徴
2.空母の制約
3.空母の柔軟性
4.空母の将来
おわりに
第6章 日本にけるシー・パワーの誕生と発展ー第二次世界大戦まで
(立川京一)
はじめに
1.水軍時代
(1)対外戦争におけるシー・パワーの行使
(2)吸い軍の戦術と応用
2.海軍時代初期
3.日清戦争から第二次世界大戦まで
(1)日清戦争と日露戦争
(2)第一次世界大戦
(3)大艦巨砲主義・艦隊決戦第一主義と「対米邀撃(漸減)作戦」
(4)対中海軍作戦
(5)太平洋戦争
おわりに
第7章 自衛隊のシー・パワーの発展と意義 (道下徳成)
はじめに
1.自衛隊のシー・パワーの役割と構成
(1)シー・パワーの役割と任務
(2)シー・パワーの構成
2.自衛隊のシー・パワーの発展
(1)草創期から四次防まで 一九五二~七六年
(2)「防衛計画の大綱」策定から冷戦終結まで 一九七七~九一年
(3)冷戦終結から一六大綱まで 一九九二~二〇〇四年
(4)一六大綱から現在まで 二〇〇四年~
おわりに
第八章 シー・パワーと日米防衛協力 -日米同盟から見た日本の海上防衛力-
(鮒田英一)
はじめに
1.終戦後から海上自衛隊創設まで
2.国防の基本方針から四次防まで(冷戦前期)
3.防衛計画の大綱から冷戦終結まで(冷戦後期)
4.冷戦終結以降
おわりに
第九章 一九四五年以降のアメリカ海軍の戦略概念
-マハンとコルベットの戦略思想を援用して- (高橋弘道)
はじめに
1.マハンの影響
2.冷戦期のアメリカ海軍の海洋戦略
3.冷戦後のアメリカ海軍の海洋戦略
おわりに
第十章 二一世紀のシー・ベイシング
(ウィリアムソン・マーレー(石津朋之監訳))
はじめに
1.シー・ベイシングの政治的・戦略的枠組み
2.地理的位置関係をめぐる問題
3.軍事作戦上の問題
おわりに
参考文献
索引
執筆者略歴
今回ご紹介した本は
『シリーズ軍事力の本質(2) シー・パワー その理論と実践』
立川京一、石津朋之、道下徳成、塚本勝也 編著
芙蓉書房出版
2008/4/30発行
でした。
平和はまだ達成されていない ナウマン大将回顧録
本著は、わが国では余り知られることのなかったNATO、欧州の軍事そして
戦後ドイツの軍事について、ドイツ軍、NATOという欧州軍事の中枢で責任
ある立場にあった将軍が自ら書かれた、極めて貴重な資料といえます。
冷戦構造の崩壊にあたってドイツおよびドイツ軍はどう対処したのか?
新たな欧州の安保構造構築にあたって、ドイツを含めた欧州は何をしてきたのか?
そして今何をしているのか?
ロシアをNATO,欧州はどう見ているのか?どう扱っているのか?
・・・
その過程で、ドイツ軍トップ、NATO軍事部門トップとして最前線の様子を
見た著者の言葉は、あまりに重く、あまりに具体的です。
■著者・ナウマン将軍の略歴
1939年ミュンヘン生まれ。
1958年入営。砲兵将校に任官。
砲兵部隊火力統制将校、機械化歩兵大隊参謀(人事、作戦)、135機械化砲
兵大隊砲兵中隊長
1970~1972年 イギリスの王立国防大学留学
連邦軍指揮幕僚課程終了
旅団作戦参謀、55機械化砲兵大隊長、30機械化擲弾歩兵旅団長などを歴任。
1983年 イギリス王立国防大学派遣
1986年 准将 国防省計画担当副部長
少将に昇進後、国防省軍事政策部長、連邦軍総監部第三部長を歴任。
一軍団長を経て、1991年10月、ドイツ軍トップの連邦軍総監に着任。
1996年2月、NATO軍事委員会議長に選出。
1999年、任務完遂。退役
■貴重な資料
あとがきで訳者の川村さんが
<歴史上の大きな転換点におけるドイツとヨーロッパの安全保障政策に関する
第一級の資料にほかならない>
と記しておられますが、まさにそのとおりとの思いを持ちます。
大変貴重です。
回顧録であると同時に、冷戦以後、現在から将来にかけての軍事の動向を把握
するうえで必須のガイドブックとも思います。
かかれていることはわが自衛隊にも直結する問題です。
どこか遠いところの話ではありません。
ナウマン将軍はまえがきで
<私は、ただ冷戦の末期と以降過程において十六カ国の旧NATO諸国に所属
する数千人の軍人が果たした貢献を書きとめ、公表することだけを意図してい
た。(中略)対立関係を解消する上で果たした軍人の貢献を紹介することが、
この本を書くことになった動機の一つであり、ドイツにおける安全保障政策に
貢献することがもうひとつの動機である。この本は第一部と第二部から構成さ
れており、この二つの部は、これら二つの動機に対応している。>
と書かれています。
第一部が前者の、第二部が後者の動機にそれぞれ対応しています。
■過去五年間の世界的変化の代表的なもの
ナウマン将軍は過去五年間で世界的に起きた変化の代表として以下の二つを挙
げておられます。
1.中東情勢の変化
1.ロシア情勢の変化
両者はそれぞれ独立しているわけではなく、密接に絡み合っている。
中東情勢は<世界の関心の中心>であり、すべての主要国が21世紀も引き続
き関心を寄せるとし、あわせて、現在が歴史的な転換点にあり、冷戦崩壊後の
世界秩序はまだ存在しておらず、多極化した世界はいまだ存在していない。
9・11により本土を攻撃された米はもはや、世界の模範足りえなくなってお
り、この世界には単独で解決できる問題は存在せず、アメリカは、軍事力によ
る制圧はできるが問題の解決そのものには世界の主要国の協力が不可欠になっ
ている。そのため、唯一の超大国アメリカは問題解決にあたって、他国を共同
の決定に参加させることが前提になってきている。
もうひとつの柱は「ロシア」です。
冷戦崩壊時ナウマン将軍は、隣接する旧東欧諸国との関係構築の基盤を軍を通
じて行いました。東独軍の解体と新生ドイツ連邦軍編成にも責任者としてあた
っています。
ナウマン将軍はその過程で、対外関係構築にあたっては「情報公開に基く信頼
関係」が何より大切だと学びます。それを時系列で紹介しているのが「2.友
好の試練」から「6.軍人とヨーロッパの和解」までの各章です。
チェコ、ハンガリー、ポーランドなど、昨日まで敵だった隣接する諸国家との
交流再開の様子は実に感動的です。
しかし、最後のロシアとの交渉では結局失敗します。
少しダブりますが、「4.ロシア人は来て、そして去った」「5.ポーランド
を得てロシアを失う」「7.同盟は橋を架ける」で、ロシアとの交渉の様子
が細かく記されています。とくに興味深かったのは、大陸国ロシアが海洋同盟
NATOに対して持つ微妙な感情に言及されているところでした。
おそらくこれがロシアを上海協力機構に走らせた根っこなのでしょう。
特に、欧州とロシアの現状と将来を把握する上で「5.ポーランドを得てロシ
アを失う」と「7.同盟は橋を架ける」は必読と思います。
なぜNATOにロシアを参加させねばならないか?
93年秋の「トラーべミュンデ米独国防相非公式会談」の重要性と「PfP」
96年時点でNATOが示した「戦略の3要素」
ロシア問題解決への提言
ロシアが理解すべきこと
ロシアの対外行動とロシア軍に対する評価
等が記されています
あわせて、ナウマン将軍の最後の職となった
NATO軍事委員会議長(NATOCMC)の地位の重さが分かります。
■各章のガイド
第一部(ヨーロッパの和解と軍人の貢献)は
1.かつての敵が友人となる
2.友好関係の試練
3.ドイツの統一ー国家人民軍の解体と吸収
4.ロシア人は来て、そして去ったーソ連軍の撤退
5.ポーランドを得てロシアを失うーNATOとロシア
6.軍人とヨーロッパの和解ードイツの貢献
7.同盟は橋を架けるーNATOの拡大
8.微妙な任務ーイスラエルとの協力
9.防衛任務と国際貢献
10.新しい兵士の役割
から成ります。
第二部(不確実な世界における平和への道)は以下の二章から成ります。
11.移行過程における危機対処
12.平和のための機構
各章の簡単なあらすじです。
■1.かつての敵が友人となる
では、分割された欧州の再統一にあたって軍が果たした貢献を、連邦軍創設時
と比較して総括しています。序章に相当する章です。
■2.友好関係の試練
では、8~90年代のドイツ政府内での戦い、初の海外派遣の回想などNAT
Oという軍事同盟内で不信感をもたれていたドイツの信頼が如何にして回復さ
れたかが述べられています。
■3.ドイツの統一ー国家人民軍の解体と吸収
では、旧東独軍解体と連邦軍への吸収の過程が描かれています。<準備期間が
数週間しかなかった>には驚きました。旧東独軍の大佐の大多数と将官すべて
を退役させています。イデオロギーに支配された軍の異常性をよく理解できま
す。共産国では自分以外の政府機構のことを全く知らない実態などが描かれて
います。
■4.ロシア人は来て、そして去ったーソ連軍の撤退
では、ソ連軍の東独撤退について書かれています。ナウマン将軍が見るところ、
<ソ連軍は東独軍の心を一度も捉えていなかった。>そうです。東独軍はソ連
軍を友軍だとは一度も見ていなかったようです。
あわせてソ連軍について、装備の面では脅威だったが、<「下からの自発性」
を認めない体制を強制されていることを見落としていた。個人の自由がある程
度なければ最新技術は扱えない>という興味深い見方を示しています。
■5.ポーランドを得てロシアを失うーNATOとロシア
では、96~99年のNATOとロシアの関係が記されています。丁度このと
きナウマン将軍はNATO軍事のトップ「NATO軍事委員会議長」の立場で
ロシアと接していました。ロシアが「NATOにおける共同決定権を強硬に主
張」したことがNATOとロシアの交渉を破綻に導いたとしています。
また、NATO東方進出に関するデマ話(90年時点でNATOは東方進出を
考えていた)についても言及があります。
<信頼により尊敬を獲るほうが、恐怖と脅威よりも長期的に見て望ましい>と
するナウマン将軍の姿勢が心に残ります。
この章は極めて重要といえるでしょう。
■6.軍人とヨーロッパの和解ードイツの貢献
では、ナウマン将軍が国防省軍事部政策長、連邦軍総監部第三部長当時の
ドイツ統一前後の出来事が書かれています。
欧州最大の隣国を持つドイツが、冷戦崩壊、ドイツ再統一にあたって、軍人交
流を通じて「今日から敵ではなくなった昨日までの敵」と交流を深めてゆく過
程が記されます。それを支えた軍人の尽力がいかに大きなものであったかがよ
くわかる内容です。あわせて、<下士官が脆弱な共産軍>といった軍事専門性
が高い章でもあります。統一ドイツとドイツ連邦軍は、軍交流を通じて隣国か
ら信頼を勝ち得ました。
■7.同盟は橋を架けるーNATOの拡大
90年代に起こったドイツと欧州を起点とする世界情勢の変化の実際について
書かれています。ここでナウマン将軍は、<90年時点でNATO東方拡大は
誰も考えていなかった>と明言しています。
NATOの再構築がいかに行なわれたのか?
<1.協力に向けてNATOを開放する
1.攻撃に対する共同防衛目的の同盟から、軍事力を含むあらゆる手段を使っ
て危険を同盟地域から努めて遠ざけることを目指すべき同盟への模索>など、
貴重な証言がたくさんあります。今よく使われている「平和のためのパートナ
ーシップ」と「フランスのNATO軍事委員会参加」が生まれるきっかけとな
った93年秋の「トラーベミュンデ米独国防相非公式会談」についても多くの
スペースを割いて記されています。
トラーベミュンデ会談は大変意義の大きいものでしたが、「国防相が外交面の
話を中心にするようになり、軍事政策等の純軍事の本来課題に時間を割けなく
なった結果、米国発のRMAが無視される結果を生んだ」としています。
この章も大変貴重で、必読だと思います。
■8.微妙な任務ーイスラエルとの協力
では、イスラエルとのかかわりが記されています。ユダヤ人虐殺という十字架
を負うドイツにとって厄介な相手のように思いますが、ナウマン将軍はこの章
でこんなことを書いています。<イスラエルはレバノン侵攻により、犠牲者ゆ
えの無実の立場を失い、自らが犯罪者となった。ユダヤ人組織はこのことを理
解しなければならない>
先ほど挙げた「一瞬で変わった武器供給政策」もここに詳細が書かれており、
あわせて「小切手外交には限界がある。効果が一瞬しかない」との指摘もされ
ています。また、海軍による艦艇訪問効果、優れた外交上の成果を指摘してい
ます。
一番目についたのは、「人口動態がイスラエル不利に動いている」との指摘で
す。ずいぶん以前にヨーソロ様からまったく同じことを伺っていたので自慢に
思いました。見識ある軍人の着眼点は同じところにあるようです。
米のユダヤ社会に対する世論工作など興味深いこともかかれています。
■9.防衛任務と国際貢献
では、現在から将来に向けての軍事の本質に関する提言が記されています。
この章も必読です。
「軍備管理概念で大量破壊兵器問題を解決しようとするあらゆる努力は何の効
果も生まなかった」「PKOを行なえる組織はNATOしかない」など、活き
た貴重な指摘が山のようにあります。
なかでも、
「変化する時代の中では、軍人が軍の役割について政治的に話をすることが必要」
という点は重要で、ナウマン将軍はこの言葉を91年11月の「ナウマン・ペ
ーパー」で実践しています。誇り高く次のように書かれています。<ドイツ軍
は90年代初頭に世論と向き合い、軍の方向性を明確に示した>
世論はそれにOKを出し、連邦軍は改革をはじめることができました。
ナウマン大将はこの改革について、ドイツの責任を果たす姿勢を同盟国に示す
ことが明らかにできた点で重要だったと総括されています。
この改革では、指揮系統一元化のため指揮作戦コマンドが創設されました。
その過程で各軍種からの反発があったとも書かれています。NATOの一員と
して即応任務に当たる場合「統合作戦」になるのは必定で、それには指揮の一
元化が必要だったと説明されています。
また、海外派遣問題についてはここで説明されている以下の点を、
国民は知っておくべきと思いました。
1.ソマリアにPKO派遣されたときドイツ軍兵士が現地人を射殺しています。
このときドイツ軍はどう対処したのか?
1.ROEが明確に規定されてはじめて部隊を海外派遣できるということ。
■10.新しい兵士の役割
でナウマン将軍は、戦うことではなく、救い護る役割の方が重要であり、冷戦
以降の軍人は「戦士+α」の存在になってきている、と指摘しています。
あわせて、冷戦後の時代に軍が成果を上げてきたさまざまな任務の中に、「防
衛外交」と英国で名付けられた「明確な役割を持つ兵器輸出・兵器援助・教育
援助」が国防政策の一環として行なわれてきたとしています。
MOOTW(アメリカが提言する「戦争以外の作戦」)に関しても経験に基い
た知見を八点にまとめ示されています。情報の扱いに関する以下の言葉も非常
に含蓄あるものです。<リアルタイムの情報は創造性喪失と責任回避につなが
るので、すべてのレベルで注意すべき>
この章の最後の言葉は、本著すべてを通じて流れるナウマン将軍の警鐘です。
<平和を創造することは政治の使命であり、それによって軍隊にも任務が与え
られる。しかし、その任務はまだ達成されていない>
■11.移行過程における危機対処
「危機対応」という未知の分野への備えが必要ということが書かれてい
ます。国連安保理による委任は疑問の余地のない正当化の根拠となり、「法的
基盤」「内政不干渉規定の免除」をもたらす、としています。しかし国連には限
界があり、将来に向けて、安保理委任のない場合の武力行使の可能性を残し
ておかなければならない、と現実を深く知る方ならではの言葉を記されています。
ひとことでいえば、ナウマン将軍がクラウゼヴィッツ的な立場に立っているこ
とも分かります。
■12.平和のための機構
現時点で欧州、米を含めた全体的、効果的で持続可能な安保機構は未だ
存在していないと説きます。国連の問題点は「ポスト近代、近代、前近代の世
界」が公式に同等の権利を有して隣り合って座っていることにあると指摘して
います。あわせて国連は戦争を正当化できず、正当化を望まないと見ており、
将来も不完全にしか対応できないとの見方です。
だから、安保は任務が世界規模であっても地域的組織によってのみ形成でき、
欧州にはOSCE、EU、NATOがあるが欧州で唯一完全に機能しているの
はNATOのみであるとしています。
欧州にとって米がきわめて重要な存在であることも繰り返し主張しています。
「欧州とカナダは目前の役割を米と共にのみ克服可能で、米なしで克服できな
いこと、グローバル化した危機の時代における安全保障が、米なしで考えられ
ないことを正確に理解している」
「連合国と共に戦争しなければならないのは非常に腹立たしいが、連合国なし
で単独で戦わねばならないよりは何倍もよい」(チャーチル)
これらは、わが国も傾聴すべきことばでしょう。
将軍はあわせて、米の「ワシントンの遺言」「まず米の国益の貫徹を図る」を
十二分に注意しておくべきといいます。また「米に戦闘を負担させる」という
姿勢は、頭越しにロシアと交渉される結果を招くため、欧州は「戦闘の主役と
して前線に出る」ことが必要としています。
最後に将軍は、以下のような指摘をされています。
<不確実な地球規模の危機に無条件で対応できる能力、紛争阻止能力など切迫
した政治的役割を引き受けることのできる手段は存在していない。したがって、
当面の間暫定的な解決策と共に生きねばならない。
同時に、現有の組織を変更し、改善することに努める一方で、これらの組織を
もって実際の危機において作戦を行い、問題の解決を図らねばならない。これ
は決して素晴らしい見通しではない。しかし、依然として実行までに数十年も
必要とする将来像の開発に固執し、この不安定な世界で何も行動しないよりも
ずっとよい。それでも、以下の2つの役割に関する提案には、早急な対応が必
要と思われる。
1.国際連合の対応能力を改善する
2.ヨーロッパにおいてNATO、EU、ロシアとアメリカを結びつけること
によって、これらを統制するための機構を創設する方策を見出す。その機構の
役割は、危機に際して勧告し、関係する諸国と組織に影響力を及ぼす可能性の
ある緊急の危機の克服において、その指揮を担当するにもっとも適した組織を
決定することである>(P279~280)
<現在の危機において行動できるNATOやEUのような組織を、この時代の
環境条件に適応させることを決して忘れてはならない。さらに、その手段、
特に軍隊は政治が設定する任務を遂行できるように構成されていなければなら
ない>(P281)
■ドイツを見習おうという言葉は簡単ですが
ひとつ思うことがあります。
本著の出版にあたって、先の大戦の敗戦国という共通項を持つ「ドイツ」の軍事
政策から、わが国も見習う点があるだろう、との意図があったろうと思います。
しかし、いまだ解決しない憲法問題、武器輸出三原則問題を抱えているため、
「国家」レベルで、わが国軍事はきわめて大きな制約に阻まれています。
世界の主流になっている「連合作戦」に参加できない状況も続いてます。
ドイツは湾岸戦争当時、憲法の制約によりトルコまでしか部隊を出せず、NA
TO内で白い目を向けられ孤立しました。金だけ出して世界からつまはじきに
なったわが国とよく似た状況だったんですね。
しかしドイツはそのことを反省し、NATO域外でも軍が活動できるべく環境
作りをしました。それにあたっては、軍が先頭に立って「新たな時代の軍事」
を国民に説明しています。
また、イスラエルとの交流について書かれた「8.微妙な任務」では、<湾岸戦
争で一夜にして対イスラエル武器供給政策が一変した。(中略)悪名高い教条
主義であった外務省はここで一度だけ柔軟な姿勢を示した>と紹介されています。
国家レベルでこういう見識を示し、胆識をもってそれを実行した各レベルの
指導者の質もわが国とは異なります。
政治をめぐる問題も、外務省との主導権争いなどといった権力闘争も、メディ
アとの対立も、無知な世論に泣かされる経験も・・・、ドイツもわが国も軍事で
抱える問題は同じようなものです。しかし違うのは、世界の一員という意識で
「国家としてやるべきことはやるんだ」という姿勢をドイツは持っていたことです。
軍の役割に対し国家指導部が発揮する洞察力、見識が、わが国とはまったく
違う感を受けます。シュトルテンベルグ国防相のような、政治力と視野の広さ、
決断力、見識、胆識を兼ね備えたシビリアンの存在も大きな違いですね。
ですから、非常に残念ですが、ドイツとわが国は似て非なる存在といって
よいでしょう。鵜呑みにエキスをえられない理由はそこにあります。
あわせていえば、ドイツ連邦軍は創設当時から軍であり自衛隊ではなかったと
いうことです。連邦軍はあくまで軍として存在しており、一度たりとも連邦自
衛隊だったことはありませんでした。
しかし、いたずらに自国を卑下することにはなりません。
少なくともわが自衛隊レベルでは、本著で紹介されている世界の軍事潮流は正
確に把握されており、それに沿った形での変革がすでに進められています。
憲法の制約下で歯軋りしながらではありますが、わが自衛隊は時代の流れを見
失うことなく、国益を図るため、海老のように殻を脱ぎつつ進化している、と
の安心感と信頼感を本著を通じて改めて強く持っています。
政治が本当の意味で目を醒ましたときに必要な手を打てるよう、ギリギリではあ
りますが最低限度の備えをわが自衛隊は整えていることでしょう。
あわせて、欧州では冷戦が終わりましたが、わが周辺ではまだ終わっていません。
わが国は、未だ崩壊しない「冷戦への備え」と、欧州発で中東方面で展開中の
「新たな軍事世界」への対処を同時並行で進めなければなりません。
その任にあたるわが自衛隊から、「軍として動けなくない枠」を取り去らねばな
らない、とあらためて肝に銘じています。
■欧州向けの内容ですが
ナウマン将軍はこの本を欧州人向けに書きました。
しかし読んでみると、結構通じるものがあります。
なぜでしょう?
<国家は、近代化されればされるほどより脆弱になる>
<いまや、民主主義世界は、東西対立から生まれた秩序体制がむしろ歴史上の
例外であったと気が付き始めている>
<国家社会は、無秩序を克服すると同時に、安全を回復するために新たな秩序
を見出すという試練に直面している>
<中東はもっとも危険な世界の紛争地域である>
といった言葉を見てもお分かりのとおり、今の危機は、過去のそれとは違い、
世界各国が一緒に対処する必要がある「グローバル」な存在であるという点
でしょう。
グローバル化した世界は便利極まりない生活をもたらした一方で、危機をも
グローバル化し、国境を越えた存在にしてしまいました。
あわせて唯一の超大国アメリカは、9・11テロで本土を攻撃され、それまで
の威信を失い単独でグローバルな危機に対処することが不可能になっています。
危機のグローバル化に早い段階で気付いたNATOは、90年代から備えてきま
した。CJTFなど、新しい概念の部隊が現在世界各地で展開できているのはそ
のためです。しかし未だその取り組みの途上です。
この取り組みを一般人が知ることはこれまでほとんどありませんでした。
唯一の例外は佐瀬昌盛さんの著作ですが、佐瀬さんの書籍と論文のみでは
落ち着きどころが見当たらず、困っていた人も多いと推察します。
冷戦後の欧州軍事を語るうえで最適任のナウマン将軍を通じて、このこと
を学べることを喜びに思います。
最適の参考書をえて、佐瀬さんの著作の功績も改めて認められることでしょう。
正直言って訳文が読みにくく、連邦軍総監が大将?といった枝葉末節での不満
は残りますが、それを忘れさせる質の高さを賞賛するばかりです。
商売的にはかなり厳しいのではと愚考しますが、
よくぞ世に送り出してくれたものです。
今現在の軍事最前線を把握するうえで、最適かつ必読の書といえるでしょう。
心より、すべての方にオススメします。
今回ご紹介した本は
『平和はまだ達成されていない ナウマン大将回顧録』
クラウス・ナウマン
日本クラウゼヴィッツ学会訳
芙蓉書房出版
2008/4/22発行
でした。
(エンリケ航海王子)
追伸
米を中心に大西洋のNATO、太平洋の日米アンザス同盟、北米のNORAD
でグローバル危機に対処する。本著を通じて、せめてこういう気概を持つ国民
になりたいものです。あわせて、わが周辺に冷戦が残っている現実を、視野か
ら落とさないでください。
今回ご紹介した本は
『平和はまだ達成されていない ナウマン大将回顧録』
クラウス・ナウマン
日本クラウゼヴィッツ学会訳
芙蓉書房出版
2008/4/22発行
でした。
もくじ
日本語版への序文 クラウス・ナウマン
序文
第1部 ヨーロッパの和解と軍人の貢献
1.かつての敵が友人となる
2.友好関係の試練
3.ドイツの統一ー国家人民軍の解体と吸収
4.ロシア人は来て、そして去ったーソ連軍の撤退
5.ポーランドを得てロシアを失うーNATOとロシア
6.軍人とヨーロッパの和解ードイツの貢献
7.同盟は橋を架けるーNATOの拡大
8.微妙な任務ーイスラエルとの協力
9.防衛任務と国際貢献
10.新しい兵士の役割
第2部 不確実な世界における平和への道
11.移行過程における危機対処
12.平和のための機構
【解説】
ドイツ連邦軍と安全保障政策 -冷戦期と冷戦終焉後の変化-
小川健一
訳者あとがき 川村康之
今回ご紹介した本は
『平和はまだ達成されていない ナウマン大将回顧録』
クラウス・ナウマン
日本クラウゼヴィッツ学会訳
芙蓉書房出版
2008/4/22発行
でした。
『戦友』 高部正樹 (YouTube資料映像付き)
<願わくば、あの苦しいジャングルのなかで、何の見返りも求めず、必死に戦
い、命を捧げた日本人兵士がいたことを、ひとりでも多くの方々に知っていた
だければうれしく思います。>(高部正樹)
来週二十四日、映画「ランボー」の最新作(最後の戦場)の公開がスタートし
ます。この映画はこれまで、米政府の軍事政策の兆候を示す作品としても
注目されてきました。
次回作の舞台はどこと思われますか?
イラン?北鮮?シリア?中共?
違うんです。
ミャンマーなんです。
ちなみにミャンマーは、中共の影響力が強い国です。
今回ご紹介するのは、国民のほとんどが知らないミャンマーで、わが同胞が
「ランボー」と同じことを実際に行なっていたという記録です。
著者と編集者、関係者の見事なチームワークが作り上げたこの作品を、
サイクロン被害、「ランボー」公開間近という不思議な偶然がミャンマーを覆っている
いまこそ、目を通していただきたいと思っています。
「高部正樹の記念碑的作品」といって差し支えない作品です。
■著者のこと
著者の高部正樹さんは、戦闘機パイロットを目指してわが空自に入隊されまし
たが、訓練中の怪我が元で夢を断たれて退官。その後八十年代に、ソ連へ
の抵抗を行なっていたアフガン・ムジャヒディンの一員として実戦に参加。
以後、ミャンマーのカレン民族解放軍、ボスニア・ヘルツェゴビナでのクロアチア
傭兵部隊等で実戦を経験されたあと、二〇〇七年に傭兵からの引退を宣言、現
在にいたっています。
高部さんは、わが国で最も高名な傭兵出身者といえましょう。
あわせて、傭兵の実際の姿を分かりやすく説明した書籍を数多く出版されており、
御著書を通じ、傭兵の現実をはじめて知りえた人も多いのではないでしょうか。
■この本
今回ご紹介する本は、著者の高部さんがカレン民族解放軍で活動していたと
きの「戦友」について書かれています。
これまで出されてきた内容とは少し毛色が違います。
これまでは、ご自身の経験談を中心に、いってみれば「傭兵とは何か」を客観的
に表現されてきたように感じますが、この本は、題名通り「戦友」のメモワールです。
三名の「戦友」の言葉、行動、考えていたことを高部さんが回想する形で話は
展開します。
いずれの方もすでに今は故人で、驚くほどの若さで亡くなられています。
■自由戦士の碑
タイ・ミャンマー国境地帯にある碑からスタートする導入部は、
非常に印象的です。
<不快な生暖かい風が ぬるりと頬を撫でてゆく。
雨季に入ったばかりの東南アジアで特有のどんより曇った低い空からは、いつ
の間にか小雨がばらつき始めていた>
この碑は「自由戦士の碑」といいます。
<日本語で大きく書かれたこの碑の裏には、三人の日本人の名前が刻まれている。
「西岡・・・ 岩本・・・ 今田・・・」
だが、この小さな碑の存在を知る人はほとんどいない。>
彼らは、少数民族への迫害を政府が現在も行なっているミャンマーで、
半世紀以上にわたって、少数民族カレン族独立のため武装闘争を展開する
「カレン民族解放軍」に身を投じたわが同胞です。
碑を前にした高部さんは、一九九〇年十二月にタイムスリップします。
そう、冒頭で登場した碑のすぐ側にあった「ワンカー」で、高部さんらは
日々命がけでミャンマー政府軍と戦っていたのです。
自分に直接何の利益ももたらさないカレンのために、彼らは命を削っていたの
です。
■すぐ側にいるような錯覚
強く感じるのは、登場する「戦友」の方々があたかも隣にいるような錯覚を
たびたび覚えたことです。現地の匂い、臨場感、リアルさをここかしこで感じました。
戦友の人物描写に関する「歪み」をまったく感じ取れなかったことにも驚いています。
自分以外の他者を表現するにあたっては、よほど誠実な人でもどうしても主観に基く
歪みが投影されるものです。
しかし本著には、人物のアンバランスさが見受けられないのです。
激しい性格の人は最初はちゃめちゃに見えますが、通読してみると、自然でリア
ルな、バランスの取れた人間として描きだされていることに気付きます。
なんでだろうな、と思っていましたが、
本著に同封されていた高部さんのお手紙のなかに回答はありました。
<(前略)
今日まで彼らのことを書かなかったのは、彼らの記憶があまりにも鮮明で、
思い出すのが辛かったのがその理由ですが、10年以上の時をへてようやく少
し距離を置いて見られるようになりました。そして、あのとき彼らがそこでど
んなことをしたのかを知るのは自分しかいないという思いが強まりました。
彼らはカレン族の大義に賛同し、カレン族の将来のため、じつに勇敢に戦いま
した。そのことはカレン族の人々の中で今も語りつがれています。この本で私
は、彼らが何を思い、何を語り、何をしたのか、できるかぎり忠実に再現した
つもりです。(後略)>
疑問は氷解しました。
命を分け合った戦友。それも、見ず知らずの外地で何の後ろ楯もないなかで
共に戦った同胞。
そのことが高部さんと本著で紹介されている方々との間に、どれだけ深い絆を
育んでいたか。そして彼らを失ったことが高部さんにとってどれほど辛い出来
事であったか。
百千万の言葉よりも、全体を通じた戦友描写を通じこのことがビシビシ伝わっ
てきました。
高部さんは、少しでも実際の姿を歪めるようなことだけはしたくなかったのでしょうね。
全編を通じて、戦友を深く追悼する高部さんの思いが伝わってきます。
印象をひとことで言い表せば「無限の友情」ということになるでしょう。
「たまたま生き残ったから、お前らのことは代わりにきちんと記録に残してお
くぞ。お前達が帰りたかった祖国の人々に伝えておくからな。見ておいてくれよ」
こういうメッセージを感じました。
その意味で本著は、西岡、岩本、高部、今田の四氏による共著といえるのかも
しれません。
■決して忘れない
先ほど紹介した高部さんの言葉にもありますとおり、現地の人々は
「戦友」たちを忘れていません。そしてこれからも忘れないでしょう。
「戦友」たちが「日本人とは立派なものだなあ」という現地の歴史伝承に直結
する事業をなしたことに対し、私は深く顕彰の念を持つものです。
今後ミャンマーがどうなるかはわかりません。しかし、カレン民族がこの世に
存在する限り、そして本著が後世に受け継がれてゆくかぎり、「戦友」たちが
命がけで果たした貢献が無駄になることは決してないでしょう。
■傭兵伝説のウソ
ビザの期限を気にする一節がありましたが、実に興味深いところです。
一時帰国してお金をつくってまたカレンに来るんです。
帰国したら、アパートの一室に二人で住み、バイトに励んで、ガスを使うお金
も節約して資金作りに励みます。
命がけの任務なんですが、ろくに給料も出ないんですね。
色気もおしゃれもへったくれも何もありません。
でもたぶん充実感だけはいっぱいだったのではないでしょうか。
ブランド品を買うこともなく、おいしいものを食べるわけでもなく、彼女と
遊び惚けるでもない。ただひたすらカレンに行くためのカネを創る。
ガス代を節約するため、真冬でも水浴びしたという話を読むと
「何でここまで」と思う人もいるでしょう。
でも私には、なんとなくその気持ちがわかります。
「やむにやまれぬ思い」に突き動かされてのことだと思うんです。
悪く言えば「ガキ」、よく言えば「純情」といわれるタイプでしょう。
高部さんが自嘲しているとおり、今の時代風潮では「アホ扱い」されるタイプかもしれません。
しかし、時代を創る魁となったのは常に、こういった純情でまっすぐな方の行動でした。
やむにやまれぬ思いに基く行動。それが時代を創ってきた原動力ではなかったでしょうか。
こういう方々を許容できるだけの懐の深い社会のメンバーでありたい、とわたしは
思っています。
カネは確かに大切ですが、カネのみで動く人間ばかりではありません。
高部さんと「戦友」は、カネがすべての尺度である今の時代が見失った、人と人の
つながりの核心にある「もっとも大切なもの」を共有しておられた(おられる)ように
思います。
その意味で、友情とは何か?という観点から読んでも面白いです。
また、
傭兵には女をとっかえひっかえというプレイボーイのイメージもあるようです
が、これも一部を全体と取り違えた妄想の産物のようです。高部さんは「そば
にいてくれるだけでいい。女性に求めるのは安らぎだけ」との趣旨のことを
本著の中でおっしゃってます。こういうちょっとした言葉も大変興味深いものです。
■日本軍の碑の前で
こんな逸話も紹介されています。
<我々は、日本から遠く離れた外国の、そのうえ人もほとんどいないジャング
ルの奥深くに、実に多くの日本兵の逸話が残ることに、言いようのないものを
感じた。
(中略)
「こんなとこまで。ほんま・・・たいへんやったろうなあ」
西岡が、持っていたビスケット数枚を手近にあった木の根元にそっと置いた。
「そうだな。どれだけ頑張っても、俺達なんか足元にも及ばないよ」
私と今田は米をひとつかみ取り出して一緒に供え、水筒の水をあたりに撒いて、
手を合わせて彼らの冥福を祈った。>
それを見ていたカレン軍部隊は
<「ここで死んだ日本兵のためか?」
いつの間にか、手を合わせていた我々の後ろに、モビュ大尉とチームのカレン
兵が来ていた。(中略)
モビュ大尉は、その場で黙って敬礼した。カレン兵たちも、それにならって敬
礼してくれた。>
という姿を見せてくれます。
<カレン兵が、ここで死んだ英霊のために敬礼してくれた。
その気持ちが、日本人として何よりもうれしかった。>
私も本当にうれしかったです。
■不覚でした
通常、紹介させていただく本については最低三回は読み直し、それまでに書いた
メモをまとめてから紹介文を書きますが、この本については初読後の再読がし
ばらくできませんでした。
こんな小さい本なのに、奥深くまで心を奪われてしまったのです・・・・
想像を遥かに超える内容でした。正直不覚でした。
気づいたことをその都度メモしても、今回ばかりは、見直すたびに内容の
あまりの陳腐さに嫌気がさし、見ることすら厭わしくなることたびたび。
メモを幾度ゴミ箱行きにしたことでしょうか。
ようやく紹介できる状態になれて、正直ホッとしています。
話に聞くだけでも、本を作るというのは甘い作業ではありません。
著者と編集者が火花を散らせて質の高い作品に作り上げてゆくものです。
面白いもので、作り手の姿勢というのは必ず読み手に伝わります。
本著のそれは、著者、編集者、出版社が注ぎ込んだ意気込みと本気さが生半可
なものではないことをビシビシ感じさせるものでした。
そして、それがきちんと読者に伝わる「対話のできる」本でした。
■オススメします
戦闘描写の迫力、現地事情の詳細な解説、人物描写の素晴らしさなど、描写面、内容面
で実にバランスの取れた大変質の高い作品です。
現地で撮影した写真が目次前と本の中ごろにあわせて32枚あり、「戦友」全員の顔がわかります。
舞台となったタイ・ミャンマー国境地帯の地図も、目次あとに三つ掲載されています。
ビジュアル面でも、読み手を意識した大変読み甲斐のあるつくりとなっています。
(本人ではありませんでしたが、岩本さんが高校時代の同級生にそっくりだったのには驚きました)
読後感は実に爽やかで、スッキリと晴れやかです。
「あとがき」にもあるように、登場人物に一切の愚痴がないからです。
それが実在の人物であることがまた驚きです。
そういう印象を読み手に伝えた高部さんの筆力も素晴らしいと思いますし、
人の生き様を、生死を超えてリアルタイムで共有できる「本」の偉大さも
あわせて感じています。
最後に、高部さんの手になるあとがきの一部をご紹介します。
<自分の意志で、純粋にまっすぐ生きた彼らの姿を、本書を通じて少しでもわ
かってもらえれば幸いだ。彼らは本当に、自らの命を顧みずに自分の信念に
生きた男達なのだ。
そんな彼らを思い起こすとき、ひとつの言葉が頭に思い浮かぶ。
「義をもって死すとも不義をもって生きず」
幕末の戊辰戦争で激戦となった会津戦争を、会津藩士たちはこの精神で戦い
抜いたという。
これこそ、彼らにぴったりの言葉のように思えてならない。
(中略)
日本に帰れば、カレンの戦場とは比較にならないほど豊かで楽に生きる道があ
っただろう。しかし彼らはそんなものには目も向けなかった。カレン族の窮状
を知ってしまった以上、それを見てみぬふりをして生きることは、彼らにとっ
て自分自身の誇りと正義に悖る行為以外のなにものでもなかったのだ。
彼らはどんなに辛くても苦しくても、決して楽な道に逃げる言い訳を探そうと
しなかった。どんなに大きなリスクに直面しても、決して背中を見せようとは
しなかった。みんな自分自身の信じた義と信念に、まっすぐに生きた男たちだ
った。
要領よく生きることが当たり前の現代日本の中で、このような生き方は笑われ
るかもしれない。馬鹿にされるかもしれない。
だが私は、愚直と言ってもいいほど不器用に、しかし自分の信念を貫いて生き
抜いたこの男たちとともに過ごせたことを心から誇りに思っている。
(後略)>(『戦友』あとがきより)
「見てしまった以上そこから逃げることはしない」
こういう男たちが、本当にいたんですよ。
もしかしたら「戦友」たちは、本著を通じてようやく祖国での落ち着き先を見つけら
れたのかもしれない。
読了した今、そんなことを思っています。
今回ご紹介した本は
『戦友』
高部正樹
並木書房
2008/5/20発行
でした。
(エンリケ航海王子)
追伸
最後になりましたが、
西岡さん、岩本さん、今田さんのご冥福を心より祈ります。
あわせて、本著を通じて「戦友」のみなさんが本当の意味で帰国できたことを
うれしく思います。お疲れ様でした。おかえりなさい。
1.『戦友』資料用映像 "ワンカー"
ミャンマーからの独立を目指し、ミャンマー・タイ国境地域で武力闘争を続けるカレン民 族解放軍(Karen National Liberation Army)の拠点が「ワンカー(Wangkha Camp)」である。
日本人義勇兵として参加した高部正樹氏と彼の戦友・西岡氏が撮影し、西岡氏がこつこつと編集したワンカー内の貴重な記録映像が残されていた。この映像は、西岡氏の編集した映像を再構成したものである。ワンカーはその後、ミャンマー政府軍の猛攻を受け、陥落し、攻防戦のさなかに日本人義勇兵が一名戦死を遂げた。西岡氏は後日、戦病死している 。
2.『戦友』資料用映像 "ワンカー攻防戦" 西岡さんも映ってます
カレン民族解放軍(Karen National Liberation Army)に参加した日本人義勇兵・高部正樹氏と戦友・西岡氏撮影の貴重なワンカー( Wangkha Camp)内映像。バンカー内から見える最前線の景色、激しい銃砲撃の音が「戦場」の 雰囲気を伝えている。
2011年日中開戦&失敗の中国近代史(080425配信 メールマガジン「軍事情報」より抜粋)
わが国のマンガが、質量ともに世界最高レベルにあることはよく知られています。
時代を経るにしたがって、マンガという表現媒体の社会に与える影響力が大きく
なっています。
これはたとえば『マンガ日本経済入門』からはじまり『嫌韓論』の大ブームへ
とつながる「教養・自己啓発系マンガ」の流れで顕著ですね。
今回ご紹介する『2011年日中開戦』も、その流れに位置するものと見てよ
いでしょう。
さて、私が思いますに、
■作るのが難しい
この分野でよき作品をつくるのは非常に難しいのではないでしょうか?
テーマに対する正確な知識、読み手を厭きさせないストーリー性、そして描画
自体の品質の高さ、この三つのバランスが取れていないと駄作になってしまう
ように思うからです。
あわせてマンガには「吹き出しにあるせりふ」という独特の世界があります。
ここでどれだけ読み手にとって「印象深く」「感情を揺さぶる」言葉を使うか。
これこそが、作品の死命を決するキモかもしれません。
本作品の原作はあの兵頭二十八さんです。一番目の条件はこれでクリアできま
した。
あとのふたつはどうだったかというと・・・
■絶品のセリフと心配り
独特のクールさに馴染めない人がいるかもしれませんが、
ストーリー展開が実に面白く、登場人物の魅力が十分表現されていることに
驚くばかりです。
あわせて、先ほど取り上げた「セリフ」の選択が実に素晴らしいですね。
現実を示唆する言葉も多々ありますし、感動してウルウルすることばは、
あちこちに散りばめられています。
あくまで仮想の出来事を表現した作品ですが、読んでいるうちに現実との境目
がまるでわからなくなってくる。そういう凄みも持っています。
それと全体を通して思うことですが、この作品には深みを感じます。
「いまそこにある危機」を、ナマにではなくさりげなく読み手にあちこちで伝え
る姿勢からは、マガジン発行人としても大いに学ぶところがありました。
読み手を深いレベルの考察に導く良質な心配り。
大人の余裕を感じさせてくれる作品です。
そかしこれだけでは終わらないんですよね・・・
■立体的な視野を得る
『2011年日中開戦』は、題名どおり未来の話です。
これをよみながらある本を並行して読めば、現在過去未来の「中国」の全貌
が浮き上がって見えてくるようになります。
「歴史軸によるタテの比較」が読み手に可能となるからです。
その本が『失敗の中国近代史』です。
『2011年日中開戦』にも登場する中共指導部の言葉の背景にある歴史的事
実、「中国」なるものの本質的な姿勢など、その場で折に触れて確認できるわけ
です。
著者は、清王朝末期から支那事変に至るまでのいってみれば「中国」誕生時代
の歴史を時系列で表現します。軍事にも造詣が深い著者は、作戦・統帥面から
見たシナの特質にも言及されています。
たとえば日清戦争やアヘン戦争のときのシナ政府高官の態度を読むと、
『2011年日中開戦』にある1シーンと共通するものが見えてきます。
また、「清」「中国」が過去どういう経緯を経て戦に突入したかを知ることも
できます。『日中開戦』での経緯と比較考慮するのも大変面白いです。
孫文の国民党が作った中華民国なるものの実体が社会主義国であり、それが
現在の中共を産む基盤になっていることも改めて理解できます。
軍事面から「中国」史を考察する姿勢は、
かの国の行動・意図・歴史を捉える上で必須の視点と思います。
シナにおける類著はたぶんないと思います。
その意味でも貴重な本といえますね。
そんなこんないっているうちに二冊を読み終えて・・・
■ハイブリッド読みを終え、感じることですが、
シナで政治を執る者は、シナ国民のことなどこれっぽっちも考えていないで
すね。彼らにとって教養が意味するのは、彼らをいかに自分の都合のよい方向
に動かすための道具、なのでしょう。
同じ漢学でも、わが国に入ってきたら「自己修養」になりましたが、かの国で
は「支配者の道具」としてしか扱われなかった。
「わが国とシナの文明の違い」に改めて気付かされます。
こういう視点を得られたのも、二冊を通じて立体的にシナを把握できたからか
もしれません。
あなたはハイブリッド読みから得られる立体的視野から何を導き出されるでし
ょうか?大変興味があります。
私の場合、こんな感じでしょうか・・・
■オススメします
シナ大陸の政治はつねに、時代の流れとともに国民に打倒され、新しい王朝に
変わるという治乱興亡の中にあります。いくら中共が永久の国家になりたいと
願っていろいろ策を弄しても、この宿命から逃れることは結局不可能でしょう。
わが国朝野が一般の常識でシナを捉えている限り、日露戦争以後の外交と同じ
過ちを繰り替えすことになるでしょう。
そうならないためにも、この二冊を同時並行で読み、立体的な視野からシナを
見る姿勢を身につけることは意義あることだと思いますね。
それとあわせて、両作品とも、わが国の問題点に多くの気付きを与えてくれる
本です。「敵を知り、己を知る」ことが可能な作品です。
オススメです!!
ハイブリッド読みをお薦めした本はこの二冊でした。
『2011年日中開戦』
兵頭 二十八, 倉橋 光男, 時役 佳ニ
マガジン・マガジン
2008年5月10日発行
『失敗の中国近代史』
別宮暖朗 著
並木書房
2008年3月10日発行
教科書 日本の防衛政策
わが自衛隊の姿は「戦後日本の国防政策」のなかで形になります。
われわれと軍との関わりも「戦後日本の国防政策」の部分で「自衛隊と政治」
のつながりを通じて行われます。
しかし国防政策・軍事を学んでこなかった政治家は、軍人の言葉に耳を傾けて
も意味を理解できませんでした。その結果、戦後日本の国防政策は、官僚の机
上の空論の世界でこれまで行なわれてきたといえるでしょう。
戦後日本の国防政策を学ぶに当たって、定番となる権威ある教科書もわが国に
は存在しませんでした。
でも、「学ぶための教科書がなかったから仕方ないよね」
といういいわけはもはや許されません。
戦後日本の国防政策の仕組み、歴史、現状、将来が網羅された、
国防政策を学ぶための決定版教科書が、ここに出たのです。
■佐藤退役1佐のあとがき
本著の編集執筆者の一人で参議院議員の佐藤正久退役1佐は、
あとがきでこう述べておられます。
<(前略)この間の我が国の防衛政策の変遷は、あまりにも変化が激しく、
最近のテロ特措法の議論などを見ておりますと、この幅広く、かつ複雑な問題
について、本当の意味で国民の皆様にご理解いただいているのだろうかと疑問
に思わざるを得ません。その原因の一つは、国防に携わるものが、しっかりと
国民の皆様に説明してこなかったということであり、我々自身の責任なのかも
しれません。
そのような問題意識から、陸上自衛隊出身で参議院議員となった今、我が国の
国防政策をより分かりやすく、体系的に整理し、国民の皆様のご理解の一助に
なればとの思いから本書を執筆いたしました。
国防政策や安全保障問題というと、どうしても難解で、多くの書物を見比べな
くては理解できないとのイメージがあるかもしれませんが、本書は、この1冊
あれば、我が国の防衛政策の全体像が理解できる中身になっております。
是非ご愛読いただき、我が国の防衛政策に対する皆様の理解の裾野が広がるこ
とを期待してやみません。>
私が言いたいことは、佐藤退役1佐の言葉に集約されています。
まさにこの言葉どおりの本といえます。
特に、
<多くの書物を見比べなくては理解できないとのイメージがあるかもしれませ
んが、本書は、この1冊あれば、我が国の防衛政策の全体像が理解できる中身
になっております>
は、その言葉どおりです。
■前身は・・
本著の前身となる「教科書・日本の安全保障」という本は、
幅広い「国防政策」の解説をコンパクトにまとめ、総合的な視野からの国防政
策把握を格段に容易にしたものでした。
しかし正直言って「法律の話ばかりでつまらない」という印象を受けざるを
得ませんでした。
これまでの経験から、いくら立派なことがかかれていても、有機的な内容を持
たない本からは、読み手は養分を得られない。とわたしは確信しています。
ですからレビューもしませんでした。
■後継書なんですが
本著はこの「教科書・日本の安全保障」の後継書とされます。
しかし、ひげの隊長こと参議院議員の佐藤正久退役1佐をはじめとする軍人が
編集に参画されたせいか、前著とは比較にならないくらい完成度が上がっていま
す。内容も無味乾燥な法律論議に終わらず、養分を吸収しやすい具体的かつ有
機的な内容です。
図表が多く読みやすい。読んでいて面白い。
それが何よりの証左です。
あわせて、わが自衛隊の歴史、背景、政治とのかかわりをここまで総合的かつ
コンパクトに記述した本を、わたしは知りません
これまでずっと「何故わが国には権威ある自衛隊史が存在しないのだろう?」
と疑問に思ってきましたが、本著は十分その役割を果たすことができるでしょう。
「自衛隊なるものの本質を国民が知るため最も有益な本」といってよいかもし
れません。自衛隊なるものの特殊性を学べる教科書としてもお薦めできます。
それともうひとつ感じるのは、海外諸国との比較がふんだんに出てくることです。
たとえば情報保全に関することでも、これまではおそらく専門家でないと把握
していなかった各国制度の比較があり、大変ありがたいですね。
この点は従来の類書に例を見ない画期的なところで、「そうそう、こういう話
を知りたかったんだよ」と思う箇所に私は多々出会いました。
■概略ですが・・
内容は、大きく分けて四つに分かれます。
第一章では、わが国防の全体像が書かれています。
戦後日本の国防制度の整備、世界の軍事情勢、予算制度、情報に関する知識や
事実が書かれており、政府はどういう形でわが国防を行ってきたのか?そして
行なっているのか?行なおうとしているのか?が分かります。
しかしわが国には憲法九条という稀代のガンがあります。
それから派生した「自衛隊法」にわが自衛隊がいかにがんじがらめにされてい
るか?を知ることができるのが第二章です。
法律論議は退屈です。有機的ではないので眠くなります。しかし本著では、ふ
んだんに歴史的事実を紹介し、具体的事実から法律の意味合いを解きほぐし
てくれます。
九条の存在こそが,わが国防の元凶であることがほんとに良く分かります。
しかし嘆くだけではいけません。
我が国は今そこにある敵、将来出現するであろう敵といつでも戦えるよう備え
なければなりません。第三章は、おそらくあなたが最も関心を持って読むとこ
ろになろうと思います。RMA、NBC兵器対処など、今ここにある危機とそ
れへの取り組みが紹介されています。
とはいえ、なんだかんだいってもわが国防と日米同盟を切り離して考えること
など不可能です。最終章では日米同盟に関する詳細が記されます。
私自身はこの章こそが、本著を他の類書と格の違うレベルに仕上げた緊要点と
考えます。
日米同盟に関連する政策を、ここまで噛み砕いて分かりやすく解説した本は他
にありません。私自身、目からうろこが一番多かったのはこの章でした。
役務協定やACSAなど、言葉はきいたことあるけど意味合いはよく分からない
といったことが、あなたにもたくさんあるのではないでしょうか?
そのほとんどすべてが、ここで解決できるでしょう。
米の軍事戦略を無視して世界の動きは読めないですから、国際情勢に関心を
お持ちの方も、アーミテージレポートの重大さ、米の国防戦略体系などを極め
て分かりやすく解説している本章は必読です。
米の軍事戦略を理解する上で必須とされるNSS、QDR、国防報告、国家軍
事戦略、EASR、NDSの意味合いと関わりも、感動するほどすっきりと説
明されてます。
■実に不思議です
本著の目的は国防に関わる政府の公式見解を、事実を通じて正確に理解・把握
するという点にあります。国防政策理解のすべての基礎はそこにあります。
そして文面は、簡潔明瞭に事実と説明を短文で記載したものです。
この種の本は普通、読んでいて眠くなり「つまらないけど大切だからがんばっ
て読む」ところがあるものです。
でも本著からはそういう印象を受けません。
これは実に不思議です。
理由としてあげられるのは、わたしが思うに、
要所要所に差し込まれている<参考>の存在と、先ほどもあげましたが「海外
との比較」です。
特に、「海外との比較」は大きいように感じます。
一般国民が普通の生活をしている限り、海外の国防政策について知るところは
ほとんどありませんが、
たとえば、ドイツの非常事態法案(1968年)に関し、当時の西ドイツ政府
が国会に提出した「提案理由書」の一部、
<(前略)平時における国家組織が必然的に担っている鈍重性は、非常事態に
おいては国家存立の危険を招きかねない。(後略)>(P149)
といった言葉に出会うと、それだけで読む意欲がもりもり湧いてきませんか?
こういう体験を繰り返しできる知的興奮を伴う本なんですよね。
■注文があります。
教科書と名乗る以上、充実した索引をつけて欲しかったです。
索引で知りたい項目を見つけてとりあえずはそこのみ理解する、という読み方
ができる充実した内容だけに非常に残念です。
目次が充実しているから、という判断かもしれませんが、
充実した索引があれば、用語集としても使えたろうと感じます。
付録の法文をカットしてでもつけて欲しかったですね。
それと、ブックガイドもぜひつけて欲しかったですね。
次に進むべき書物が存在しないからかもしれませんが・・・。
■オススメです
「総合性(これ一冊で安心)」「分かりやすさ」「正確な歴史記述と国際性」
本著を読み終えて感じるのはこの三点です。
「戦後日本の国防政策を理解するための教科書」として自信を持ってお薦めで
きます。
国防政策という膨大な分野をここまですっきりとまとめあげ、ここまで分かり
やすく解説した一般国民対象の教科書が出たことは嬉しい限りです。
あなたには一家に一冊、是非お手元においてお読みいただきたいと存じます。
大学でも、一般教養の教科書として取り上げるべきと思います。
近く選挙が行なわれることになりそうです。
それまでに本著で国防政策の概念を頭に入れておくことは、
選挙後の我が国に、よい影響を与えるに違いありません。
春の休日、陽だまりの中でコーヒーカップを横において見ていただきたい本です。
今回ご紹介した本は
『教科書 日本の防衛政策』
田村重信・佐藤正久編著
芙蓉書房出版
2008年4月10日発行
でした。
(エンリケ航海王子)
以下目次です
はじめに(田村重信)
第1章 防衛の基本的な政策
第1節 防衛省・自衛隊 発足の歴史とその組織
1.敗戦と旧軍の解体
2.警察予備隊と海上警備隊の発足
3.警察予備隊・海上警備隊から保安隊、自衛隊へ
4.防衛省・自衛隊の組織
第2節 我が国の防衛政策の基本
1.我が国の安全保障
2.憲法と自衛権
3.日米安保体制
第3節 国際軍事情勢
1.概観
2.冷戦期の北東アジア地域の情勢
3.冷戦後の北東アジア地域の情勢
第4節 我が国の防衛政策に係る方針と防衛力整備
1.前言
2.防衛力整備の仕組み
3.防衛力整備の経緯
4.将来の防衛力整備の方向
5.現在目標としている陸上・海上・航空自衛隊の体制
6.統合運用
7.防衛生産・技術基盤
第5節 防衛予算の仕組み
1.防衛予算の規模
2.防衛予算の構成
3.防衛予算の現状と課題
第6節 情報と保全
1.情報(インテリジェンス)の重要性と我が国の取り組み
2.情報(狭義)
3.保全
第2章 防衛の法的な枠組
第1節 自衛隊の役割、任務と行動
1.自衛隊の任務
2.自衛隊の主な行動(活動)
3.自衛隊の行動に係る武器使用権限等
4.自衛隊の役割
第2節 国際平和協力活動
1.国際平和協力の意義
2.国連の国際平和に係る取り組み
3.我が国における国際平和協力の経緯
4.国際平和協力法のしくみ
5.自衛隊の部隊等による国連平和維持活動の実施状況
6.我が国における国際平和協力の問題点と今後の課題
第3節 周辺事態安全確保法等
1.ガイドラインと周辺事態安全確保法等の関係
2.周辺事態安全確保法等の概要
3.ガイドラインの実効性を確保するためのその他の措置
第4節 テロ対策特別措置法、補給支援特別措置法
1.テロ対策特別措置法、及び補給支援特別措置法等に関する改正自衛隊
法制定の経緯
2.テロ対策特別措置法の概要
3.補給支援特別措置法の概要
第5節 事態対処(有事)関連法制
1.有事法制の定義
2.諸外国の非常事態法制・防衛態勢
3.有事法制の研究から事態対処関連3法成立へ
4.事態対処関連3法の概要
5.事態対処法制関連7法及び3条約の概要
第6節 イラク人道復興支援特別措置法
1.イラク人道復興支援特別措置法の意義
2.イラク人道復興支援特別措置法の概要
3.イラク人道復興支援特別措置法に基く活動
4.イラク人道復興支援特別措置法に係る今後の課題
第3章 新たな事態への対応、安定した安全保障環境の構築への貢献
第1節 サイバー攻撃対処・生物兵器対処について
1.サイバー攻撃対処
2.生物兵器対処
第2節 核兵器及び弾道ミサイルへの対応
1.核兵器及び弾道ミサイルの拡散
2.核兵器及び弾道ミサイルへの対応
3.今後の課題
第3節 軍事における革命(RMA)への対応
1.RMAの概要
2.過去のRMA
3.現在のRMA
4.RMAの基盤となる技術
5.RMA化による戦い方の変化
6.諸外国のRMAへの取り組み
7.防衛省・自衛隊のRMAへの取り組み
8.今後の課題
第4節 安全保障対話・防衛交流
1.安全保障対話・防衛交流とは
2.アジア太平洋地域における安全保障対話・防衛交流の現状
3.我が国が実施する安全保障対話・防衛交流
4.今後の課題
第4章 日米安全保障同盟
第1節 米国の国防政策
1.全般
2.米国の国防政策の変遷
3.現在の米国の安全保障戦略等の体系
4.ブッシュ政権における国防政策等
5.米国の対日戦略(アーミテージ・レポート2)
6.アジア太平洋地域における米軍の状況
第2節 日米安保条約と日米防衛協力のための指針等
1.日米安保体制の変遷
2.日米安保体制の今日的意義
3.日米の軍事的側面での協力(日米防衛協力のための指針)
4.まとめ
第3節 在日米軍基地の状況及び日米安保対背う2関する諸施策
1.在日米軍の状況
2.日米地位協定
3.日米物品役務相互提供協定
4.ホスト・ネーション・サポート
5.沖縄に所在する在日米軍施設及び区域に関する諸施策
6.日米同盟の将来に関する安全保障面での日米協議
7・まとめ
別紙第1~第7
参考文献
おわりに(佐藤正久)
今回ご紹介した本は
『教科書 日本の防衛政策』
田村重信・佐藤正久編著
芙蓉書房出版
2008年4月10日発行
でした。
【080411配信 メールマガジン」「軍事情報」(本の紹介)より】
[新訳]孫子
<本著は「孫子」(兵頭集註)です。「ナメるように読む」本です。同時に「ナメるように読める」本です。とにかくわかりやすい内容です。本文、「兵頭いわく」は目からウロコ満載で、これまでの訳書はなんだったんだろう?と思ってしまうほどです。数千年の時を超えて生き残った古典のエキスが脳内に染みわたってゆく快感を、あなたも味わえることでしょう。>(Amazon.co.jpレビューより)
<上智の人が情報戦争にたずさわれば、大きな国益が約束されたようなものです。
これこそが国防の勘所です。国軍は、まさにそのような人の工作や分析を頼り
に思いながら、動くことができるのであります>(P208)
本著を読んだ人の中から、将来、わが国防戦略を担う人が出てくることは間違
いないでしょう。
おそらくそれは、あなたです。
本著を読めば、孫子から養分を摂取でき、対シナ戦略で優位に立てるかもしれ
ません。
今もシナの中共は、孫子で説かれている原理を実際に使っています・・・
■古典
古典を紐解くのは、数千年にわたって人間が血を流しながらつかみとってきた
智恵のエキスを、「今を生きる」人間が「今から将来に向けてのベクトルのな
かで」活かすためではないでしょうか?
以前も書きましたが、
学者・評論家の任務は、
ベクトルを過去に向け、人間が行なってきた行動をまとめて整理整頓し、
五里夢中の未来に向けて行動する「今を生きる人間」のため、行動の拠りどこ
ろとなる教義・エキスを抽出すること。
と私は考えます。
学者たちは過去の歴史のなかで、教義やエキスをまとめたものをさまざま遺しま
した。しかし千年単位で受け継がれているものはほとんどありません。
それこそが「真の古典」の名に値するのでしょう。
「孫子」はそのひとつで、武の分野では誰もが手にとる古典の中の古典とされ
ています。
しかし兵頭さんは「孫子」について、
軍事・政治思想の断片記録の集成であり、数十人が作成に関わっている。
かかわった者のなかには三国志で有名な曹操も含まれるとし、
<一天才の統一された思想として読もうとするのではなく、想像を絶した古代
から届けられた、無数の軍事/政治思想の断片的な化石の標本集として、味読
した方が有益でしょう>(P8)
との注意喚起を忘れずにしておられます。
「孫子思想原理主義」信者のような人をよく見かけますが、
こういう方は兵頭さんのこの言葉をよく噛みしめる必要があるでしょうね。
■古典を養分にするために必須の「訳註」
時代が変わると風俗も変わります。
言葉も変わるでしょう。
しかし、古典訳注の分野では時代への対応が必ずしもまともに行なわれていな
いように思います。
「孫子」が、"触れれば切れる"活きた教訓満載の書であることは多くの人が
知っています。しかし実際手にとって読んでみると、字句の説明ばかりでイキ
イキしたところがすこしもありません。
「つまらないので読む気がしない」
のは、正常な感覚だと思います。
その最大の原因は、軍事・戦略・国防や読み手の意識に精通していない漢文学
者が注釈をしていることにあります。
これまで出た「孫子」は、言ってみれば「漢文学者のたまご」向けに作られた
「漢文を読み解くため」の「漢字解釈の正確さに重きを置いた教科書」に過ぎ
ない、といって過言ではありません。
それはそれでいいと思うのですが、われわれ庶民が古典を通じて得たいのは、
「現代に活かせる智恵のエキス」「将来に活かせる触れれば血が出る教訓」
なんです。
「孫子」のような古典から養分を得るには、
書かれた時代背景と現代のそれとの段差を埋める必要があります。
それがないと、錯誤の積み重ねや知識コレクターになって、揚げ足とりしかで
きない「孫子思想原理主義者」になるのがオチです。
わが行動に活かすための養分にはなりえません。
ではどうすればいいのか?
当該分野の今と歴史を深く知り、その本質を把握できている人の
訳註(解説+訳)
を通じて味読することです。
今回ご紹介するのは、まさにその見本といって差し支えない本です。
■訳注・兵頭二十八
訳註にあたった本邦唯一の軍学者・兵頭二十八さんはあとがきのなかで
<「孫子」の抽象的なテキストを読んでどのような具体的なシチュエーション
をおもいうかべるか?
これは、解説者個人の軍事的経験やそれまでの読書ハンイが大きく関係せざる
を得ない。「若いときは、これは分からなかった・・・」との感慨を、わたく
しはガムを噛みながら何度かつぶやいて首を振った。>
と書かれています。
古典の訳註にあたっては、その人の力量がモロに出ます。
「専門的知見」プラス「幅の広い知性」
この二つで相当の高みにないと古典の訳註はできないように思います。
六読後の私が思いますに、本著はその水準を十分クリアしています。
(書き込みやページの繰りすぎ、角の折り返しなどで、いま本はボワボワに
なってます)
■分かりやすさの比較
本著最大の特徴は、
とにかく訳文が分かりやすく正確であること、そして、「兵頭いわく」で
はじまる注釈が訳文と有機的な連携をもち、孫子のエキスを摂取しやすくする
触媒の役目を果たしていることです。理想的なスタイルですね。
分かりやすさについて、実例をお見せしましょう。
現在もっとも広く流通している岩波文庫の「孫子」(金谷治訳注)と、
同じ部分の訳を比較してみます。
○金谷訳(p91)
<およそ戦争の原則としては、将軍が主君の命令を受けてから軍隊を統合し兵
士を集めて敵と退陣して止まるまでの間で、軍争ー機先を制するための争いー
ほどむつかしいものはない>
○兵頭訳(p100)
<遠征戦争では、共同体の命を受けた司令官が、おびただしい人員・部隊を集
めととのえ、キャンプではおびただしい車輌が、轅(ながえ)を交えるほどに
混雑したありさまになります。
そこまでは誰でも何とかなるのですが、さて難しいのは。ここから敵との合戦
を有利にもっていく手なのです>
いかがでしょうか?
■本著の価値
本著の価値は、
1.時代に即した世界一分かりやすい本文和訳。内容も具体的かつ正確
1.本文を補足する「兵頭いわく」ではじまる注釈に著者の分厚い教養、独創
性、具体性、エンタメ性を感じる
3.うえの両者が絶妙のバランスと有機的なつながりを保つことで、
本全体が養分の摂取しやすいかたちに仕上がっている
の3点に集約されると感じます。
「ナメるように読む本」であると同時に、
読みやすく「ナメるように読める本」であることが嬉しいです。
軍学者・兵頭二十八という最適の注釈者を得たわが国の幸せというべきでしょ
う。
■とくに注釈
今回「孫子」は、信頼できる本邦唯一の軍学者・兵頭さんという、
これとない注釈者を得ました。
おかげで「孫子」はようやく、今生きるわれわれが家にいながら学び、養分を
得ることのできる、本来の意味での古典になれた気がします。
「(遠ー遠)&(近ー近)の法則」
「内線機動」
などの、ちょっとした軍事知識
深い歴史教養からにじみ出てくる批判精神
兵頭流軍学のエキス
など、この注釈は本当に読む価値があります。
こんなことも書いてありますよ。
<「孫子」を味わうには、もっと原始人的な世界へ戻ろうと努めねばなりません。
それによって、未来の核戦争を勝ち抜くための柔軟な思考力も身につきます>
(P72)
■その他感じたことなど
1.私はこれまで、
「なぜ兵頭さんは兵学者ではなく軍学者を名乗っておられるのだろう?」
とずっと疑問でした。
いみじくも本著に、その理由の一つと思われる記述がありました。
こういうひそやかな発見も、読書の喜びのひとつです。笑
1.軍事の専門性を中心に紹介しましたが、注釈に当たった兵頭さんには、
シナで出土した木簡本にいたるまでの、視野の広い、重厚な漢文素養と基盤が
あります。本著は従来の「漢文解釈」に対するひとつの批判の試みにもなって
います。
1.わが先達は、シナ文明の良い部分を吸収するため、原典である漢文を読み
解き、エキスを吸収するための独創的手法を開発しました。それが「返り点」
です。そのおかげでわが江戸期の漢学は、シナをはるかにしのぐレベルにあり、
その遺産は現在も受け継がれています。
今生きる者としてはこの資産をしっかり受け継ぎ、後世に引き継いでゆきたい
ものです。
■すべての方にお薦めします
エキスが頭脳に染み込んでゆく。
こんな実感を伴いながら読めた古典は、この本が生まれて初めてです。
余談ですが、本著と同じシリーズですでに出ている
「ローマ帝国衰亡史」
を見つけたときはビックリしました。
N氏の日本語訳があまりにひどかったので、立ち読みだけで同翻訳本を捨て、
原著を買って読むことにしました。そうしているとPHPから新訳が出ました。
分かりやすくてとても欲しかったのですが、高くて買えなかったため、ちんた
らちんたら原著を見ていました。そしたら出ていたのです。新書版が。
千円でお釣が来るのにこの読みやすさ・・・。涙
本著はそのシリーズの第二弾です。
これは素晴らしいシリーズになりそうです。
次回配本も楽しみです。
1.本文訳が時代に即した世界一の分かりやすさ、具体性と正確さを持つ
1.「兵頭いわく」ではじまる注釈の独創性、具体性、エンタメ性が楽しい
1.うえの両者が絶妙のバランスと連携をもち、本全体が養分の摂取しやす
い有機的なかたちに仕上がっている
だから
1.本のエキスが頭脳に染み込んでゆく実感を伴いながら読める「武の古典」
こういう本が出たことを本当に嬉しく、誇りに思います。
本著はそういう本です。
<戦前の中国国民党から今日の中国共産党までひきつづいている反日教育や
反日宣伝はまさに、愛国心のないシナ大衆を「死地」に投じて支配力を固める
ための工作の一環です>(P6)
本著は、シナの行動の本質を察知し、それに対処するためにも必要な教養です。
すべての方にお薦めします。
今回ご紹介した本は
『[新訳]孫子』
兵頭二十八(訳)
PHP研究所
2008/4/7発行
でした。
お求めは、
http://okigunnji.com/s/sonshi/
もしくは、
お近くの書店でどうぞ。
(エンリケ航海王子)
■以下目次を紹介します。
はしがき 核時代の政治にも通用する古典兵法
第一編 計
第二編 作戦
第三編 謀攻
第四編 形
第五編 勢
第六編 虚実
第七編 軍争
第八編 九変
第九編 行軍
第十編 地形
第十一編 九地
第十二編 火攻
第十三編 用間
あとがきにかえて 本書の作成経緯
今回ご紹介した本は
『[新訳]孫子』
兵頭二十八(訳)
PHP研究所
2008/4/7発行
でした。
お求めは、
http://okigunnji.com/s/sonshi/
もしくは、
お近くの書店でどうぞ。
次回もお楽しみに。
追伸
あなただけへの内緒ばなしですが、
P121、173、177~178、207は必読です。
ぜひご自身でご確かめください。
http://okigunnji.com/s/sonshi/
>>続きを読む:[新訳]孫子
『中国人の交渉術』 産経新聞外信部 文藝春秋 の復刊支援(追伸つき)
メルマガ軍事情報が2日に1回ひそかに使っているシステム
コンビーズメール http://www.combzmail.jp/index.php?afid=d4qgh1jr
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軍事情報 (復刊支援) 11,572部
平成20年(2008年)3月19日
┏【目次】─────────────────────────────☆
┃ ☆『中国人の交渉術』 産経新聞外信部 文藝春秋 の復刊支援
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逆説・北朝鮮に学ぼう ヘタレの日本に明日はない
この本は
「北朝鮮に学ぼう」というショッキングなタイトルを見て、あなたはどう思われるでしょうか?
>>続きを読む:逆説・北朝鮮に学ぼう ヘタレの日本に明日はない
知っておきたい!! 自衛隊100科
『知っておきたい!! 自衛隊100科』
セキュリタリアンMOOK
防衛弘済会
2007/12/14発行
「二〇〇〇年当時になぜ出してくれなかったの??」
と思わず言ってしまいました。
>>続きを読む:知っておきたい!! 自衛隊100科
日本人は戦略・情報に疎いのか
『日本人は戦略・情報に疎いのか』
太田文雄
芙蓉書房出版
本来持っている実力・能力に気づかず、自虐的になっているわが国民に大きな
勇気を与えてくれる本が出ました。
>>続きを読む:日本人は戦略・情報に疎いのか
年末年始に是非どうぞ。
■お茶の間向け
『国際軍事データ(2007ー2008)』
ディフェンス・リサーチ・センター
⇒年次の軍事ポケットデータバンクの最新版。昨年版を持っておられる方は
タテの比較が簡単にできます。
>>続きを読む:年末年始に是非どうぞ。
核を売り捌いた男 ~死のビジネス帝国を築いたドクター・カーンの真実~
『核を売り捌いた男 ~死のビジネス帝国を築いたドクター・カーンの真実~』
ゴードン・コレーラ
⇒「パキスタンの核の父」であり、「世界に核技術をばらまいた核拡散の張本人」
とされ、現在イスラマバードで軟禁中のA・Q・カーン博士。










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