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徴兵制度と臨時召集

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先日、「臨時召集令状」を配布した教師が「行かない」と回答した生徒に対し、「非国民」と書いて返却したとのニュースがありました。

何も知らない素人が突然呼び出しを受けるのが臨時召集令状、というイメージがあるようですが(これには驚きました!)、もちろんそうではありません。
実は臨時召集制度というのは予備役制度と密接に関係しており、予備役が理解できていないとわからないことなんです。

図らずも予備役に関連する話題が出てきたわけで、おき軍事としては、国防と予備役を考える上で、今回の案件はいい機会を与えてくれたように思えます。

当日、ある通信兵ことteruteruさんからメールをいただきました。
齢80に近い元戦士は「当時の状況も知らずに適当な話をするな」と激怒されています。
あわせて、当時の徴兵制度と臨時召集制度の概要も教えてくださいました。

当時を知る先輩のことばに耳を傾けましょう。


(おき軍事)

___________________
◎◎◎徴兵制度と臨時召集◎◎◎
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「今日(2005/12/17)の毎日新聞夕刊の記事をご覧になりましたか?
あまりのバカラシサにメ-ルしました。

記事の内容概略は以下のとおりです。

『福岡県志免町の中学で社会科の授業で、二年生全員218名に対して、昔、通称「赤紙」と言われた「臨時召集令状」を配布し、「戦争参加の意思」を聞き、「いかない」と回答した女子生徒に「非国民」と書いて返却したそうですが、校長は「戦争の悲惨さなどを教えるためで、問題はない」と話してい
る。

社会科の男性教師(48才)は、「第二次世界大戦とアジア」という授業に使用している副教材の「臨時召集令状」を使ったようですが、町教育委員会は「非国民」と書いた事実は「確認できず分からない」と、コメントした上で、
1.召集令状の持つ意味を理解させる。
2.生徒の歴史認識を把握する。
3.戦争の悲惨さや命の大切さ、戦争が国民生活に与える影響について考えさせる

と、説明している。

また、校長は「生命の大切さを教えるためであって、生徒の人間性を無視した教育はしていない」と、話している』

との記事です。

社会科で戦争の悲惨さや、歴史認識を把握するためと、建前論を論じていますが、そもそも、「第二次世界大戦とアジア」と題する教科書があるとすれば、著者は何も分かっていない。

「第二次世界大戦」とは、「欧州戦線と大東亜戦争」を総称した用語で、ことさら「アジア」をつけることに疑問を感じます。
(注)「太平洋戦争」の用語は戦後GHQが命名した用語です。

 生徒に「戦争の悲惨さ」や「歴史認識」を教えるのであれば、「原爆記念館」の写真をスライドで見せるべきでしょう。

さらに、教育委員会、校長の弁解がましい談話は、読んでいるだけでムカムカしました。

日本の徴兵制度も分からず、「臨時召集」の意味もロクに理解していない教師が、得々として生徒に回答させていることに対し、学校教育のあり方に対する疎外感を覚えました。

先ず、当時の日本の徴兵制度の実際ですが、

マガジンの「年代表」作成の参考資料から、時系列的に解説します。

●日本の徴兵制度の沿革

明治5年(1872)11月28日「全国徴兵に関する詔勅」および明治6年(1873)1月10日に布告された「太政官布告、徴兵令」による「国民皆兵制」が始まる。

昭和2年(1927)4月1日に「徴兵令」が廃止され、代わりに「兵役法」が公布され、日本男子は満20才になると、徴兵検査を受ける義務が課せられる。

検査の結果は、「甲種」から「第一乙種」「第二乙種」「丙種」に区分されるが、「丁種」とは、身体検査の結果、身体や精神の状態が兵役に適さない者である。

「丁種」以外は、兵役原簿に登記(徴兵年次、兵科など)され、各都道府県にある「連隊区司令部」に保管される。

但し、大学生は最高27才まで徴兵が延期されていた。
しかしこの制度は、戦線の拡大に伴い昭和18年(1943)10月に廃止された。
通称「学徒出陣」と言いわれるが、多くの学徒兵は「特操」(特別操縦見習士官)に編入され、その多くが「特攻出撃」で戦死している。

なお、太平洋戦争当時は、現役入隊後、各兵科の訓練を終えると、そのまま戦地へ派遣された。

●「臨時召集」とは?

戦局の悪化に伴い、現役で軍隊教育を受けた者(一般的には「在郷軍人」と呼ばれていた)に対して地区連隊区司令部から発令されたのが「臨時召集令状」である。在郷軍人というのは、いわゆる「予備役兵」のこと。

召集令状は通称「赤紙」と呼ばれていたが、実際の召集規則によれば、陸軍の充員召集、臨時召集、国民兵召集の召集令状は「淡紅色」(ピンク色)で、海軍の充員召集令状は「紅色」と定められていた。


概略は以上ですが、例の中学教師は、これらのことを充分勉強した上で、生徒に対するアンケ-ト形式の調査をしたのかどうか、甚だ疑わしいです。

日の丸、国歌を否定し、その挙句、日本そのものを否定する思想の持ち主が、いまさら「召集令状」の意義を問いただす資格はなく、全く噴飯ものと言わざるを得ません。

真の「平和」を希求するために、我々は「今なにをなすべきか」を教えるのが、学校教育の姿ではないでしょうか。

「教育委員会」および「校長」の発言内容は、現在の日本の姿そのものを象徴しているように痛感します。

なお、参考として、当時の「臨時召集令状」(レプリカ)を添付します。
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(teruteruさま)

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(投稿日:2007年11月24日 07:37
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これとて裁判員制度と同じように「あれ?何時の間に決まったの?」になるかも知れません 続きを読む



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