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マスコミの軍事音痴

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イラク戦争はどうやら数ヶ月のスパンで長引きそうな状況になってきました。
 
 連日の報道では、米軍がバクダッドまで100Kmの地点まで迫ったと言って
ますが、この100Kmという距離が"どこからどこまでの"距離なのか、報道
する側にも分かっていないのではないでしょうか。今にもバクダッドで市街戦
が始まりそうな勢いでレポートしてますよね。
 
 歩兵師団がバクダッドに向かって前進しているといっても、師団本隊が大挙
して移動しているのではないのです。

 日本ではよほどのマニアか、あるいは旧軍経験者か自衛隊で訓練経験のある
人にしか分からない距離感があります。部隊が前線で移動するとき、とくに敵
との遭遇がかなりの高率で予想されるときはそれなりの隊形があるのです。

 「前衛班」といって、1個班ていどの部隊が先頭にいます。この前衛班の任
務は、これから部隊が進もうとする経路の安全確認と小規模な敵の排除です。

この前衛班のさらに数十メートル前には「前方警戒」として、2名ていどの兵
を出しています。この前方警戒員が事実上の最前線で、これより前には味方は
いません。
敵の姿を発見したら、いち早く班長に知らせ、報告を受けた班長は自分の班で
その敵を掃討するのか、あるいは後続部隊の支援を得て闘うのか、もしくは経
路の迂回を本隊に意見具申するかを判断しなければなりません。
班長は下士官ですが、前衛班の班長はかなり高度な判断を要求されるわけです。

また、前方警戒員は「いつ撃たれるかわからない」「不意に攻撃を受けたら、
どちらかは確実に死ぬ」という緊張を強いられます。その精神的疲労は想像を
絶するものですから、おおむね30分ごとに交代します。

 前衛班の後方には「前衛中隊」として、前衛班の母体である中隊が、やはり
前衛班と同じ任務を持って敵との遭遇に備えています。

 前衛中隊の後方には中隊の母体となる大隊または連隊が続き、その後ろに師
団の本隊が続くと言う隊形になっています。ですから「バクダッドまで100
Kmの地点」まで到達しているのは、じつはこの前衛班または前衛中隊である可
能性が高いわけです。ちなみに師団本隊は、前衛班からはるか後方数十Kmの位
置にあります。

 バクダッドには共和国防衛隊をはじめ、フセイン大統領が温存している精鋭
部隊が待ち構えているといわれます。米英軍は砂嵐の中を数百キロにもおよぶ
移動で心身ともに疲労しきっており、しかも補給路も伸びきっています。バク
ダッドで市街戦を戦うには、バクダッドに入る前に部隊をいったん整理する必
要があります。マスコミはそんな事情を一切無視して、まるでゲームのように
「バクダッドに着いたら、すぐ戦いが始まる」と思い込んでいるようです。
 
 実際の戦闘は、地上部隊と航空部隊との緊密な連携が不可欠です。まずはバ
クダッド市内に残っている対空火器を潰し、さらにイラク軍の重火器も潰して
おかないと、いきなりバクダッドに入っても航空部隊・地上部隊ともに猛烈な
反撃にあって犠牲者を増やすだけです。戦争を早く終わらせるためにこそ、大
規模な空爆は必要な措置なのであって、結果として市民が巻き添えになってし
まうのは(誤解を恐れずに申し上げるなら)止むを得ないと諦めざるを得ませ
ん。

 精密誘導爆弾や巡航ミサイル・トマホークは精密機械の塊です。投下前・発
射前には当然に着弾すべき目標がインプットされていますが、イラク側が妨害
電波を出して誘導装置に誤差を生じさせている可能性だってあります。だとす
ればイラクは、自国の一般市民を故意に巻き添えにして、国際世論の同情を引
こうとしていることも考えられます。
 
 トマホークが民家を誤爆したという報道はあっても、なぜ誤爆したのか原因
を追究しようとしないのは、そもそも以上述べたような基礎的な知識が欠落し
ているために、疑問すら湧かないのではないでしょうか。もしそうなら、日本
のマスコミは戦争報道をするべきではないと思います。こと戦争報道となる
と、かぎりなく誤報に近い基本的な誤解や誤り、知識不足が多すぎますね。

(ひら☆やん)

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(投稿日:2003年4月 1日 19:07
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